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5. 公共インフラ、医療ヘルスケア等、巨大な「パブリック・セクター」に着目する起業家が増えている

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「ユニコーンを生み出すためにVCはどう変わるのか?」9回シリーズ(その5)では、我が国の起業家がビジネス領域として選ぶ“分野の変化”をインキュベイトファンドの村田さんが解説します。IT、シェアリングエコノミーの先にある巨大なマーケットとは? そして今そこに海外からの投資マネーが集まる理由とは? ぜひご覧ください!

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2019 ゴールド・スポンサーのfor Startups, Inc.様にサポートいただきました。


【登壇者情報】
2019年9月3〜5日開催
ICCサミット KYOTO 2019
Session 4F
ユニコーンを生み出すためにVCはどう変わるのか?
Supported by for Startups, Inc.

(スピーカー)

朝倉 祐介
シニフィアン株式会社
共同代表

仮屋薗 聡一
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ
代表パートナー

志水 雄一郎
フォースタートアップス株式会社
代表取締役社長 CEO

永田 暁彦
リアルテックファンド 代表 /
株式会社ユーグレナ 取締役副社長

村田 祐介
インキュベイトファンド
代表パートナー

(モデレーター)

宮宗 孝光
株式会社ドリームインキュベータ 執行役員 /
DIMENSION株式会社 代表取締役

「ユニコーンを生み出すためにVCはどう変わるのか?」の配信済み記事一覧


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最初の記事
1. ユニコーン創出のために考えるべき「6つの要素」とは?

1つ前の記事
4. 日本のスタートアップ投資に海外資本が流入、グローバル化の兆しが?

本編

宮宗 一人ひとりの起業が増えてきて欲しいという個人の観点と、一方で地球レベルでそれを考えた際に、どのように資源配分をして、より良い産業を創ることに繋げるか。そしてそれを、どう事業に落とすかという話でした。

フォースタートアップスはインキュベイトファンドさんと連携されているということでしたので、次は村田さんに、最近着目されている動向について ぜひお話をお伺いできればと思います。

公共インフラ・医療等、巨大な“パブリック・セクター”での起業が増加

インキュベイトファンド 代表パートナー 村田 祐介さん

村田 志水さんには、「起業したそうな方がいたら、片っ端から紹介して欲しい」とお願いして、そういった起業思考のある方とゼロからディスカッションして、新しいスタートアップを生むというトライをしています。

その中でも顕著な動きなのは、公共インフラサービスや医療分野など、人口にほぼリーチするような社会課題に直結している、僕たちが「パブリック・セクター」と定義しているテーマに着目している起業家の方々が、非常に多くなっていることです。

今回のスタートアップ・カタパルトでも、現役医師が創業した医療系スタートアップが2社登壇していました。

▶︎編集注:ICCサミット KYOTO 2019 スタートアップ・カタパルト優勝のファストドクター 菊池亮さんは整形外科医、5位入賞のLinc’well 金子和真さんは内科医にして医学博士。その他の登壇企業については、こちらの記事もご覧ください。

現役医師の方々の起業のケースが非常に増えているのは、そのマーケットの負の構造が深いというだけではなく、GDPが540兆円、国が担っている公共インフラが約130兆円、社会保障費が100兆円と、マーケット自体が実に巨大であることが理由として挙げられます。

今やDX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉がスタートアップと大企業の両者で飛び交い、スタートアップはネットからリアルへ、大企業はリアルからネットへという形で同じ交錯地点に立って隆盛を迎えている状況ですが、そうした企業ではファウンダー自身が公共サービス・医療サービスのバックグラウンドを持った方々であり、自らその“DX”を考えて仕掛けにいっている、という動きが注目すべき点です。

それと同時に、そうしたスタートアップに対する国内外のインベスターの反応を見てみると、海外のVCのほうが明らかに良い反応であり、「投資したい」と言ってくるのは海外VCばかりという現状があります。

宮宗 それはちょっと残念ですよね。

村田 そうですよね。これがどうしてなのか、今のところはっきりした理由は見当たっていないのですが、USでは公共インフラ自体のデジタル・トランスフォーメーションが先行して動いていっています。

ですので、GDP 560兆円という日本のマーケットサイズに対し、その内需の大きさも当然分かっていわけですから、「アメリカと同じようにやればいいのだろう」と考えているVCも少なからずいらっしゃるからかもしれません。

宮宗 ありがとうございます。

おそらく将来の太い潮流の始点となる、医療や公共インフラ領域においてのベンチャー、大企業、デジタル・トランスフォーメーションのお話でした。

多分そういった領域においても、ポストIPOも含めてスケールしていくようなベンチャーがあまり多くないことへの課題意識を持たれ、上場後の成長にフォーカスしたファンド(THE FUND)をセットアップされた朝倉さんに、今着目されている傾向や動向をぜひお聞かせいただければと思います。

シニフィアンの投資活動における「社会性」の重視

シニフィアン 共同代表 朝倉 祐介さん

朝倉 ありがとうございます。これまで宮宗さんがとても綺麗に皆さんを繋いでいらっしゃったので、僕にはどうやって繋がれるのかなと楽しみにしておりました(笑)。

皆さんのおっしゃる通りで、今の村田さんのお話に絡めると、社会的意義に関しては大変重視していますし、また、そういったところにアプローチされている会社も非常に多いと実感しています。

今回のスタートアップ・カタパルトを拝見すると、一目瞭然ですよね。

一昔前のピッチイベントであればウェブ完結型の事業が大半を占めていたところが、リアルに進出してくる事業が増えてきました。またウェブ完結であったとしても、既存の事業がガラッと変わって大転換が起こるような、ゲームチェンジャーとなるスタートアップの方が多い、そういった最近の流れを感じています。

シニフィアンでは、スタートアップの方々とご一緒する際、意識している観点がいくつかあります。

経営者ご自身の人間性であったり、事業性、バリュエーション、そしてトランスフォーメーション、つまり何かしら変革を引き起こすレバーがあるのだろうかという観点、そうしたものを重要視しているのですが、もう1つあるのが「社会性」です。

綺麗ごとを言っていると思われるかもしれませんが、これはかなり重要な要素です。

私たちは、上場後もファンダメンタルに力強く成長していく企業や事業を応援していこうという考えの下、投資活動に取り組んでいます。

その考えを踏まえますと、上場後、一時は噴く(急激に値上がりする)なと思われる企業であったとしても、社会性がないと、長続きしないのではないかという懸念を持ってしまいます。

純然たる金融業としては、そうしたモメンタムに投資するストラテジーもあると理解する一方で、その後の継続的な成長にコミットしようとすると、事業の社会性は重視せざるを得ないと思っています。

投資家側が持ち味を活かし、起業家にアピールする展開に

朝倉 加えて、注目している動向に関して申し上げますと、最初の仮屋薗さんの説明に一番近いと思うのですが、投資家の層にユニークさというか多様性が増して来た点ですね。

本日登壇している私たち5人が、いいショーケースなのかなと思います。

2011〜2012年頃であれば、七面倒臭いことを言わなくても「スタートアップにお金を出します」と言うだけでも、スタートアップにとって投資家は非常に有り難い存在でした。

ところがその後、ベンチャー投資額全体が増えてきた中で、徐々に投資家も多様化してきました。

そうした中で、投資家側はどうやって自分たちの持ち味を活かすかを問われるようになってきたと感じます。例えば「会社に専門家のチームを派遣しますよ」というアプローチもあるでしょう。一方で、グローバルな知見を持った海外勢や、上場後の安定株主となることを訴求する機関投資家等も入ってきています。

そうした点で、我々もワン・オブ・ゼムですが、「投資家側も独自色を求められるようになっちえるのではないか?」と思っています。

業種やアプローチの多様性が早く広がったのはむしろスタートアップの世界のほうで、今ようやく、投資家側も自分たちの持ち味をアピールしてスタートアップに選ばれるパートナーになっていこうという動きが、色々なところで起きているのかなと感じています。それ自体は、スタートアップのエコシステム全体にとって非常にいい傾向なんだと思います。

宮宗 ありがとうございます。皆さんのコメントから共通部分が見えてきて、とても面白く感じました。

例えば、海外からの見られ方と国内からの見られ方が違うという点です。海外からは着目されている分野がありながら、日本ではパッシングされてしまうと。

あとは「人」のところで言えば、士業や官公庁から起業する、お医者さんから起業するといった新しい傾向の話がありました。

また、村田さんや朝倉さんがおっしゃっていたデジタル・トランスフォーメーションですね。

ネットからリアルへ、リアルからネットへ、大企業とスタートアップがまさにその交錯地点に立っている、というお話もありました。

そうした観点も踏まえて、今回の本題の1つである次の設問に繋げていきたいと思います。

ずばり「ユニコーンを生むには、VCとして何をどう変える?」です。

(続)

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続きは 6. シニフィアン朝倉さんが解説「そもそも、ベンチャー・キャピタル(VC)の役割とは何か?」 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/尾形 佳靖/戸田 秀成/蒲生 喜子

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