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ICCサミット FUKUOKA 2019の好評セッション「教えてほしい!経営とアート」を全6回シリーズでお届けします。(その1)は、登壇者の自己紹介からスタートです。なぜ今、経営者がアートを学ぶ必要があるのか? どうすれば、企業経営にアートを活かせるのか? ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 プレミアム・スポンサーのHRMOS(ビズリーチ)様にサポートいただきました。
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【登壇者情報】
2019年2月19〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 4E
教えてほしい! 経営とアート
Supported by HRMOS(ビズリーチ)
(スピーカー)
遠山 正道
株式会社スマイルズ
代表取締役社長
松本 恭攝
ラクスル株式会社
代表取締役社長CEO
三浦 崇宏
The Breakthrough Company GO
代表取締役 PR/Creative Director
山口 周
ライプニッツ
代表
(モデレーター)
渡邉 康太郎
Takram コンテクストデザイナー /
慶應大学SFC 特別招聘教授
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本編
渡邉 康太郎さん(以下、渡邉) Takramの渡邉です。よろしくお願いします。
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渡邉 康太郎
Takram コンテクストデザイナー /
慶應大学SFC 特別招聘教授
東京とロンドンを拠点に、ブランディング、UXデザイン、サービスデザインなどに取り組む。個人の小さな「ものがたり」が生まれる「ものづくり」がテーマ。主な仕事に日本経済新聞社のブランディング、ISSEY MIYAKEの花と手紙のギフト「FLORIOGRAPHY」、一冊だけの本屋「森岡書店」など。慶應SFC卒業。国内外での受賞や講演実績多数。著書に『ストーリー・ウィーヴィング』、『デザイン・イノベーションの振り子』など。独iF Design Award審査員。趣味はお酒と香水の蒐集と、茶道。茶名は仙康宗達。母校のSFCでは「コンテクストデザイン」をテーマにしたサブゼミを主宰。
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早速ですが、まずは会場の皆さんに今日どんな話を期待しているのかを聞きたいと思います。
最前列のお三方、いかがでしょうか?
発言者1 「経営にはアートが大事だ」という考え方は確かに浸透していると思いますが、実際には、多くの方が行動に移せていないのではないかと思います。
そうした方々が一歩を踏み出すには何が必要なのか、解決法が存在するのかをお聞きしたいと思います。
発言者2 私はゲームの会社を経営しており、山口周さんの大ファンです。
山口さんの本にあった、「アート×サイエンス×クラフト」について、どうしても経営の現場ではサイエンスの要素が強くなってしまいがちです。
▶『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』(山口 周/著)、光文社新書、2017
そこで、経営においてクリエイティビティやアートの要素を強くするためのヒントをもらいたいと思います。
発言者3 アートをマーケティングする村上隆さんのような方がいらっしゃいますが、今後、彼らに続く形で日本がどう盛り上がっていくかに興味があります。
また、ロゴやブランドを通じてアートが商業化されている中で、アートとビジネスの融合により、日本ならではの価値がどう生み出されていくのかを聞いてみたいです。
渡邉 ありがとうございます。
色々なインプットをいただきましたが、皆さん、「企業でアートをどう経営に活かせるのか」に問題意識がありそうですね。
まずはお一人ずつ、自己紹介を兼ねてどのような活動をされているかお話しいただき、その上でディスカッションを進めていきたいと思います。
アーティスト支援アプリをローンチ、スマイルズ遠山さん
遠山 正道さん(以下、遠山) スマイルズの遠山です。
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遠山 正道
株式会社スマイルズ
代表取締役社長
1962年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、85年三菱商事株式会社入社。2000年株式会社スマイルズを設立、代表取締役社長に就任。現在、「Soup Stock Tokyo」のほか、ネクタイ専門店「giraffe」、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」、ファミリーレストラン「100本のスプーン」、コンテンポラリーフード&リカー「PAVILION」、海苔弁専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」を展開。「生活価値の拡充」を企業理念に掲げ、既成概念や業界の枠にとらわれず、現代の新しい生活の在り方を提案している。近著に『成功することを決めた』(新潮文庫)、『やりたいことをやるというビジネスモデル-PASS THE BATONの軌跡』(弘文堂)がある。
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Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)をはじめ、20年ほど色々な事業を行っています。
最近は、「The Chain Museum」というプロジェクトを立ち上げ、小さくてユニークなミュージアムを世界各地にたくさん生み出したいと思っています。
また、アート鑑賞者がアーティストに直接お金を支払えるアプリ「ArtSticker(アートスティッカー)」を今週土曜にローンチします。
世の中の流れが変わり、こういう話が出来るのはありがたいなと感じています。
渡邉 ありがとうございます。では松本さん、お願いします。
「80歳までに、100作品を購入予定」ラクスル松本さん
松本 恭攝さん(以下、松本) ラクスルの松本です。
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松本 恭攝
ラクスル株式会社
代表取締役社長CEO
1984年富山県生まれ。慶應義塾大学卒業後、A.T.カーニーに入社。コスト削減プロジェクトに従事する中で、6兆円の市場規模がある印刷業界に効率化が行われていないことに注目し、インターネットの力で印刷業界の仕組みを変えるべく2009年9月にラクスル株式会社を設立。印刷機の非稼働時間を活用した印刷のシェアリングプラットフォーム事業「ラクスル」を展開する。2015年12月からは物流のシェアリングプラットフォーム事業「ハコベル」も開始。2018年、Forbes JAPAN誌が選ぶ「日本の起業家ランキング」で1位獲得。
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僕は大学時代にバックパッカーをしていて、世界30ヵ国ほどを旅しました。
色々な国で美術館を訪れ、コンテンポラリー・アートが好きになりました。
ヤフー取締役の宮澤弦さんに「30歳になってから年に作品を2つ買うと、80歳になった時に100作品を所有できることになるよ」と言われたのがきっかけで、当時から年に2作品以上を買うようになりました。
好きな領域としては、ミニマル・アートやコンセプチュアル・アートなどの問いかけるようなアート、それから最近はサイエンス・アートにも興味を持っています。
僕はアートはベンチャーに近いと思っています。アートを創るアーティストがいて、それを取り扱うギャラリーがあって、それに意味をつける批評家、コレクターがいて、セカンダリー・マーケットとしてのオークションがあります。
そのため今は、ユーザーのニーズに応えるようなアートも増えていて、中国には最初からオークションに出すようなアーティストもいます。
“価値があるから、価格が上がる”が普通だと思いますが、最近ではバスキアのように“価格が上がるから、価値が出てくる”ような例も出てきていて、そこには複雑なエコシステムが存在します。
アートそのものも面白いですし、それを生み出すメカニズムも面白いなと思っていて、自分の中でのアートのプライオリティーが最近上がっています。
ただ経営とアートの紐づけについては過去一度も考えたことがなく今日はドキマギしながら登壇しているのが正直なところです。
楽しみながらお話しできればと思います。
渡邉 松本さんにはコレクターとしての視点と、他の皆さんが実行・提唱されていることへの質問や意見をいただきたいと思っています。
松本 僕はコンテクストを紡ぎ出すのが好きで、自分たちのストーリーもコンテクストの中に位置付けたいと思っています。
例えばラクスルのコーポレート及びサービスブランドロゴの“R”の文字には、グーテンベルクが活版印刷を発明した時に、最初に刷られた聖書に使われた「B42」というフォントを使っています。
ラクスルのコーポレート及びサービスブランドロゴ
印刷技術は、富裕層のみで共有されていた知識を庶民層に広げ、人類を前進させました。
そこで、ラクスルとしてもう一度印刷業界で発明をして人々の生活を変えていきたいという思いのもと、このロゴを創りました。
ハコベルのロゴもB42のフォントを使っています。
ハコベルのサービスロゴ
世界において物流が爆発的に増えたのはコンテナができてからですが、コンテナの発明と印刷機の発明を掛け合わせるというコンテクストで、このロゴを作りました。
過去のイノベーションに対するリスペクトと、自分たちもそういったイノベーションを起こしたいという思いですね。
こういったコンテクストによる意味づけが、個人的にはとても好きです。
渡邉 ありがとうございます。では三浦さんお願いします。
六本木の新オフィスでもアートを複数購入、GO三浦さん
三浦 崇宏さん(以下、三浦) 広告やマーケティング・コンサルティング、PRを扱うThe Breakthrough Company GO 代表の三浦です、よろしくお願いします。
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三浦 崇宏
The Breakthrough Company GO
代表取締役 PR/Creative Director
博報堂・TBWA\HAKUHODOを経て2017年独立、社会の変化と挑戦にコミットすることをテーマにThe Breakthrough Company GOを設立。日本PR大賞・CampaignASIA Young Achiever of the Year・ADfest・フジサンケイグループ広告大賞・グッドデザイン賞・カンヌライオンズクリエイティビティフェスティバル・ACC賞クリエイティブ・イノベーション部門グランプリなど受賞。『表現を作るのではなく、現象を創るのが仕事』が信条。
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僕とアートとの関わりは4つあって、まず1つ目は、色々とアートを買い集めていることです。
最近オフィスを六本木に移したので、アートをいくつか買いました。
結果、副社長や税理士に叱られたのと、今回の出張も「講演テーマは?」と聞かれて「アートと経営」と言ってきたので、肩身が狭いところがあります。
2つ目は、アート作品の共同保有プラットフォーム「ANDART(アンドアート)」に出資をしていることです。
これは、特定のアート作品を購入し、登録メンバーで所有権を共有する仕組みです。
3つ目は、古賀崇洋という陶芸家のプロデュースをしており、アートの展覧会も行っています。
4つ目は、暗黒舞踏ダンサーの父とオペラ歌手の母を持っていることですね。
文化度は高いけれども、経済的には辛い暮らしを送っておりました。
(会場笑)
今日はよろしくお願いします!
渡邉 ありがとうございます(笑)。では山口さん、お願いします。
「意味」の価値を追求するコンサルタント、山口周さん
山口 周さん(以下、山口) 僕の本業はコンサルタントなのですが、最近は何をしているのかよく分からなくなってきました(笑)。
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山口 周
ライプニッツ
代表
1970年、東京都生まれ。独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、コーン・フェリー等で企業戦略策定、文化政策立案、組織開発・風土改革等に従事した後、株式会社ライプニッツ設立。現在、同社代表。株式会社中川政七商店、株式会社モバイルファクトリー社外取締役。一橋大学大学院経営管理研究科非常勤講師。著書の『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』は2018年ビジネス書大賞準大賞受賞。慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科修士課程修了。
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本職としては、クライアント企業に対して外側から“強くなるためのアドバイス”をする、ということをやってきました。
ロジックやデータ、サイエンスにずっと頼ってきたのですが、ここ10年くらいは「自分にプライドが持てない」と思っていました。
というのも、相手が強くならないのが分かっているのに“強くなるような提案書”を出してお金をもらう行為が辛くなってきまして……。
そうした思いから2年前に本を出版して、それからは汽水域で生きているような感じです。
▶『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』(山口 周/著)、光文社新書、2017
シンプルに言うと、僕は「過剰なものには価値がない」と思っています。
そして当然ですが、稀少なものに価値があります。
その対比において今注目すべき点がいくつかあり、その1つは、「モノ」が過剰なのに「意味」が稀少であるということです。
(続)
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続きは 2. GO三浦さんが語る「企業や経営者がアートを購入するべき3つの理由」 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/戸田 秀成/大塚 幸
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