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ICC KYOTO 2022 「ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 -」に登壇いただき、見事2位に入賞した、テクノツール 島田 真太郎さんのプレゼンテーション動画【「テクノツール」は入力デバイスで、身体の状態に関わらず個性や可能性を発揮できる社会を目指す】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。
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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ
島田 真太郎
テクノツール株式会社
代表取締役
電子部品メーカーを経て2012年4月にテクノツール株式会社に入社。Nintendo Switch公式の障害者向けコントローラー「Flex Controller」をはじめ多くのアシスティブ・テクノロジーの開発や市場開拓を担当。自社開発に加え、主にヨーロッパ製の良質な商品の発掘、輸入にも注力してきた。経営企画部取締役を経て、2021年9月、創業者である父に代わり代表取締役に就任。「本当の可能性にアクセスする」をビジョンにかかげ、視線入力でドローンを飛ばす「ドローンアクセシビリティプロジェクト」、脊髄損傷の元プロレーサーと挑む「シミュレーターレース参戦プロジェクト」など、障害のある方々や各分野の専門家と共に、テクノロジーの活用で社会参加のチャンスを広げるプロジェクトを推進している。
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島田 真太郎さん こんにちは、テクノツールの島田です。
私たちは、「本当の可能性にアクセスする」というコンセプトを持って、体が不自由な人たちの社会参加を、テクノロジーを使ってアシストしています。
姉の存在がテクノツール設立のきっかけに
テクノツールは1994年に私の父が創業し、私は2代目として去年(2021年)の9月から代表を務めています。
この会社の設立のきっかけをくれたのは、私の4歳年上の姉でした。
この写真の右側にいるのが赤ちゃんの時の私で、隣で手をつないでくれているのが姉です。
彼女は生まれつき、身体的にも知的にも障害があって、この写真を撮った約3カ月後に、突然この世を去りました。
この出来事がきっかけで生まれたのが、テクノツールという会社です。
私たちは、入力というテーマに力点を置いています。
手を自由に動かせることが前提の入力インターフェイス
今の時代、私たちは、当たり前のようにコンピューターと共に暮らしています。
本来、体が不自由な人ほどその恩恵は大きいはずです。
でも皆さん、お気づきでしょうか。
キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力インターフェイスは全て、手が自由に動かせることを前提に作られていますよね。
では、動かせなかったらどうすればいいのでしょう。
少なくとも、近くの電気屋に行ってパッと手に入るソリューションがあるわけではなさそうですよね。
圧倒的な選択肢の少なさ、これが社会的に障害を生み出しているのです。
私たちは、そんな多様な入力ニーズに応えることで、一人ひとりの「やりたい」を「できる」に変えてきました。
体が不自由といっても、当たり前ですが、それぞれが多様な個性を持っています。
やりたいこと、その程度も様々です。
Nintendo Switchの障害者向けコントローラーを監修
例えばその1つに、ゲームがあります。
実はゲームも、コントローラーを手に持って指を器用に動かすことができなければ、プレイヤーにはなれないのです。
では、それができなかったらどうするのでしょうか。
きょうだいがめちゃくちゃ楽しんでプレイしているのを、隣で見ていることしかできないのでしょうか。
そんな状況を変えるために、2020年、私たちはコントローラーメーカーと一緒に、Nintendo Switch公式のFlex Controllerを世に出しました。
これを使うと、一人ひとりが使いやすく、様々な入力デバイスがゲームのコントローラーに変わります。
寝たきりの状態でもゲームをプレイできる
梶山さんです。
筋ジストロフィーという難病の患者で、いわゆる寝たきり状態にあります。
でも、体が全く動かないわけではないのです、
ほおを膨らませたり、目を動かしたりすることはできるのです。
Flex Controllerを使えば、そういった小さな動きで、ゲームをプレイできるようになります。
このように、端から見ると、梶山さんは確かに寝たきりかもしれませんが、ゼルダなどのオープンワールドのゲームの世界であれば、自由に飛び回ることができるのです。
今、Flex Controllerのユーザーは、世界中にいます。
皆さんが、皆さんのお子さんがフォートナイトをプレイして、戦って、負けた相手は、もしかしたら足で操作をしているかもしれない、視線入力で操作しているかもしれない。
そういうことが起こっているのです。
ロボットやドローンの遠隔操縦も可能ではないか
そして、私たちは思いました。
梶山さんがこれだけ上手くゲームを操作できるなら、リアルの世界でも何かを動かせるのではないかと。
そんな考えから、こんなプロジェクトも進めています。
まだ実験レベルですが、複雑なゲームの操作が出来るなら、リアルの社会でもロボットやドローンの遠隔操縦が十分できる可能性があります。
何か、サービスを提供したり、生み出す側に立てる可能性があるということです。
入力手段さえ獲得すれば、その人の持っている個性や可能性を発揮させられるのです。
テクノロジー+リモートで働く事業所をオープン予定
ここからプレゼンは後半ですが、皆さんも一緒に考えていただきたいです。
社会を良くしようと思っている皆さんが、私たちと力を合わせれば、もっともっと多くの個性や可能性を世に解き放つことができます。
個々が持つ可能性と、私たちの持つ入力、この掛け算で終わらせるのではなく、是非この式に皆さんも参加してください。
そうすれば、もっと多様でもっとインパクトのある解を生み出すことができます。
私たちは今、そのための土壌作りを進めています。
それが来年オープンする、肢体に不自由のある方が、テクノロジーを活用してリモートで働く事業所です。
ここを、私たちのテストフィールドにしましょう。
もちろん、IT系の仕事を頂ければ嬉しいですが、もっと発展的なこと、例えば遠隔操縦するプロジェクトを一緒に立ち上げるとか、皆さんのサービスやプロダクトのアクセシビリティを一緒に高めるとか、多様性のある組織について肢体に不自由のある方と一緒に考えるとか…。
あと、僕は、肢体に不自由のある若い世代をエンパワーメントするようなことをしたいのです。
教育や体験など、社会とつながるチャンスを彼らが若い頃から持っていれば、もっと社会に出やすくなるはずです。
そういうことを、当事者と私たちと、そして皆さんで、Co-Creationして一緒に作っていきましょう。
個々が持つ可能性を発揮するチャンスを作りたい
肢体に不自由のある方々は、おそらく皆さんの想像以上に大きな可能性を秘めています。
テクノツールのメンバーが、それを証明しています。
先ほどお見せしたプロモーションビデオを作ったホッシーこと干場は、SMAという神経難病の患者で、体はあまり大きく動かせないですが、めちゃくちゃかっこいい動画や音楽を作るのが好きなのです。
良い文章も書けます。
そして実は、ゲームやドローンを視線入力で操作するソフトを作ったプログラマーも、肢体不自由者なのです。
本間といいます。
彼は脳性麻痺で体を動かせないのですが、コードは書けるのです、プロダクトを作れるのです。
知的で多趣味で、シャイだけれど、めちゃくちゃ強い情熱を内に秘めている、そんなパーソナリティーを持った人です。
ホッシーと同じSMA患者は、国内に1,500人ほどいると言われており、本間のような脳性麻痺を患う人たちは、54,000人ほどいると言われています。
この人たちを、「助けてあげる」と言うのはもうやめましょう。
そうではなくて、「彼らが本来持っている個性や可能性を発揮するチャンス」、これを一緒に作りましょう。
だって、その方が面白いじゃないですか。
その方がICCらしくないですか?
その方が、社会が豊かになると思いませんか?
体の状態ではなく活動内容が注目される社会を目指して
ドローンのフライトを成功させたあとに、梶山さんはメディアによるインタビューでこう言っていました。
「テクノロジーによって、僕らが『寝たきり』という言葉ではなく、どんな活動をしているかに注目される社会になってほしい」、これも私たちと同じですよね。
この場にいる人たちはみんな、活動や自分の事業に注目してほしいと思っているはずです。
体の状態にかかわらず、一人ひとりの活動に目を向ける社会、一人ひとりの本当の可能性にアクセスできる社会、それを是非、Co-Creationで作っていきましょう。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/大塚 幸