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技術愛から生まれた研究開発ベンチャーのための「リアルテックファンド」【F17-6F #2】

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「今、リアルテックが熱い」【F17-6F】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その2)では、リアルテックファンドが既存ファンドと何が異なるのかについて議論しました。研究開発系ベンチャーの起業家とファンドが良好な関係を築くための秘訣とは?是非御覧ください。

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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年2月21〜23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 6F
「今、リアルテックが熱い」

(スピーカー)

千葉 功太郎
投資家・Drone Fund / General Partner

永田 暁彦
株式会社ユーグレナ
取締役 財務・経営戦略担当
リアルテックファンド 代表

丸 幸弘
株式会社 リバネス
代表取締役CEO

(ナビゲーター)

井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
プリンシパル

「今、リアルテックが熱い」の配信済み記事一覧

連載を最初から読みたい方はこちら

最初の記事
【新】「リアルテック」とは何か?-人類の進化に貢献する新技術【F17-6F #1】

本編

永田 リアルテックファンドでは、ユーグレナ社単体ではなく、皆からお金を集めてファンドをやろうということで、CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル=戦略投資)ではなくて、独立したVCファンドを創ろうということで運営しています。

また、ユーグレナがリアルテックファンド運営に参画しているので、バイオ分野への投資であるとか、生命科学領域を対象とすると思われがちですが、それは全く違います。

テクノロジーを見るにあたって、縦切り(分野特化)はしません。

例を挙げると、沖縄科学技術大学院大学(OIST)という技術系の大学には学部がないんですよね。今の時代、例えばインターネットというのは共通インフラになっています。

そのため、テクノロジーをわざわざ縦切りにする必要はなく、全ての領域のテクノロジーが投資対象になります。

それによって、自分の目線に入っていなかったところから現れてくるテクノロジーが組み合わさってイノベーションが起こるのではないかというのが、我々の一つの定義です。

出資者、LPは全て事業会社

永田 もう1点、出資者、LPは全て事業会社に入ってもらっています。

井上 金融機関からの出資ではなく。

永田 そうです。

ユーグレナが、ここまで成長することができた最大の理由の一つが、大企業連携でした。

全日空(ANA)であるとか、日立、JXエネルギーなどと資本提携をして、研究開発を進めることができたからここまで来られました。

これはリアルテック系の一つの特徴だと思います。

ですので、出資してもらう時も、「お金をください」というスタンスではなくて、連携ないしは提携して、やる気があるんだったら入ってくださいということでお願いして回り、75億円を集めました。(2017年4月に2号ファンドをクローズし総額94億円に)

そのようにしてスタートしたのが、リアルテックファンドです。

リバネスはユーグレナを創業当時から支援してくれている会社です。

ユーグレナの持っていた、異常なほどの熱量

 リバネスがユーグレナと一緒に走ってきたのは、ユーグレナの立ち上げ前、鈴木取締役(研究開発担当)と出雲社長と東京大学で「ああでもないこうでもない」という話をしていた頃からです。

楽しいですよ、部屋の中では成功している絵が見えているんです。

ところが外に出ると「バカじゃない?」と言われる。何というか……落差ですね、あれは非常にいい体験でした。

部屋の中では完全に勘違いが起こっていて、10年後に飛んでいる絵しか見えていない。

それなのに一歩外に出てその話をすると、「頭は大丈夫?」というような反応を受ける。

この熱の落差ですね、私がいつも言うところの勘所というか、そのような落差を持っているチームは強いなと思いました。

リバネス 代表取締役CEO 丸 幸弘氏

 リバネスを創業したのは2002年です。ユーグレナの創業は3年後の2005年ですが、リバネスの創業時にもそのような熱があったんです。

それで、支援という形ではなく、自分もきちんとコミットした状態で一緒に走ろうと決意しました。つまり、ユーグレナのチームにも同じような「匂い」を感じて、即決で一緒にやろうと言いました。

もちろん何度も潰れそうにはなるのですが、その時には、技術顧問として出雲社長と2人で投資家のところに行ったこともありました。

まだ出雲社長が技術的なことをきちんと話せない時に、自分がしっかりと話をする必要があったからです。

それでもほぼ断られるという経験をずっとしてきましたが、出雲社長はそれでも諦めない起業家でした。自分もユーグレナ創業の3年前から起業家として活動を始めていましたが、自分よりもすごい起業家に出会ってしまったんです。

これは面白いなと思い、今に至るまで関係がずっと続いています。

(出雲社長は)すごいですよ。まず、私が話したことを、次の瞬間には完璧に同じ内容で、しかも情熱を込めて話せるという記憶力がすごい。

永田 パクリ力もすごい。

リアルテックファンド 代表 永田 暁彦氏

 そう、パクり力もすごいです。そして言ってはいけないことを言ってしまう力もすごいですよね(笑)。

(会場笑)

つまり出雲社長の頭の中では、既に完成図が見えていて、それが実現している世界にすっかり飛んでしまっているから、「もう大量培養は終わっています」なんて言い出すんですよね。

「いや出雲さん……まだ終わっていないですけど……」というやり取りが少なからずありました。そのくらい暴走した、暴走特急だったというのが強く記憶に残っています。

永田 前回のICCでも、IBM社の人工知能「Watson」とミドリムシを比較しだして…ロジックが既におかしいですよね。

(全員笑)

「A」という問いに対して「2」で答えるというような話ですが、研究者の間にはそういう人も多いですよね。

 多いですね。

永田 なんだか訳の分からない人たちが多いです。でも、だからこそ生まれる凄さが明確にあります。

研究者たちの土俵に座りに行く

永田 今までの投資ファンドというのは、アカデミアの人たちや研究者を、金融サイドの土俵に上げさせようとしますよね。「金を出す側だから俺たちに合わせろ」というのが普通の発想だと思います。

しかし、我々の場合は逆のプロセスなんですよね。

主従が逆というか、我々はアマゾンの山奥にいる秘密の動物に会いにいくようなものと考えています。

永田 つまり、向こうの目線に合わせないといけませんし、当然こちらはカモフラージュしますし、相手が裸族だったら裸にならないといけないわけです。

ですから、我々のファンドメンバーは全員基本的に「テクノロジーLOVE」です。90%が研究のバックグラウンドを持っていたり、メーカーの出身です。

基本的に、「向こうの土俵に座りに行く」ということを非常に大切にしています。

そうでないと皆、洞穴の奥に逃げ込んでしまって出てこないですよね。

丸 出てきませんね、ヤドカリみたいになってしまいますよね。

永田 そうそう。

「テクノロジーが大好きです!」ということをきちんと示さないと、向こうが扉を開いてくれません。

 パタッとね。

井上 すぐ閉まってしまうと。

 そう。でも心を開いた相手に対しては非常にオープンです。

我々のところに来る技術者、科学者はとても信頼してオープンに接してくれているので、本音の話ができます。

投資家に対して、嘘をつかなくていいんです。そういう意味では非常にマインドもオープンですし、面白い起業家が集まっていると思います。

(続)

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続きは なぜ今、研究開発ベンチャーに投資すべきなのか?(リバネス丸) をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/本田 隼輝/鈴木ファストアーベント 理恵

【編集部コメント】

研究者は、巨人の肩に立った上で物事を見ているので、自分の研究が一般の人に浅い知識で評価されるのを嫌いますね。研究者と会話するときは、最低限その人の研究分野にどのような巨人がいるのか把握していると示すとスムーズに会話できそうです。(横井)

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