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「モバイル動画メディアの今後を徹底議論」【K17-5B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その2)は、各社による動画コンテンツの内製について議論しました。是非御覧ください。
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2017年9月5日・6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 5B
モバイル動画メディアの今後を徹底議論
(スピーカー)
明石 ガクト
ワンメディア株式会社
代表取締役
荒波 修
株式会社GYAO
代表取締役社長
小池 政秀
株式会社サイバーエージェント
常務取締役
高松 雄康
株式会社オープンエイト
代表取締役兼CEO
(モデレーター)
坂本 達夫
AppLovin
Director, Business Development
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最初の記事
【新】モバイル動画メディアの今後を徹底議論!【K17-5B #1】
本編
坂本 動画ビジネスを行う時に何が必要かと考えた時にそもそも見る動画自体がないと始まりません。
そのため皆さんは動画を作るなり、どこからか調達(仕入れ)するなりされていると思います。
モバイルならではのところで言うと、ユーザーが求めている、”ウケ”が良い動画は時を経ることにより段々変化していると思います。
明石さん、高松さん、小池さんのところは非常に多くの動画を作ってらっしゃいますが、どうやってそれだけの数を担保されてらっしゃいますか。
ある程度フォーマットを作っているとか、実際の作り方についてあまりイメージがつかないので、ぜひお話いただきたいのですが。
大量の動画コンテンツをどのように制作しているか
明石 先ほどの自己紹介で会社概要を全く言わなかったので、今この質問に答えながら説明していこうと思います。
僕たちの会社は2014年に創業し、当時はSpotwright(スポットライト)という名前でした。
当時はFacebookもインスタグラムも動画の対応をしていなくて、動画を上げる場所といえばYouTubeしかない、という時代でした。
今ではFacebookやインスタグラムが動画の一等地というような状況だとみなさん認識してらっしゃると思います。、設立から4年の間での環境変化がとても大きいと感じています。
2014年当時、僕らは、主にドキュメンタリーを作っていました。きちんとカメラで取材対象を撮影し、編集を行った12分ほどの作品です。
当時は今よりも少ない5、6人のチームで、作品は月2本くらいしか作れませんでした。その人数で月2本のちゃんとしたドキュメンタリーを作るということも今思うとすごいことなので、自分を褒めてあげたいですね(笑)。
しかし、そうやって苦労してつくったドキュメンタリーは全く再生されませんでした。
ユーチューバーが強いエコシステムを持つ、Youtubeの中では月2本くらいの本数では全然勝てません。
そういう状況の中でFacebookが動画に対応し始めて、自動再生という環境の中で何ができるかと考えた時に、僕たちはインフォグラフィックス(※)を使ってニュースを作れば良いのでは?と考えました。
▶︎編集注:インフォグラフィックス…複雑な情報やデータ、知識を視覚的に表現したもの。
そのとき参考にしていたのは、欧米ではNowThisのような短尺の新しいタイプのニュース動画が出始めている時期で、これであれば撮影に行かなくても、ライツをクリアしている報道の写真等色々なものを集めて、自分たちでグラフィックを作れば、極端な話、Macの中だけで映像が作れると気づきました。
そこから少ない人数でも毎月30本や50本という本数を出せるようになってきていて、今では月に100本くらいの動画コンテンツを作れるようになりました。
そのほとんどは基本的に撮影をしておらず、撮影したとしてもiPhoneで撮るようなものが多いです。
このやり方は、従来の映像の会社から見るとかなり異質な作り方をしていると思います。たった四年の間ですが、そのように環境の変化に合わせて作り方を変えてきました。
坂本 明石さんは100本というお話ですが、その10倍作っている高松さんのところはどうやってらっしゃるのでしょうか。
体制作りによって大量生産が可能になった
高松 月千本作っていますが、体制づくりが非常に重要でした。
映像を編集するチームの強化ということで、今ちょうど10人を超えたのですが、編集チームでは1人100本を担当しています。
そのために何が必要だったかというと、フォーマットの開発です。
また対外的には発表していないのですが、ビデオコンテンツマネージメントシステムというCMSを持っていて映像編集をより簡単にできる仕組みがあります。
最初にそれを開発したというのが大きいです。
坂本 社内ツールということですか。
高松 そうです。対外的にも将来的に出していこうと思っているのですが、仕組みづくりと体制づくりです。
また企画チームは今8人ですが、足りないところは外部のコピーライターや放送作家の方に入ってもらっていますし、契約しているカメラマンは30人を超えました。
全部一次取材です。
何を目指したのかというと、行きたいと思うスポットやレストランは写真とテキストだけでは伝わらないし、行きたいと思って実際に行ってみても現実とのギャップが全然埋まりません。
「行ってみたら汚かった」ということがあったりもします。
それをいかに埋めるかということが起こってきて、体験・体感型の30秒のコンテンツを作るためのフォーマットをひたすら開発しました。そこから一気に大量生産できるようになりました。
しかし、1,000本に達したのは本当に最近です。最初は60本で、去年(2016年)の年末に120本になり、今年の春に200本になり、5月くらいに360本になり、それを780本に増やして、8月に1,000本になりました。
坂本 体制とともに伸ばしていってらっしゃるのですね。
高松さんのところは短尺の動画を作られているのに対して、AbebaTVは長尺というかそもそも生放送ですよね。
小池 去年(2016年)の4月にAbemaTVを立ち上げた時は、生放送で何かきっかけをつかもうということで、月間の番組数は内製で大体50番組くらいやっていました。
例えばそれがニュースであれば週5日間放送していたり、ある番組は週1回だったりします。
ライブ中心にやりながらも、最近はアーカイブものの30分や1時間のドラマも取り入れたりしています。
ライブも、結果的に後で編集してアーカイブに落としたりするのですが、基本的にはライブものを取り扱っています。
最近は作り方を覚えてきたので、ドラマ等を増やしていこうかというタイミングに入ってきたところです。
坂本 良くメディアやIRで、いくらドラマに資金を投下したかかが指標として出ますが、基本的には制作にかかった人件費を中心とした費用がかかっているということですよね。
小池 そうですね。今年IRに出したのは、AbemaTVに対しての200億円の投資でその8割はコンテンツ向けです。
ニュースとオリジナルと調達がその中の同じくらいの比率となっています。
AbemaTVはNetflixのような大作を作らないのか
高松 200億円あってその8割がライブものに使っているとのことでしたが、Netflixとかがやっている映画等の大作を作っていくということは考えているのですか。
小池 SVOD(サブスクリプションビデオオンデマンド=定額制動画配信サービス)のモデルではなく、我々は無料でとにかく毎日来て頂けるようなメディアプラットフォームを作りたいというのがあります。
そうすると1本凄い大作を作って1回だけ来てもらってもモデルが成り立ちません。
そのため、連載ものや、ライブで毎週観にきたいという、昔のテレビのような視聴習慣というのがコンテンツの制作のベースにないとモデルとしてはフィットしません。
坂本 そしてやってらっしゃるモデルはAVOD(Advertising Video On Demand = 広告付き動画配信サービス)ですね。
小池 基本は、AVODです。広告中心で収益を立てて無料で見せます。ですが、実は僕たちはSVOD(Subscription Video on Demand = 定額制動画配信)もやっています。
基本的にはリニアでやりながら、キャッチアップとしての視聴は定額制で一度放送したものを後からでも見られるという形でやっています。
坂本 なるほど。基本的にはリアルタイムで観るものは広告によってユーザーは無料で観られますが、後から見逃し配信をするために課金して観ているということですね。
小池 そうです。リニア中心なのでライブが中心なのですが、SVODを強めようと思ったらアーカイブを作っていかないといけません。アーカイブに適したものを作っていくことも考えています。
コンテンツ調達だけでは差別化できなくなった
坂本 ありがとうございます。先ほど、調達するものと自社制作するものとの金額的バランスの話が出ましたが、GYAOさんは自社制作するものと調達してくるコンテンツはどのくらいのバランスでやってらっしゃるのですか。
荒波 GYAOはこれまではほぼ調達でCP(Contents Provider)さんから調達するということでやってきたのですが、皆さんご存知のように色々なビデオサービスが乱立する中で、調達してくるだけだと差別化を図るのが難しいです。
これまで映画の製作委員会への出資はずっとやっていましたが、もう少し踏み込んで放送局さんやCPさんと共同で制作するというスキームを作って今後オリジナリティを出していかなければいけないと思っています。
本来であれば今日、「こういうものを作ります」という話ができればよかったのですがちょっと間に合いませんでした(笑)
しかし、水面下では色々考えています。
坂本 既にあるコンテンツを家でも観られるというだけでは、要するに色々なプラットフォームがそこを取り合いになってしまうわけですね。そして価格が上がってしまう。
荒波 そうですね。GYAOの場合はAVOD、つまり無料で観られるモデルもあれば、SVODもTVOD(Transactional Video On Demand = 都度課金型動画配信)も、つまり有料課金のモデルもあり、3パターン用意しています。
そのため、無料でプロコンテンツが観られるのは1つ大きなフックにはなると思います。
とはいえ、これだけ色々なサービスがあると、選んでもらうための理由作りは本当に大事だと思います。
坂本 今お話いただいたAbebaTVとGYAOさんはどちらもプラットフォームという形で、自社で作ったコンテンツを外に配信していますが、分散型的なことはやってらっしゃいませんよね。
それは今後もプラットフォームになろうという方針でやってらっしゃるのですか。
プラットフォーマーか、コンテンツメーカーか
小池 そうですね。基本的には自分たちのプラットフォームに来ていただいて観て頂くことが中心ですが、コンテンツメーカーという立場もあります。
例えば、亀田さんの1000万コンテンツ(※)がある場合、あのコンテンツのブランドが高まれば結果的に良いというのもあります。
▶︎編集注:「亀田興毅に勝ったら1000万円」…AbemaTV1周年記念企画として制作された特別番組。一時サーバーが落ちるほどアクセスが集中した。
自分たちが持っている内製ブランドコンテンツはYouTubeも含めて色々なところでどんどん流していきながら、ブランドを高めた結果AbebaTVに来るというのはありかと思っています。
坂本 最終的なゴールはそのようなものを通じてAbemaTVに来てそこで定着するということですね。
小池 自社ブランドコンテンツはそのようにやっていかないと少しきついかと思います。
坂本 GYAOさんも一緒ですか。
荒波 基本的に同じです。
坂本 高松さんのルトロンは分散型もやりつつ、自分たちのメディアも持つというハイブリッドのような形ですか。
高松 そうですね。アプリがもう少しかかるので、相当コンテンツ数を増やして仕組みを作っていかないといけません。
この後話したい内容はやはりマネタイズです。
動画は非常にお金がかかるので、何をもってマネタイズするのかが非常に重要です。そこに向けてやったときに、ONE MEDIAさんのような分散型で本当に食っていけるのかがポイントだと思うのですが(笑)
(続)
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続きは 「AbemaTVはどこまで投資を続けるのか?」動画メディアのマネタイズ戦略 を配信予定です。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸
【編集部コメント】
動画制作にかかる時間的・金銭的コストが相当なものだというのは確かに想像がつきます。そんな中で、各社は質を担保しながら効率的に制作をされているということでしたが、特にルトロンが全て一次取材というのは(動画数がかなりあるのに)すごいなと思いました。(立花)
続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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