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ホームレス状態の人に寮付きの仕事を紹介し、生活再建をサポートする「Relight」(ICC KYOTO 2022)

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ICC KYOTO 2022 ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 -に登壇いただいた、Relight 市川 加奈さんのプレゼンテーション動画【ホームレス状態の人に寮付きの仕事を紹介し、生活再建をサポートする「Relight」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。

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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ

市川 加奈
Relight株式会社
代表取締役社長

1993年生まれ。東京都出身。中央大学卒。高校生の時に路上で生活する方がいる状況に関心を持ち、全国の炊き出しや夜回りに参加するようになる。支援者や当事者と対話をした結果、支援ではなく、持続可能なソーシャルビジネスをするために、2016年ボーダレス・ジャパンに入社。海外事業での経験を経て、2019年にRelight株式会社を設立。現在は、家のない方向け寮付きのお仕事紹介「いえとしごと」と、家を借りられない方向け賃貸「コシツ」という、ホームレス問題や日本の貧困問題をテーマにした事業を運営。ビジョンは「誰も孤立せず、何度でもやり直せる社会をつくる。」 「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2021」「Forbes 30 Under 30 Asia 2022」に選出。


市川 加奈さん 皆さんおはようございます。Relight株式会社、代表の市川と申します。

 

Relightでは、ホームレス状態の方向けに、寮付きのお仕事の紹介をすることで、生活再建のサポートをしています。約3年間この事業を行っています。

 

私はもともと東京の山奥で育ったので、家がない方を見たことがありませんでした。

ホームレス問題の解決には何が必要か

高校生になって、都会に出るようになって初めて、家がない方、ホームレス状態の方を見かけるようになりました。

皆さんにお伺いしたいのですが、皆さんの中で、家がない方、ホームレス状態の方を見かけたことがある方は、どのくらいいらっしゃいますか?

ありがとうございます、ほとんどの方が手を挙げてくださっていますね。

そうなんです、これだけ多くの方が知っているのに、この問題は全然解決していないということに、当時すごく疑問を持ちました。

▶参考:ホームレス問題の現状 | ビッグイシュー基金 (bigissue.or.jp)

一体、何が解決策になると思いますか?

考えたのですが分からなかったので、ネットカフェに行ったり、SNSを使って彼らに直接連絡してみたりしたところ、結構若い方が多いことが分かりました。

「自分は若いから、働いて生活を立て直したい、だから仕事を紹介してほしい」と教えてくれました。

彼らの持つ携帯(電話)の多くは、止まっていました。

今は、携帯が使えないと仕事の応募自体も難しいのです。

携帯料金が払えないほど困っているから仕事を探したいのに、何だか矛盾していますよね。

それから、仕事の紹介で彼らの生活の立て直しができないかと考えるようになりました。

 

そして、ソーシャルビジネスしか行わない「ボーダレス・ジャパン」という会社に新卒で入社し、3年間、バングラデシュの革製品の事業を通じて、ソーシャルビジネスの創り方を学びました。

働きながら、自分にできることはなんだろうと考えた結果、今の、寮付きのお仕事の紹介「いえとしごと」を始めました。

人手不足の企業と就労希望の相談者を繋

日本には、人手不足で困っている人がいる一方、働きたくても働けない人がたくさんいるのです。

これはすごくもったいないですよね。

彼らをしっかり繋げることができれば、この問題は解決するのではないかと考えたのです。

ここからは、実際のサービスとモデルを紹介します。

仕事を探している人は、ウェブサイトから応募ができます。

実際に、見てみましょう。

トップページから、自分の状況に合ったカテゴリを選んでいただき、気になるお仕事があれば応募いただきます。

まず私たちと面談し、その後、会社に紹介をします。

相談者には、寮があるのか、日払いしてもらえるのか、携帯や身分証がなくても大丈夫なのかなど、知りたいことがたくさんあるので、事前に1社ずつ打ち合わせをし、どのような状況の方まで受入れ可能かを確認しています。

そのため、他の求人サイトよりも、細かく情報が記載できるのです。

また、受入れもすごくスムーズで、最短で応募のあったその日に面接し、翌日から勤務が可能です。

ビジネスモデルは、人材紹介業です。

相談に来た方の希望に合う仕事を、紹介します。

就職が決まれば紹介料を頂き、その売上で事業を運営しています。

イベント会社元社長のケース:介護事業に就職

この写真のように、面談は対面ですることもあれば、交通費がない方や遠方の方とは、オンラインで面談をします。

この方は40代で、イベント会社の社長をされていました。

コロナ禍で仕事がなくなってしまい、会社が倒産してしまったのです。

仕事がないので家賃が払えなくなり、携帯が止まってしまい、友達の家で今後どうしようと悩んでいたところ、ネットで「いえとしごと」を見つけて、連絡をくれました。

どんな状況の方でも、家を失う可能性があるのです。

「友達の家にお世話になるのは申し訳ないので、早く仕事と住まいを安定させたい、もともと人と関わるのが好きなので、介護の仕事をしてみたい」という希望だったので、提携している介護事業の会社にすぐ連絡をし、次の日に面接をしてもらい、無事に就職が決まりました。

 

寮は、この写真のような部屋です。

結構居心地が良いので、そのまま住み続けてしまう人も多いのですが、必要であれば、その人名義の家を借りるサポートもします。

「生きていることが辛いと思った時もあった、やっと人間に戻れました、普通の生活がしたかったのです」、これが、印象に残った相談者の言葉です。

「ここがダメなら死のうと思った」、そんな方も多いのです。

ですから、無事に就職が決まって、その後に連絡をした際、「元気に働いています」と聞くと、「ああ、良かったぁ」とすごく安心します。

最近は、暗いニュースがすごく多いですよね。

生きることに悩んでほしくない、誰も死んでほしくないのです。

でも、そう言うだけではなく、そうならないですむ環境にきちんと繋げることが、私たちの役割だと思っています。

実際の相談者は20~30代が6割

今回例に挙げたのは40代の方で、皆さんが想像しているホームレス状態の方よりもずいぶん若いと思われたかもしれませんが、実際の相談者は20~30代の方が6割を占めていて、さらに若い方からの相談が多いのです。

 

多くの会社に本当に支えられ、就職者数は累計で620名を超えました。

もしかしたら、あなたの街のあの会社やあのお店でも、私たちが紹介した方が働いているかもしれません。

ですが、就職した人数の10倍以上の人から相談をいただいているので、正直、就職まで繋げられた人数はまだまだ少ないのです。

また、就職後に早期で辞めてしまう方が、全体の3割くらいいらっしゃるのも実態です。

でも、人生は仕事が全てではないと思っているので、それでもいいと思っています。

私たちは、単に就職させたいのではなく、彼らに生活を立て直してほしいのです。

実際に面談をして、体調がすぐれない方や働いてみたけれど合わないという方は、行政の支援やNPO団体にお繋ぎしています。

情報にアクセスすることが難しい方がすごく多いので、まずは私たちに繋がって、その後に何かしらの解決策にきちんと繋がることが大事だと思っています。

何度でもやり直せる社会をつくりたい

私たちは、「誰も孤立せず、何度でもやり直せる社会をつくる」というビジョンを掲げて、約3年間、生活にお困りの方に向き合ってきました。

 

ホームレス問題だけではなく、その根本にある生きづらい社会を変えていきたいのです。

そして、ここにいる皆さんの力を借りられたら、もっとできることがあるのではないかと思っています。

全国から問い合わせをたくさんいただいていますが、まだまだ、全然応えられていないです。

是非、受入れ企業になっていただけないでしょうか。

あるいは、受入れてくださりそうな会社の紹介も、お待ちしています。

生活にお困りの方が多いので、食料品の支援も頂けたら嬉しいです。

最後になりますが、この事業を行っていると、「貧困は自己責任なのではないか」とよく言われます。

そんなのは、どうだっていいのです。

人を過去で判断するのではなく、その人の未来や将来を応援できる社会を、皆さんと一緒につくっていけたら嬉しいです。

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

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(終)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/大塚 幸

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