アプリのポルトガル語・スペイン語対応が「AgriBus-NAVI」大ヒットのきっかけに(農業情報設計社 濱田さん) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

8. アプリのポルトガル語・スペイン語対応が「AgriBus-NAVI」大ヒットのきっかけに(農業情報設計社 濱田さん)

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「教えてほしい!グローバル市場の最新動向(インド/イスラエル/ブラジル)」全9回シリーズ(その8)は、前回に引き続き、農業情報設計社の濱田さんがトラクター運転支援アプリ「AgriBus-NAVI」がブラジルで急拡大した経緯を解説します。リリース当初、日英の二ヵ国語版しか用意していなかったという同アプリ。飛躍的な成長のきっかけとなったのは、現地でのユーザーインタビューで得た「多言語対応」へのニーズでした。ぜひご覧ください!

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2020年2月18~20日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 12E
教えてほしい!グローバル市場の最新動向 (インド/イスラエル/ブラジル)

(ナビゲーター)

三輪 開人
特例認定NPO法人 e-Education
代表

(スピーカー)

蛯原 健
リブライトパートナーズ 株式会社
代表パートナー

竹内 寛
MAGENTA Venture Partners
Managing General Partner

中山 充
株式会社ブラジル・ベンチャー・キャピタル
代表

濱田 安之
株式会社 農業情報設計社
代表取締役 CEO, ファウンダー

※ 本セッションは2020年2月に開催されました。その後世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、現在の市場動向は異なる可能性がございます。

「教えてほしい!グローバル市場の最新動向(インド/イスラエル/ブラジル)」の配信済み記事一覧


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最初の記事
1. シリコンバレーの約2割は“実質インド企業”? インド工科大卒の超秀才たちが創る新たなスタートアップ像

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7. ブラジル進出でユーザー数急増!農業トラクター運転支援アプリで世界に挑む農業情報設計社

本編

「国内には市場がない」と最初から分かっていた

濱田 次に、ブラジル進出への経緯、そしてブラジル市場へのアプローチについてお話したいと思います。

先ほど、研究者時代に開発したデバイスが1台も売れなかったと申し上げました。

その時に一度辞めようと思ったのですが、何も外を知らないまま辞めたら死ぬなと思ったのです。

それでしばらく、農業機械の内部通信を国内メーカー間で標準化したりISO規格の検討に関わる等、別の仕事をやっていました。

起業してからアプリを作ることを決断し、当時PC版だったものをスマホ版に移植しました。

株式会社 農業情報設計社 代表取締役 CEO, ファウンダー 濱田 安之さん

研究者を辞める前に国内でどれぐらい売れるか計算しましたら、全国を見ても約2,000台ぐらいで、1台10万円だとしても総売上2億円にしかならないと分かりました。

これはどう考えても最初から国内に市場はないなと。その点では、先ほど竹内さんがおっしゃったイスラエルの話に近い状況でした。

▶編集注:本セッションPart3〜4では、MAGENTA Venture Partners竹内さんから「イスラエルの人口は900万人と少ないため、同国の起業家の目線は最初から(国内マーケットではなく)グローバルマーケットに向いている」とのお話がありました。

そのため、最初は英語版のアプリしか作りませんでした。

しかしFacebookで商品を公表したところ友人の農家さんがとても喜んでくださって、「ここで日本語版がありませんと言ったら怒られそうだな」と思い、リリース前の最後の2日で大急ぎで英語版から日本語版を作成し、英語版と日本語版の両方を出しました。

ブラジルでのユーザーインタビューで掴んだ確かな手応え

濱田 その上でなぜブラジルだったのかという話をします。

実はグローバルで見たときのアプリのダウンロード数は、最初からブラジルが一番でした。

ブラジル、スペイン、ポーランド、アメリカ、日本、今途中にウクライナとかが入ってきているのですが、「なぜ、ブラジルなのだろう」とその理由がよく分かっていませんでした。

(会場笑)

国土がとてつもなく広大だというイメージはあり、同時にお金がなさそうという先入観がありました。

それでも絶対に行ってみる必要があると強く感じていて、そこで中山さんと出会いました。

3回前のICCでお会いしてご挨拶をし、その次のICCでお話を聞いた時に即座にブラジルに行くことを決断、1週間の視察へ飛んで行きました。

AGRISHOWをご案内いただき、地元のインキュベータやスタートアップを訪問し、また並行して中山さんが現地のユーザーさんにヒアリングをしてくださいました。

その反応が最初から大変良かったのです。

一番下に記載していますが、現地のクレジット会社から「農家の人はクレジットで農業機械を購入するので、あなたの会社に適合するブラジル農家は最低でも120万軒はいますよ」との情報をいただいたのです。

三輪 それは凄いですね。

濱田 個人経営規模の農家数だけでも最低それだけの数があり、それは直接のターゲットになり得るという話でした。

先ほど見ていただいた弊社のトラクター自動操舵は、ワンセット約100万円です。

100万円×120万台は1兆2,000億円ですが、それだと仮に年間1万台生産したとしても120年かかります。

(会場笑)

これは日本にいる場合ではないと。そもそも日本からのダウンロード比率は4%弱ぐらいなのです。

それに反してブラジルはポテンシャルが半端なく、目に見える巨大な市場があるということになります。

ポルトガル語版のリリースで記録的なダウンロード数を達成

濱田 そのヒアリングであわせて聞いていただいたことの一部に、ポルトガル語でのサービス提供がなかったために離脱したケースの話がありました。

そこで現地から日本にいる弊社のエンジニアに連絡したところ、グーグル翻訳を使って手早くボルトガル語版を作成してくれたのです。

そして、そのポルトガル語版のアプリを上げた瞬間から、あの爆発的なダウンロード数が記録されたのです。

ちょうど、ここの矢印の部分ですね。

2〜3日後、まだブラジルに滞在している段階から「凄いことが起こっています」と言われました。

このグラフでこの2〜3ヵ月がまた飛躍的な数値を示しているのですが、これはさらにスペイン語にも対応したからです。

スペイン語対応により、アルゼンチン、コロンビア、メキシコからのユーザーが一挙に増えたのです。

今グーグルで広告を出しているのですが、コンバージョンと言いますか、1ダウンロードあたりの広告の単価は何十円か。日本の約10分の1になっています。

今年度出来れば、きちんと100万ダウンロードあたりまで持っていきたいと思っています。

資金調達にも相当力を入れており、資金が投入できれば1,000万ダウンロードを目指す予定です。

そこまでいきますとZoomやSlackのような規模になり得ますので、ぜひそこまで到達して「日本のZoomです」と言えるまで持っていきたいと思っています。

現地農家の方々との交流会、最後はシュラスコ&ビール!

写真左から、ブラジル・ベンチャー・キャピタル中山さん、農業情報設計社 濱田さん

濱田 去年の11月に、2回目のブラジル渡航を実施しました。

このように畑の中で楽しく歓談し、色々な話をしました。

一つの農家を会場にして、農家の方々にトラクターに試乗していただきました。

そして最後は、お楽しみの本場の肉を食べました。

中山 日本では串にお行儀よく肉が刺さったイメージがああるかもしれませんが、本当のシュラスコはこんな感じです。

濱田 そうなんですよね。ちなみにこのあばら肉の塊は18キロもあります。これでビールを飲むと天国へ行けます。

中山 真のWell-beingはブラジルにあります。

濱田 本当にその通りです(笑)。

そして、最後はこんな感じで記念写真を撮りました。

巨大なブラジル市場で、日本を背負って共に闘う仲間を

濱田 実際ここまで来て一気に収益が上がるかと言うと、それはそれで課題があります。

弊社は、アプリをサブスクリプションで販売しつつ、デバイス・GPSの販売、データモデルの提供という3つのビジネスモデルを掲げていますが、アプリ単体でのマネタイズのコンバージョンに頭を悩ませています。

ある程度のレベル止まりではなく、きちんと成果を上げるという点で試行錯誤中です。

翻訳の大半はグーグル翻訳で行っていますが、翻訳家を通してきちんと行うとコンバージョンが上がるという結果も出ています。

片言の日本語アプリに自分が課金するかと考えますとそれは当然のことであり、コツコツと積み上げていく必要性を感じています。

デバイスについては関税がおよそ倍で100%かかります。

またブラジルで「アナテル(ANATEL)」と呼ばれる日本で言う技適(※)にどう対処するのか、今エンジニアたちと一生懸命に取り組んでいるところです。

技術基準適合証明とは?(技適とは?)(Wave Technology)

いずれにしてもそのようなハードルを越えてしまえば、先ほども申し上げた通りブラジルには最低でも120万軒の農家がいるわけで、これは日本全国の全農家数に相当します。

日本ではこの手のアプリを使っていらっしゃる農家の方々は多くて1〜2万軒程度なので、そういう意味では最初から桁が違い、ポテンシャルとしては100倍程違うと言っても過言ではありません。

よって、ここまで来たらやるしかないと、今必死に頑張っているところです。

まとめです。

ブラジルへ行くことを心底お勧めしますし、私自身中山さんにお会い出来て良かったなと、そしてICCへの参加は非常に良かったですと、ここで改めて推しておきたいと思います。

ブラジルには、ビジネスにおいて決定権を持つ人、自分で行って自分決めて来られる人が行くべきだと思います。

御三方からもお話がありました通り、競争はかなり大変ですがそれ以上に成長市場の魅力は大きなものです。行かない理由はありません。

弊社の場合、アプリの翻訳だけで飛躍的に数値を伸ばしましたので、今は割と手軽に外に向かってドアが開いている状態なのではないかと思います。

ぜひ行動に移していただき、一緒に事業のことを分かちあえる方々が増えることを期待しております。

以上です。ありがとうございました。

(会場拍手)

(続)

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続きは 9. インド、イスラエル、ブラジル…国境を越えて、ともに産業を創ろう! をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/浅郷 浩子/小林 弘美/蒲生 喜子/戸田 秀成

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