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プロダクトアウト型の技術ベンチャーに欠けている市場の視点を徹底議論!【F17-8C #3】

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「技術シーズの事業化と知財戦略を徹底議論」【F17-8C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その3)は、市場ニーズ優先のマーケットインと、技術ありきのプロダクトアウトについて議論しました。是非御覧ください。

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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 8C
イノベーションを生み出せ!技術シーズの事業化と知財戦略を徹底議論

(スピーカー)

井上 一鷹
株式会社ジンズ
JINS MEME Gr 事業開発担当

鮫島 正洋
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
代表パートナー弁護士・弁理士

千葉 功太郎
投資家・慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

丸 幸弘
株式会社 リバネス
代表取締役CEO

(モデレーター)

水島 淳
西村あさひ法律事務所
パートナー

「技術シーズの事業化と知財戦略を徹底議論」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】技術シーズの事業化と知財戦略を徹底議論!【F17-8C #1】

1つ前の記事
技術シーズを事業化するために必要なこととは?【F17-8C #2】

本編

水島 鮫島さんに伺いたいのですが、ベンチャーや大学発ではなくて中小企業も結構やられていると思うのですが、そういう方々だと積み上げてきた技術や職人芸も含めて、プロダクトアウト的になりがちな会社もあるのではないかなと思っています。

知財戦略をアドバイスする時にいつもどういうアドバイスをされているんですか。

鮫島 今お話してきた、マーケットとシーズをどう融合させるかというのが肝だと思っています。

日々新しい技術を持ったお客さんが来るんですけど、その時に何を見ているかというと、この会社はプロダクトアウト型(シーズ型)、この会社はマーケットイン型だな、とまずそこを見ています。

両方の視点がないといけないので、シーズ型の会社はどうやってマーケットの視点を入れていくのかなというところをずっと聞いていくんですね。

そこに具体性がないとこの会社はなかなか成功しないだろうとは思います。

内田・鮫島法律事務所 代表パートナー弁護士・弁理士 鮫島 正洋氏

どちらが成功確率高いかと言うと、圧倒的にマーケットイン型の方が高いです。

マーケットイン型で技術が足りないという場合は、技術は自前開発する必要はなく、どういうところとアライアンスするかというだけなので、マーケットイン型の方が柔軟です。

シーズ型はマーケットがよくわからないから、とにかく良いものを作れれば売れるみたいな発想に陥りがちで、だいたいそこで蹴躓きます。

やはり左脳と右脳みたいなものでバランスが良いのが一番良いと思うので、もし今日の会場にもそういう自覚がある人がいたら、そこをどうしていくか常に自問自答すべきテーマじゃないかと思います。

いかに「この技術は必要である」と思わせるか

 あえてのアンチテーゼですが、「3本目の手が手に入る」(※)という技術にマーケットがあるかと言うと、今はないんですよね。

▶︎編集注:「3本目の手」とは、メルティンMMI社の技術のことを指します。

▶︎参考:【保存版】サイボーグ技術で”スゴイ”義手を開発する「メルティンMMI」(全2回)

狂った研究者は、人間に3本目の手があるとどういう世界が作れるか、みたいな発想をする。それはとても楽しいじゃないですか。だからやりたい。でもマーケットはない。

水島 その心は?

 マーケットは作る。

いかにして、人々に「人間には3本目の腕が必要だ」と思わせるかです。

だから技術だけがあってマーケットがないものをやった方が世の中のインパクトが大きいはずだと僕は思っていて、もっと言うと、「ミドリムシは必要あったのか?」という問いです。

▶編集注:「ミドリムシ」のくだりは、ユーグレナ社の事業のことを指します。

百歩譲って、その必要があったとしても、どちらかと言うと技術を推していったんですよ。

(技術を推す会社が)跳ねると言ったら変なんですけど、99%はマーケットを見た会社が上手くいくかもしれません。

でも、僕はどちらかと言うと研究者の情熱が大好きです。

リバネス 代表取締役CEO 丸 幸弘氏

4m以上のロボットを作るという変わった先生が立命館大学にいます。「人機一体」という会社なんですが。

「4mの重機は必要ですか?」と問われたら、「いやいやいらないでしょ」と100人中100人が言うと思います。

でも、たぶん彼はそれを作って世の中に持っていきます。それが必要になったら価値になるのではないでしょうか。

人類は当たり前のことをやっていて、そろそろ、暇じゃないですか。マーケットがあるからやっていくというのは人類の英知ではないのです。

マーケットがないところに突っ込んでいく。これを僕は今後やっていきたいのです。

鮫島 素晴らしい(笑)。

真っ向から反論するつもりは全くなくて、先ほどお話したのは、僕らがどういうふうに会社を見ているかということです。

別の見方としては、マーケットを作るところから始めなければいけない会社だなという分類と、既存のマーケットに差別化して入る会社だなという分類もあって、前者は相当時間もかかる、VCから投資を受けても、そのVCのファンドの償還期限内に事業化できるかのかな、という発想で我々は常にものを見ます。

どちらも僕はありだと思います。

 どちらが好きですか。

鮫島 難しいですね。

でも丸さんのおっしゃる通り、「3本目の手ができます」みたいなやつは垣根なくわくわくします。そういうのは面白いですよね。

 お金にならなそうだけど面白いじゃないですか。

鮫島 投資家さんがそうおっしゃっているなら私も同意します。

マーケットイン/プロダクトアウト100%はありえない

水島 この話は皆さんもされたことあると思うんですけど、バランスを取りながら、完全に100%プロダクトアウトのものもないと思いますし、完全に100%マーケットインのものもありません。この話は尽きません。

西村あさひ法律事務所 パートナー 水島 淳氏(右)

前に、井上さんがおっしゃっていましたが、技術のことを全く知らなければマーケットも見えないので、完全に0か100かではなく、バランス取りながらやっていくと思います。

マーケットインという要素は絶対そこにはあるのですけれど、マーケットインと言った時のマーケットとは何なのかという定義が、なんとなくビジネスになりそうだなというものがビジネスになっていく過程だと思います。

(続)

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続きは ビジネスモデルを一部組み替えだけでもゲームチェンジが起こせる【F17-8C #4】 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸

【編集部コメント】

「マーケットは作る」という心意気、「狂っていて」いいですよね。(立花)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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