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【終】共に産業エコシステムづくりを盛り上げよう!【K17-5E #7】

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「産業を創るためのエコシステム作りを徹底議論」【K17-5E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その7)では、産業エコシステムに参加する人数をどう増やせばいいのか議論しました。サムライインキュベート榊原さんとリバネス丸さんがお互いの理解を深め「一緒に盛り上げていきたい」と最後に語り、胸が熱くなるセッションとなりました。是非御覧ください。

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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


2017年9月5日・6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 5E
産業を創るためのエコシステム作りを徹底議論

(スピーカー)
石田 真康
A.T. カーニー株式会社 プリンシパル / 一般社団法人SPACETIDE代表理事

各務 亮
株式会社 電通
プロデューサー

榊原 健太郎
株式会社サムライインキュベート
代表取締役

丸 幸弘
株式会社 リバネス
代表取締役CEO

(モデレーター)
西村 勇哉
NPO法人ミラツク
代表理事

「産業を創るためのエコシステム作りを徹底議論」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】産業を創るためのエコシステム作りを徹底議論【K17-5E #1】

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産業エコシステムづくりを継続するための大切なモチベーションとは?【K17-5E #6】

本編

西村 あと15分くらいなので会場から質問を頂きましょう。

前田 アグリホールディングスの前田と申します。


前田 一成
アグリホールディングス株式会社
代表取締役社長

一橋大学商学部卒、2006年からベンチャー企業への投資、事業構築等を始め、現在はアジアで成長する十数社の企業の株主・役員を務める。2013年まで日系IT企業の中国代表、電通関連会社の共同代表を務めた。退任後、農業と食の事業を開始し、2014年7月アグリホールディングスを創業。現在、生産法人でありエンジニアによる農業を推進する日本アグリファーム、農水省系ファンドの出資企業で米の市場開拓をするライスフロンティア、シンガポールおよびニューヨークで展開し世界一を目指すおにぎり屋SAMURICE(さむらいす)、シンガポールの日本食材の物流プラットフォームのLOGICO、日本酒業界をリノベートするミライシュハンなどを抱えるグループを経営する。

前田 いま伝統工芸のお話などを頂きましたが、農業の世界にいる自分も最近、「(農業は)伝統工芸のようになってしまう」と言っています。

これは何かというと、つくる人が減るから販売できる量が限られていて一部の高い人にしか売れません。

高く売ることは別に良いのですが、人が減っていて作れる人が少ないから高くしか売れないという状況だといつかは終わる仕組みということです。

農業も今そうなってきていて、こだわりの果樹を作っているという人もどんどん生産者の数が減っているので、デパートの高級品のところには並ぶけれども、輸出には回せないということが結構あります。

このような斜陽で人が減っていく産業に関して、伝統工芸は1つのメタファーというか分かりやすい形で出てきています。

今、物づくりも農業も同じような形になってきているので皆で「こういう構造はまずい」という声を上げる必要があります。

これは簡単に1つの絵にできます。

西村 できればその後に復活のストーリーもあると良いですね。

前田 「イノベーションのジレンマ」と言えば皆さんこのような絵だと分かります。あのような感じで、皆でモデルを創り、このような絵だとまずいという、産業の終わりはこういう絵だというのを出せば、皆それを解決しなければとピンときてスイッチが入ると思います。

そのようなものを植え付けていけると皆で解決しようと議論が始まると思います。

「伝統産業だから残さないと」ではない

各務 良いと思います。伝統産業を残したいと思うときはそういうことが必要だと思います。

しかし僕は伝統工芸のことは、「伝統工芸だから残さなければいけない」とは思っていなくて単純に美しいからとか、欲しいから、格好良いからと思っているからです。

各務 伝統工芸という昔ながらの姿が残らなくても、美しさとか職人さんの技術が残れば、その残り方はどうあっても良いかなというのが個人的な気持ちとしてはあります。

例えば、西陣織の技術が宇宙産業の中で生かされるとか、バイオの中で生かされるとか、職人さんの失って欲しくない暗黙知みないなものがきちんと残り、その結果世の中が美しいとか楽しい生活が送れるというようなことになれば良いのではないかと思います。

僕自身は、お能を演者としてもお稽古しており、今あるままのものもとても好きなのですが、ノスタルジー的にそれを古典のままで残すことは、少なくとも僕が役立てるミッションではないのかなと思っています。

西村 もう1人くらい質問如何ですか?

田川 ありがとうございます。Takramの田川です。


田川 欣哉
Takram
代表取締役

ハードウェア、ソフトウェアからインタラクティブアートまで、幅広い分野に精通するデザインエンジニア。主なプロジェクトに、日本政府のビッグデータビジュアライゼーションシステム「RESAS -地域経済分析システム-」のプロトタイピング、NHK Eテレ「ミミクリーズ」のアートディレクションなどがある。日本語入力機器「tagtype」はニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションに選定されている。グッドデザイン金賞、iF Design Award、Red Dot Design Awardなど受賞多数。未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータ認定。東京大学機械情報工学科卒業。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修了。LEADING EDGE DESIGNを経てTakramを共同設立。内閣府クールジャパン戦略推進会議委員。2015年より英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートにて客員教授を兼務。

田川 非常に面白かったです。いくつか質問と提案があります。

今日は4名いらっしゃってそれぞれがそれぞれのエコシステムを持ってらっしゃいます。

マスのトレンドで言うと、残業規制が入り始めたりするのと同時に、総労働人口は減るトレンドにあり日本のアジェンダとしてはどうやって総労働人口を増やしますかという話があります。

それに対し僕は国でみなし労働人口を持つのが良いと思いました。今は1人を1人とカウントしていますが、もし1人を2人とカウントできるのであればこの合算値は増えていきます。

それで問題がありませんとなった時に、皆の残業がなくなったりプレミアムフライデーとかになると余暇が増えて勉強だとか趣味だと言いますが、人生を価値のあるものにするのにプロボノ(ボランティア)のような活動は有効だと思います。

なぜかというと、個人と企業の間の紐づきが薄れていくから、家族経営とか一体感とかリワードのやりとりは減っていくので、自分が就職している企業からワクワクやどきどき、ありがとうという気持ちがなくなっていくはずです。

そういった時に二枚目の名刺とか、みなしとして片足をつっこんでいることをどうやって社会のアジェンダにできるかということです。

エコシステムに参加する人を増やす取り組みは?

田川 エコシステムに参加する層、つまり細胞の数を増やす、動物の数を増やすことを考え、エコシステム・オブ・エコシステムではありませんが、例えば皆さんが持っている人員を大きなくくりでシェアします。

田川 カンファレンスとはとても良い仕組みで、出会い、つまり交配があると何かが起きるというようなこともあります。

皆さんのようなインキュベーターの方とかエコシステムの山神様たちが全員で東京ドームを借りても良いです。

また例えば、大田区下丸子のメーカーの時間があるようなエンジニアがたくさんいるあたりにポスターを貼ったり、皆さんを巻き込むような大きな取り組みにしてやれば大きな流れとしてできるのではないかと思います。

今回せっかく4名が集まっていますし、ICCにもそのような方たちがたくさんいます。そこでマッチングみたいなものをやれば良いと思います。

今日の朝のカタパルトもそうでしたが、人不足みたいなものもあるのでそこで人材紹介みたいなものもサービス化してカンファレンスもメディアもあるようなものにするとお金も回せるかもしれないと思っています。

それを個々のものではなく、大きいものにすればよいのではないかと思ったのですが、その辺りについてはどう思われますか。

榊原 それは凄く感じます。実は先日、日本郵便さんと記者会見をしました。反響は大きくて、日頃お付き合いをしている方々はもちろん、身内から電話が来たり、スタートアップ業界とは関係ないかなと思う人からも「日本郵便とコラボしたかった」とお話もいただきました。

場所を設けて前に出たことで反応が凄かったことを体感しました。だから今のお話はまさにそうだと思います。

郵便局はエコシステムを創り上げ、全国に約2万4000店舗あり、従業員は約20万人います。

その人たちと結びつけて実現したいものが皆さん色々あるのですね。

西村 せっかくなので、今後前に進んでいくためにこんなことをやってみたいとかやろうとしている、分からないけれどもこういうことを一緒に考えてみようということについて一言頂いて締めたいと思います。石田さんから順番にお願いします。

宇宙をロマンだけでなくビジネスの対象に

石田 たくさんあるのですが、宇宙というキーワードはビジネスとあまり紐づいてきませんでした。

宇宙は日本の多くの人にとって夢やロマンであったり稀有なイベントだったと思います。

これには長い歴史があって、宇宙とビジネスがかなり遠いままきていた中で、やっとこの3から5年で宇宙がビジネスになるかもしれないと様々な個人や企業が気づくようになってきました。

石田 しかしICC等で見ていただければ分かるようにまだとてもマイナーな産業です。

このイメージをもう一段上に引き上げていきたいです。

国と産業と社会という段階があった時に、広く社会のところにどうやって届けるかですが、ロマンとかイベントだけではなくてビジネスとして色々な人が宇宙に関われるのだということを皆に分かってもらいたいと思います。

全面に出すことによって「あの人ができれば僕もできる」と思ってもらうのが次の大きなチャレンジです。

そこまで行って初めて産業として還元がされるのではないかと思います。だからそのような挑戦がしたいと思っています。

ぜひ一緒に伝統産業を盛り上げよう

各務 1つはお知らせで、もう1つは是非ご一緒できたら良いなと思うことです。

各務 皆さん京都にいらしていますが、9月8日に僕がプロデュースしている夕暮能が開催されます。

伏見稲荷大社で夕闇に溶ける“幽玄”を味わう「夕暮能」

お能とは江戸時代は寺社仏閣等、屋外で観られているものでした。一方、今は能楽堂という屋内で観るものになってしまっています。

それを京都で有名な伏見台稲荷大社で観てもらうという能の古くて新しい観劇スタイルを取り戻すということをやります。

誰でもご覧頂けますので是非いらしてください。9月8日(金)5時からです。金剛流の27世の金剛龍謹さんという方が中心となり、僕がプロデュースしてやらせて頂きます。是非よろしければ遊びに来てください。

(ICCパートナーズ 小林撮影)

また11月25日/26日に太秦江戸酒場というイベントをやります。太秦に映画村があるのですが、5時に閉館する映画村を活用するというプロジェクトことを定期的にプロデュースさせて頂いています。

映画村のセットの中に色々なアーティストやクリエイター、伝統工芸の職人や料理人等僕の友人250人くらいに入って頂いて、そこを文化エンタメパークにするということをやっています。

ここには京都の方だけではなくできれば真逆の方に、サイエンスやテクノロジーや宇宙関連の方に入って頂きたいです。

お客さんに江戸時代に旅して遊んでもらうことをルール設定としていますが、そのセットの中に入っているエンタメが例えば宇宙関連であっても良いなと思います。

今年の11月25日、26日に僕がプロデュースでやりますので、ご興味を持った方とご一緒できたら嬉しいです。宜しくお願いします。

なぜ「サムライ」を社名に付けたのか

榊原 先程の話に繋がりますが、僕はサムライインキュベートを創るにあたり、サムライという言葉を選んだのは日本人が唯一まとまる言葉だと思っているからです。

海外では皆旗をふっていますが、残念ながら国旗にはネガティブイメージを持つ方もいるのでうまくまとまりません。

日本ではサムライジャパンとかサムライブルーというと皆がまとまりますよね。

あれはスポーツ業界ですが、こうして横のつながりもまとめたいと思いサムライという名前をつけました。

ビジネスマンもスポーツマンのように、またスポーツ選手以外の方も戦っていると思うのでそういう意味でサムライという言葉をつけています。

榊原 この名前をつけて良かったと思ったのはイスラエルに行ってからです。

サムライというと日本の会社と分かります。イスラエルは0から1を創るのは得意ですが、技術立国ではあっても戦争の国というイメージを持たれています。

日本は昔色々なことがあった国だと思うのですが、今は0から1を創ったものを100や1000にしてGDP3位で平和な国にしたというノウハウがあります。

まさに産業を創るためのエコシステムというところでいうと、戦争や原爆を経てここまでのエコシステムを創ったのは日本だけなのではないかと思います。

なので海外から日本は凄く見えます。そのエコシステムを戦後約70年でどのように創ったのかをもう一度考えて、そのノウハウを世界中に持っていけるような侍たちでいてほしいと思っています。

そういうことで丸さん、将来一緒に銅像を立てましょう。

丸「榊原さんとCo-Creationしたい」

 ありがとうございます。今日はとても勉強になりました。そして、4つの銅像が立つことも決まりました。

丸 榊原さんは、テレビや雑誌で見たりベンチャー企業を通じてお互いに知っていましたが、初めてこんなに話しました。今日話して理念が凄いと思いました。

僕たちはどちらかというと東南アジアを対象としています。僕はシンガポールに4年間住んでいました。今は、シンガポールとマレーシアに子会社を置き、東南アジアでエコシステムを創っています。

東南アジア関係とイスラエル関係は中々うまく合わないところなので、別々にやっていることに意味があります。でも、一緒にやればこの2つが日本の1つのエコシステムになる。そうすれば、確かに全部網羅できるな、といま直感的に思いました。

冗談抜きに色々できれば良いなと思っています。

Co-Creationの場なのでここから始まる何かを創れれば良いと思います。

僕らもこの場を1つのエコシステムだと思っているので、ここで何か始まった事例の1つとしてまたやらせてください。ありがとうございました。

西村 ありがとうございました。個人的に非常に面白くてメモを取りたくて仕方がありませんでしたので早く書きおこして欲しいです。

エコシステムとは簡単に使ってしまいそうでありながら理解しにくい言葉です。それを噛み砕けたのは本当に良かったと思います。

そして2個なのか4個なのかは分かりませんが、将来銅像が立つようになれば良いと思います。今日のセッションはここまでにしたいと思います。ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸

【編集部コメント】

日本人が起業精神を再び持って産業エコシステムを創れるのか?自分自身も様々な産業のエコシステムについて詳しくなりたくなる内容でした。色んなカンファレンスに参加してみたいです。(横井)

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