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1. 10年、20年後のよりよい未来に向けて、登壇者たちが携わる社会課題とは

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「ソーシャルグッド社会の実現に向けて」全5回シリーズの(その1)は、モデレーターのマザーハウス山崎 大祐さんから、ユーグレナ出雲 充さん、Homedoor川口 加奈さん、サツドラ富山 浩樹さん、一平ホールディングス村岡 浩司さんが、自らの事業を紹介します。なぜ、登壇者たちがソーシャルグッドについて語りたいのでしょうか。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 プラチナ・スポンサーのセールスフォース・ドットコム様にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICCサミット FUKUOKA 2021
Session 14F
ソーシャルグッド社会の実現に向けて
Supported by セールスフォース・ドットコム

(スピーカー)

出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長

川口 加奈
認定NPO法人 Homedoor
理事長

富山 浩樹
サツドラホールディングス株式会社
代表取締役社長

村岡 浩司
株式会社一平ホールディングス
代表取締役社長

(モデレーター)

山崎 大祐
株式会社マザーハウス
代表取締役副社長

ソーシャルグッド社会の実現に向けて


本編

山崎 大祐さん(以下、山崎) 皆さん、こんにちは。

今回は、「ソーシャルグッド社会の実現に向けて」というセッションですが、先ほどの「ソーシャルグッド・カタパルト(※) 」をご覧になっていた方はどれくらい、いらっしゃいますか?

▶編集注:様々な社会課題の解決を目指す気鋭の活動家がプレゼンテーションを行い、第一線で活躍する審査員の投票によって最注目のスタートアップを選出するプログラム。

(挙手を促す)

ほとんど全員ですね。

では、同じ熱量を持ってこのセッションを見に来られていると思います。

一方で「ラウンドテーブル(※)」 も実施しているので、このセッションに来てくれた方には特別な話をしなければいけないですね。

▶編集注:ソーシャルグッド・カタパルト後、プレゼンテーションの知見を共有するために行われた少人数グループでのディスカッションプログラム。

そもそも、ICCサミットのような大きいビジネスカンファレンスで、「ソーシャルグッド」をテーマにしたコンペティションが開かれること自体が革新的だと僕は思います。

【速報】福祉を起点に寛容な社会を提案する「へラルボニー」が ソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICCサミット FUKUOKA 2021)

また、あれほどレベルの高い発表は他にはないと思います 。

ソーシャルグッドカタパルト プレゼン書き起こし記事の一覧

プレゼンのレベルだけではなく、事業の質や拡張性、本気度もすごく高いです。

ですから、登壇している者の責任として、このようなムーブメントを広げていかなければいけないと思いました。

一方で、どの企業もSDGsなどに向き合わなくてはいけない状況になっています。

そこで本当に今後、ソーシャルグッド社会を進めるために、企業や団体として何をしていくべきか、差別化戦略も含め、本気で実行するにはどうすればいいのかなどを今日は話したいと思います。

まず簡単に、私の自己紹介をさせてください。

途上国から世界に通用するブランドをつくる、「マザーハウス」山崎さん

山崎 改めまして、モデレーターを務めるマザーハウスの山崎と申します。


山崎 大祐
株式会社マザーハウス
代表取締役副社長

1980年東京生まれ。大学在学中にベトナムでストリートチルドレンのドキュメンタリーを撮影したことをきっかけに、途上国の貧困・開発問題に興味を持ち始める。卒業後、ゴールドマン・サックス証券にエコノミストとして入社。その後、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念のもと、途上国にある素材や人材の可能性に光を当てたファッションブランド「株式会社マザーハウス」を共同創業。07年に取締役副社長として参画、19年から代表取締役副社長に。現在、マザーハウスは生産国は6か国、販売国は5か国まで拡大。他にも株式会社Que社外取締役、日本ブラインドサッカー協会外部理事をつとめる。

マザーハウスは、途上国から世界に通用するブランドをつくる会社です。

単純に、「途上国=かわいそう、貧しい」ではありません。

途上国にも素晴らしい素材や、そこにしかない技術があります。

何よりも、頑張っている人たちがいるので、その可能性に光を当てて、途上国のイメージを変えるものづくりをするため、15年前(2006年)に創立しました。

当時はアジアの最貧国だったバングラデシュでバッグを作るところから始め、工場を持ち、マザーハウスというブランドのお店を構え、今は11カ国で700人のスタッフを抱えるようになりました。

つまり、ものづくりと、ものを届けることを行っています。

では、セッションテーマに合わせて、ソーシャルグッドのポイントにも触れて頂きつつ、村岡さんから自己紹介をお願いできますか?

九州ブランドで地域を活性化、「一平ホールディングス」村岡さん

村岡 浩司さん(以下、村岡) 皆さん、こんにちは。一平ホールディングスの村岡と申します。


村岡 浩司
株式会社 一平ホールディングス
代表取締役社長

“世界があこがれる九州をつくる”を経営理念として、九州産の農業素材だけを集めて作られた九州パンケーキミックスをはじめとする、「KYUSHU ISLAND®︎/九州アイランド」プロダクトシリーズを全国に展開。地元宮崎を中心として多数の飲食店を経営する一方、九州各地にて様々な地元創生活動や食を通じたコミュニティ活動にも取り組んでいる。メディア出演:カンブリア宮殿、NewsPicks/WEEKLY OCHIAI、NHKワールド、日経プラス10、日経ビジネス、東洋経済 他多数。「第1回 九州未来アワード」大賞受賞。ICCサミット KYOTO 2019「CRAFTED カタパルト」優勝。著書に「九州バカ 世界とつながる地元創生起業論(発行=文屋 発売=サンクチュアリ出版)」。
九州アイランド公式サイト:https://www.kyushu-island.jp

私たちは、「九州」と名のつくブランドやサービス、商品をたくさん作っています。

九州には中小の食品企業がたくさんありますから、彼らのものづくりの技術と九州の農業資源をかけ合わせています。

僕は、宮崎の田舎にある長屋のような環境で育ちました。

実家が経営する寿司屋があって、その横に食堂、餃子屋、駄菓子屋、タバコ屋などが並ぶ商店街のような建物で、2階に一家全員が住んでいました。

周りも含め、朝早くから夜遅くまで働いていても楽しそうにやっていましたが、僕自身は実家の寿司屋を継ぎたくなくて、一度海外に逃げたのです。

その後、自分の事業をしたこともありますが、いざ実家に帰ってきたところ、以前は楽しそうにやっていたのが、辛そうになっていました。

朝から晩まで働いているのにだんだん苦しくなってきて、なぜそうなってしまうのだろうかと思い、商店街そのものに関心を持つようになったのです。

商店街は疲弊し、人がいなくなって、どんどん空き店舗が増えていきました。

僕の代になって事業自体は拡大しましたが、ものづくりの現場に興味を持つようになって気づいたのが、農業も同じ状況だったということです。

農家は、朝から晩まで一生懸命働くのに所得は減っていき、ものづくりの中小企業も同じく疲弊していきました。

なぜ、そうなんだろう? それらを、自分のビジネスで解決したいと思ったのです。

今日のソーシャルグッド・カタパルトのプレゼンは、心が震える思いで聞いていました。

「ソーシャルグッド」とは、世界の社会課題を解決するということです。

それらの課題のうち、僕が解決していることは小さなものかもしれないけれど、足元の町や地域を良くしたいという想いをもって事業を行っています。

山崎 村岡さんの九州パンケーキがすごく有名になって、僕も色々なところで名前を聞くようになりました。

「九州」と名のつく食品ブランドと言えば、一平ホールディングスが頭に浮かびますよね。

村岡 ありがとうございます。

ちょうど10年ほど前、2010年に、宮崎では口蹄疫という家畜伝染病が流行りました。

▶参考:2010年日本における口蹄疫の流行(Wikipedia)

宮崎という県単位で非常事態宣言が出て、農場の周囲に移動制限がかかったり、畜産関係者が集まる会合等の自粛が求められたりしたのです。

その際に事業が影響を受け、それを乗り越えるために、何か作らなければならないと思って構想して生まれたのが、九州パンケーキです。

国境も、困難も乗り越えて。九州パンケーキは人々を笑顔にできる〜KYUSHU ISLAND(ICC FUKUOKA 2020)【文字起こし版】

宮崎ということではなく、県境という概念は取っ払い、境界を溶かし、九州という地域全体で何か作れないかと考えた結果です。

山崎 ありがとうございます。

では富山さん、お願いします。

北海道でドラッグストアチェーンを展開、「サツドラ」富山さん

富山 浩樹さん(以下、富山) よろしくお願いします、サツドラホールディングスの富山(とみやま)です。


富山 浩樹
サツドラホールディングス株式会社
代表取締役社長 兼 CEO

1976年生まれ。札幌の大学を卒業後に日用品卸商社に入社。2007年株式会社サッポロドラッグストアーに入社。営業本部長の傍ら2013年に株式会社リージョナルマーケティングを設立し、北海道共通ポイントカード「EZOCA」の事業をスタートする。2015年5月に代表取締役社長に就任。2016年8月にサツドラホールディングス株式会社を設立し代表取締役社長に就任。
2020年にはドラッグストア「サツドラ」は約200店舗、「EZOCA」は195万人・世帯カバー率約70%に。その他、ICT教育事業やフィットネス事業などを手がける。
「地域をつなぎ、日本を未来へ。」のコンセプトのもと、店舗や地域の資産を活かして新たな課題解決型ビジネスの創造を目指す。
AWL株式会社 取締役CMO / 株式会社コンサドーレ、バリュエンスホールディングス株式会社、株式会社出前館、にて社外取締役。

事業の核は、北海道で経営しているドラッグストアです。

もう一つ、事業の特徴として、地域マーケティング事業として、「EZOCA(エゾカ)」という共通ポイントカードを発行しています。

サツドラ(サッポロドラッグストアー)も加盟店の一つです。

始めて6年ぐらいですが、北海道の世帯カバー率が70%ほどまでになるカードになりました。

これをもとに、地域を「面」で捉えるような事業を進めています。

僕たちも村岡さんと同じく、「地域」がテーマです。

「北海道が一つの国だったら」と世界を見てみれば、北海道の人口は約540万人で、デンマークやフィンランドと同等ですが、いずれもGDPは北海道よりはるかに大きいのです。

北海道グローバル戦略(北海道)

ですから、地域がもっと自分たちで稼いで、経済を循環させる流れを作りたいというビジョンを持っています。

先ほどのソーシャルグッド・カタパルトは、僕も、歴史的な日でないかというくらい感動しました。

想いやストーリーがビンビン伝わってきて感動しましたが、それらをいかに経営やビジネス、仕組みとして落とし込んで持続可能なものにしていくのかが、僕たちソーシャルグッド仲間共通の課題だと思います。

ソーシャルグッドは、これから数年経つと、企業活動において大きなムーブメントになると思いますので、今日はそういう議論をするのが楽しみです。

共通ポイントカード「エゾカ」発行のきっかけ

山崎 ドラッグストア業界は、どんどん売上が伸びて、儲かって拡大してという印象です。

ですから、地域のためにポイントカードを作る(※)というのは、システム投資などを含めて面倒ではないかと思います。

▶編集注:EZOCAはポイントカードとしての機能のほか、ためたポイントを割引や買い物券への引き換え、提示で特典サービスなどのほか、チャージすることでキャッシュレス決済にも利用できる。

それをあえて実行しようとしたのは、なぜだったのでしょうか?

富山 1つは危機感ですね。

私は2代目として12年前ぐらいに入社しましたが、当時アメリカでは、ドラッグストアは既に3社ぐらいしか残っていませんでした。

ウォルグリーンCVSライト・エイドですね。

チェーンストアは、経済合理性を考えると、同じ業種、業態であれば寡占化されるのは運命です。

日本で言えば、コンビニが進んでいますよね。

セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートに集約されています。

ですから、ドラッグストアもいずれそうなるだろうと思っています。

僕らは北海道でそれなりの規模があったとしても、全国における数社として残れるチェーンかというと、難しいと思ったのです。

そこで、違う価値を出そうと思って始めたのがきっかけです。

山崎 今は、展開は北海道内のみですか?

富山 ほぼ北海道ですね。

福岡にも展開していて、ここヒルトン福岡シーホーク(ICC FUKUOKA 2021会場)にも店舗があります(笑)。

▶編集注:北海道以外では、福岡県、沖縄県に出店(サツドラ店舗検索ページ)

山崎 なんと、ここにもあるのですね(笑)。

では川口さん、お願いできますか。

大阪で路上生活脱出をサポート、「Homedoor」川口さん

川口 加奈さん(以下、川口) はい、Homedoorの川口と申します。


川口 加奈
認定NPO法人 Homedoor
理事長

14歳でホームレス問題に出会い、ホームレス襲撃事件の根絶をめざし、炊出しなどの活動を開始。19歳でHomedoorを設立し、シェアサイクルHUBchari事業等で生活困窮者ら累計3000名以上に就労支援や生活支援を提供する。Googleインパクトチャレンジ グランプリ、人間力大賞グランプリ・内閣総理大臣賞等を受賞。日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」に選ばれる。現在、30歳。大阪市立大学卒業。1991年 大阪府高石市生まれ。著書:14歳で“おっちゃん”と出会ってから、15年考えつづけてやっと見つけた「働く意味」(ダイヤモンド社)

私たちは2010年から、大阪でホームレスの方の路上生活脱出をサポートしている認定NPO法人です。

活動としては、まず、夜回りです。

ホームレスの方が寝ているところに行って、「こんばんは、お弁当を持ってきました」と声をかけることを地道にします。

我々は、18部屋の個室がある宿泊施設(アンドセンター)を持っているので、その方が相談に来られて、滞在してもらいながら、次にどうしたいかについてのコンサルタントをしています。

高校3年生で描いた夢の施設が実現! Homedoorが作る、ホームレス状態脱出の仕組み

例えば、働きたいという要望があれば、直接雇用することも、他社を紹介することもあります。

仕事作りをする中で有名になったのが、「HUBchari(ハブチャリ)」というシェアサイクルです。

大阪市内にある250拠点のステーションのどこで借りても返してもいい、レンタサイクルのサービスを株式会社ドコモ・バイクシェアからシステムや拠点の提供を受けながら運営しています。

支援される側だった人が、大阪の駐輪場不足による違法駐輪の問題を解決するという意味で支援する側になり、大阪市民の足を作る側、公共交通になっていくんだという思いで始めました。

今は年間数十万人、月間数万人が使うサービスに成長し、コロナで利用は前年2倍になり需要が上がってきているサービスです。

使用者のほとんどが、HUBchariがホームレス支援や自転車問題の解決につながるとは意識していません。

使いたいから使っている、その結果、いつのまにか問題解決になっていて、社会問題に触れるきっかけになっていると思っています。

自分が使いたいから使っていたら、欲しいから買っていたら、それが支援につながるという仕組みが、最近のソーシャルグッドのトレンドではないかと感じます。

今回のソーシャルグッド・カタパルトで優勝された、TOMORROWLANDとコラボしてZOZOTOWNの月間売上ランキングでトップになったヘラルボニーは、その好事例だと思います。

【速報】福祉を起点に寛容な社会を提案する「へラルボニー」が ソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICCサミット FUKUOKA 2021)

「福祉×アート」の社会実装で、障害に対する意識を変えていく「ヘラルボニー」(ICC FUKUOKA 2021)

とてもおしゃれでしたよね。

「Homedoor」がシェアサイクル事業を選んだ理由

山崎 今、Homedoorは何年目でしたか?

川口 11年目になります。

山崎 シェアサイクルはいつからですか?

川口 2011年なので、創業2年目に着手しました。

山崎 今は街中にシェアサイクルがありますが、2011年当時、よくそのチャンスに気づいたなと思います。

川口 本当にそうですね(笑)。

山崎 ホームレス支援をしている人たちは当時もいたと思いますが、1つの生態系を作れたことがすごいと思うのです。どうして気づいたのでしょうか?

川口 怠けていると言われがちですが、そもそもホームレスの方々は働きたいという気持ちがとても強いのです。

例えば彼らは、10時間集め回って、平均1,000円になる缶集めをしています。

働きたいのだけれど、稼ぐ手段が缶集めしかない状態です。

そこで、他にもっと稼げる仕事がないか、その人が得意な分野で仕事を作ると抵抗感なく働いてもらえるのではないかと考えました。

それでヒアリングをしてみると、7割近くの人が、自転車修理が得意だと言ったのです。

ちなみに、なぜだと思いますか?

富山 7割以上が得意とはすごい割合ですよね、言わせたわけじゃないですよね(笑)?

川口 そんなことはないです(笑)。実は、10時間1,000円の缶集めのマストアイテムが自転車なのです。

でも1,000円の収入しかないのでパンク修理に500円は払えない、それで自分で修理するようになったということでした。

富山 なるほど!

川口 それを活かせるビジネスということで自転車に絞り込んで、当時ヨーロッパで爆発的人気だったシェアサイクルを、大阪でやろうと思ったわけです。

ただ、最近は中国企業や日本のトップ企業など多くの参入が相次いでいるので、ヒイヒイ言っています。

山崎 その人たちの得意を見つけたら事業になったというのは、面白いですよね。

では最後に出雲さん、お願いします。

山崎 では最後に出雲さん、お願いします。

ミドリムシで人と地球を健康にする、「ユーグレナ」出雲さん

出雲 充さん(以下、出雲) ミドリムシで人と地球を健康にする仕事をしている、ユーグレナ出雲です。


出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長

駒場東邦中・高等学校、東京大学農学部卒業後、2002 年東京三菱銀行入行。
2005 年株式会社ユーグレナを創業、代表取締役社長就任。同年 12 月に、世界でも初となる微細藻類ミドリムシ(学名:ユーグレナ)の食用屋外大量培養に成功。世界経済フォーラム
(ダボス会議)ヤンググローバルリーダー、第一回日本ベンチャー大賞「内閣総理大臣賞」
受賞。経団連審議員会副議長。著書に『僕はミドリムシで世界を救うことに決めた。』(小学館新書)がある。

今日、お客さんが少ない会場でのカタパルトを見ていて、ミドリムシを最初にスタートした時のことを、ずっと思い出していました。

始めた時は、ミドリムシやソーシャルグッドの話を聞きたいと思っている人は、全くいなかったのです。

でも長期的に社会の大きな変革を促すものの場合、最初は常にこれくらい寂しいもののはずです。

今の時代を定義する際、多くの人がVUCA(ブーカ)という言葉を使いますよね。

Volatility(変動性)でUncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)、つまり「未来はよく分からない」という意味です。

未来がよく分からない場合、予測は価値を為さなくなります。

そういう時、例えばAIのカンファレンスだったら、初日の全体会議は満席になると思います。

でもホットトピックはすぐ、次の新しいものに変わってしまいます。ですから、VUCAの時代、ホットトピックに群がるのはリスクなのです。

つまり、不確実な時代には確実そうなものに通常より大勢のプレイヤーが集まることになるので、そのテーマで何かの事業をしようとすると、ものすごく競争が激しくなるわけです。

VUCAの時代には、自分の理性やロジックで、よく分からないものに飛び込めるか。

これは、“Getting out of your comfort zone”、つまり安心できる場所から飛び出す力と表裏一体だと思います。

直感的に、人気もなくて、よく分からず、本当に大丈夫かなと思えるテーマに飛び込めるかどうかが、長期的成功に一番相関する能力や資質の一つになりつつあると僕は思っています。

僕は、ここに来られている皆さんと一緒に、10年、20年という長いスパンで伴走したいのです。

途中で走るのを諦めなければ、10年後のICCサミットの初日、1,500人の前で皆さんが発表できるようになります。

ですから今日は、10年、20年後の未来の革命家、スターと空間を共有できていて、こんなに光栄なことはないと思っています。

ここ最近のイベントの中で、一番ワクワクしています。よろしくお願いします。

(続)

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続きは 2.資本主義と異なる価値感を持つソーシャルセクターが、事業を成功させるためには をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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