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【新】日本発のオープン・イノベーションを推進する「IBM BlueHub」とは?【K16-8F #1】

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「IBM BlueHubの取り組み」【K16-8F】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!4回シリーズ(その1)は、日本IBM大山さんに、日本発で独自にスタートしたエコシステム「IBM BlueHub」の概要をお話し頂きました。是非御覧ください。

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スタートアップビジネスの「エコシステム」を構築し、日本の起業家を支援するプログラム「IBM BlueHub」は、ICCカンファレンス KYOTO 2016をプラチナ・スポンサーとしてサポート頂きました。ICCカンファレンス FUKUOKA 2018も引き続きご支援頂くこととなりました。「IBM BlueHub」の詳細はこちらからご覧ください。

ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016 「ICC SUMMIT」
Session 8F
IBM BlueHubの取り組み
 
(出演者)
大山 健司
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBM BlueHub Lead 事業開発担当
 
(聞き手)
坂本 達夫
AppLovin Corporation
Director Sales, Japan
 
竹内麻衣(ICC運営メンバー)

「IBM BlueHubの取り組み」配信済み記事一覧

大山 健司 氏(以下、大山) こんにちは。大山です。よろしくお願いします。


大山 健司
IBM BlueHub Lead 事業開発担当
 
1998年にアクセンチュア入社、主に大手製造業における業務改革などを担当。新規事業企画やBPO事業、IT人材紹介事業を手がけるベンチャー企業の経営を経て、2006年SMBC日興證券(M&A部門)にて国内/海外のM&Aアドバイザリーに従事。米国(ニューヨーク)駐在やIPO関連コンサルティング等も手がける。2012年より日本IBMの事業戦略コンサルティング部門に赴任。2016年より、テクノロジー提供によるスタートアップの事業立上げ支援と、大手企業とスタートアップのオープン・イノベーションを促進するIBM BlueHubのリーダーに就任。現在、第3期目となるインキュベーション・プログラムや数々の大手企業とスタートアップの協業プログラム等を企画/推進中。事業戦略策定、新規事業企画/開発等の実績多数。

坂本 達夫 氏(以下、坂本) よろしくお願いします。最初に、「BlueHub」とはどういうものなのかご説明いただけますか?

インキュベーションプログラム「BlueHub」の概要

大山 もともとの始まりは、スタートアップ支援へフォーカスしたインキュベーション・プログラムです。

これは今でも継続して行っており、今年が第3期目になります。

つい先日、採択した5社を発表したところですが、IBM Watsonをはじめとする弊社のテクノロジーをIBMクラウドからAPIを通じて使ってもらいながら、スタートアップ事業のインキュベーションを支援するというプログラムです。

今年(2016年)からは少し軸足を広げ、オープン・イノベーションに弊社でも取り組んでいます。

弊社のクライアントは地方自治体なども含め大手企業がほとんどですが、そういった顧客企業においてもやはり、イノベーションを起こしたいという要望が多く聞かれます。

とはいえ、自分たちだけではアイデアの幅が広がらないので、外の技術を積極的に取り入れたいというようなニーズがあります。

そこで、我々がこれまで育成してきたベンチャー企業をはじめ、我々がコネクションを築いてきたスタートアップの皆さんを紹介しています。

あるいは企業がオープン・イノベーションの様々な取り組みをされるのに際し、弊社がエコシステムを形成するところから支援することも行なっています。

例えば、今月(2016年9月)より、自動車やヘルスケアといった特定のテーマに基づくオープン・イノベーションの取り組みを開始します。

大手企業とスタートアップを結ぶコンソーシアムを形成

大山 これは、そのテーマに関連する業種から複数の大手企業に参加いただき、更にそれらの大手企業と一緒にオープン・イノベーションに取り組みたいというスタートアップを我々がリクルーティングし、コンソーシアムを形成します。

そして約3ヶ月の期間、ビジネスアイデアを企画して、大手企業のリソースと我々のテクノロジーを使って新しい事業を生み出していく、というプログラムです。

このように、弊社がこれまで培ってきたこととイノベーションを組み合わせた活動に今年から注力しようとしています。

坂本 日本IBMでは、最初のインキュベーションへの取り組みから、どのような文脈で今回のオープン・イノベーションへと繋がっていったのでしょうか。

もともとのクライアントである大手企業の側にオープン・イノベーションで何かしたいというニーズがあったという点は想像できますが、クライアント企業の中にスタートアップと協業したい、あるいはスタートアップのプロダクトを活用したいというニーズがどのように生まれたのか、何を狙いとして、そういう方向へ舵を切っていかれたのでしょうか。

大山 我々のクライアントはご存知の通り大手企業が中心ですが、テクノロジーの活用の仕方が段々変わってきていると言えます。

IBMグローバルのトップが既に表明しているのですが、クラウドとコグニティブの会社になろうとしているところであり、これらのテクノロジーの登場が変化を生み出しています。

大手企業であっても今までのようにオンプレミスな環境で、その企業にカスタマイズされたシステムを構築するというよりも、よりアジャイルに、クイックに、新規ないしは既存事業に合った形で開発し、展開していくというスタイルに変わってきています。

坂本 なるほど、「重たいシステムを1からカスタマイズで作っていく」という時代が変わりつつあるということですね。

大山 はい。大手企業側でもそのような動きになりつつあり、我々のテクノロジーも、より幅広い規模や業種で活用できるサービスに変わりつつあります。

坂本 技術的な側面からそのような変化への地盤が整ってきているということですね。

大山 そうですね、やはり我々もそのようなソリューションを、従来のように大手企業だけでなくて、裾野を広げてスタートアップの皆さんにも使ってもらいたいと考えています。

例えば、「IBM Bluemix」というクラウド上のPaaS (Platform as a Service)と呼ばれる開発基盤がありますが、この上でいろいろなAPIが使えるようになっています。

Watson、セキュリティー、アナリティクス、IoTなど、IBMが持つ様々なサービスに加え、買収したウェザーカンパニーが持つ世界各国の気象データやツイッターのデータなどもAPIを通じてBluemix上で使うことができます。

これらを大手企業向けだけではなく、スタートアップの皆さんにもどんどん使ってもらえればと思っています。

「APIエコノミー」というキーワードがよく言われますが、まさにスタートアップの皆さん、あるいは個々のディベロッパーの皆さんにまで裾野を広げようとしているところです。

そのためには、IBMも主体的にコミュニティを形成していかなくてはならないということで、当初、インキュベーション支援を中心としたプログラムとして2014年に立ち上げました。

日本IBM 大山さんのキャリア

坂本 その当時は、大山さんご自身は、IBM社で別の事業に携われていらっしゃったのですか?

大山 そうですね、私は2012年にIBMの戦略コンサルティンググループに入りました。その直前までは証券会社でM&Aビジネスに携わっていたことから、IBMでも大手企業のM&Aの支援をしていました。

その時もクライアントは大手企業でしたが、前職の証券会社に転職する前は、私自身ベンチャーにいたこともありました。

坂本 ちなみに、そのベンチャーはどういった事業をなさっていたのですか?

大山 教育機関などからの定型業務の受託事業(BPO)や、コンサルタントやエンジニアなどを適材適所に紹介するための人材事業などを行なっていました。

キャリアのスタートはアクセンチュアだったのですが、そのベンチャー企業は、アクセンチュアの出身者が中心で私は取締役として参画していました。

しかしながら、もう少しいろいろ幅広くできたら良かったのですか、そうも言ってはおられず、日々のキャッシュのために「出稼ぎ」をする機会も多く、自分の限界のようなものを感じていました。

ここで、自分の得意領域を広げ、引き出しを増やすためにも一度リセットしようということになり、私はそのタイミングで離れました。

坂本 会社としてではなくて、大山さんご自身がリセットされたということですか?

大山 はい、会社は今でも続いていて、まだ当時のメンバーが頑張っています。

当時M&Aの世界は制度的にも発展途上でしたが、投資の領域には元々興味があり、ベンチャー企業のExit手段の一つであるM&Aの世界に入りました。

そういうバックグラウンドがあったため、IBMの戦略コンサルティンググループにいながらも、BlueHubのインキュベーション・プログラムの中で、ボランティアでスタートアップのメンターを引き受けていたのです。

坂本 インキュベーション先の会社のですか?

それは社内で公募のようなものがあったのでしょうか?

大山 BlueHub関係者のマーケティング部門のスタッフにコンタクトを取り、ちょうど第2期の5社のメンタリングの期間中だったのですが、そのうちの3社をボランティアで週1回メンタリングすることになりました。

坂本 メンタリングでは具体的にどういうことをされていたのですか?

大山 ビジネスモデルやアライアンス戦略など、ビジネスに関するメンタリングがメインです。

テクノロジーサイドについては別のメンターもいました。このようなきっかけでBlueHubに関わり始めたのですが、米国人の前任者が帰国することとなり、私が今年からリーダーを引き受けることとなりました。

IBM BlueHub は日本独自の取り組み

坂本 BlueHubはもともと、本国、またはグローバルで実施されていたプログラムだったのでしょうか?

大山 IBM BlueHubは日本独自の取り組みです。

坂本 私は前職がGoogleなのですが、グローバル企業において日本発でプロジェクトが始まるというのは、あまり数が多くないように思います。

外国で始まったプロジェクトを日本に持ってくるケースが多く、例えば僕自身「Google Ventures」を日本でもやりたいと本国に直談判したけど叶わなかったという経験なんかもあるのですが、日本発で新たなプロジェクトが始まるというのは、結構珍しいのではないかと思います。

大山 確かにそうですね。日本でもエコシステムを広げなければならない、我々のビジネスの先となるクライアントの裾野を広げなければならないという意識があります。
きちんと予算を取り、日本IBMのトップからの後押しを得たうえで始めています。

坂本 最終的には、日本の社長の承認でOKということですか。

大山 そうですね。

坂本 逆にBlueHubを海外に持っていくという計画や、日本以外の他の国で既に始まっていたりもするのでしょうか?

大山 将来の計画はお話できませんが、世界各地で同じようなプログラムが走っているようです。

対ベンチャーというところで、買収の意思決定をしているのは米国本社なので、米国でも当然いろいろな活動があるはずです。

ですから、米国本国然り、世界各国のIBMと手を組んでこれからいろいろとやっていきたいなと思っています。

坂本 なるほど、それは面白いですね。

大山 これからはスタートアップも世界にどんどん進出していくと思います。

弊社のテクノロジー活用していただきながら、大きくなっていってもらいたいと思っていますので、日本でインキュベーション支援をした会社に、各国IBMのクライアントを紹介してもらうなど、各国で同じようなプログラムがあるのならば、ぜひ連携していきたいですね。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/鈴木 ファストアーベント 理恵

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続きは 「IBM BlueHub」インキュベーション・プログラムに集う注目のベンチャー企業 をご覧ください。

【編集部コメント】

続編(その2)では、スタートアップ向けエコシステム「IBM BlueHub」のインキュベーションプログラム(1期・2期)に集う注目のベンチャーについてお話し頂きました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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