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「次世代のコア人材をいかに育成・採用するのか」【K17-3A】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!6回シリーズ(その5)は、起業経験人材のマネジメント手法や評価の公平性・納得感の担保の仕方について議論しました。是非御覧ください。
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ICCカンファレンス KYOTO 2017のダイヤモンド・スポンサーとして、Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.) 様に本セッションをサポート頂きました。
ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2017年9月5日・6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 3A
次世代のコア人材をいかに育成・採用するのか?
Supported by Motivation Cloud(Link and Motivation Inc.)
(スピーカー)
上原 仁
株式会社マイネット
代表取締役社長
佐々木 大輔
freee株式会社
代表取締役CEO
平尾 丈
株式会社じげん
代表取締役社長
(モデレーター)
伊藤 羊一
ヤフー株式会社
コーポレートエバンジェリスト
Yahoo!アカデミア 学長
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最初の記事
【新】次世代のコア人材をいかに育成・採用するのか【K17-3A #1】
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Yahoo!アカデミア伊藤学長が聞く③:事業家を育てる「成長の方程式」とは?【K17-3A #4】
本編
平尾 1つ皆さんにご質問したいと思います。
起業家はポテンシャルもあり、成長の回転としては「一回転」している方です。
自分も学生時代に起業していたのでこの会社も早く作れたと思います。
先ほども話題にした、漫画『キングダム』に登場する武将たちはみな、癖が強いです。
▶︎編集注:『キングダム』は週刊ヤングジャンプで連載中の漫画。中国の春秋戦国時代を舞台に、大将軍を目指す少年・信と後の始皇帝となる秦国の若き王・政の活躍を中心に、戦乱の世を描く(参考:Wikipedia)。様々なタイプの「将軍」が登場する。
そのような人たちをどうやってマネジメントとしてコントロールする、逆にコントロールしないなど、そのポテンシャルを発揮させている工夫はどうなさっているのでしょうか。
癖の強い起業経験者たちをいかにまとめるか
上原 答えは、「気合」です。
(会場笑)
人材層として完全にカオスなわけですからこれを綺麗に分解して構造化しようとは思いません。「気合で握る」ことです。
役に立たない話で申し訳ありませんが(笑)これについては答えとしてそこに至りました。
うまくマネジメントできるとは思っていません。
ただ言えることは、その人たちに対するリスペクトは絶対に欠かしません。
先ほど謙虚さについての話もしました。弊社の中で合言葉のように言うのは「偉そうなおっさんは嫌い」ということです。
そのため私はそのリスペクトすべき起業経験者たちに対して基本的に敬語で話しますし、失敗の経験そのものをリスペクトし、あくまで大方針と原理原則に基づいたディスカッションに徹して、やれという命令は絶対にしません。
原理原則がこうだからこの考え方に則るとこうすることが合理的では、という議論でしか論じません。
私が偉そうにしないという前提をおいていると、その起業経験者たちも基本的に偉そうにしないようになってくれます。
偉そうではないが力ある人たちが互いにリスペクトしあってメンバーやユーザーさんの方を向いて利益を出すことにフォーカスしていると、それぞれの持っている特性はあまり大した問題ではなくなります。
気合で握って向かう方向を同じにすること。これができていれば問題ないという状態が現在のところです。
伊藤 この多様性をとにかくリスペクトしてゴールは共有するということですね。
上原 そうです。何のために仕事をするか。ユーザーさんの方を向いてユーザーさんにバリューを出すことが自分たちの存在意義です。
ごくプリミティブでそれには頷かざるをえないというような価値観を絶対握った上で同じ方向でということです。
伊藤 起業家の方と一緒のチームで結果を出すというのは佐々木さんのところではどうされていますか。
佐々木 徹底的に議論することですね。
あとは色々な意味で仲良くなるということです。
「社長としてこのようなことが大変だ」と、ある意味理解してくれる相手でもあるのでそのような弱みもさらけ出せるところもあります。
その意味では、徹底的に議論するというのもあるのですが、大変さを共感して仲良くなるのが一番重要ではないかと思っています。
社員間で軋轢をうまない評価方法はあるのか
平尾 自分が感じている経営の難しさとは、職種が複雑でやっている業務が違うことです。
例えば『キングダム』においては、兵站(ロジスティクス)をつなげる人も大事ですし、戦略を考える人も大事ですし、大将として敵将を倒してきた人も大事です。
結局「武功」を上げるときに何が評価基準になるのかにもつながってくる話です。
評価の公平性を保つことは簡単ではなく、個の感情のマネジメントを個の対話で解決するというような話がありましたが、それは逆の作用をうむ可能性もあります。
そういう時はどのように工夫されるのでしょうか。ジェラシーが生まれるなど、色々生々しい話もあります。
自分の直属の部下は20人くらい、狭義だと10人くらいマネジメントをしていますが、こちらを立てればあちらが立たずといった問題は少なからず発生します。
それは組織がどんなサイズになっても、どんな企業でも聞く話です。
伊藤 それはイケている人を多く採用していき混沌とした状態になったら、必ず多様性に対するリスペクトなり議論なりをしながら、ゴールを共有するというプロセスが絶対必要になるということですね。
上原 弊社の場合は(ゲームタイトルごとの)39のチームにおいて、チームごとに全部の職種が入っている状態です。
その人たちに対し、職務ごとのキャリアパスや必要なテクニカルスキルを設計していますが、評価に関しては完全に「利益が社会からの通信簿」ということを一貫させています。
だから15人チームで利益を出したら、その15分の1がその人が作った利益としています。
ゲームサービス業はタイトルの過去データ蓄積があるので、そのゲームタイトルを自然体で運営していたらこれくらいの利益を生むはずという一定の地力計算ができます。
それによってプロジェクト実績評価の下敷きができます。
その下敷きに対して、このチームがどれだけ追加利益を生むことができたのかという一人当たり付加価値で全員のことを評価する考え方で一貫させています。
平尾 新規事業はフェーズによるボラティリティ(≒変動性)が高いですよね。既存の稼げる事業が偉いのか新規を立ち上げることが偉いのかという議論になりますが、その辺はいかがですか。
上原 新規事業に関しては嶺井という副社長に完全に任せていまして、正直新規事業に関しては同じ話にはなりません。利益の手前の投資期間の話なので。
平尾 完全に分けているということですね。
上原 そうですね。
生い立ちを共有することでメンバーを理解する
佐々木 僕たちが見ているチームは会社のゴールだけを考えます。
事業の優先順位の違いはどうしても出てきますが、会社の状況により違うところが優先されても仕方がないとしっかりと向き合えるようにしておくことが重要だと思っています。
そのためにやっていることは、メンバーそれぞれの生い立ちをしっかり話すことです。
『あなたのチームは、機能していますか?』という本があります。
▶︎パトリック・レンシオーニ『あなたのチームは、機能してますか?』
喧嘩ばかりしている経営チームをテーマにした小説のようなビジネス書なのですが、そのテンプレートにのっとって重要にしていることがあります。
経営チームがお互いに人として理解する、人としてリスペクトすることです。
自分たちのチームとか政治ではなく全員で会社のことを考えることは重要だということを意識するために投資をしています。
投資できている状態のときはそれがとてもうまくいきますし、それの手を抜くとだんだんそのほころびが出てくるような気がしています。
伊藤 ヤフーでも経営陣は皆、自分たちの過去の経験を共有するということをやっています。
仲良しクラブではないので収益ということでバサっとやることは大切ですが、その前提として信頼関係がなくてはいけません。
そのためにはチームとして信頼関係を得るためにはまず生い立ち等から話すということでしょうか。
上原 そのようなことは弊社でもやっています。
年一回役員合宿をしたり。お酒を飲みながら「褒めプレイ」というのをやります。
1人の人間を3分間ひたすら褒め続けるのです。
そこで場が温まったあと生い立ちの話をします。プログラムとしてそれをやっています。
役員が少しずつ変わっていったとしても毎年それをやっています。
平尾 弊社は事業領域が広く、その中にも複数のビジネスモデルが存在し、各チーム異なる職種の者同士で協働しているので、定量的な目標はもちろんありますが、その「武功」の上げ方自体、つまり定性的な部分をどう評価するかを工夫する必要があります。
(『キングダム』に例えると)「大将」をとったら良いのか、いかに仲間を殺さずに勝利できたら良いのかなど、ボスによっても価値が変わってきます。
ヤフーさんのように金融、広告、会員事業等をやっているコングロマリット化されたような組織ではどうやってらっしゃるのでしょうか。
僕らのような小さな事業とは全然違うと思いますが。
弊社では人材領域で事業を6個くらいやっています。カニバリゼーションもある中で、敢えて人材領域全体でセグメントを切っています。そうすると、「一国一城の主」同士でも連携が生まれやすくなりました。
管掌する事業と追う数値目標の切り方を変えて、競争原理と自律・協調・分散の構造がうまく作れないか試行錯誤しながら進めています。
結構細かい話になってしましましたが、ヤフーさんの場合だとどのようなマネジメントになるのですか。
伊藤 これまでは皆がなんとなくやっている中でコントロールできました。
前社長の井上さん、それが宮坂体制になり、そのアイコンが明確だったのでこれまではそれでずっと来ました。ビジネスモデルも強かったので。
これからは遠心力が働く可能性があります。色々な事業をやっていったらどんどん遠心力が効いてきます。
遠心力が働いた企業をどうやって1つにするかというとやはり理念です。
しかしヤフーの理念を皆で唱和したところで何かが起こるわけではないので、経験を皆で共有することによって浸透させています。
理念に基づいた経験を皆で話すことによってどんどん理念に基づいた皆の経験が溜まっていきます。
今になってやり始めていることもありますが、溜まっていくとそこに戻っていくことになると思います。
平尾 ありがとうございます。
(続)
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続きは 【終】リスクテイクができる”箱”を用意して次世代のコア人材を育てよ【K17-3A #6】 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/本田 隼輝
【編集部コメント】
個人的には起業経験人材は「気合で握れ」「リスペクトを欠かすな」がインパクト大でした。(立花)
続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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