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2.「ハチドリ電力」は、実質自然エネルギー100%の電力への切り替えで、地球温暖化を止める選択肢を提供する

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ICC FUKUOKA 2021で設けられたランチタイムのセッションで行われた、注目の産業トレンドのプレゼンテーションの書き起こし記事を4回シリーズでご紹介します。その2「テクノロジーが生活インフラを変える」というテーマで登壇したのは、ボーダレス・ジャパン ハチドリ電力代表の小野 悠希さん。地球温暖化問題への取り組みとして、CO2ゼロの自然エネルギーへの切り替えをプレゼンします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 プレミアム・スポンサーのベクトル にサポート頂きました。


【登壇者情報】
ICCサミット ICC FUKUOKA 2021
Session 3A
【ランチョン・セッション】テクノロジーが生活インフラを変える
Supported by ベクトル

<CO2ゼロの自然エネルギーへの切り替え、地球温暖化問題に取り組もう>
小野 悠希
株式会社ボーダレス・ジャパン
ハチドリ電力代表

社会問題をビジネスで解決する社会起業家を志し、2018年にボーダレス・ジャパンに新卒入社。ミャンマーの小規模農家の所得向上のためのサービス開発や、グアテマラの貧困女性の雇用創出のためのアップサイクルアパレル事業の推進に取り組む。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏を通じて環境問題の切迫した状況を知り、地球温暖化を止めることに人生をかけて取り組みたいという思いから、2020年4月に自然エネルギーだけを販売するハチドリ電力を立ち上げる。現在は代表として、自然エネルギーの普及を促進する他、まずは環境問題について知ってもらうため全国どこでもオンラインで勉強会を開催するなど、啓蒙活動も行っている。

その他もチェック! 注目の産業トレンドプレゼンテーション

1. 輸送や点検を担う産業用ドローンで、生活インフラを変えていく「ACSL」
3.「暮らす」「働く」を提供して、路上生活の脱出と再出発を支援する「Homedoor」
4.「メタジェン」は、「茶色い宝石®」から価値ある情報を取り出し、新たな医療・ヘルスケアの創出を目指す


小野 悠希さん ハチドリ電力の小野と申します、よろしくお願いいたします。

インフラつながりで(※) 、私は電力の話をさせて頂きます。

▶編集注:小野さんのプレゼンの前に、株式会社自律制御システム研究所(ACSL) 鷲谷 聡之さんに、ドローンのプレゼンをしていただきました。

輸送や点検を担う産業用ドローンで、生活インフラを変えていく「ACSL」

すべての人が当事者となる「地球温暖化問題」

今、世の中にはたくさんの社会問題があります。

例えば、なかなか終わらない紛争や、精神疾患。

今は、5人に1人が生涯で1度は精神疾患にかかると言われています。

こころの病気について理解を深めよう(厚生労働省)

また、日本は若者の自殺率でずっと上位にいます。

若年層、死因1位が「自殺」 先進国で日本のみ…深刻な事態(産経新聞 2020年10月28日)

そして高齢化社会に伴い、独居老人の孤独死も増えて問題になっています。

最新調査で判明した「孤独死」の実態!孤独死は若年化している⁉ 40・50代でも孤立の危険が…(みんなの介護 2020年2月13日)

これらの社会問題は、自分が当事者にならない限り、自分ごととして捉えることは難しいと思います。

しかし、全人類が当事者である社会問題があります。

それは、地球温暖化です。

活動家グレタ・トゥーンベリを知り、地球温暖化を自分ごとに

地球温暖化と聞くと、地球規模の話なので、自分ごとと捉えられない方、本当に起こっているのかと感じる方もたくさんいるかもしれません。

私もかつては、そうでした。

私が地球温暖化を自分ごとと捉えるようになったのは、スウェーデンの活動家であるグレタ・トゥーンベリさんが大きな声を上げたことがきっかけです。

16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリが突きつける気候変動の現実と、“行動”できない先進国たち(WIRED)

彼女が事実を発信したことにより、人間が出すCO2によって、人間以外の動植物が絶滅の危機に陥っていることを私は知ったのです。

そして、私たち人間でなければ地球温暖化を止められないことも知り、自分ごととして考えるようになりました。

地球温暖化を示す様々なデータ

なかなか自分ごとに捉えにくい地球温暖化ですが、いくつか見て頂きたいデータがあります。

これは、環境省が出しているデータですが、もし私たちが、今から何も対策をしなければ、2100年の8月には、このような気温になると言われています。

「2100年 未来の天気予報」(新作版)の公開について(環境省)

東京は約43℃、名古屋は約44℃、北海道でも40℃を超えると言われています。

今は39℃を超えると猛暑と言われ、昨年(2020年)も、連日「猛暑である」と報道があったと思いますが、約80年後という近い未来に、44℃にもなると言われているのです。

令和2年夏(6~8月)の天候(気象庁)

そしてこれは、二酸化炭素の濃度を表すグラフですが、80万年前から今までを示しています(※) 。

▶編集注:The Keeling Curve(UC San Diego)の「800K YEARS」を参照のこと。

濃度は濃くなったり薄くなったりを繰り返していましたが、産業革命以降、過去80万年の最高記録の数値の約2倍の数値が計測されています。

こちらはNASAが出している動画ですが、温度が低い部分が青、温度が高い部分がオレンジや赤になるという見方をしてください。

地球の温度も同様に、高くなったり低くなったりを繰り返してきていました。

しかしこれも産業革命以降、私たち人間の行動に合わせて、これまで以上に赤くなっています。

これが地球温暖化です。

自然エネルギーという選択

では、今起こっている地球温暖化に対して、私たちはどうすることができるのでしょうか。

多くの科学者は、「地球温暖化の原因は、化石燃料を燃やし、森林を伐採する私たち人間の活動」と言います。

Scientific Consensus: Earth’s Climate Is Warming(NASA Scientific Visualization Studio)

化石燃料を燃やすこと、つまり火力発電による二酸化炭素の増加は、地球温暖化に大きな影響を及ぼしています。

それに対し、CO2を排出しない自然エネルギー(※) を使うのが対策になるのではないかと考えました。

▶編集注:太陽光・風力・小水力・地熱・バイオマスなど、原子力や化石燃料に替わる環境への負荷の少ないエネルギー(よくある質問 ハチドリ電力について)。

日本のエネルギーの状況は、残念ながら火力発電が約8割を占めています。

【エネルギー】日本の発電力の供給量割合[2021年版](火力・水力・原子力・風力・地熱・太陽光等)(Sustainable Japan)

自然エネルギーの比率は16%で、これは他の先進国に比べ、かなり低い数値です。

自然エネルギーの比率が2020年1-6月で23%に上昇、2030年度の目標に到達(自然エネルギー財団)

日本の排出するCO2を部門ごとに見ると、一番大きな部門はエネルギー発電部門、つまり火力発電で4割を占めています。

電気事業によるCO2排出量は日本全体の約4割を占めています。部門別CO2排出量(2019年度)(電気事業連合会)

一方、各家庭におけるCO2排出も、電気が約半分を占めています。

4-6 家庭からの二酸化炭素排出量(2019年度)(全国地球温暖化防止活動推進センター)

ですから、地球温暖化に対して私たちができる、インパクトのあるアクションは、CO2を出さない自然エネルギー100%に切り替えることです。

そう考えて、私たちはハチドリ電力を立ち上げました。

ハチドリ電力の3つの特徴

ハチドリ電力は、大きな特徴が3つあります。

まず、お届けしている電気は全て、CO2を排出しない実質自然エネルギー100%(※) です。

▶編集注:CO2ゼロとはCO2排出係数ゼロのことを指します。再エネ指定の非化石証書購入により実質的に自然エネルギー100%の電気供給を実現します(ハチドリ電力とは)。

また、電気代の1%が、自然エネルギー発電所を増やす取り組みに使われます。

そして、電気代のもう1%が、NPOなど社会活動の支援につながります。

これら3つの特徴がありますが、一つずつ順番にご説明します。

特徴①CO2排出ゼロ・実質自然エネルギー100%のプラン

私たちハチドリ電力のプランは1つだけで、実質自然エネルギー100%のプランのみです。

現在、日本にはたくさんの電力会社があって、彼らも自然エネルギーを普及させようとしていますが、自然エネルギー100%のプランだけではなく、50%や30%のプランも併用しています。

その理由は単純で、自然エネルギー100%だと電気代がどうしても高くなってしまうので、お客様の経済状況に合わせて選択肢を用意しているからです。

しかし私たちは、地球温暖化を止めたいという思いで電力事業を始めました。

地球温暖化への影響を考えると、自然エネルギー100%であるべきだと考え、このプランのみを提供しています。

特徴②電気代の1%が自然エネルギー発電所の建設費用に

特徴の2つ目は、電気を使えば使うほど自然エネルギーの発電所が増える仕組みを作っています。

電気代の1%を積み立て、それを原資に発電所を増設していきます。

発電所を増設すると売電ができるようになり、売電収入が入りますが、これはハチドリ電力に利益として入ってくるものではなく、100%追加建設に使われます。

自然エネルギーの需要を増やしつつも、火力発電を減らすには自然エネルギーの供給量を増やす必要があるので、それらを一貫して行うためです。

特徴③電気代の1%で社会活動を応援

3つ目の特徴は、2とは別の電気代の1%で、社会活動を応援できる仕組みです。

今、ハチドリ電力と提携しているNPOや社会活動家は55団体(※2021年6月時点で63団体) で、11の活動カテゴリに分かれています。

電気で頑張る人を応援する(ハチドリ電力)

カテゴリは、子どもの貧困・教育、障がい・社会福祉、動物愛護など様々です。

団体の活動地も国内外で様々で、電気の契約時に、応援したいNPOや活動家を選ぶと、そこに毎月必ず電気代の1%寄付される仕組みです。

1%と聞くと少額と思われるかもしれませんが、電気は毎月必ず使うものなので、1%が積み重なれな大きな額になります。

こうすることで、地球温暖化という問題だけではなく、地球温暖化以外の社会問題の解決にも関わって頂ける仕組みにしています。

自然エネルギー100%でも、価格を抑えた料金設定に

先ほど「自然エネルギー100%のプランだと電気代が高くなってしまう」とお伝えしましたし、「やはり高いのでは?」とよく言われますが、電気代はできるだけ安くしました。

大手電力会社の従来プランより安くなる設定にしています。

▶ハチドリ電力の料金プラン

例えば、東京にお住まいの4人家族がハチドリ電力と契約した場合、使用状況によって異なりますが、年間2,000円安くなる試算です。

▶ハチドリ電力の料金シミュレーション

電気料金は、大きく分けると、基本料金と電力量料金の2つで構成されています。

ハチドリ電力では、基本料金部分は大手電力会社の従来プランと同額にし、電力量料金部分は大手電力会社の設定単価よりも少し安く設定しています。

こうすることで、大手電力会社と比べて、すごく安くなるわけではないですが、「高くならない」状態で、自然エネルギー100%を使って頂けるようにしています。

『ハチドリのひとしずく』

最後に、ハチドリ電力の名前の由来となった、『ハチドリのひとしずく』という物語を観て頂きます。

これは中南米に古くから伝わる物語で、短いですが、私たちの伝えたいメッセージが全て詰まっています。

『ハチドリのひとしずく』

南アメリカの先住民に伝わるお話です

森が燃えていました

森の生きものたちは、われ先にと、逃げていきました

でもクリキンディという名のハチドリだけは、行ったり来たり

口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは、火の上に落としていきます

動物たちがそれを見て、「そんなことをして、いったい何になるんだ」といって笑います

クリキンディはこう答えました、「私は、私にできることをしているだけ」

あなたのひとしずくで、社会が動く

みんなのひとしずくで、世界が変わる

いま、私たちにできることを

ハチドリ電力

ありがとうございます。

一人ひとりが、目の前にあるできることを

「電気を替えるだけで、本当に地球温暖化を止められるのか?」という声はよく耳にしますが、この物語のクリキンディのように、私たち一人ひとりが、まず目の前にあるできることからやっていく。

一人ひとりの力は微力かもしれませんが、無力ではないと思っています。

微力が集まれば、必ず世界を変えていけると信じています。

皆さんのひとしずくから世界を変えていけるように、私たちのできるアクションの1つが自然エネルギーへの切り替えだと思いますので、ぜひご検討頂けたらと思います。

最後に、「どうやって電気の切り替えをすればいいか分からない」という声をたくさん頂きますが、ハチドリ電力への切り替えはウェブで簡単に行えて、5分で手続きが完了します。

WEBお申込み(ハチドリ電力)

現在の電力会社の情報を入力頂き、ハチドリ電力と提携している支援団体を選択頂くと、完了です。

今契約している電力会社への解約手続きも不要で、登録すると自動で電力が切り替わるので、ぜひ「ハチドリ電力」と検索いただければと思います。

ありがとうございました。

▶こちらも合わせてご覧ください。
新企画のランチョン・セッションで、社会の変化に応える最新テクノロジーにキャッチアップ【ICC FUKUOKA 2021レポート】

(終)

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編集チーム:編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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