【NEW】ICC サミット KYOTO 2026 開催情報詳しくはこちら

1. 衰退市場を反転させる! 日本の工芸・アートの高価値産業化に挑む5人が集結

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

ICC FUKUOKA 2026のセッション「日本の工芸・アートの価値を高めるには?」に、アートや文化、工芸の分野で新たな挑戦を試みる5人が集結! 高い潜在能力を持ちながら、市場縮小の危機にある日本の工芸やアート。J-CATの飯倉 竜さんは、職人の思いや歴史的背景を卓越した通訳ガイドで言語化し、国内外の富裕層向けに高単価な文化体験を提供。透明性の高いプラットフォームを通じ、文化から新たな産業価値を創出するヒントを語ります。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。


【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 12C
日本の工芸・アートの価値を高めるには?
Supported by EVeM

(スピーカー)

飯倉 竜
J-CAT
代表取締役CEO

石上 賢
丹青社
B-OWND プロデューサー

上町 達也
secca
代表取締役

松田 文登
ヘラルボニー
代表取締役Co-CEO

(モデレーター)

各務 亮
電通
クリエイティブ プロジェクト ディレクター

『日本の工芸・アートの価値を高めるには?』の配信済み記事一覧


日本の工芸・アートに「次のアクションプラン」を、電通 各務さん

各務 亮さん(以下、各務) 今日は90分のセッションですので、じっくりとお話しさせていただきたいと思います。


各務 亮
電通
クリエイティブ プロジェクト ディレクター

中国、シンガポール、インドの海外拠点を移り住みながらグローバル企業の海外マーケティングを担当。 2011年 電通京都支社帰任、グロー バル企業海外戦略を担当しながら、伝統工芸の海外発信プロジェクト「GO ON」はじめ各種文化プロジェクトのプロデュース多数。 既存商品のマーケティングやブランディングに留まらず、日本の伝統や文化ベースに、まだ世にない価値を生み出す、事業クリエーション、サービスクリエーションを実践中。 26年3月28日にプロデュース中のUZUMASA KYOTO VILLAGEがリニューアルオープンする。 佐治敬三賞、カンヌライオン、D&AD、One Showなど受賞多数。 著書に「すべてのビジネスに、日本らしさを。」(クロスメディアパブリックシング)

テーマは、「日本の工芸・アートの価値を高めるには?」ですが、これは、私自身も海外から京都に来て、この12年間ずっと毎日考えているテーマです。

それを、これだけ贅沢なメンバーとお話しできるのは本当に嬉しく、楽しみにしていました。

世界から見れば、日本の工芸・アートは技術・精神性・美意識のいずれにおいても、極めて特異で高いポテンシャルを持っています。

これは皆様、お感じのことだと思います。

それにもかかわらず、「価格がつかない」「市場が小さい」「次世代につながらない」という課題に、いまだ直面し続けています。

では、日本の工芸・アートの価値は、どこで毀損され、どこで再定義できるのか?

そして、いかにして「文化」を「産業」へと昇華させていけるのか?

本セッションでは、工芸・アートを流通・空間・ブランド・思想という異なる切り口から再設計してきたスピーカーの皆様とお話しし、次のアクションプランを作っていきたいです。

今日はICCサミットの3日目ですが、ご参加くださった会場の皆様は、このテーマに相当熱い思いを持ってくださっているのではないかと思います。

そんな皆様とも一緒に、この工芸・アートの価値を高めるプランを議論していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

メンバーはこちらです。

エコシステムの中での役割がそれぞれ違いますので、楽しみにしています。

価値向上の鍵となる「3つの問い」 

各務 こんな感じで90分を使わせていただきたいと思っています。

3つの問いについて、お答えを聞きながら進行させていただきます。

1つ目は、「日本の工芸・アートの『本当の価値』は何か?」

価値を高めるには、そもそもどういう価値が認められているか理解しなければいけません。

皆様が普段接しておられるコレクターや海外からのお客様、アート業界の批評家などが価値をどう定義していらっしゃるのか、それを皆様がどう捉えていらっしゃるのかを教えていただきたいです。

2つ目の問いは、「その価値が『毀損』されているボトルネックはどこか?」

これはプロダクトやブランド、流通などいろいろあって1つではないと思いますが、まず解決すべきところを定めていきたいと思います。

3つ目の問いは「工芸・アートを産業へ昇華させる『最初の一手』は何か?」で、課題を定めた後、具体的にアクションできる、価値を高めていけるアイデアについて話します。

日本の伝統工芸は、市場規模が最盛期の6,000億円から現在では800億円程度になっているという話もあるように、産業と言うには心許ない状況です。

これを1,000億、2,000億、3,000億円にするには、どうしたらよいのか?

スピーカーの4人の力を合わせれば不可能ではないと思います。

そのための初手が何なのか、アクションプランを含めて議論していきますので、90分間どうぞよろしくお願いいたします。

まず、各社の事業を含めて自己紹介をしていただきながら、アート・工芸の価値は何かをお聞かせいただきたいと思います。

工芸、アート、日本文化に関わってきた京都での12年間

各務 私自身はこの12年間、京都で工芸、アート、日本文化に関わる仕事をさせていただいており、「GO ON(ゴオン)」という京都で6人の老舗後継者のネットワーク立ち上げ等に取り組んできました。

GO ONの6社は、日本を代表する工芸企業になられたわけですが、そこから学ばせていただいたことを京都の後継者たち、全国の地域産業の仲間たち、日本文化に関わる方たちへ共有し、産業を作っていきたいと日々取り組んでおります。

2026年3月28日には、太秦映画村(UZUMASA KYOTO VILLAGE)が、さながら日本文化のテーマパークとして、京都にリニューアルオープンします。(登壇は2026年3月5日)

【東映太秦映画村フルリニューアル】2026年3月28日に第1期オープン決定!「江戸時代の京へ、迷い込む」をコンセプトにした大人の没入体験パークへ(PR TIMES)

京都の魅力がギュッと凝縮されていますので、9月のICCサミット KYOTO 2026で京都にお越しの際は、ぜひお立ち寄り下さい。

さて1つ目の、「日本の工芸・アートの『本当の価値』は何か?」という問いに対して、登壇者の皆様より、事前にキーワードを頂いております。

石上さんの分は、サマリーしきれなかったので間違っているかもしれませんが、これからお話しくださることを楽しみにしていただきたいと思います。

では、飯倉さんからお願いいたします。

国内外のハイエンド観光体験やプライベートツアーを企画、J-CAT飯倉さん

飯倉 竜さん(以下、飯倉) ご紹介賜りました、J-CATの飯倉と申します。


飯倉 竜
J-CAT
代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒。2012年に住友商事株式会社に入社し、海外IT製品のトレード営業や新規事業の立ち上げを担当。2017年からは米シリコンバレーに駐在し、ベンチャー投資業務、CVCファンドの設立、アクセラレータプログラムの立ち上げに従事。2019年末にJ-CAT株式会社を創業し、日本の魅力を”感動体験”として届ける「Otonami(国内顧客向け)」、「Wabunka(インバウンド顧客向け)」を提供・運営。2025年5月にシリーズBにて11.3億円を調達。Forbes Japan「カルチャープレナー30」選出。2025 ICCカタパルトグランプリ入賞。

本日はよろしくお願いします。

日本の工芸や伝統芸能、職人の支援をさせていただいており、観光のサービスを運営しています。

具体的には、スライドの右側にある、Otonamiというサービスです。

これは国内向けで、日本文化を体験してみたいという会員を10万人超抱えており、ニーズをひしひしと感じています。

もう一つ、Wabunkaというサービスはインバウンド観光客向けです。

年間約1万組の海外からのお客様に対し、全て貸切のプライベートツアーを提供しています。

時には、非公開の寺社仏閣に入れたり、職人と一緒に工芸体験ができたり、刀鍛冶体験ができたりするツアーです。

▶︎持続可能な観光モデルで、日本の伝統文化を未来へ繋ぐ「J-CAT」(ICC KYOTO 2025)

書道家の母が直面した「伝える苦労」

飯倉 簡単に自己紹介をさせていただくと、前職は住友商事という総合商社でコテコテのIT系の仕事をしており、かつシリコンバレー駐在時にはベンチャー投資業務をしていました。

このような仕事をしてきた人間なのに、なぜ今こんな事業をしているかと言うと、書道家である母の存在があります。

私は母子家庭で育ち、母の書道教室の収入だけでご飯を食べさせてもらっていたので、貧乏な家庭でした。

町にある子ども向け書道教室で、生徒は20人くらいでした。

月謝は3,000円くらいなので、単純計算で、収入は月数万円レベルで何とかご飯を食べさせてもらっていたということです。

一方、母が作品作りや書道教室の運営で忙しい傍ら、夜寝ないでホームページを作り、集客を自分で頑張っていたのが、一番苦労していたことです。

こまめにブログなどを書いていたので、SEOが改善され、「埼玉 書道教室」と検索すると上位に来て、どんどん生徒が集まってきました。

結果、今は銀座に書道教室を持っていまして。

松田 文登さん(以下、松田) そこから銀座に(笑)。

飯倉 新宿で書道教室をしたり、海外展覧会をしたり、いつの間にか潤っていまして。

これはひとえに、シンプルにホームページ作りをめちゃくちゃ頑張ったからです。

寝ないで、苦しみながら作っていました。

「これがご飯を食べるためのコツだから、やらないといけない」という言葉を聞いて、当時はそうなのかと思っていましたが、総合商社に入り、海外から日本を見ると、日本文化はすごく評価されていました。

しかし、その担い手自身が、日本文化からは遠いITやデジタル知識にキャッチアップしなくてはならず、それを頑張った人が稼げるようになります。

一方、70、80歳の著名な先生・職人で、技術を持っている先生はそれができず、廃業していく状況です。

その現状を見て、私自身がITやデジタルを得意としているので、日本の文化や魅力をつないでいく人たちがスポットライトを浴びる世界を作りたいと思ったのが創業のきっかけです。

歴史が凝縮している「目の前の一点」に宿る大きな価値

飯倉 頂いたご質問の「日本の工芸・アートの『本当の価値』は何か?」については、数百年、数千年の歴史が「今、目の前の一点」に凝縮されているという物語だと思っています。

誰が、どんな思いで作っているか、その制作過程にどれだけ特別な時間が流れているか、手に入れたことで自分の人生にどんな彩りが加わるか、そういった見えない価値があります。

だからこそ、外国の方もお金を払ってくれるのではないかと思います。

我々は、日本の各地域にある工芸やアートの魅力を発見し、観光ツアーや体験ツアーを企画しています。

例えば、山梨で花火職人と一緒に打ち上げ花火を作る制作体験があります。

Enter the World of Traditional Wabi Fireworks in a Crafting and Launching Experience(Wabunka) 

花火職人と一緒に花火作りをして一緒に打ち上げる、そのひと時を楽しむ体験です。

また、瀬戸内のアートツアーでは、学芸員に非公開アートを見せてもらったり、解説付きで回った美術館に泊まったりするもので、50万円を超えているプランがすごく売れるようになりました。

日本文化についても、岐阜の刀鍛冶体験は半年間で1,000万円超の売上で、刀鍛冶職人の新しい収益源になっていますし、流鏑馬体験にも毎月安定して申し込みがあります。

Craft a Handmade Small Katana of Traditional Tamahagane Steel at Hirata Bladesmiths in the Tokyo Outskirts(Wabunka) 

Experience the Samurai Spirit through Ogasawara-style Archery – Including a Private Prayer Tour at Nikko Toshogu Shrine(Wabunka) 

私自身、起業前はこんなに売れると思っていませんでしたが、実際にやってみて、すごく勢いを感じています。

言葉にならない職人の思いを言語化する通訳ガイド

各務 Otonamiさんと類似したビジネスモデルの構想やトライアルは過去に数多見てきました。

松田 山ほどありましたよね。

各務 その多くが定着しない中で、Otonamiさんは、京都でもめちゃくちゃ魅力的なパートナーたちと素晴らしい商品を作られています。

それを実現できている秘訣がもしあるのでしたら、ぜひお聞かせ下さい。

また商品のラインナップが素晴らしいですが、売れ筋はあるのでしょうか?

飯倉 今日はせっかくなので、包み隠さずお伝えしようと思っています。

まず、オペレーションエクセレンスが我々の一番の強みで、年間1万組以上のお客様へ通訳ガイドをアテンドした体験・ツアーを提供しています。

全国200~300人のガイドがパートナーにおり、面談や教育なども自社で全て行っています。

その何倍以上もの通訳ガイドの応募がありますが、アッパー層顧客向けに価値を届けられるかどうかを見極めています。

満足度が高いのも、半分以上が通訳ガイドの力です。

ぶっきらぼうな職人の魅力もきちんと引き出して、そのまま英語に翻訳するのではなく、多くは語らない彼らの実際の思いを伝えられるガイドたちなので、高い満足度と信頼につながっていますね。

各務 素材がどんなに良くても、伝え方によって一気に価値が変わってしまうということですね。

その逆に素材が一般的でも通訳者が上手であれば、それだけで満足度が上がることもあり得るということですね。

透明性の高いプラットフォームが生む参画者の増加

飯倉 そうですね、まさにその通りです。

でも我々の、従来のプラットフォームや他社と違う点は、過大に見せることはしないところです。

少し話が脱線してしまいますが、僕らのサービスを見ていただくと分かりますが、かなりオープンで透明性が高く、全ての事業者の名前や顔を出しています。

従来の旅行会社はブローカーのような位置付けで、非公開性というか、「私だからアクセスできる、予約できる」という点をビジネスとして海外に高く売る、消費型で、一回で刈り取るモデルでした。

僕らの場合、透明性を高くすることで、本当に良い事業者の想いを発信することで、評価いただいています。

それが口コミで事業者に広がり、参画いただいています。

今、目の前に座っていただいている岡住(修兵)さんも、わざわざ男鹿から東京の僕らの店舗(EnCounter by Otonami)に来てくれました。

「稲とアガベ」男鹿発クラフトサケと発酵料理のペアリング −日本橋「EnCounter」にて−(Otonami)

その体験と男鹿やCRAFT SAKEの魅力をSNSで投稿してくれることで、いろんな事業者が「このプラットフォームに参画したい」と思っていただけます。

ですので、我々だけの力ではなく、皆さんの想い、日本の工芸、各地域の魅力が結集した元気玉のようなプロダクトだと思っています。

今日、私は答えを持ってきているわけではなく、どちらかと言えば、皆さんで議論をする前にインサイトをお伝えできればと思っています。

(続)

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!