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トップリーダーたちが、尊敬する”MY偉人”についてプレゼンする「世界の偉人伝」、前回の大好評を得て、シーズン2の書き起こし記事の登場です。全8回シリーズの(その4)は、シニフィアン朝倉 祐介さんがプレゼンする「渋沢 栄一」です。『論語と算盤』が好きすぎて、本を書いてしまったという朝倉さんが、その魅力を大きく3つに分けて紹介します。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 ダイアモンド・スポンサーの<ノバセルにサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICCサミット KYOTO 2021
Session 10C
世界の偉人伝 (シーズン2)
Supported by ノバセル
(スピーカー)
朝倉 祐介
シニフィアン株式会社
共同代表
石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事
出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長
高田 修太
一般社団法人HLAB/株式会社エイチラボ
共同創設者COO / プロマジシャン
丸 幸弘
株式会社リバネス
代表取締役 グループCEO
(モデレーター)
井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
パートナー
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最初の記事
1. 経営者が「偉人」を語る好評シリーズ第2弾!
1つ前の記事
3.HLAB 高田さんが紹介するのは“母校の大先輩”「田邉 朔郎博士」
井上 では、次の偉人にまいりましょう。
朝倉 渋沢 栄一から学ぶ「ともに学び、ともに産業を創る」ということで、お話しさせていただきます。
井上 ICCサミットのコンセプトですね。
朝倉 渋沢 栄一については、私、シニフィアンの朝倉と石川さんでお話しします。
僕からはざっくり概要をお話しした上で、石川さんからよりつっこんだ視点でお話をしてもらおうと思います。
渋沢 栄一好きが高じて『論語と算盤と私』を出版
朝倉 ここにお集まりの皆さんは、歴史好きな人が多いと思いますし、好きな歴史上の偉人がいるのではないかと思います。
僕個人は歴史が好きですが、過去の偉人で好きな人は?と聞かれてもあまりよく分からないし、織田 信長や徳川 家康はやっていることが違いすぎて、その生涯は好きですが、ピンときません。
我々が生きている今の日本のコンテクストにも通じるという意味で、僕が唯一挙げるとすると、それは渋沢 栄一で、敬愛している人物です。
好きすぎて、以前本を書きました。
『論語と算盤と私』という大変な名著です(笑)。
この後に『ファイナンス思考』という本も出して、これは結構売れたのですが、この『論語と算盤と私』はピクリとも動かず、売れなかったのです。
(一同笑)
大変な名著なのですが、売れなかったわけは色々ありまして。
今であれば、渋沢 栄一と聞けばブームにあやかってと思われるかもしれませんが、出版したのは2016年で、論語と算盤をオマージュしたのに、みんなそもそも渋沢 栄一を知らなかったのです。
井上 先取りしすぎてしまったんですね。
朝倉 早すぎた、これが一つ。
そして、「算盤(そろばん)」という漢字が難しくて、今なら読めるけど、当時は「さんばん」と読んでしまっていたのが一つ。
あと、平松 愛理の『部屋とYシャツと私』を、既にもう覚えていなかったのが一つ。
(一同笑)
▶平松愛理「部屋とYシャツと私」(25th Anniversary Live /DVDセレクション)
井上 (笑)、そこですね。
朝倉 ええ、ですから内容は大変良かったのに、全く売れませんでした。
井上 サブタイトルがまた良いですね、「これからの経営と悔いを残さない個人の生き方について」。
朝倉 ちなみに、インスピレーションは彼から得たのですが、本の内容は渋沢 栄一とは特に関係のないものです。
一同 ないの?(笑)。
井上 今、会場の人が買ってくれたと思います。
朝倉 20冊くらいは売れましたかね、ありがとうございます。
渋沢 栄一の魅力と現代的解釈ということで、ここにお集まりの皆さんは、渋沢 栄一のことは大まかにはご存知だと拝察しますが、改めて、現代的解釈で、どういうところが魅力的かを3点に分けてお話しします。
まず、振れ幅の大きい人生を送られていたこと。
そして、連続起業家、ベンチャーキャピタリストであったこと。
加えて、ある種インフルエンサー、思想家であったこと。
これら3つの側面があると思っています。
この画像は、渋沢史料館所蔵のもので、きちんと許可を得てから持ってきたものです。
渋沢 栄一の魅力①振れ幅の大きい人生
朝倉 こちらは、渋沢 栄一の“配列”(※) です。
▶編集注:アミノ酸の配列の重要性を発見したノーベル賞受賞者のフレデリック・サンガー博士を解説したPart2で、博士の年表を「配列」と表現した丸さんの発言に続いたもの。
▶渋沢栄一の功績(刀剣ワールド)
朝倉 1840年生まれなので、先ほどの田邉 朔郎さん(Part3参照)よりも少し早い生まれです。
埼玉で生まれ、色々なことをして、一橋 慶喜に仕えたことはご存知だと思います。
そこからフランスに行き、新政府が興ってその政府の役人になり、その後は事業家としての道を歩みました。
抜粋しようと思ったのですが、年に1度は偉業を成し遂げているので、まとめられませんでした。
この方は91歳まで長生きしましたが、これはまだ前半生の部分です。
こちらが後半ですが、これでもだいぶ間引きました。
1年に1回は、何かしらすごいことが起こっているのです。
井上 本当ですね(笑)。
朝倉 ものすごい大人物にもかかわらず、これまで大河ドラマの主人公に選ばれなかったのは、これが理由ではないかと思っています。
すごい人なんだけど、色々なことがすごすぎて、何がすごいかと言われると、ぱっと思い浮かばないのではないでしょうか。
尊王攘夷の志士から、一橋 慶喜公の家臣に
朝倉 前半生を色分けすると、結構振れ幅の大きい人生を送っています。
もともとは今の埼玉にあった豊かな農家に生まれ、10代、20代の頃は言うなれば尊攘の志士で、「高崎城を焼き討ちしてやれ!」という、今でいうテロリストだったわけです。
▶渋沢栄一の暴挙「横浜焼き討ち」止めた意外な男(東洋経済オンライン)
井上 これは突然、どうしちゃったのでしょうか(笑)。
朝倉 「幕府をぶっ潰せー!」というテロリストだったのですが、でもあまりにも無謀なので、一旦計画を取りやめようということになったようです。
そして、京都に逃げます。
この後の振れ幅の意味がよくわからないのですが、いきなり一橋 慶喜に仕えることになるのです。
写真左から、シニフィアン朝倉さん、石川 善樹さん、ユーグレナ出雲さん
石川 一橋 慶喜は敵だったはずですよね。
朝倉 そうなんですよ。
石川 あいつを殺すぞ、って言ってたはず。
朝倉 一橋 慶喜は、将軍になる前ですが当時は14代将軍の後見人、つまりナンバー2だったわけです。
今で言う官房長官みたいなものですね。
「倒閣だー!」と言っていたにもかかわらず、なぜかそこに仕えてしまう。
これは振れ幅が大きすぎますよね。
石川 そうですよね(笑)。
朝倉 そしてフランスに行くのですが、当時のフランスですから、今で言うと「ジェフ・ベゾスが宇宙に行きます」くらいのノリだったと思います。
これも、とんでもないことだと思います。
そしてフランスに行っている間に、幕府が潰れてしまいました。
フランスから帰国後は、一橋 慶喜が謹慎をしていた静岡で、彼に仕えました。
そしてここでなんと、日本で初めての株式会社を創ったのです。
新政府に見出され大蔵省に勤務するも実業の道へ
朝倉 そんな中、新政府側に見出され、大蔵省に誘われます。
しかし大蔵省では、「お前、旧幕臣側でしょ?」と結構いじめられます。
幕臣時代は、「もとは農民上がりで、徳川に牙を向いていたヤツだろう」といじめられ、フランス帰国後に新政府に勤めたら、「旧幕臣だ」と本来は志を同じくしていた尊攘志士たちにいじめられたのです。
ある意味、逆境を歩んできた人だなと思います。
非常に変わった人だなと僕が思うのが、功績が認められて順調に出世していたのに、大蔵省を辞めて実業をやると言い出したことです。
今の基準で考えれば、財務省からビジネススクールに行って民間企業に転職は普通の話ですが、当時は完全な官尊民卑の時代です。
また、渋沢 栄一は農家の出身だったので、武家に散々嫌な思いをしてきたはずです。
やっと錦の御旗側に行けたにもかかわらず、あえてその栄光を捨て去り、「金儲けがしたいのか、汚いやつだ」と言われながら民間に転職したのです。
当時の感覚では、捉えきれないくらいクレイジーな人だったと思います。
この振れ幅の大きさも、人間・渋沢 栄一の魅力ではないかと思いますね。
石川 だから、『論語と算盤』なんですよね。
商人の使うそろばんという卑しいものの価値を高めるため、ビジネスには価値があると伝えるため、当時流通していた『論語』の内容にも商人という概念は通じると示そうと、『論語と算盤』という本を出したのですよね。
だから、ビジネスパーソンが胸を張って、地位高く歩けるのは、渋沢 栄一のおかげなんですよね。
朝倉 そうですね。
「士魂商才」(※) と言いますが、ある種のアウフヘーベン(止揚)を実践した人とも言えます。
▶編集注:武士の精神と商人の才とを兼ね備えること。「和魂漢才」からの造語(コトバンク)
これが1点目です。
2点目は簡単に触れようと思いますが、連続起業家、ベンチャーキャピタリストとしての渋沢 栄一です。
(続)
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続きは 5.約500の会社設立に関わり、約600の公共事業に尽力した渋沢 栄一の思想とは をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸
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