【安宅×佐渡島】物語は波でできている – データ×編集のフロンティア【F17-5E #6】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

【安宅×佐渡島】物語は波でできている – データ×編集のフロンティア【F17-5E #6】

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「今、AIと漫画が熱い」【F17-5E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その6)は、人がモノやサービスを買うことにいかに納得するか、というビジネスの基本原則を議論しました。さらに、テクノロジーを活用した人間の感情分析について話が及びました。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2017年2月21〜23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 5E
安宅 x 佐渡島 特別対談!
「今、AIと漫画が熱い」

(スピーカー)

安宅 和人
ヤフー株式会社
チーフストラテジーオフィサー

佐渡島 庸平
株式会社コルク
代表取締役社長

(ナビゲーター)

井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
プリンシパル

「今、AIと漫画が熱い」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】ヤフー安宅×コルク佐渡島、特別対談「AIと漫画の交差点」【F17-5E #1】

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【安宅×佐渡島】もうモノづくりだけでは富は生まれない(ヤフー安宅)【F17-5E #5】

本編

佐渡島 原始的なお話として、人がどういう時に支払いに納得するのかということは、データをご覧になっていて感じられたことはありますか?

今までは、質と値段で満足するかどうかというところで、クオリティーにお金が払われるということが非常によく起きていたと思うのですが。

期待値を越えていれば支払いに納得する

安宅 確かにそうなのですけれども、僕は元々マーケターなので、いつも思うのは、基本的に期待値を超えていると人はお金を払うのだと思います。

佐渡島 なるほど。

安宅 ただ一回買って頂く、いわゆる売り逃げとかでなければ、そこに尽きるかなと。

売り手としては、カスタマーエクスペクテーション(顧客の期待値)をコントロールする必要があって、過度に期待値が上がっていない状態で良いものを出すと、非常に喜んで頂けます。

佐渡島 物語も波なんですよ。

読んでいる人の感情の波をどうコントロールするかが物語の肝です。最初から悲しい出来事が起きることがわかっている物語の中に泣きボタンを用意されても、あからさまにボタンを押されたなと思って感動できない。

泣きボタンを作らずに、波を作り出すことで感動させる。物語の中では期待値を下げるということも重要です。

安宅 ああ、すばらしいですね。

佐渡島 例えば、この2人は絶対くっつかないだろうな、と予想できる物語があるとします。読者には、その予想の中でも、この2人がくっついてくれないだろうかという思いを持ってもらうんです。

でも、ストーリーが進んでいくと、やはりこれは絶対うまくいかないんだ、もう無理なんだ、このまま終わってしまうんだ、と思って諦めざるを得ない時が訪れる。でもその次の瞬間、全てのことが繋がってうまくいく、となったとすると「おーーーっ!!!」となる訳ですよ。

安宅 それはまさに同じ話ですね!

期待スイッチを押す物語の構造とは

佐渡島 どういう風にしてまず期待をさせるか、つまり「期待スイッチ」を押す物語の構造とは何だろうということになるのと、難しくてなかなか再現できない。

安宅 なるほど。

佐渡島 キャラクターに感情移入をさせることが簡単にはできないんです。

だから物語に入り込めなくて、作家の作為を感じるという感想を言われてしまうんですよ。

読者にとってどうでもいいことをごちゃごちゃと描写している時点では期待スイッチが押せていない。

期待スイッチが押された後は、期待を一回上手く下げたりしてコントロールしていくということなんですけど、最も難しいことが、この期待スイッチをはじめに押すということです。

僕は、物語の期待スイッチが押される瞬間が一体いつなのかということをすごく知りたくて、実際の購買行動など色々なデータを詳しくみたいと思っているんです。

例えば僕が安宅さんのような人と話していて、この瞬間に期待スイッチが押されていたというのがもしも分かってくるのだったら、それを物語に転用するとこういうことかなと作家に話してみたりしたいと思い、興味を持って、質問させてもらったのです。

安宅 ビッグデータ問題とはちょっと違い、どちらかというとサイエンティストとしての専門である脳神経科学の話なのですけれども、理解という現象があるじゃないですか。

結局何だろうということを突き詰めると、僕らは2つ以上の異質な情報がシンクした時に、理解したと感じるんですよね。この(2つ以上の異質な情報の)意味が繋がったと考えて。

これが、実際にはその「ボタン」に近いところですね。

偶然でいいから、情報がアソシエイト(連関)すればいいんですよ。

理由はよく分からないけれども、よく小説にありそうな話ですが、朝、通勤の途中で素敵な女の子とぶつかることが3回くらいあると、さすがに普通じゃない何かを感じるじゃないですか。笑

普通ではそんなことはあり得ないのだけど、と。

そのようなことです。

そのアソシエイトした瞬間というのを、とにかく何回か作り出すということが、基本的には全てだと思うんですね。

それをなかばでっち上げてでも作れば(笑)、勝手にそういう意味、期待に繋がるのかなと思います。

漫画をどんな気持ちで読んでいるかは解析可能

佐渡島 人が何かを好きになる瞬間がいつなのかということと、人が何かを記憶する瞬間がいつなのかということ。

人の記憶に残る行為というのは何なのかということに興味があります。

そのキャラクターを、ワンエピソードではなくて、1コマ2コマで、ポンとこういう人だと記憶に残したいんですよ。

安宅 分かります、分かります。

佐渡島 それが、エピソードまでいかなくても、短いコマでできればできるほど、物語が濃くできるのです。

そういう風なことを、現実を解析している人と議論していくと、物語が深まるのではないかなとすごく思っています。

安宅 そう思いますね。

ヒントになるかどうか分からないですけれども、そもそもそこに何かがあると認知することが我々の神経系で起きる時には、連続性のある状態では発見できないんですね。僕らの脳というのは。

ほんのちょっと「段」が必要なんですよ。

これは視覚実験なんかをやると明らかなのですが、斜面がなだらかに上がっていても、ほんの少しでも段差があると、突然ここに線が見えるんですよ。

だから、なだらかではない変化、つまり、異質な断層があるかどうかが実はすごく重大です。

佐渡島 そういうものを、例えば読んでいる人の読み方の速度や目の動き方が分かっていて、この瞬間に好きになっているよと教えてもらって、そのシーンが沢山あるマンガを読んで、再現性を見つけたいなと思います。

安宅 それは、現実に可能になりつつあります。

ちょっと前まで詐欺っぽかったニューロマーケティングで、今は、EEG(Electroencephalograph=脳波計)で脳波を見て、そのパターンを機械学習にかけておくと、その人がどういう感情なのか大体分かってしまうのです。

8、9割分かってしまいます。

EEGを測りっぱなしにして読ませると、どの瞬間でどんな反応が起きているか、実はリアルタイムで手に取るように分かるはずです。

そして、同時にEye tracking(視線計測)を行う装置にかけておくと、何を見ているかが全て分かりますね。

だから、恐らく漫画は解析可能です。

佐渡島 いいですね。それをやってみたいなと思います。

(続)

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続きは 【安宅×佐渡島】コルク佐渡島氏が挑む”感動のサイエンス” をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/Froese 祥子

【編集部コメント】

佐渡島さんが漫画を分析するときに必ずと行っていいほど、出て来る「スイッチ」という言葉が印象的です。「君の名は。」の新海監督もカスタマージャーニーマップのようなものを作成していましたが、優れたコンテンツの作り手の科学は案外、我々が普段クリエイティブと聞いて考えるイメージのものとは対極にあるような気さえしていきますね(榎戸)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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