アジア市場で、日本式の「カスタマーサクセス」が効く理由とは | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

4. アジア市場で、日本式の「カスタマーサクセス」が効く理由とは

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ICCサミット FUKUOKA 2020「教えてほしい! 成長するアジア市場をどのように攻略するのか?」の全文書き起こし記事を全5回シリーズでお届けします。(その4)は、日本の人材とローカル人材の違いについて議論がスタート。日本式マネジメントのデメリットや、逆に強みなど、現在ビジネスを展開するプレイヤーならではのリアルなエピソードが語られます。ぜひご覧ください!

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プラチナ・スポンサーの日本マイクロソフト様にサポートいただきました。


【登壇者情報】
2020年2月18〜20日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 10D
教えてほしい! 成長するアジア市場をどのように攻略するのか?
Supported by 日本マイクロソフト

(スピーカー)

金 泰成
VIP PLAZA INTERNATIONAL PTE LTD
Founder & CEO

柴田 啓
株式会社ベンチャーリパブリック
代表取締役CEO

十河 宏輔
AnyMind Group
CEO

平田 祐介
Repro株式会社
代表取締役

(モデレーター)

蛯原 健
リブライトパートナーズ株式会社
代表パートナー

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最初の記事
1. 東南アジアを中心に活躍する5人が、市場攻略を徹底議論!

1つ前の記事
3. 優秀な現地採用人材と、日本からの駐在員の給与格差は頭が痛い!

本編

蛯原 では、次のクローズドクエスチョンです。今までの議論からこんなことを聞くのは馬鹿なことを承知で、あえて馬鹿な質問をします。一般論として、現地の社員に比べて、日本人人材は相対的に優秀な人が一般的に多いか?イエスかノーか?

(十河、挙手)

日本人人材は相対的に優秀なのか?

柴田 全然そんなことないと思います。勿論、人それぞれですよ。

ただ、現地の社員のほうが、スピードや突破力、クリエイティビティなど全体を見た時、日本人よりも優秀だと思うことが結構多いです。

だから、その質問に対しては、イエスという自信はまったくありませんね。

蛯原 十河さん、状況の違いはあると思いますが、いかがでしょうか。

十河 柴田さんのいるシンガポールだと、グローバル人材も多いですよね。でも僕は、東南アジアのローカル人材に比べると、日本人人材は比較的に優秀だと思います。

我々はインターネット業界なので、どれだけ小さくても成功体験を持っていることが重要だと思っています。しかし、今のところ東南アジアのインターネットの会社は限られていて、ITの経験者も限られています。

ですから、小さくても成功体験、ゼロから1へのベンチャー立ち上げ経験がある人という意味では、日本の方が多いと思っています。語学は別にして、それらの日本人のノウハウやマインドセットは東南アジアでも通用しますね。

柴田 まともな日本人が通用するかどうかで言えば、間違いなく通用します。

平田 役員ではない、営業やマーケティングを担当するレベルの中間層で言えば、現地の人材が優秀じゃないですか?

(一同頷く)

柴田 僕もそう思います。

平田 成り上がりたいというギラギラ感、当事者意識がすごく強いです。モチベーションが日本人とは全然違いますね。

各国展開している十河さん、スタッフレベルではどうですか?

十河 スタッフレベルだと基本的にみんな若手ですし、我々の会社に入社するような人材はみんな変わっているというか(笑)、本気でグローバルで活躍したいというタイプです。

そういう人たちは、パッションがあって入社しているので、活躍しますね。

前提、基準そのものが違う、現地の人材

蛯原 金さん、いかがですか?

VIP PLAZA INTERNATIONAL Founder & CEO 金 泰成さん

 従業員数が200人になるまでは、日本人が僕1人だけでした。社内は全部インドネシア人で……ものすごく大変でした(笑)。

まず、半分は朝遅刻しますし、なぜ目標を達成しなければいけないのかという質問をされます。HowじゃなくてWhyですからね(笑)。それを一つひとつ教えていくのが、3〜4年間辛かったです。

4年目に初めて、日本人を2人採用しました。その時に、ものすごく感動しました。

僕はインドネシア語も英語もできるので、コミュニケーションに問題はありません。しかし、ビジネスに対する姿勢やマインドセットといったところで、僕自身は日本で育ってビジネスをしていて、こうしたいというのがあったから、コミュニケーションロスが発生していたのだと思います。

日本人の彼らには話が通じる感じはありました。

蛯原 それにも関わらず、ファッションEコマースが失速したのはなぜですか?

 そこいきますか(笑)。当時、立ち上げから3、4年目くらいまでは、ファッションEC領域ではインドネシア最大級でした。

最初の1、2年はユニットエコノミクスはマイナス500円ほどで、売れば売るほど赤字になり、資金調達を毎年数億円行うという状況で、パワーゲームに巻き込まれているという感覚がありました。

そこで、3年目に何とかユニットエコノミクスをプラス50円まで上げて、経営も頑張って、ここからうまくいくかなと期待したものの、全く動かなくなりました。

そのきっかけは2年半前に、TokopediaLazadaが、それぞれ1,000億円ほど調達し、出店料も全て無料にしたことでした。

僕らはテック企業ではなく営業の企業だと自覚していて、僕らの唯一の強みが、誰も知らないようなローカルの1,000ブランドも含め、我々のプラットフォーム以外には出店してはならないというエクスクルーシブ契約を全ブランドと交わしていました。

パワーゲームに加えて、それが我々のコアバリューで強いと思っていました。それが3年もつかなと思っていたのですが、TokopediaとLazadaの件があって、ものの1年で、彼らのうち6割が離反、つまり別モールにも同時出店してしまいました。

想像以上に、それが大きい震度で速く起きて、大きなインパクトでしたね。

それ以来、事業がまったく伸びず、利益も生まれなくなり……ピボットしてさまざまな事業を立ち上げたうちの一つが、今の越境ECです。

蛯原 話が少しずれましたが、ローカル人材にも良いところはあるということでしょうか?

 日本人でもローカル人材でも、原理原則は変わりません。ビジネスの知識がない人は、日本より圧倒的に多いですが。

蛯原 遅刻するとかは、ダメですよね。

 いや、でもそれがダメだという判断基準も日本のものですよね。それこそ老害ですよ(笑)。

蛯原 (笑)なるほど!

ベンチャーリパブリック 代表取締役CEO 柴田 啓さん

柴田 僕も日本で、取引先に会いに行くとき、5分遅刻しただけでもすごく申し訳ないと思うし、謝ります。でもシンガポールでは5分くらいの遅刻では連絡も来ないし、何の問題にもなりません。

こういう例に表れるように、良くも悪くも、基準そのものが違うのですよ。

蛯原 目的だけを見ているか、ルールやプロセスにこだわるかの違いではないかと思いますね。

日本式マイクロマネジメントは通用するか?

蛯原 日本のビジネスは、マイクロマネジメントです。そのやり方も、このICCサミットの場などで共有されますよね。

アジアに行くと、そういうことは知らないけれど資金調達だけは相当している起業家がいて、パワーゲームで負けることが多いと思います。

日本人はマイクロマネジメントオタクであり過ぎることは良くない、と思う事はありませんか?

Repro 代表取締役 平田 祐介さん

平田 タイ法人では、まだ2ヵ月目ですが、それで1人辞めましたね。

行動量も目標値に届いていないのに、数字を出してと言ったら「数字を出す意味が分からない」と言われて…。

それは日本のやり方です?かと聞かれたので、結果が出ていればいいという話はしましたが、それでも出さないと言うから、「明日から来なくていい」と辞めさせました。

結果を出さないと自由はないということです。

 経営者としては、マイクロマネジメントをしようがしまいが、目標を達成してくれればいいわけです。

マイクロマネジメントは、経営者としてはわかりやすく、やりやすいものですが、目的を実現するための方法の一つです。

しかし東南アジアの場合、マイクロマネジメントをした時に、目的から離れてしまうことが往々にしてあるのです。離職率120%(※)がまさにその事例です。

▶編集注:Part.2で金さんは前職の楽天時代、インドネシア立ち上げ時、初年度の離職率が120%だったことを語っています。

ですから、やり方が大事だと思います。

やりすぎると目的からどんどん遠のいてしまいます。

人が辞めると、採用コストもかかるし、教育する時間もかかる。2人採用したらその倍かかる…という機微を、この10年で味わいました。

日本人的なカスタマーサクセスが受け入れられている

蛯原 それ以外に、日本のビジネス習慣の強みはありますか?

平田 SaaSはもっと攻めるべきですね。なぜなら、日本人的なカスタマーサクセスが受け入れられているからです。

僕らは、企業と消費者のコミュニケーションツールとしてエンゲージメントマーケティングを行っていますが、ノウハウがないのです。

北米系の企業とだと、コンペで負けることが多いのですが、導入後のフォローがないことが多いようで、我々のリプレイス営業がハマっています。

マーケティング知識がないクライアントが多いので、そこを啓発しながら営業していて、非常にうまくいっています。

しっかりと成果にコミットするサポートをすることが、効果がある気がしています。

十河 BtoBは本当にそうですね。平田さんのおっしゃるとおり、北米の企業は獲得して終わりなので、リテンションをキープできません。

でも日本のアカウントマネジメントの考え方があって、継続率が大事なことを理解しているので、これを大事にすれば各国で通用するのではないでしょうか。

 

柴田 残念ながら、東南アジアはまだイノベーティブな文化があまりありません。

でも英語ができるので、欧米のサクセスケースを模倣するようなケースがたくさんあります。

ですから、どうあるべきかをゼロから考える人が少ない気がします。

でも日本は島国で、英語もできない人が多いので、ゼロから考える癖がある。だから戦略を立てたり、イノベーティブな考え方をしたり、5年先10年先のビジョンを考えるという点では、日本の起業家やビジネスパーソンの方が得意なのではないでしょうか。

結果的に今の僕の役割はそれなのです。実行や、短期的、中期的なところまでは考えられても、ブレイクスルーとか、破壊的イノベーションのところまで考えきれない。

それが得意な人がいれば、東南アジアでは活躍できるはずです。

平田 おっしゃる通りですね。

僕も営業に行きますが、マーケティング領域では、ツールの選び方は北米流だけれど、リテラシーは日本流だと感じます。

すごく機能比較をして一番いいところに決めるけれど、リテラシーが追いついていないので、使いこなせず、解約するケースが多いです。

つまり、マーケターが成熟していないので、日本的なサポートを含めて営業をするのがいいですね。

(続)

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続きは 5.アジアで日本発スタートアップも根を張り、ともに存在感を高めよう!【終】をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/フローゼ 祥子/大塚 幸/戸田 秀成

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