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ICC KYOTO 2025のセッション「-「グローバル・コネクテッド」(シーズン2) – ICCグローバル・コミュニティを盛り上げよう!」、全8回の③は、中国を拠点とする日本発スタートアップYoren金田 修さんが登場。中国に7,500店舗あるというローソン向け会員アプリ立ち上げと、7,000億円を超えるトレカ市場へのサービス参入、“何でも作れる国”中国での自社ブランド事業展開について語ります。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜 3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。
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【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 11C
-「グローバル・コネクテッド」(シーズン2) – ICCグローバル・コミュニティを盛り上げよう!
Supported by EVeM
スピーカー・リングサイド・モデレーター
(スピーカー)
① 北米でのビジネス展開事例(US)
任 宜
スマートニュース
Chief Strategy Officer
② 中国でのビジネス展開事例
金田 修
Yoren
CEO
③ 東南アジアでのビジネス展開
久保田 和也
4P’s Japan
Global Branding Director
④ ヨーロッパでのビジネス展開
下地 邦拓
EF Polymer
取締役COO
(リングサイド)
蛯原 健
リブライトパートナーズ
ファウンディング ゼネラルパートナー
柴田 尚樹
NSV Wolf Capital
Partner
坪井 俊輔
サグリ
代表取締役CEO
中山 充
B Venture Capital
General Partner
山田 陽介
オンリーワントラベル
CEO
山田 裕一朗
ファインディ
代表取締役
和出 潤一郎
PT. VENTENY Fortuna International tbk.
Founder and Group CEO
(モデレーター)
西井 敏恭
シンクロ
代表取締役
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西井 では次に、金田さんの中国のお話を聞きましょう。
中国で事業展開、Yoren 金田さん
金田 任さんにはかつて社外取締役、そして今はアドバイザーをしていただいているので、貶めることなんて絶対にできないです(笑)。

中国は、皆さんが思うよりも事業機会に溢れているし、グローバル展開においてはすごく良い選択肢だと思っているので、中国の宣伝をしたいと思います。
まず、なぜ僕が中国でビジネスをしているかについてお話しします。
ネットでは中国人的なキャラクターになっていますが、僕は生まれも育ちも日本で、祖父母も含め、何の縁もありません。
自分にとって意味のある貢献が今の世の中に対してできるのか、というチャレンジがしたくて大学に入り、その意思が今の事業につながっています。
最初は霞ヶ関の財務省に入りました。
それで世の中に貢献できるかと思いましたが、自分の能力と組織が全く合わず、全く機能しませんでした。
まずは「守り」をしっかり出来てはじめて創造性が求められる仕事も回ってくるという職種なのですが、そもそも「守るべきもの」に疑問を持ってしまうタイプは、特に若いうちはダメな役人になってしまいがちで、僕は正にそういうタイプでした。
自分には本当に向いていないと思い、アメリカに留学する中で自分の中の価値観も大きく変化をして、社会の役に立つこと=政府で働くことではないな、と納得してしまったこともあり、ビジネスを1から学べるところがいいと思ってマッキンゼーに入社し、10年ほど働きました。
今のマッキンゼーはだいぶグローバル化していますが、当時はそうでもなくて、正直に言うと、当時の日本オフィスの能力はイメージしていたものと大分ギャップがあると感じていました。
それであまり面白くないと感じていたのですが、シニアのパートナーたちが「僕もそう思う」と言ってフランスや東南アジアでのチャンスをくれて、世界中で仕事をさせてもらいました。
あちこちで仕事をし、学ばせてもらった中で感じたことは、当たり前ですが人のことを知れば知るほど、その国のことを嫌いになるのは難しいということです。
それは間違いないと思います。

皆さんそうだと思いますが、フランスだろうとベトナムだろうとフィリピンだろうとアメリカだろうと、知れば知るほど、その国のことを嫌いになるのはすごく難しい。
そういう、人と人が分かり合える世界を作る方法を考えたいなと漠然と思っていました。
マッキンゼーでの最後の2年は、リテールというセクターの中でアジアのリーダーをさせてもらい、その時に中国の、とんでもない潜在能力を感じたのです。
また、日本のカルチャーを好きな人が世界で一番多い国は、今も10年後も中国だと思うのです。
西井 10年後もですか?
金田 はい、嫌いな人もそれ以上にいると思いますが。
もちろん、日本のカルチャーといっても幅広いです。
そのカルチャーは、MUJIかもしれないし、ちいかわかもしれない。
でも、日本が持っているコンテンツが好きな人は少なくとも3億人はいます。
また、我々は同じ漢字文化圏にいるので、理解のレベルがすごく深いと思いました。
フランスでもアニメファンのチームメイトがいましたが、理解レベルが桁違いだと感じていました。
その割には、日本の会社はヒット&アウェイというか、真剣に取り組んでいる会社がすごく少ないし、任さんの話にあった通り、組織としてのギャップが大きすぎます。
中国はグローバルな競争のるつぼであり、いわばメジャーリーグです。
ですから報酬体系にしてもオポチュニティーにしても、基本的にはグローバルと比肩するものでなければ一流のメンバーは集まりません。
日本企業には、そうなっている組織はほとんどありません。
それで、「文化と文化をつなぎ、人と人がわかりあえる世界をつくる」というビジョンを齋藤さんと一緒に作りました。
給与水準もしっかり他社をベンチマークとし、マネージャーレベルまではインターネットセクターの平均、それ以上であればトップ25%以内を目安にしています。
制度設計についてはかなり初期段階から明確なイメージを持って、中国で事業を始めました。
基本的には、人と人がつながるための仕事をしていますので、リテール、エンタメ、ブランドなどで「会員」を扱っています。
7,300万人ほどの会員情報をお預かりして事業をしており、うち7,200万人は中国大陸、残り100万人は最近進出したマレーシアの会員です。

GMV型(※)ビジネスが約3分の2を占めていて扱いGMVは200億円規模です。
▶︎編集注:GMVとはGross Merchandise Value(流通取引総額)の頭文字で、この文脈ではECなどマーケットプレイスでの流通を最大化するビジネスのこと。
任さんに社外取締役に就任頂いて以来、年間の平均成長率は33%、今年の上期も35%成長の見込みです。
本当は、自分が100%株主であれば一番良いのでしょうが(笑)、我々経営陣がマジョリティでローソンやカルチュア・コンビニエンス・クラブなどが株主です。
会員情報を預けていただいている企業いくつかに出資をしていただいています。
最初に立ち上げたのはローソンの会員アプリ
金田 3つの事業をご紹介します。

最初に立ち上げたのが、ローソンの会員アプリです。
中国には、ローソンが7,500店舗ほどあります。
僕らが仕事を一緒に始めた頃は、展開地域も上海のみで、500店舗に満たない規模でしかありませんでした。
当時のリーダーに、「リテールは1店舗ができれば伸ばせるので、1万店舗までは拡大できる自信がある。でも、すごいスピードで伸びた場合に必要なテクノロジーのケーパビリティがないので、一緒に事業をやらないか」とお声がけいただきました。
これは日本で言うところの会員アプリですが、中国では決済情報と、その裏にあるサードパーティ、ファーストパーティのデータはつなぎ放題なので、あらゆる形でお客様と接点を作ることのできるプラットフォームです。
具体的には、コードを見せてポイントを貯めるのが基本的な機能ですが、決済機能がつながっているのでサブスクリプション、デリバリー、ピックアップ、予約販売もできます。

また、LINEではなかなか浸透しにくい概念ですが、各店舗で入会していただくと、その店舗のチャットグループに誘導されるので、スライドの左にあるようなチャットグループ機能もあります。
チャットグループでは知らない同グループの他者からもアクセスされるリスクもあるんですが、中国では普通に入会されます。
チャットでは新商品や新サービスの情報が得られ、1クリックでアプリの決済に遷移するようになっています。
資本関係もバラバラ、中にはローソンの資本がゼロの会社も含めた十数社が中国ローソンを形成しているのですが、POS売上の10%ほどがこのチャットグループから来る会社もあります。
TikTokもそうですし、ライブコマースなど、さまざまなプラットフォームからトラフィックをつなげることはよくあり、このアプリも様々な形で連携して誘因をしています。
お客様が店舗にいなくても売上が生まれる国になっているということです。
実際、直近のデータで言うと、コンビニ売上の数割は、店舗外での決済によるものです。

アプリのトップページの訪問頻度は来店頻度の2倍ほどなので、会員とブランドの接点のうち、3分の2が我々のアプリになっているという状況です。
中国で今も非常に伸びているマーケットとは

金田 なぜこのアプリの事業をしているかについて説明します。
任さんが言ってくれたように、2012年に事業を始めて13年目ですが、コロナ禍までの7、8年は、周りのユニコーン企業にどうすれば潰されないかという戦いでした。
僕らのサービスは大きく分けて、ECマーケティングとこのリテールのサービスです。
リテールサービスでは周りにユニコーンが5、6社存在しており、彼らは僕らと同じようなサービスを無料で提供します。
ですので、生き残る方法を何とか見つけなければいけないという状況でした。
スライドの折れ線グラフが中国のECを始めた人の数、棒グラフが利用者数です。

2020年頃までは毎年新規が1億人いたので、極端な話、既存顧客の施策を考える必要はあまりなく、資本主義では新規客数が重視されるので、そこにテクノロジーやマーケティングが圧倒的に注ぎ込まれていました。
でも僕らは日本から来ているので、当たり前ですが、それが続かないことを分かっていますよね。
しかし、中国のこの頃のマーケットでは、そんな当たり前のことを誰も考えていなかったのです。
ですから、いずれ新規顧客が獲得できなくなって、既存顧客との関係性が大事になる時期が来るはずだという点に、先んじて着目したことが重要だと思っています。
2015年にサービスを開始し、2019年までは正直ずっと赤字でした。
でもコロナ禍によって人々がお店に行けなくなったので、ぐんと跳ねたという結果です。
市場で負けないように頑張っている最中に、こういう言い方は良くないですが、コロナ禍のおかげでビジネスが軌道に乗ったという感じです。
いわゆるニューリテールバブルがはじけて、このセクターでは9割の会社で人材をカットしたり、競合にシェアを奪われたりしています。

日系リテールでは店舗数で見れば僕らは圧倒的なシェアを持っていると思いますが、日系の外に出るよりも同じOMOの発想で他のビジネスをする方が良いと考え、新たな事業の検索を始め、IPに辿り着きました。
IPは中国ではものすごく伸びており、既に5兆円規模のマーケットです。
年間成長率が30%近くあって、日本のメディアを見ると不景気に見える中国でも、このセクターはずっと勢いがある状況です。
コンテンツとしては二次元が大きいですが、物販が成長を牽引しているので、僕らはトレカに着目しました。

ここだけで7,000億円を超えていて成長率は25%です。
トップ5のコンテンツのうち、ポケモンをはじめとして、4つが日系のものです。
カードゲームはオフライン行為ですが、中国にいればオフラインだけで完結することはありえないですし、オフラインとオンラインをつなげることで体験の質を向上させることができると考え、この事業を始めました。
現状、いわゆるトレカの世界のトップ5コンテンツのうち3つに僕らがサービスを提供しています。

日本では紙やPCで見ているものを、ユーザーも大会運営者もスマホだけで完結させられる仕組みを作っています。
参加している全ての人のデッキ、履歴、どのチームに所属しているかが分かるのが良い点です。

日本のポケモンカードの大会に出たことがある方がいれば分かると思いますが、基本的には、45分の1ラウンドを10ラウンド行ってトップを決める大会です。
でも、強い人は5分で勝つので、残り40分は暇なのです。
デジタル上でその状況が把握でき、自分と属性の近い、勝って暇をしているプレイヤーと戦うことができれば、よりポイントが積み上がる仕組みが作れるのです。

日本からも来て見ていただいていますが、世界的に一番盛り上がっているポケカ大会になっています。
このレート戦だけではなく、オンオフ連携によってできるゲームがたくさんあります。
オフの体験があることは、ポケモン社にとってもユーザーにとってもすごく大事です。
ポケモン社はスマホゲームも出していますが、ユーザープロファイルの違いがあります。
でも連携することで体験が変わると思うので、しっかり取り組んでいきたいと考え、続けています。
何でも作れる中国でD2C製造業にも着手
金田 とはいえ、先ほど申し上げたように、トレカの主要ブランドのうち、当社が取り組んでいないのはほとんど残ってないので、事業としての限界が見えています。
それで今、中国で一番伸びているのはブランド事業です。

ブランドは、顧客との接点の連続性はあまり必要ないですよね。
食品や医薬品、化粧品、最近は自動車会社などが我々のクライアントです。
自動車の体験をどう定義するかはEVの登場によって変わりましたが、例えば調味料であれば買っても年に2、3回なので、我々のサービスの強みは活きにくいです。
顧客とつながった時のデータ解析をして最適化することが僕らの強みなので、それを抜き出してブランド事業を始めました。
SNSデータ、ECデータ、僕らの持つ7,000万人ほどの会員データを組み合わせると、例えばキユーピーのゴマドレッシングの場合、競合に対してどういうキーワードで勝っているか負けているか、また、どういう人がそれらのキーワードをつぶやいているか、などが分かります。
ECデータの新規検索、新規コンバージョンとSNSの熱量には基本的に相関があるので、どこにチャンスロスがあるのかも分かります。
中国というマーケットは本当に広いです。
例えばキユーピーは、ゴマドレ市場でのシェアは50%持っていますが、中国中をカバーしきることはできないので、勝ちを定義し、ギャップを明確にし、施策を一緒に実行するというサービスです。
それで、それなりに結果も出てきました。

僕らが今すごく頑張っているのは、自社ブランド事業です。
一見、サービサーがD2C事業をすることに違和感を覚えるかもしれませんが、 中国のこのセクターにおいて数千億円規模の企業価値を持つ企業のほとんどは、この事業を行っています。
なぜかと言うと、中国は何でも作れる国だからです。
売り方さえ分かってしまえば、工場も素材もあるので、それらを利用しない手はありません。
ゼロから作る自社ブランドも始めています。
とはいえ、日本で作っていることに価値のあるカテゴリーはまだいくつかあります。
セールスチームが、「このカテゴリーのこの会社であれば、自分なら売れる」というリストを作り、その会社にアプローチをします。
中国では、ジョイントベンチャーを一緒に作るなどの形で、相手のブランドを自分の会社のブランドと考えて一緒に商品開発をします。
これを今、僕らの会社の成長の軸に置いています。
デジタルは中国のモデルを模して、東南アジアに進出
金田 しかし、地政学の変化は大きいと思っています。

中国で事業を始めた時は、中国で1億人の日本カルチャーのファンを集めたいと考えていて、今は、全サービスの合計で毎月百数十万人増えているので1億人には到達しそうです。
でも、それに意味がなくなってきたというか、日本企業の中国に対する感情はもう変わらない気がするし、そもそも中国という国の位置付けは、成長基盤というよりも、世界最高水準の物が作れる場所になると思います。
全てそうだとは言いませんが、AIやハードウェアなど、大部分については、サプライサイドエコノミクスのパワーがすごいと実感していますし、これもこの先10年変わらないと僕は思っています。
ですから、会社が、たまたま世界最高水準のソフト・ハード工場にアクセスできる国に残っていたことを活かしていこうという考えで、去年(2024年)、ポジション変更をしました。
2023年まではビジネスの99%が中国でしたが、2024年からは日本も含めて中国の国外を意識し始めました。
今年の上期は、売上の16%が中国外のものとなっています。
広げ方には2つあり、1つは中国のプラットフォーマーのコバンザメになることです。
例えばTikTokのEC、あとはLINEも今、WeChatを模したミニアプリを展開しようとしており、そこに実績や経験のある僕らが入っています。
東南アジアにおいては、デジタル環境の進化は中国をフォローしていくことが明確だと思います。
そうなるとTikTokやLINEだけではなく、オフライン体験も中国に似たものにしていきたいというニーズがあるので、東南アジアに進出しています。
中東やアフリカにはこの流れはあまりないですし、あったとしても、特にアフリカでは1人あたりの使用金額の桁が全然違うので、IPビジネスを進めていこうと僕らは考えています。
グローバルサービスだけではなく、IPホルダーと築き上げた関係を以てビジネスをしていきたいと思っています。

西井 ありがとうございます。
お話を聞いて、赤字は出したものの、すごい規模のビジネスをされているなと思いました。
どれくらい投資をしてきたのでしょうか?
金田 資金調達は2回で、14億円くらいを調達しました。
そのお金はなくなりそうでしたが、既に黒字化しているので。
西井 なるほど、14億円なんですね。
桁がもっと大きいかなと思っていましたが。
金田 アメリカに比べると、中国のエンジニアを雇うのはめちゃくちゃコストパフォーマンスが良いです。
競合でスターバックスやセブンイレブン向けのサービスを提供していた会社は、2,000人ほどのエンジニアで開発をしていました。
でも僕らは100人規模です。
競合の持つ要素を分解すると、これは要らないなと思うものがすごく多いです。
彼らは100億円単位で資金調達をしているので、彼らがやっている中の何かが跳ねたら勝てないけれど、自分たちの個性を守れれば勝てる日が来るのではないかと思って取り組んでいるうちに、他のメンバーも50人体制になっていた感じです。
僕らの会社が死ぬと、一緒に仕事をしている人たちも死んでしまいます。
ですので、資本増強もしつつ、資本ではない形での増強もしてもらった形です。
(続)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成


