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「今、アグリテックが激アツだ!」【F17-9D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その8)では、農協との向き合い方、既存プレーヤーとの関係構築について議論しました。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 9D
今、アグリテックが激アツだ!
(スピーカー)
岩佐 大輝
株式会社GRA
代表取締役CEO
小林 晋也
株式会社ファームノート
代表取締役
前田 一成
アグリホールディングス株式会社
代表取締役社長
安田 瑞希
株式会社ファームシップ
代表取締役
(モデレーター & スピーカー)
高島 宏平
オイシックス株式会社
代表取締役社長
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【前の記事】
【本編】
高島 次の質問です。
先程の話題にもなりましたが、既得権益との戦いなのか、協調なのか、あるいはどうやって商流を作っていくのか、あるいはどうやって地域に入り込んでいくのか?
いかにビジネスモデルがあり、いかにテクノロジーがあっても、このことを越えなければならないので、どのように考えているのか?お話いただきたいと思います。
先程 小林さんが話し始めた所でしたので、小林さんからお願いします。
既存の組織やコミュニティとどう向き合うか?
小林 はい。
僕は、農業には2面あると思っています。
1つは経済性、もう1つは地域性、つまりコミュニティです。
地方に人が居ついてもらうために農業が存在していると先程言いましたが、それは両立することが厳しいと思います。
経済合理性を求める所は、大規模化がどんどん進んでいくと思います。
一方小さい農家まで生産性を高める必要があるのか?
ここには安全保障的な意味合いがあるように思います。
その地域にきちんと人がいて、地域の環境保全といった意味で農業が存在していると考えると、僕は農協が存在し、強くなった方がいいと思います。
先程 高島さんがおっしゃったインドの流通事例のようなものは、経済合理性の方で、どんどん進んでいけばいいと思います。
農協は仕組みとしては良いけれど、やり方の問題はあると思うので、その辺は我々のようなテクノロジーを作ることができる会社と農協が組むということが一つの形としてあるのかなと思います。
高島 農業は産業の視点と、安全保障の視点と、国土保全というか地域保全みたいな観点とが常に混ざって議論がされることが多いと思います。
小林 多いですね。
高島 自給率を上げようというのは安全保障の指標だけれど、産業の指標ではないよねと。
今小林さんがおっしゃったのは、それらを分けたうえで、どの観点からも農協が強くなっていくことが良さそうだということですか?
小林 経済合理性を求めていくと、産業としての形は考え方を変えなければならない部分が大きくあると思います。
僕達の考え方はとてもシンプルで、そういった経済性を求める農家には直接我々がテクノロジーを提供しますし、そうではない小さな農家さんには農協を通じて提供するという考え方です。
高島 なるほど、使い分けるということですね。
小林 そうですね。農協さんの組合員は、地域の小さな農家さんが非常に多いので。
高島 ちなみに小林さんはTPPに賛成反対どちらでしたか?
小林 僕は賛成でした。
経済性が今後求められていくと思うので、大規模農家がもっと頑張らなければならない環境になるのかなと考えていました。
勝手な推測ですが、小さな農家さんは先程の地域性から考えれば何かしらの形で支援をしなければならないと思うので、強くなるけれど地域にも人が居つくという良いきっかけになるのではないかと考えていました。
もしかすると、ドライに小さな農家さんが皆なくなってしまう可能性もあったかもしれませんが、国はきっとそれはしないだろうという勝手な推測がありました。
農協にも地域で大きな違いが出る
高島 なるほど。他の方は地域や既得権益との戦いはどうでしょう?
岩佐さんはどうですか?
岩佐 農協といってもその地域ごとに単位農協というものがあり、各々経営が違うので一概に農協がどうだとは言えないのですが。
例えば我々の農業でいうと、弊社が参入した時、商品を取り扱ってもらえなかったという、割と旧来型の農協でした。
何が大事かというと、その農協がブランディングを行い高く売るだとか、商流に入ることで、きちんと介在価値を持っているのであれば、農協は非常にありがたい存在で、小さな農家さんにとって絶対必要なものだと私は思っています。
したがって、一概にいる、いらないというよりも、農業形態の規模によって必要か必要ではないのかとなっていくと思います。
岩佐 地域との結びつきを考えると、農業というものは、やはり土地を借りてするものですので、ITの会社と違って、なかなかすぐに移転することはできません。
土地と一体となって育っていくという考え方が絶対必要だと思っています。
私の場合は、NPOを作り、例えばゲストハウスを作るといった地域活性化の活動を行い、地域が豊かになるような活動も同時に行うことで一体化しようとしています。
高島 小林さんと近い考え方でしょうか。
共存する所はして、独立している所は独自ですると。
何か嫌がらせはありましたか?
(会場笑)
岩佐 嫌がらせ…(苦笑)、お話しとして、例えば、我々がブランド開発をしたブランドを「他の農家さんのイチゴにも使って良いですよ」という話を持っていった所、彼らからは「地域にブランドは一つで良い」と突っぱねられました。
高島 なるほど。ありがとうございます。
他の方はどうですか?安田さんは嫌われていたりしませんか?
基本的にコンペティター(競合)ですよね?
接点がなかった植物工場に農協が興味を持つ
安田 ファームシップは、植物工場をやりつつ、市場外流通という、農協を使わない新しい流通方法を採用しているので、良くそのような質問を受けます。
植物工場は、既存の農業業界からすると明後日の業種といった感じで見られているので、特に接点がないんです。
要は、私達は野菜を売る時も物量があるので、小売さんと直接話をして、便もチャーターし組みきってしまうというやり方をしています。
つまり、小規模の農家さんが、単体では力がないので農協の組合という形式をとったという文脈が私達には必要ありません。
大変ですけれど、自分達でやりきるという方法を選んでいます。
一方で面白いのは、農協さんとしては植物工場をどう思うかというと、単位農協さんレベルでは、植物工場をやってみたいという話があり、弊社に相談に来ていたりします。
農協さんとしても、「変わらなければ」と思っている農協さんは新しいテクノロジーを知りたいと考えていますし、どの様に取り込んでいけばいいのかということを色々模索しているなと感じます。
高島 なるほど。ありがとうございます。
(続)
続きは 世界で売れるか?日本の農業ベンチャー経営者がグローバル展開を徹底議論 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鎌田 さくら
【編集部コメント】
農業を議論する際に、「産業の視点」と「安全保障の視点」と「国土保全の視点」があるのですね。とても有効なフレームワークで勉強になりました。(横井)
他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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