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「コミュニケーション型ハードウェア/サービスは今後どう進化するのか?」7回シリーズ(その3)は、Part2とは逆に、各社の共通点について語ります。特別な内容のない、意味の薄いコミュニケーションこそ距離感の近い証で、スマホではないデバイスのほうがそういったコミュニケーションを共有しやすいそうです。その理由とは?ぜひご覧ください!
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ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、レノボ・ジャパン株式会社様に本セッションをサポート頂きました。
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18日〜21日 福岡市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCサミット KYOTO 2017
Session 1D
コミュニケーション型ハードウェア/サービスは今後どう進化するのか?
Supported by レノボ・ジャパン
(スピーカー)
青木 俊介
ユカイ工学株式会社
代表
小野 直紀
株式会社 博報堂
クリエイティブディレクター / プロダクトデザイナー
梶原 健司
株式会社チカク
代表取締役 兼 共同創業者
吉藤 健太朗
株式会社オリィ研究所
代表取締役CEO
(モデレーター)
尾原 和啓
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最初の記事
1. 注目の「OriHime」「BOCCO」「まごチャンネル」「Pechat」などの創り手が一挙登壇!
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2.「OriHime」「BOCCO」「まごチャンネル」「Pechat」をスマホ全盛時代に開発する想いとは?
本編
吉藤 電話とか、スマホとか、私も入院中も使っていましたけれども、基本的に電話というのは、メールもそうですが「用件」がないと使わないんですよね。
要は、用件を伝えるツールとして優れているのが電話なんですよ。
テレビ電話もそうで、基本、会議であったりとか、用がある時にしか使わない。
ではたとえば、暇すぎる真っ白な空間に自分がいたとして、そこで友達に電話を掛けるとします。
私の実際にあった話を挙げると、花火大会に行っているた友人に私は電話をかけたんです。
すると後ろで花火の音がして、一瞬そこにいるような気がするんです。
けれども、「大丈夫か」と言われて「いやすごくしんどいんだけどね」というような雑談をしても、1分以内には「ちょっと今、花火大会に来て、友達も待たせているから切るわ」というように、ピッと電話を切られてしまうんですよね。
その瞬間に思ったのは、私が逆の立場でも、多分そうなってしまうだろうと思うんですよ。
電話は、用件を伝えるツールだと痛感しました。電話したら「何?」と必ず言われますし。
そこに自分がいることが許されるデバイスではないなと思ったんですよね。
「用がなくても、そこに居てもいい」ということ
尾原 そうですよね、嫁に電話をして、「何?」と言われた時の、あの辛さ(笑)。
でも、まぁプレイかもしれないけれど、家に帰ると「お帰り」とか、「キッチンの冷蔵庫にこれこれが入っているから、チンして食べてね」というようなメッセージが残っていると、チンしたものでも美味しくなるというね。
吉藤 居場所というのは何かというと、「用がなくてもそこに居てもいい」ことなんですよ。
学校のクラスもそうですよね。
別に、用がなくても学校には毎日行っていて、休み時間に、友達が普通にそこにいるから友達と遊ぶとか、皆の声が聞こえてきて、あ、こいつらこんな話しているな」という風に「こいつら」と思うとか。
自分の家もそうで、リビングなどの空間に、たとえば家族皆が別々のことをしていて、何も話していなくてもいい。
ピアノを弾いている妹がいたりとか、テレビを見ているお母さんがいてもいいし、でもその中で、一緒にいるとか、そこで「そういえば」という風にちょっとした会話が始まるというような、それが私の言う「居場所」というか場所なんですよね。
尾原 どうですか、多分「まごチャンネル」はまさに、そういう工夫のかたまりだと思うのですが。
日常を共有しているからこそのコミュニケーション
梶原 そうですね、今のお話と全く同じことを僕も本当に感じています。
電話というのは「用件」がある、メールもそうですよね。
まごチャンネルというのは何が面白いかというと、ユーザーの中には、別に普段からスマホを使っている人とかもいるんですよ。
孫とLINEとかでやり取りしたり、メールでやり取りしていましたという人もたくさんいるのです。
しかし、まだ片方向ですが「普段孫たちが何をしているのか」というのがおじいちゃん、おばあちゃん側にまごチャンネルで伝わるおかげで、いつもの電話やLINEの内容というのが、それを前提としたコミュニケーションになってくるわけです。
まごチャンネルを使うまでは、「何があったの?」という質問から会話に入っていました。
子ども側は、忙しいのに面倒くさいな、と思いながら、「こんなことがあって」と話していました。
しかし、その前提条件がある程度共有されている中で、あの時のこれはどうだったの?と、前提があった上での話になるので、コミュニケーションがより深くなっているように思います。
もう一つ大事だなと思うのが、仲がいい人同士の場合というのは、コミュニケーションの内容というのは、ある意味、特段の内容がなかったりするんですよね。
「元気?」、「元気じゃない」というような、何というか、あまりその会話自体には意味がないというか、気遣っているということしか情報は交換されていません。
別に「保育園をどうしようかな」というような高度な相談事というのではない、内容がいい意味でもっと薄くなっていくほど、コミュニケーションとしては…
尾原 実は背景で伝わるものが濃くなるという。
梶原 そうです。
離れている間柄でもそういうコミュニケーションが起きてくると、コミュニケーションが深化しているということなのかなと思うんですよね。
尾原 だんだん僕暴走したくなってきました(笑)。
青木さんからいかがですか? 何かおっしゃろうとしていませんでしたか?
青木 いや、本当にそうだなと思って聞いていました。
SNSなどでも皆、深刻な相談事とかは書かないじゃないですか。
割とどうでもいい情報を共有するということが、結構距離感が近いということの証というか。
薄いコミュニケーションの裏で伝わるメッセージ
尾原 いやだから、とまた暴走してしまうするのですが、実は僕の盟友にドミニク・チェンというのがいてですね、昔「PicSee(ピクシー)」というサービスをやっていたんですよ。
あれは何かというと、要はワンクリックで決まった友達に写真がすぐ送れるというだけのメッセンジャーサービスなんですね。
シンプルなのだけど、これを糸井重里さんがすごく気に入って使ってくれていました。
そして使っているうちに、とても面白いことが起こるんですよ。
糸井さんは空が好きなので空の写真をたくさん送ってくれるのですが、毎日彼の空の写真を見ていると、今日機嫌がいいとか、今日ちょっとしんどそう、というのが分かってくるんですよね。
これというのは先ほど言った、薄いコミュニケーションをずーっと重ねていくと、そこの裏側の機微というものが見えてくるということだと思います。
青木 僕も結構ね、SNSを見ていると、「あれ?もうすぐ会社辞めるのかな?」とか、分かるんですよ(笑)。
何か、彼女と別れたのかなとか分かるんですよね。
コミュニケーションの「プッシュ性」をいかに和らげるか?
尾原 インターネットがこれまで「ステージ型」だったものから、変わってきていますよね。
今までは結局、どうしても通信代がかかってしまうよねとか、通信が遅いよねということから、必要な時しか繋がらないインターネットでした。
そこから、基本的にずっと繋がるインターネットに変わってきた時に、「必要な時」以外の部分に実はいろいろなものを載せていけるのではないか、というところが、多分変曲点なんです。
青木 そうですよね、そしてそうなった時にやはりデバイスだと、何気ないものを共有しやすいという側面が結構あるのではないかと僕は思っています。
ただ、自分の子どもが「給食で何を食べたか」なんて絶対にSNSに上がってこないじゃないですか。
「宿題終わったかどうか」とか。
そういう家族のタイムラインのようなものがあったらいいなというのが、割とBOCCOのきっかけでした。
尾原 コミュニケーションツールというのは常に「プッシュ型」と「プル型」の戦いで、電話がものすごいプッシュ性が強いから、メールがウケた。
要は電話は、強制的に相手をトラップしてものを伝えてしまいます。
日本人というのは忖度が好きすぎて、相手を邪魔すると思うと伝えられなくなるという性質があるんですよね。
それが実はプル型のコミュニケーションに対する需要につながっているのではないでしょうか。
私がNTTドコモで「iモード」を設計していた時は、ソフトプッシュとか、ソフトプルという言い方をしていました。
要はメッセージをノーティフィケーション(通知)の場所に置いておく、ということです。
iPhoneでいうとアプリに出る数字(通知がいくつ来ているか知らせる数字)とかもそうですよね。
ああいう風に、何かあると取りに行ける、だけれどプッシュじゃない、というくらいの方が気遣いなく相手に情報が提供できるようになる、みたいなことを設計していました。
ただ難しいのが、だんだんアプリの横にある数字も、何だか強迫観念を持ってくることなんですよね。
その辺が、ハードウェアの、まごチャンネルの窓の明かりであったりとか、家に帰った時にちょっとした可愛らしいロボットがいるとか、そういったところで和らげられるというのがすごく大きいのかなという気がするんです。
(続)
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続きは 4. 生身の人には心を閉ざし、分身ロボット「OriHime」には心を開く高齢者 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/横井 一隆/尾形 佳靖/浅郷 浩子/戸田 秀成/鈴木ファストアーベント 理恵
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