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「技術シーズの事業化と知財戦略を徹底議論」【F17-8C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その1)は、登壇者の自己紹介の後、水島弁護士に技術シーズをビジネスにする際の「失敗」例についてお話いただきました。是非御覧ください。
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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 8C
イノベーションを生み出せ!技術シーズの事業化と知財戦略を徹底議論
(スピーカー)
井上 一鷹
株式会社ジンズ
JINS MEME Gr 事業開発担当
鮫島 正洋
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
代表パートナー弁護士・弁理士
千葉 功太郎
投資家・慶應義塾大学SFC研究所 上席所員
丸 幸弘
株式会社 リバネス
代表取締役CEO
(モデレーター)
水島 淳
西村あさひ法律事務所
パートナー
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▶「技術シーズの事業化と知財戦略を徹底議論」の配信済み記事一覧
司会 ICCカンファレンス FUKUOKA 2017 Session 8Cを開始いたします。
モデレーターは西村あさひ法律事務所、水島 淳さんです。
それでは、水島さん、よろしくお願いします。
水島 淳氏(以下、水島) 皆さんこんにちは、水島です。
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水島 淳
西村あさひ法律事務所
パートナー
国内外の企業・スタートアップの戦略的アクションの実行戦略の設計をサポート(M&A、事業提携、国際展開、資金調達、新規ビジネス構築、IP戦略等)。2012年から2014年までは米国シリコンバレーにてハードウェアベンチャーWHILL, Inc.の設立メンバーを務め、事業全体の運営・2ラウンド合計約15億円の資金調達を実行。株式会社マクロミル社外取締役。米国コロラド州のスタートアップインキュベーターBoomtown Acceleratorメンター。宇宙スタートアップ促進のための組織Spacetide運営委員。成蹊大学法科大学院非常勤講師。M&A、国際租税等に関する執筆多数。2004年東京大学法学部第一類卒業(LL.B.)、2013年スタンフォード大学ビジネススクール卒業(MBA)。
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今回は、「技術シーズの事業化と知財戦略」というテーマでセッションを持たせていただきます。
最初に少し自己紹介をしてからセッションに入ります。
まず私は6、7年ぐらいM&Aのロイヤーをやった後、スタンフォードのビジネススクールで学んで、シリコンバレーでハードウェアのベンチャー企業をやっていました。
帰国後、現在は弁護士に戻って色々な企業の非連続な成長、たとえば新規事業を作る、新規分野や新規エリアの展開等のエクセキューションのレシピを提供するようなサービスをしています。
私のご紹介はこのぐらいで、次に、では、丸さんから。
丸 幸弘氏(以下、丸) 皆さんこんにちは。
株式会社 リバネス及びリアルテックファンドの丸です。
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丸 幸弘
株式会社 リバネス
代表取締役CEO
1978年神奈川県横浜市生まれ。幼少期の4年間をシンガポールで過ごす。
東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。
東京大学大学院在学中の2002年6月に理工系大学生・大学院生のみでリバネスを設立。日本で初めて、「最先端科学の出前実験教室」をビジネス化した。現在、大学・地域に眠る経営資源や技術を組み合せて新事業のタネを生み出す「知識製造業」を営み、世界の知を集めるインフラ「知識プラットフォーム」を通じて、200以上のプロジェクトを進行させる。2014年12月に東証一部に上場した株式会社ユーグレナの技術顧問、孤独を解消するロボットをつくる株式会社オリィ研究所、日本初の大規模遺伝子検査ビジネスを行なう株式会社ジーンクエスト、次世代風力発電機を開発する株式会社チャレナジー、腸内細菌ベンチャーの株式会社メタジェンなど、多数のベンチャー企業の立ち上げにも携わるイノベーター。
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知財戦略は全く知らない僕ですが、知的財産は広い意味で捉えていますので、そのあたりの話をしたいと思います。
千葉 功太郎氏(以下、千葉) 皆さんこんにちは、千葉です。
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千葉 功太郎
投資家・慶應義塾大学SFC研究所 上席所員
慶應義塾大学環境情報学部卒業後、株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。インターネット黎明期よりWebサービスやモバイルサービスの立ち上げに従事し、2000年よりモバイル系ベンチャーの株式会社サイバードでエヴァンジェリスト。2001年に株式会社ケイ・ラボラトリー(現 KLab株式会社)取締役に就任。2009年に株式会社コロプラに参画、同年12月に取締役副社長に就任。採用や人材育成などの人事領域を管掌し、2012年東証マザーズIPO、2014年東証一部上場後、2016年7月退任。2015年~2016年、業界130社が加盟する社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム代表理事を担当。また、2016年には慶應義塾大学SFC研究所 ドローン社会共創コンソーシアム 上席所員に就任。国内外インターネット業界のエンジェル投資家として、スタートアップベンチャーやVCへの投資は50社以上に広がる。
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投資家やドローンを本業でやっているのですが、今月(2017年2月)2つ新しいネタが増えました。
1つは先ほど1つ前のセッションで発表したのですが、リアルテックファンドにお手伝いで参加させてもらうことになりました。
リアルテックの領域とインターネットベンチャーをつなぐようなお仕事をしたいです。
もう1つが重要なのですが、旅館の社長に最近就任しました。
湯河原にある「The Ryokan Tokyo」というインバウンド向けの旅館で、カフェも今週オープンするのですが、超リアル事業にチャレンジしてスタートアップでやっています。
経営合宿や開発合宿、企画◯◯合宿などをやる際には、4人から60人ぐらいまでで、僕が柔軟に対応するのでぜひメールかメッセージをください。
皆さんが気軽に使える旅館としてやっていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
鮫島 正洋氏(以下、鮫島) こんにちは、弁護士の鮫島です。
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鮫島 正洋
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
代表パートナー弁護士・弁理士
東京工業大学金属工学科卒業。藤倉電線㈱(現 ㈱フジクラ)にてエンジニア(電線材料の開発)、92年弁理士登録後、日本アイ・ビー・エム㈱にて知的財産業務を経て99年弁護士登録。2004年内田・鮫島法律事務所を設立、現在に至る。弁護士業の傍ら、知財戦略、知財マネジメント、知財政策など多方面に向けた発言を行い、その貢献に対して2012年知財功労賞受賞。著書;「新・特許戦略ハンドブック」(商事法務2006)〔編著〕、「技術法務のススメ」(日本加除出版2014)〔共著〕、「知財戦略のススメ コモディティ化する時代に競争優位を築く」(日経BP2016)〔共著〕など。「下町ロケット」に登場する神谷弁護士のモデル。
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先ほどのカタパルト・リアルテック特集(Supported by リアルテックファンド)に参加しました。
リアルテックファンドさんのメンバー紹介で錚錚(そうそう)たる理系の学歴の方々が映し出されましたが、実はうちの法律事務所も同じで、ほとんどが理系のバックグラウンドを持っています。
ライフサイエンス、化学、機械、ITまで、すべての技術分野を弁護士資格を持った人間でカバーできている日本で唯一の法律事務所です。
専門はずばり知財戦略の立案、法律業務に加えてこれを行うのがウチの売りです。
最近、IoTの流れでビジネスモデル特許というのが流行ってきて、うちの事務所でもご相談が急増しています。
井上 一鷹氏(以下、井上) 眼鏡屋のJINSで「JINS MEME」という、私が今身に着けているこのデバイスを開発した井上と申します。
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井上 一鷹
株式会社ジンズ(※)
JINS MEME Gr 事業開発担当
1983年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒業後、戦略コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルに入社し、大手製造業を中心とした事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事。2012年にジェイアイエヌに入社。社長室、商品企画グループマネジャー、R&D室マネジャーを経て、現在はJINS MEME Gr事業開発担当。
※当時 株式会社ジェイアイエヌ/2017年4月1日より社名変更
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▶【保存版】目の動きを可視化するメガネ型デバイス「JINS MEME」(全3回)
知財で言うと、私が5年前に入って開発をする前は、うちの会社自体はメーカーではなく、小売企業でした。そのため、知財については悩みながら来ました。
例えば、わかりやすく言えば「JINS PC」というパソコン用眼鏡をうちがパイオニアとして出したところ、その半年後には全部の会社が類似のものを出してきました。
小売がゆえに、イノベーションを生んでも、きちんとそれをプロテクトするということができてこなかった経緯があって、JINS MEMEではそれを守ろうとはしてきました。
しかし、まだ考えが浅かったりすると思うので、今日は半分以上、勉強の気持ちで参りました。よろしくお願いします。
科学者はビリオネアにならない?
水島 井上さんのお話で出たように、最初少し悲しい話から入りますが、ピーター・ティールがこの前どこかのカンファレンスで、科学者はビリオネアにならないという話をしていました。
その文脈はもっと国が支援しなければいけないということなのですが、同時に、技術シーズをビジネスにするのはとても難しいところがあると思います。
実際に色々な技術系の会社さんをお手伝いしたり、会社を作ったり買収したり、提携したりするのですが、たとえば特許をきちんと取っていなかったがゆえにフリーライダーがたくさん出現して事業上の優位性が保てなくなったとか、逆にこういう観点からのプロテクションをして上手くいったというような事例はたくさんあります。
実際に、技術ベンチャーをターゲット会社とするM&Aでデューデリジェンスを行った結果、事業パートナーとの間の契約のために事業価値の大きな部分がその会社ではなく事業パートナーに持たれてしまっているケースもありました。
結果的に、この技術が生み出す事業全体のバリューは大きいんだけど、結局この会社自体の価値はかなり少ないという評価になってしまいました。
技術シーズをビジネスにするのはとても夢があり、世界を変える力があるんですけど、逆に色々な人が絡んで初めて成り立つビジネスであることも多く、すごく注意してビジネスを作っていかなければいけません。
もう1つ一番悲しいのは、アメリカにいたころ、色々なベンチャー企業や色々な経営者のところを回っていたときのことです。
元Google、元Facebookみたいなバリバリのシリコンバレーらしい経歴の経営者たちに会うのですが、家に帰ってその会社のウェブサイトをよく見ると…
メンバー表にカラーの写真でその人々が並んでいるんですけど、その下にグレーの写真でザ・ファウンダーズという写真が置いてあったりするんですね。
つまり、ファウンダー(創業者)たちがいなくなってしまっているんです。
技術のシーズがあっても、きちんとビジネスとして回せないと創業者であっても経営陣を外されてしまうという、これがシリコンバレーだと感じました。
日本でも同じようなことがあって、ある意味自然なことでもありますが、悲しいこともある。
だから、技術シーズを温めている方はそういうところをきちんとやっていくというのがすごく大事だし、それが世の中にインパクトを与える第一歩なのかなと思います。
技術シーズの事業化は夢のある話なんですけど、本日はその悩みであったり、こうやったら上手くいったという経験であったりを、実際にそれぞれ違う立場でやられている皆さんにお話しいただきたいと思います。
(続)
編集部よりシリーズの予告
お読み頂き、ありがとうございます。本シリーズは、以下のテーマと日程で配信されます。ぜひ毎日御覧ください!
2月5日:【新】技術シーズの事業化と知財戦略を徹底議論!【F17-8C #1】
2月6日:技術シーズを事業化するために必要なこととは?【F17-8C #2】
2月7日:プロダクトアウト型の技術ベンチャーに欠けている市場の視点を徹底議論!【F17-8C #3】
2月8日:ビジネスモデルを一部組み替えだけでもゲームチェンジが起こせる【F17-8C #4】
2月9日:ゼロから何かを生み出せる自信があるベンチャーは借入で資金を集めて来い(リバネス丸)【F17-8C #5】
2月12日:資金が限られるスタートアップが取るべき特許戦略とは?【F17-8C #6】
2月13日:Amazonのワンクリック特許のような優れたビジネスモデル特許取得のコツ【F17-8C #7】
2月14日:【終】大企業は自社の技術を開放し、本当のオープン・イノベーションを実現しよう【F17-8C #8】
以上
(続)
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続きは 技術シーズを事業化するために必要なこととは?【F17-8C #2】 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸
【編集部コメント】
新シリーズが始まりました!私のような初心者にも分かるような説明もあり、とても勉強になるセッションです。次回以降もお楽しみに!(立花)
他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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