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「完全燃焼せよ。常に自分に問いかけよ。」

「今ここに絶対にチャンスがある。今までの自分に自信もある。心の底から思っているから、それが伝わって人が集まる」(FiNC 溝口)

急成長を続ける企業を率いる若手経営者の集ったセッション。大学生活の有意義な過ごし方を含めた20代へのアドバイス、挑戦の大切さ、仕事への向き合い方について真剣なディスカッションが展開された。後篇をご覧ください。

登壇者情報
 2016年2月17日開催
 ICCカンファレンス STARTUP 2016
 Session 1「 20代にどれだけチャレンジできるか?」

(スピーカー)
 宇佐美進典 株式会社VOYAGE GROUP 代表取締役CEO
 小泉 文明 株式会社メルカリ取締役
 玉川 憲 株式会社ソラコム 代表取締役社長
 平尾 丈 株式会社じげん 代表取締役社長
 溝口 勇児 株式会社FiNC 代表取締役社長CEO  

(モデレーター)
 小林 雅 ICCパートナーズ株式会社 代表取締役

前編はこちらをご覧ください:20代にどれだけチャレンジできたかで人生は大きく変わる
中編はこちらをご覧ください:目の前の努力を通じてどれだけ自分に自信を持てるか?


「リスクを取らなければチャンスもない。自分の中で取り得るリスクを見極めて最大限挑戦すべき」(ソラコム 玉川)

小林 テーマを変えてきましょう。質問したい人はいますか?

質問者6 皆さんにとって、リスクとは何ですか? 大きいリスクを背負わなかったら、経営者というところまでいかないのかな、と思いまして。

玉川憲氏(以下、玉川) 僕は40歳の手前にして、Amazonのクラウド事業の技術のトップをやっていたので、それなりにすごくいいポジションで給料も良かったんですけど、子ども3人いながらそれをやめたんですよね。で、スタートアップをつくったんですけど、そのときに皆さん誰しもに聞かれたのが、「奥さん大丈夫なんですか?」と言われるんですよ。

いわゆる「嫁ブロック」という話があって。僕もそれは気になったので、一番最初に奥さんに相談して、「スタートアップやりたいんだけどいいかな?」というのを聞いたら、うちの奥さんは、「いいんじゃない」と言ってくれたので、僕の場合は、なかったんですけど。

リスクというのは、日本人的感覚で言うと、危ないこととか、危険というニュアンスの方が強いと思うんですけど、僕がアメリカのMBAに行っていたときのリスクの定義っていうのは、振れ幅なんでね。振れ幅というのはどういうことかというと、小さいとリターンも小さいし、大きい変動をとるということは、リターンを大きいかもしれないっていうことなんですね。

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なので、皆さんにお伝えしたいのは、リスクをとるということ自体は悪いことではなくて、リスクをとるということは大きなチャンスを手にするかもしれない、ということ。ただ、考えないといけないのは、自分がどこまでのリスクをとれるのかという、リスクに対する許容度というのがあると思うので、それは自分の環境とか、自分の実力だと思うんですよね。さきほど溝口さんが言っていていた「ある意味何もしなくても生きていける」という言い方をされていましたけど、ある程度のリスクをとる実力や環境、仲間がいるので、自由度が高いんですよね。

溝口勇児氏(以下、溝口) いわゆる起業の世界ですと、「失敗」ってよく言われるのは倒産なんですよね。会社を潰してしまうこと。それが一番の「失敗」って言われているんですけど、僕は、若い子は特にリスク・リテラシーがあんまりないな、と率直に思っています。例えば、会社を潰したときのダメージって何かなっていうと、まずは返済できないレベルではない借金ですよね、特に、創業初期で言えば、僕も借り入れ3千万円くらいで始めたんですけど、銀行もバカじゃないんで、こいつは3千万円くらいは返せるだろうな、というレベルのものを貸しているんですよ。つまり、色々な審査をされて、これくらいだったら大丈夫かな、と。なので、創業初期にいきなり10億とか貸してくれないんですよ。

そうすると、初期において言えば、返済できないレベルではない借金、言い換えれば人生を棒に振るレベルではない借金と、あとは大言壮語なことを言って起業したのであれば、失敗したときにちょっと白い眼で見られるくらい。仮にもしお世話になっている人、あるいは取引先の人がいたのだとしたら、その人たちには迷惑をかけてしまうかもしれませんが、それも事業の精算の仕方を工夫したりとか、撤退ラインとかをきちっと間違えなければ、そんなにご迷惑もかけないと思うんです。

そうすると、実際倒産って大したダメージじゃないんですよね。だから、そういう意味でいうと、人生の「失敗」って月並みですけど、人生を後悔すること、だと思っていて。

僕はすごく刺さっている言葉があって、それはあるフランスの作家の方がおっしゃっていた言葉で、「地獄とは成し遂げられたはずのことを成し遂げられなかったことや成し遂げていく様をまざまざと見せつけられること」と言っていたんですね。僕もですね、年齢がかなり上のお世話になっている方がいるんですけど、応援してくれている人と応援してくれていない人は間違いなく分かれていて、応援してくれる人の特徴は、人生を後悔していなくて、今の自分だったり、プロセスにものすごく自信がある人なんですよね。

一方で、応援してくれないというか、正確に言うと嫉妬を向けられるケースは、「あの時ああやっておけばよかった」とか「君は羨ましいね、恵まれているね」というような言葉をよくかけられるんですね。それって、深く掘り下げていくと、後悔があるんですよね。ですから、僕は大人になったときに、若者に対して、そういう嫉妬とか、自分もあの時頑張っておけばよかったということを思わないような人生を歩めたらいいな、ということをすごく意識していますね。

「旗を立てろ。旗を立てれば必ず応援してくれる人が現れる」(小林)

小林 いい話ですね。ちなみに金融とかに詳しい人は分かるんですけど、リスクとか、ポジションをとるとかという言葉があるんですけど。まさにポジションをとらないと何もないっていう世界だと思うんですよ。やはり自分の人生をどうしたら良いかっていうのは、選択肢がいくつかあって、幅広くて絞ることも実は大変なんですけど、絞った中で、社会を変えるような大きな事業なんだけど給料が全くもらえない、どうしよう、というパターンと、もう一方は、手堅い大きな会社に行って、同期が何千人という中で、何となく入って安定しているという世界を目指す人、それはそれで給料は安定しているっていう金銭的な意味でのリスクはない、けど、楽しいかな、人生やりがいがあるのかな、と感じながら生きる、というパターンがあると思うんですよ。例えば、極端に言うと、そういう中で、結局自分がどうポジションをとりたいか、とるか、ということだと思うんですよ。

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ICCのロゴマークが旗である意味は、「旗をたてろ」、つまり「ポジションをとれ」っていう意味なんですけども。旗を立てましょう。立てると何か支援してくれる人も出てくるし、逆に敵みたいな人も出てくるし。当然ながらポジションをとるからね。平尾さんとかが、過激な発言をすると、あいつ生意気だっていう人は当然ながら10人に2人くらいはいるわけですよ。だけど、「すごく面白い、可愛がってやろう」という人たちが多くて、彼みたいな尖った方も、世の中に認められ、尊敬され、社員がいっぱいいるというような会社になるんですよね。

もちろん嫌いな人もいるかもしれないしし、みなさん全員に好かれることはないんですけども。そういうことだと思うんですよね。そういうのは必ずあるんですよね、トレードオフというんですけども。自分のやりたい方向にポジションをとるというのは非常に重要かな、と思いますね。

皆さんの中で、これはポジションをとったっていう経験は、どういう経験のときに大胆なポジションをとったことがありますか?

宇佐美進典氏(以下、宇佐美) 何回もかぶっちゃうんですけど、学生結婚はひとつポジションをとった経験ですね(笑)。やっぱり選択肢はいくつかある訳ですよ。

小林 学生で起業をするとかは結構聞くけど、学生結婚というのは、知っている限りで言うと、宇佐美さんしから知らないですよ。

宇佐美 でも、今年、新卒で学生結婚して、子どもがいる人が入っているんですけど、もうそれだけで内定、みたいな(笑)。人がやらないことを、人がやらないタイミングで意思決定をしたっていうことを、19歳のときに出来たっていうのはすごくいい経験でした。

それを振り返ってみて思うのは、高校生までの人生って、結構正解があるんですよね。テストって必ず選択肢があって、その中でどれか一回は正解でっていうのがあったり、記述式にしても正解と不正解というのが明快にありますよね。大学生以降、社会人になってくると正解がある訳じゃないんですよね。色々な選択肢があったとしても、それらの選択肢の中で、どう正解にしていくのかっていう、選んだ道の中でどう正解にしていくか、なんです。どのポジションをとったとしても、正解があるので、だったら、よりリスクのあるポジションをとった方が人生の振れ幅としては、面白いんじゃないかな、と思っています。

小林 人生を楽しみたいという人であれば、他の人とは全く違う選択肢をとる方が楽しいかな、と思いますね。他に質問ある人いますか?では、手を挙げた人の中で一番若い人にしますか。

「今ここに絶対にチャンスがある。今までの自分に自信もある。心の底から思っているから、それが伝わって人が集まる」(FiNC 溝口)

質問者7 22歳です。お話ありがとうございます。溝口さんに質問があります。聞いていて、2つの経緯について質問をしたくて。ひとつは、さきほどものすごいキャリアを持っている人が側近にいるという話があったんですけど、そういった人をどうやって惹きつけたのか、ということを聞きたくて。もう一つは、トレーナーを17歳からプロとしてやっていたという話を聞いて、自分もずっと野球をやっていて、そういったトレーナーの方の本を読んでいるんですけど、17歳でそこまでいったのがすごいな、と思いました。トレーナーになった経緯について、伺いたいです。

溝口 トレーナーについて答えると、僕は進学という道がなかったので、ただ勉強も好きではなかったですし、スポーツはすごい自信があったんですよね。自分も実はプロアスリートになりたいな、という夢があったんですね。そうすると、そういう道が閉ざされている以上は、逆にアスリートを支援する側に回りたいと思っていて、そんなときにまさにそういうトレーナーの先輩がたまたまいて、その方が色々な機会を与えてくれて、アスリートの方の支援をさせて頂くことになったんですね。当時、高校生だと珍しいじゃないですか、今日も高校生がいるか、(小林)雅さんが手を挙げさせてましたけど、この中に中学生とか高校生がいたら、面白いじゃないですか。それと近いですよね。

ただ、僕はトレーナーはやってみて、さっきの話じゃないですけど、一生懸命その道で頑張ってみると、やっぱり違うな、というのがあったわけです。例えば、当時だとアスリートで、有名なプロ野球の日本代表の選手とか、彼と一緒にやっていたときに、球場に一緒に出て行くと、30人くらいのファンに囲まれるんですよね。なまじ僕の方が身体もでかかったりするし、あぶれたファンが僕のところに来るんですよ。僕もきっと選手じゃないか、と思われて。「サインを下さい」って言われるんですよ。で、「僕はトレーナーなので、サインを書いてもほぼ価値ないですよ」と言うと、大人は、「そうなんですね」と言って大人の対応をしてくれるんですけど、子どもは、露骨に嫌な顔をしたり、ひどいケースだと舌打ちとかしてくるんですよ(笑)。

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そうしたアスリートの支援もそうですが、お年寄りの人たちの支援も平行してやっていたんですけど、そっちはすごくやりがいがあったんですよね。膝が悪かった人が膝の痛みがよくなって、今まで家族に旅行を誘われても、迷惑をかけちゃうからといって、「私旅行好きじゃないの」と行きたいのについ邪険にして行けなかったのが、誘われた時に素直に「行きたい!」と言えるようになったってこととか。そういう経験がたくさんあったんですよね。これはやりがいがあるな、と思って、そういう道に進んでいきました。

じゃあ、人は何で集められているかって言えば、ひとつは市場性があるっていうことですね、望む回答ではないかもしれないですけど。この事業は市場性があります、僕がやっていることは。そして、社会性がある。
タイミングがむちゃくちゃいいんですよね。やっぱり伸びてきた会社、世の中を変えてきた会社はタイミングをつかんでいますよね。たまたま3拍子揃ったというのがあります。

そして、僕は今日までそこにどっぷり浸かってきた。その領域だけを一生懸命やってきた。僕の世代で言えば、僕以上にこの世界で長く、31歳で14年間もやってきた人間はいないですから、なかなか珍しい。そして、そこそこの資金があって、更にいい人材がいれば、すごくいい循環が回っていきますよね。

最後は、僕らはすごくビッグピクチャーを描く会社です、こういう世界を創る、世の中を変える、と。FiNCでしか救えなかった人を、他の会社では救えなかった人を、世の中にどれだけ多く創れたかが、我々の価値だ、と。Facebook、Googleみたいな会社になる、と言っている訳ですよね。

もう一つは、ストレートに言えば、先ほどの質問にもつながりますけど、やれると思ったんですよね。今のチームとか今のタイミングをつかめば、やれると思っているから、「今逆にここで参加しなかったら、一生後悔するぞ」っていうそういう言い方はしませんけど、そう思ってもらえれば、「そこに加わってみたいな」、というのが人の性じゃないかな、と思うんです。なので、色々なことが重なって今があるんですね。僕の能力だけじゃないですね。僕の能力は1割くらいですね。残りの9割はそうした別の理由ですね。だから、それが大きかったと思いますね。

宇佐美 ちょっといいですか。僕が見ていて思うのは、色々な優秀な経営者の人っている中で、今言った3拍子揃っている事業をやっている会社ってたくさんあるんですよ。でも、溝口さんはその上で、自分よりも優秀な人を採ろうっていう、そういう受け容れる度量の幅っていうのがやっぱりあるんですよね。

それがあるからこそそういった方を採用できているんだと思います。採用する時ってともすると自分がコントロール出来る人を採用したくなるんです。言ったことをちゃんとやってくれる人とか。でも、僕が以前から溝口さんと話をしている中で思うのは、常にビッグピクチャーを描きながら、自分よりも優秀な人をちゃんと受け容れようという度量があるのが、結果として、色々な機会で縁がある人をぐいっと引っ張ってくることになっているんじゃないかな、と思います。

小林 最後に聞きたいことある人いますか。

質問者8 成功すればするほど、余計な嫉妬を買うことが多分あると思うんです。僕は気にしないよ と言ってしまえば、それまでなんですけど、ネガティブキャンペーンをはられるようなこともある気がするのですが、そういうものに対するコントロールはどうしているのでしょうか?

溝口 明らかにこの中で、平尾さんは全くコントロール出来ていないですよ(笑)。僕もコントロール出来ていないので、宇佐美さんとかずごく上手ですよ。

宇佐美 コントロールじゃないんですよ、スルー力(りょく)ですよ。僕が思っているのは、結局自分のことをよく知っている人というのは、半径5メートル10メートルにいる人たちで、その人たちにちゃんと信頼されていればいい、と。信頼の輪っていうのは、じゃあ半径5メートル10メートルを、どう15メートル20メートルに広げていくのか、というところですね。上場したり会社が大きくなってきたりすると、今日ここにいる人もそうですけど、僕は知らないんだけど、僕のことを知っている人が増えてくるんですよね。そういう人に仮に何かを言われたとしても、まぁスルーですね。でもその中身についてはありがたい指摘だと思って受け入れるようにしています。

小泉文明氏(以下、小泉) 僕がニートをやっているときに、ミクシィを退職した32歳で5社くらいやっていたときは、めちゃくちゃ批判されましたよ。あいつ暇にかまけて、ベンチャーをだましている、みたいな。すごく色々な会社の経営に少しだけ絡んで、あいつ美味しい、とか。すごく言われたんですけど、僕は全部の会社を絶対成功させようと思って、2年経って、今こういう感じで全社一応かなり大きくなっているので、逆に、僕は言ってくれて、あの時ありがとう、という感じなんですよね。それですごく闘争心が燃えた、というのがありますから。叩かれ慣れているっていうのもあると思いますけど。

玉川 スルー力という観点だと、僕もどちらかというと、スルーするタイプなんですけど。客観的に観るというのがすごく大事で。例えば、すごくアタックされたときに、何でこの人がこういうことを言っているのか、という理(ことわり)が理解できると、別に憎くないんですよね。一個上の範囲で客観視できると、より広い範囲でみられると、全然スルー出来るんですよね。それをはね返してしまうと、何だよっていう感じになってしまいますけど。

「完全燃焼せよ。常に自分に問いかけよ。自ら機会を創り出しているのか?チャンスを自分で獲りに行ってるのか?」(じげん 平尾)

小林 時間も来てしまったので、最後にここに座っている皆さんから、1人ずつメッセージを頂きたいな、と思います。順番は小泉さんから。最後は平尾さんでしめるということにしましょう。

小泉 20代は修行かな、と思っていまして。運良く27歳で役員をやりましたけど、ほぼほぼ、それは修行だったな、と思っているんですね。いま30代は、20代の経験をどう活かすか、というチャレンジをしていまして、僕はやっぱりグローバルで成功する会社を創る、と。日本で、ある程度成功する会社は20代で創れたという自負がありまして、30代は、アメリカで30何人社員がいて、イギリスもオフィスを作ってメンバーを集めていまして、アジアもこれから出て行くんですけれども、日本に限らずグローバルでバックグラウンドの異なる人をどうマネジメントしていくか、というのが次のチャレンジかな、と思っています。

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少なくとも40代、50代になると個人のエゴや欲から、社会にどう還元できるのか、といったそういうものに移っていくと思うんですけれども、どんどん欲は僕自身、非常に大きくなっていくんですけれども、そのベースは20代の努力だと思っています。ここにいる皆さんは、20代の仕事量だったら誰にも負けないって思っているメンバーだと思うんですけど。20代の残業時間の自慢をしたら、絶対誰にも負けたくないと思うんですけど(笑)。

小林 僕も20代前半は、普通に夜中の2時まで働いて、6時起きみたいな感じでした(笑)

小泉 そうですよね。脳みその筋トレを20代にしておかないと、なかなか30代、40代に脳みその筋トレをするのは、しんどい、基本的には難しいと思うので、何のことを成すかという大きなビジョンを決めた上で、着実に迷わずチャレンジしていってほしいな、と思います。どうもありがとうございました。

小林 ありがとうございます。

宇佐美 僕以外が、もっといいお話をしてくれると思うので…。僕は、正直、大学時代は、学生結婚をしたのもあって、すごく不完全燃焼な学生時代だったんですね。何かに集中して取り組むことも出来なかったし、大学のゼミにも成績が悪くて入れなかったし、中途半端にアルバイトだけして、何とか暮らしているという学生時代を過ごしていました。今日ここにいる皆さんの中にも、今日の話を聞いて、大学時代何もしていない、どうしようと思っている皆さんもいるかもしれないですけど、でも大丈夫です。僕はそういう思いがあったからこそ、社会人になったときに、限界までもっとやりたい、と思うようになりました。学生時代はある意味潜伏期間というか、そういう風につながったかな、と思っています。

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そういうときに大事だな、と思うのが、平尾さんは眼が良かったり、玉川さんは耳が良かったりするように、僕は体力があったんですね。20代にベースになるのが体力だと思っていて、体力があれば、人の倍働けるんですよ。もっと言うと、2.5倍くらい物理的な時間で言えば、頑張れるんですね。20代のときにどれだけ頑張るかっていうのは、質的に集中するというのもあれば、最初はボリューム、時間として頑張るやり方もあると思うんですけど、大学時代に、何をやっていいのか分からないというのがあるのであれば、体力をつける、ということをやってもらえれば、ある意味何にでもそれが活かせる、その後につながってくるんじゃないかな、と思います。ぜひ体力つけて下さい(笑)。

小林 ありがとうございます。

溝口 僕はトレーナーをやっていたときに、お客様に伝えていたのは、僕らの世界には、「You are what you eat」という言葉があって、これはどういう風に使っていたかというと、「あなたは食べたもので創られている」というお話をしていたんですね。プロのアスリートにもよく伝えていたんですけど。人間って、結局食べたものとか、使った時間とか、お金の使い方とか、そういうもので全て決まってくると思うんですね。今の到達点とか、今の在りようというのは。でも最近すごく思うのは、それは全部自分で選択しているんですよね。ですから、「You are what you choose」だな、と。つまり、選択で出来てくるんだな、という風にすごく思っていて。

僕が若い学生の子たちによく伝えるのは、何でもいいからロールモデルを見つけろということです。孫正義になりたいでも、例えば平尾さんみたいになりたいでもいいです、織田信長とか坂本龍馬でもいい。漠然とお金持ちになりたいでもいい。その際に、彼らを目指してくときに、目の前のAという選択とBという選択、どちらを選択することがそこに近づくか、ということです。僕はそこを定めて、後は己に勝ち続けられるか、ということが最終的な高さを決めると思うんですよね。例えば、二手の分かれ道を20回選択すると、約100万通りの未来が広がるわけです。つまり、100万分の1の日々の歩みをすれば、大体そこまでいけますよね。自分の描いているところまではいけるんですよ。ただ、みんなそこで、大事な選択の局面で合理的な選択が出来ないんですね。合理的な選択が出来ないことで、自分の最終的な到達点を下げてしまうっていうのは、非常にもったいないな、と思っています。

もしこの中で、学生の子たちで、ビジネスの世界で頑張りたいと思っているんだとしたら、仕事に時間を割くのはすごくおすすめだと思います。インターンとかすごくやっぱり得られることが多いと思います。ただし、インターンにおいてアドバイスをすると、やっぱりふわふわ働きに来ている人に、大きな役割は回ってこないということです。さっき僕はものすごく働いていたということを言っていましたけど、あれって結局は自分が努力家だった訳ではなくて、やらざるを得ない環境に身を置いていたんですよね。ですから、頑張らざるをえない環境に身を置くこと、責任の幅が大きいところに身を置くことが大切です。それを前提に考えるといついなくなるか分からない人間に大きな役割は振りづらいんですよね。なので、インターンをやるならば、なるべくいいところを見極めて、「僕はもうこの会社の成長にコミットします」、「僕はどんなことがあってもあなたについていきます」、「この会社のビジョンのために頑張ります」ということを極端に言えば結果として嘘になってもいいから言えたらいいと思いますね。、そういう子にはものすごく重たい役割を与えやすいんですよね。「絶対にこいつは投げ出さないな」っていう信頼があるので。そういう信頼を築けたらすごくいいな、っていう風に思いますね。

小林 ありがとうございます。

玉川 皆さん、今日ここに来られているだけで、すごく素晴らしいと思っていて、小林さんがこういう場を創って色々な人の話を聞けたと思うので。僕は好きな言葉の中で、今日何がいいかな、と思って、2つお贈りしたいのですが、まずひとつが、スティーブ・ジョブズの”Connecting the Dots”という言葉があると思うんですけど。今日の話の流れでいったときに、僕も思うのが、20代で2年か3年ごとに成果を出そうと思って、一生懸命やったんですね。そのことっていうのは、2年3年ごとに悔しい思いをして、そのときは成果が出なかったんだけれども、結局振り返ってみたら、それが全てつながって、今のこのソラコムという仕事に確実につながったという風に思っていて。なので、成功とか失敗とかって、どのレンジで見るかで、全然変わってくるんですよね。一方で、目の前のことを一生懸命やらなかったら、自分の魂に何も積もらないので、目の前のことを一生懸命やった方が良くて。一旦決めたら、何か成果を得られるまでは、しっかりやり遂げる、今を信じるしかないので、信じてやり遂げるということが大事かな、と思います。

もうひとつは、僕はAmazonにいたので、(創業者の)ジェフ・ベゾスはやっぱり尊敬していて、彼が言った言葉の中で、”We’re our choices”という言葉があります。これは、皆さん今日ここにいるだけで、すごくギフトに恵まれている、生まれつき素晴らしい才能を持っていることは証明されています。一方、それってやっぱり与えられたものなので、それだけじゃだめだと思うんですよね。自分がこの後どういう生き方をしたいか、どういうことをしたいか、という選択自身が、自分たちの人生にあると思うので。僕も振り返って、色々な選択をしてきて、例えば明日死ぬことになっても、あんまり後悔をしない選択をしたいな、という風に思ってずっとやってきたので、まったく毎日ハッピーで、毎日楽しく生きていますけども。そういう選択を、自分自身でしていってほしいな、と思います。

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小林 ありがとうございます。最後に平尾さんお願いします。

平尾丈氏(以下、平尾) 私もですね、今日は2つお伝えしたいと思っています。私の名前が平尾丈というんですけれど知っていますか?皆さん。これは知っていると思うんですけど、私の平尾丈の名前の丈の由来を知っている方いますか?これを知っていたら、平尾丈マニアですね。いますか?いないでしょ。毎回自己紹介小出しにしていきます(笑)。

私の名前の丈の由来は、小さい頃自分はすごく嫌だったんですが、(名付け親の)親父はもう早くに亡くなっているんですけど、「あしたのジョー」の丈なんですよね。矢吹丈、皆さん世代とはちょっとジェネレーションギャップを感じますが、さっき宇佐美さんが、不完全燃焼という言葉を使われたので、僕は完全燃焼し続けられるかっていうのをすごく大事にしていますね。最初に名前の由来を聞いたときはガッカリしました。なんだ、アニメの主人公の「あしたのジョー」で安直で、画数が15画で縁起がいい、みたいな。名前の由来を聞いたときに愕然としてですね。少年、平尾丈10歳の頃ですね、ものすごくショックを受けました。小学校でも、そんなに「あしたのジョー」も有名じゃなかったし、なんだよとかいっていて、愛情・友情・平尾丈になっていったんですけど(笑)

その後たまたま「あしたのジョー」を読む機会があって、矢吹丈が「完全燃焼したいんだ」という台詞があります。チャンピオン、ホセ・メンドーサの「コーククリュー・パンチ」に何度も倒れては立ち上がり、次第に丈が無意識的にコークスクリューパンチが打てるようになってきて。気がつけばジョーを応援している自分がいて。最後のシーンで矢吹丈が下を向いて真っ白になっていて、最後完全燃焼したんだなというシーンがあって。何かに想いを持って一生懸命打ち込みに打ち込んでいる人の人生は本当に格好良いなって。

僕は、そこから自分の名前に誇りを持っていったんですけど。やっぱり自分の人生を不完全じゃなくて、完全燃焼して、想いを成し遂げて燃え尽きれるかどうかは、自分のひとつのポリシーですし、完全燃焼を今現在しているのかっていうのは、皆さんに持って帰って頂きたい言葉です。

もうひとつ、20代の頃にすごく愛用していた大好きな言葉がありまして、自分の前職リクルートの創業者の江副さんの言葉です。こちら側(登壇者)の方々は皆さんご存知で、あちら側(参加者)の方々は、全然誰も聞いたことないんじゃないか、と思いますけど、「自ら機会を創り出し機会によって自らを変えよ」という、私の大好きな言葉があります。聞いたことある人いますか?

(会場挙手)

すごいですね、どこで知るんですか。昔の社訓なんですよね。今は、「まだここにない、出会い。」になっているんですけど。やっぱり、自ら機会をちゃんと創り出しているか、チャンスを自分でとりにいっていますか、創っていますか、というのを常に自分は言っていたんですけど。(元 読売ジャイアンツの)桑田投手もぶつぶつ言いながら投げてますよね。自分も集中したいときや、失敗したときもそうだし、何かちょっとした時間のときとかに、「自ら機会を創り出し機会によって自らを変えよ」とずっと心の中で呪文のように唱えていました。

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なので、機会を創り出しているか、これ難しいんですけど、その機会でまた自分を創り変えて、変えていっているか、この2つですね。今日は本当に素敵な場があったと思っていますし、色々な良いインプットが会ったと思うのですが、それを聞いて終わらないで、ちゃんと機会によって自らを変えていってほしいな、と。今日来られた方々は、小林さんが創った場ですが、来られたということは、ご自身で機会を創られたんだと思います。そこに対して、ちゃんと変わっていけるかどうか、ですね。というのを、最後の言葉にしたい、と思います。本日はご清聴ありがとうございました。

小林 ありがとうございました。非常に盛り上がったと思います。拍手でお送りしたいと思います。

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(終)

編集チーム:小林 雅/小林 泰/城山 ゆかり/藤田 功博

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