本業に忠実に、シンプルであれ。仕事ほど楽しいことはない  | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

4. 本業に忠実に、シンプルであれ。仕事ほど楽しいことはない 

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ICCサミット FUKUOKA 2020 レジェンドが語り尽くす! メガべンチャーを創るための経営者の仕事とは?(シーズン2)全文書き起こし記事を全5回シリーズでお届けします。(その4)は、ビジョナル南さんの質問、経営者が「あえて」やらないほうがいいことについてレジェンドが答えます。そして明かされた、レジェンドの失敗談とは? ぜひご覧ください!

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(インターン)を募集しています。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜2月18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プレミアム・スポンサーのビズリーチ様にサポートいただきました。


【登壇者情報】
2020年2月18〜20日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 9C
レジェンドが語り尽くす! メガべンチャーを創るための経営者の仕事とは?(シーズン2)
Sponsored by HRMOS(ビズリーチ)

(スピーカー)

千本 倖生
株式会社レノバ
代表取締役会長

分林 保弘
株式会社日本M&Aセンター
代表取締役会長

(質問者)

宇佐美 進典
株式会社CARTA HOLDINGS 代表取締役会長 /
株式会社VOYAGE GROUP 代表取締役社長兼CEO

丹下 大
株式会社SHIFT
代表取締役社長

南 壮一郎
ビジョナル株式会社
代表取締役社長

(モデレーター)

宮宗 孝光
株式会社ドリームインキュベータ 執行役員 /
DIMENSION株式会社 代表取締役

レジェンドが語り尽くす!メガベンチャーを創るための経営者の仕事とは?(シーズン2)


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1. 新・雑談シリーズ登場!テック系の4人が語る、最近驚いたことは?

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教えてほしい! レジェンド経営者は40代で何をしてきたか

本編

経営者は本業と周辺事業のみに集中を

株式会社日本M&Aセンター 代表取締役会長 分林 保弘さん

分林 出していただいた質問のなかに、南さんから『生産性を上げるために、経営者が「あえて」やらないほうが良いことは?』という質問がありましたが、僕は本業以外はやってはいけないと考えています。

本業と周辺業務だけをやるべきです。

今、株価評価研究所などの7社ほどは、M&Aが終わってからの、ポストマージャ―(PMI ※) のコンサルティングをしています。

▶編集注:ポスト・マージャー・インテグレーション。企業の合併や買収後の統合プロセスのこと。

これはアメリカでは当たり前で、そういった会社を、3年前に起ち上げています。

ファンド事業は20年前からやっていますが、地方銀行と組んで新しいファンド会社を起ち上げ、もう1つ中堅のファンドを設立しました。そこから上場に持っていく会社を育てていこうとしています。

今まで約30数社を、その2つのファンドで買っています。

最近始めたのはマザーズの下にある、東京プロマーケット(※)です。これは上場です。

▶編集注:従来と比べより柔軟な基準を持つ、「プロ投資家」に限定した株式市場。東京証券取引所が運営し、認証を受けたJ-Adviserが上場審査を行う。開示言語は日本語のほか英語でも可能。

東京プロマーケットを10年前に始めて、日本で上場したのは2019年まで32社しかありませんでした。

2020年1月に、ロンドンでうちの優秀な社員を含めて研修会をやりましたが、イギリスにもマザーズの下のような市場があり、AIM(エイム)市場といいますが、イギリスだけで今860社が上場しています。

3月で当社と32社中30社ぐらいが契約を終える見込みが付きました。

この3年で日本でも100社ぐらい上場させようと考えていますが、おそらく100社を超えるだろうと思います。

この市場を育てていこうと、東京証券取引所さんを含めて考えています。

我々も上場しようという目標があったから上場出来たのだし、東京プロマーケットに上場したら今度はマザーズに行こう、あるいは一部に行こう、次には世界的な企業になろうとすると思います。

現在シンガポールを中心として、アジア一帯に展開しています。

2019年にはインドネシア、マレーシア、ベトナム、2021年にはタイにも進出します。

将来はヨーロッパ、アメリカ、多分M&Aをやらざるを得ないと思いますが、我々の目標は世界一になることで、とにかくM&Aに関するものは全てやっていきます。

本業以外をすると、経営者の頭が二分三分される

左から、レノバ千本さん、日本M&Aセンター分林さん、CARTA HOLDINGS / VOYAGE GROUP 宇佐美さん

分林 色々な企業を見ていて、成功しているケースと失敗しているケースがあります。

例えば京都の日本電産の永守(重信)さんは、M&Aを数多くやっておられますが、回転するもの(モーター)と、それに関連するものしかやらないといいます。

今多分12万人くらい社員がいますかね。

富士フイルムも、僕は成功事例だと思います。

私がアメリカに行った時、世界中にはコダックのフイルムしかなく、富士フイルムは本当に小さく途上でしたが、コダックは事実上5~6年前に倒産して、フイルム事業がなくなりました。

富士フイルムホールディングスの古森(重隆)現会長が、社長になったときから、事業をフイルムの延長線上の化学分野に絞りました。

社長だけではなく、社員の方が化学しかわからないわけだし、だから化学しかやらないという方針で、本業とその周辺に徹底するから、そういう会社をどんどん買収して40社ぐらい買収していますかね。

エイチ・アイ・エスの澤田(秀雄)さんがハウステンボスの再建をする時に「これは異業種だから自分がやる、もし旅行業だったら今の社長がやる」と言っていたのが印象的です。

そして見事、16年間赤字のハウステンボスを、1年目は17億円、2年目は30億円、3年目で50億円、その翌年は70億円と黒字化させました。

澤田秀雄H.I.S.会長が語るハウステンボス再建「3つの施策」(GLOBIS知見録)

ただ本業のほうがちょっと遅れたので、彼はまた本業に戻りました。

僕はもう少し早く戻ったほうがよかったと、個人的には思っていますが。

それから、僕はライザップの瀬戸(健)さんは個人的に好きなのですが、M&Aでは苦戦しているのかなと思います。

本業以外やるのがいけないのは、一人の経営者の頭が二分三分されるし、社員もついていけないからです。

あとは相乗効果が出ないM&Aや、事業は絶対にやるべきではありません。

宮宗 ありがとうございます。千本さんは、いかがでしょうか。

人生も経営もシンプルなほうがいい

千本 CxO、とくにCEOがやるべきことは大局で、大きなスコープにともかく集中することです。

どうしても創業CEOはずっと事業を続けてきたので、目の前にある細かいこと、小さいことに集中して自らやってしまいます。それはCxOに任せるべきです。

そういう意味では、CxOはCEOのパートナーです。

創業者CEOは、事業が好きだから、ついつい大局観を失ってしまいます。

これは1つのポイントです。

もう1つは、分林さんもおっしゃいましたが、事業の周辺以外はやらないということです。

事業というものを私はずっと見てきているけれども、事業は複雑化するとだめになります。

経営はシンプルなほうがいいのです。

人生も経営もシンプルなほうがいいのです。

60年見てきて、経営というものは解きほぐして、因数分解して、シンプルにしたほうが結局はうまくいきます。

松下幸之助さんの最晩年の言葉

千本 松下さんの最晩年、外部の人に会ったのはたぶん私ぐらいだと思います。

松下幸之助さんが「私の道はこの道しかない」と何度もおっしゃっていました。

幸之助翁が、御年89歳のときでした。

松下本社の役員室の長い廊下の奥に、相談役室がありました。そこから毎日、松下病院に通っていらっしゃいました。

ちょっと来てくれと呼ばれ、そこで一対一で聞いたことには、自分の人生を振り返ってみて、本当に私にはこの道しかなかったと、繰り返しおっしゃっていました。

そのぐらい集中して、シンプルに、人の3倍もの熱意をもって焦点を当てて、仕事を楽しむ。

私にとっては、仕事ほど楽しいものはないんですよ。

どんなに面白いホビーにお金をつぎ込んでも、仕事ほど楽しいものはありません。

だからそれに全力で、誠心誠意、120%の集中力をもって当たる。

これが南さんに対する答えになるでしょうか。

レジェンドお二人の失敗体験とは?

南 壮一郎さん(以下、南) ありがとうございます。


南 壮一郎
ビジョナル株式会社
代表取締役社長

1999年、米・タフツ大学を卒業後、モルガン・スタンレー証券に入社。2004年、楽天イーグルスの創立メンバーとしてプロ野球の新球団設立に携わった後、2009年、ビズリーチを創業。2020年2月、グループ経営体制移行にともない新設したホールディングカンパニー、ビジョナル株式会社の代表取締役社長に就任。
「新しい可能性を、次々と。」をミッションとし、グループ全体として、働き方や産業などビジネスの生産性向上を支えるさまざまな事業を創出し、「課題」を「可能性」に変え、未来創りに貢献することを目指す。世界経済フォーラム(ダボス会議)の「ヤング・グローバル・リーダーズ2014」に選出。

お二方の意見を身に沁みる思いで聞いて、グループ経営体制に移行した自分としては、どうすればいいかなと今、考えております(笑)。

(会場笑)

株式会社ビズリーチ、グループ経営体制へ移行 新グループ名「Visional(ビジョナル)」(ビズリーチ)

日々の経営レベルでのやるべきでないことは3人とも身に沁みる思いで聞いていらっしゃったと思いますが、今まで、成功されてきたお話をうかがっていましたが、逆に「これはやらなければよかった」ということはありますか?

100%成功するのは無理だと思いますので、お二方も大きな失敗、挫折を味わっているのではないかと思います。

我々はそこから学べないかと思っています。

楽天イーグルスを起ち上げる時に、野村克也さんがよく言われていたのが『南君、不思議な勝ちはあるけれど、不思議な負けはないんだよ』と『勝った時は兜の緒を締めよ、何で勝ったのかわからない時がたくさんある』ということです。

しかし負けたら徹底的に敗因を研究し、課題を要素分解して改善しなさい、とよくアドバイスされました。

お二方の失敗談からも、何か学ばせてもらえないでしょうか。ここにない質問なのですが、うかがってもいいですか?

慎重派だから、失敗したことがない

分林 結論から言いますと、実は失敗したことがないんですよ。

(会場笑・拍手)

だから挫折感は味わったことがないし、何をやっても、うまくいくんですよね。本当に(笑)。

僕はサラリーマン時代に、喫茶店を開いたことがあるのです。

本業にするつもりは全くなかったのですが、たまたま土地が当たったのでやってみることになりました。

僕はサラリーマンをそろそろ辞めようと思っていて、家族もいるし、店でもやって食べるのに困らないようにしておいて、それから自分のやりたいことをやろうと思ったのです。

これが、めちゃくちゃ当たってですね。

(一同驚いてざわめく)

喫茶店に行列が出来て、もうキャッシュはいらないというぐらいになりました。

僕は非常に心配性なので、様々な喫茶店に行き、メニューも徹底的に考えて、価格もいろいろ考えて、店舗をどうしようかと、いろいろなところを見に行きました。

僕も数千万円、初めて借金をしました。そういう様子を見ていて、弟が言うのです。

「兄貴、絶対大丈夫や。喫茶店をやるのは、ええかげんな人間が多いんや。兄貴みたいにそれだけ真剣に考えている経営者なんてほとんどいないよ」と。

それで、大当たりです。

だから会社だって2年目から配当を出してるし、すんなり上場はして、すっと東証一部にも1年で行ったし、ずっと株価は上がり続け、何をやってもうまくいって……

(会場笑)

私は慎重派なのです。どうしたら成功するか、どうしたら失敗するかを、事前に実は全部考えているのです。

右も左も、前方からも後方からも見ています。よく見てから実行しています。

全部計算して、シミュレーションをしているのです。だから失敗はしないのです。

宮宗 ありがとうございます。千本さんは違う見解があるのではないかと思いますので、お願いします。

PHSは、10年単位で見たら大失敗といえるかもしれない

千本 事業として、10年単位で見たら大失敗といえるかもしれないというものがあります。

それはPHSです。

あの事業は、2000年の初めに、日本の携帯料金が高かったので、携帯電話のライトバージョンとして、イー・アクセスで僕たちが日本で最初にやりました。

結局消滅してしまいましたが、モバイルがスマホになって、スマホでもワイモバイルのようにセカンドラインが出てきて、PHSは10年後に消えてしまいました。

PHSの歴史に幕、ソフトバンクが23年に完全終了(日本経済新聞)

これは私の最大の失敗です。

10年以上続くだろうと思った事業を、2000年の時点で見抜けませんでした。

スティーブ・ジョブズのような天才が出てきて、スマートフォンという革命的な端末が世に出ました。

そこには、新しい機能を追加できる端末を出すという発明がありました。

PHSではそんなものは実現できないですよね。スマホは世の中の人にものすごい恩恵を与えました。

1960年代に私がアメリカのドクターコースにいたときに使っていた大型コンピューターの機能が、いま皆さんが2台、3台と持っているスマホです。

そういう時代を20年単位で、私は見通せませんでした。私の人生での大失敗です。

 ……失敗が、大きいですね……!

本当に時代の流れを読まれている、いま、分林さんのお話を聞いていて、「勝つべくして勝つ」が一番の学びかなと思いました。

宮宗 あとは徹底力ですね。スイングの力と速さと数が違う方なのかなと、お話をうかがっていて感じました。

ありがとうございました。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンファレンス「Industry Co-Creation サミット/ICCサミット」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。