5.ブランドあれど海外で稼げない「日本産」の課題 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

5.ブランドあれど海外で稼げない「日本産」の課題

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「日本から世界ブランドを創りあげるには?」9回シリーズ(その5)は、評価は高くても、ビジネスに結びついていない日本ブランドについて討論しました。
どう展開すればスケールするのか?旧態依然とした日本のイメージを刷新するためにできることとは?是非ご覧ください。

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(インターン)の募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

ICCカンファレンス FUKUOKA 2018のダイヤモンド・スポンサーとして、Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.) 様に本セッションをサポート頂きました。

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【登壇者情報】
2018年2月20日・21日・22日開催
ICCサミット FUKUOKA 2018
Session 6E
日本から世界ブランドを創り上げるには?
Supported by Motivation Cloud(Link and Motivation Inc.)

(スピーカー)
朝霧 重治
株式会社協同商事/コエドブルワリー
代表取締役 兼 CEO

岩佐 大輝
株式会社GRA
代表取締役CEO

矢島 里佳
株式会社和える
代表取締役

山田 敏夫
ライフスタイルアクセント株式会社
代表取締役 / ファクトリエ 代表

(モデレーター)
各務 亮
株式会社 電通
プロデューサー

「日本から世界ブランドを創りあげるには?」の配信済み記事一覧

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最初の記事
1.日本から世界ブランドを目指す「コエドビール」「ミガキイチゴ」の挑戦

1つ前の記事
4. フランスから学ぼう!-地域から世界ブランドを創るには?

本編

岩佐 もう一点だけ問題提起をすると、日本の食ブランドは海外に行くと、特にアジアでは人気が高いです。

ブラインドテストして食べて頂くと、9割くらいが美味しいと言います。

しかし規模で言うと、シンガポールでの日本のいちごのシェアは1%を切っています。

海を越えてやってきているアメリカのいちごは50%で、韓国産が30%です。

どうやってスケールさせるかという部分について、ブランドに対して皆さんロイヤリティは高いけれども全くビジネスになっていないということが結構多いです。

そこについて、お金に結びつけていかなければいけないという課題意識を非常に持っています。

ブランド力があるものをどうスケールするか?

各務 僕もその点についてはおっしゃる通りだと思います。

精神性を大事にすればするほど、スケールと相反するという課題を感じます。

先ほどの話、世界から見たら日本がローカルということについて、皆さんが共感する精神性の物語を、皆が緩やかに共有して発信する、そうすると日本ブランドとして世界でより活用しやすくなるのではと思いました。

その辺につき、矢島さんや山田さんはどう思われますか?

多分台湾でメイドインジャパンのファッションが愛されていることは、きっと精神性など深いところにポイントがあるのではないかと思います。

何かがお考えがあれば教えてください。

スケールの問題についても、美しいを商売にするとビジネスは難しいというのがありますが、その辺で感じてらっしゃる難しさやチャンスがあれば、お聞かせ頂きたいと思います。

山田 食と僕らで何が一番違うかというと、食は、ご飯と味噌汁の和食は、結局明治維新を迎えても江戸時代など昔からずっと変わりませんでした。

しかし洋服の歴史はまだ150年くらいしかなく、それを世界に向けて売っていくとき、洋服としてどう勝っていくのかについては、食と違って非常に難しい世界だと思います。

ライフスタイルアクセント株式会社 代表取締役 ファクトリエ 代表 山田 敏夫氏

最近思うのは、コミュニケーションコストが低い商品から売らなければいけないということです。

コミュニケーションコストが低いものは何かというと、僕たちの場合はデニムでした。

ジャパンデニムは品質としてある程度、先人たちが培った「下駄」があります。

僕はグッチ(GUCCI)の人たちと今でも交流していますが、何が世界の一流デザイナーと日本のデザイナーの差なのかというと、答えば明白です。

彼らは下駄を履いているようなもので、新しいコレクションを考えるときにいつもアーカイブを見返します。

20年前、30年前のパリコレです。ただそれだけなのです。

どんなに有名なデザイナーも昔のアーカイブからヒントを得て掛け算をして作るだけです。

ここの歴史が日本のファッションにはありません。

僕が今やっているのはコミュニケーションコストが低くてよく、低くて分かってくれる商品に特化して、コミュニケーションしていくことです。

そうすると、ちゃんと良いものでそこそこ値段がすると分かってくれます。

僕らがターゲットにするのは、先進国で価値主導ができる人たちです。途上国だとしてもお金持ちで価値主導ができる人です。

タイでジーンズが非常に売れていますが、彼らはネットで購入します。

タイで購入している人は相当年収が高いです。

向こうではマックジーンズというのがあり、300円くらいで買えるものが大量にあります。

まだまだ生存欲求とか安全欲求とかを持っている人はそれを買うのですが、それを越えて尊厳欲求、自己実現欲求など一番上の人たちは、僕らの商品を買います。(※)

▶編集注:人間の欲求はピラミッド構造のように5段階あり、生存、安全欲求など低次な欲求を満たさなければ、尊厳、自己実現欲求といった高次の欲求は現れないとする「マズローの欲求五段階説」に基づく説明。

だからその価値がそもそも下駄を履いているものに対して、ある程度値段を高めに設定して、数が少なかったとしてもある程度売り上げを作っていく、というようなことをしています。

アーカイブは変えてもいいのか?

各務 凄く面白いですね。

アーカイブについては、矢島さんがやってらっしゃる編集作業、ジャーナリストだということについても、要は現代とアーカイブを組み合わせることなのかと、お伺いしていて思いました。

その意味ではいずれ、日本のファッション、つまり着物とかだと思いますが、アーカイブがあると思います。

そういうものがファクトリエさんの事業と連携していくのでしょうか。

山田 先ほど各務さんがやられていた「GO ON」など、茶筒に音楽とは面白いと思いました。

先日奄美大島に行きましたが、大島紬が全盛期の1%になっていたことを知りませんでした。

しかもそこで大島紬を紡いでいる人たちの月給が3万円と聞いて、びっくりしました。

大島紬は龍郷柄(※)で、泥染で草木染めで手織りで、泥塗りと全部手でやって、といっているうちは非常に難しいなと思っています。

▶編集注:龍郷柄(たつごがら)とは、ソテツの葉とハブを図案化した細かい連続模様で大島紬の代表的な銘柄。龍郷町が発祥。

それはなぜかというと、現代人が着物を着るということについて啓蒙することも大事ですが、着物を着ない、というときに大島紬というものを50万円で売ろうとする難しさをとても感じました。

彼らのエッセンスはもしかしたら手織りかもしれない、柄かもしれないのであれば、そこまで一度深めてそれをクリエイティブとして現代版に合わせるということが重要なのではないかと思っています。

そのままというのも大切かもしれませんが、今までの時代でも着物も変わってきています。

みんな「今」に合わせて変わってきたと思います。

だから変えることは僕は悪いことではないと思っていて、変わって良いと思います。

しかし、日本らしさとは何かといったときの究極は、矢島さんがやっているものこそが武器だと思います。

各務 今の日本らしさやアーカイブ、皆さんの話を聞いて矢島さんはいかがでしょうか。

「忍者、侍、富士山」を現代に塗り替える挑戦

株式会社和える 代表取締役 矢島 里佳氏

矢島 まず物を出していくという話がベースだと思いますが、私たち「和える」としての海外に向けた戦略とは何かというと、日本に最終的にはお招きするというところまでの動線を引っ張っていくことです。

その意味で皆さんが魅力的なものを海外に出していくということで、今、日本の魅力を一生懸命発信しているところだと思います。

海外で外国の方とお話ししていると、日本のことをとても深く知っていらっしゃる方もいれば、驚くことに今でも日本というと忍者、侍、富士山とおっしゃる方もいらっしゃいます。

外国人にとって、どれだけ忍者と侍が衝撃的だったのかということの表れでもあるかと思いますが、そうではなくて、COEDOビール、ミガキイチゴ、ファクトリエさんのジーンズ、和えるの赤ちゃん・子どものときから使える日本の伝統産業品があるよと。

こだわりのものたちが、もっと知られていくと良いと思います。

5年、10年先を考えると、ものを輸出するというのは日本への招待状であり、輸出して終わりではダメだと思います。

最後は日本に行かないと体感できないから、日本へ行こうとなってほしいのです。

もっと言えば、世界にたくさんの国がある中で、一生に一度は必ず訪れたい国「日本」、というところまで、世界の中での日本の魅力、立ち位置を引っ張り上げていく必要があると思います。

それこそが、それぞれが世界ブランドになっていくということだと思います。

企業同士が手を取り合って面での日本になる必要があります。つまり、うちだけがという話ではなく、ともに日本の魅力を発信し続けていくことで、日本全体が潤っていく、私はそのような画をずっと見ています。

ですから、私たち「和える」は今、海外の方々を日本にお招きする準備をしています。

皆さんのようなトップランナーの方々と一緒に、日本の魅力を発信して、日本はクレイジー、ワンダー、ミステリアスとか、「素晴らしいね、クールだね」ということだけではない、もう一歩深い魅力を出していきたいです。

「和える」だけでできることははないので、みなさんとともにそのような道を目指していきたいです。

(続)

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続きは 6.海外進出だけがグローバルブランド化ではないをご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/浅郷 浩子/本田 隼輝

【編集部コメント】

ジブリやナルトなども、若い外国人からよく聞きます。ポケモンに至っては日本と直結していないのでは?と思うほどグローバル化したブランドになっている印象です。アニメ関連だけでない日本のイメージのアップデートは、これだけ街中に外国人が増えた現在、企業だけでなく一人ひとりも担わなければいけないと感じます。(浅郷)

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