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“置き薬”でアフリカの医療課題を解決する – 注目の社会起業家特集「AfriMedico」(1)【K16C-AFM #1】

”アフリカ版置き薬”でアフリカの人々に健康を届ける「AfriMedico(アフリメディコ)」町井さんのプレゼンテーションを2回シリーズでお届けします。AfriMedicoは「カタパルト」- 社会起業家特集 – の ベストプレゼンターに輝きました!2016月9月6日・7日に開催したICCカンファレンス KYOTO 2016「カタパルト」社会起業家特集 – Supported by READYFOR プレゼンテーションの書き起こし記事です。

本記事で特集しております8分間のプレゼンテーションを行う「CATAPULT(カタパルト)」のプレゼンターを募集しております。「スタートアップ」「社会起業家」「IoT/ハードウエア」「リアルテック」の4カテゴリーで募集しております。ぜひ募集ページをご覧ください。

登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016 「ICC SUMMIT」
Session 8B
CATAPULT(カタパルト) - 社会起業家特集 -
Supported by READYFOR
 
(プレゼンター)
町井 恵理
NPO法人 AfriMedico
代表理事
 
大学卒業後薬剤師免許取得。
外資系製薬企業6年間勤務した後、青年海外協力隊のボランティアとして、ニジェール共和国にて2年間感染症対策活動に従事。帰国後、ボランティアでの自分の能力に限界を感じ、能力を高めたいと経営大学院(MBA)へ進学。アフリカでの持続可能な医療を改善し持続可能な仕組みを考えたいと研究を通じて発想した日本発祥の置き薬事業を本格的に進めるべく、2014年4月に任意団体AfriMedicoを設立。2014年 東京都主催のビジネスコンテスト Tokyo Startup Gateway2014最優秀賞受賞。2015年3月NPO法人登記完了。

町井恵理 氏(以下、町井) AfriMedicoの町井と申します。

本日は宜しくお願いします。私たちのミッションとしましては、医療を通じてアフリカと日本をつなげ健康と笑顔を届けるということで、(以下のスライドの)左上にあるような置き薬のモデルをアフリカの村々、企業、学校などに展開しております。

置き薬のビジネスモデル

置き薬の仕組みは実は300年の歴史がありまして、その発祥は江戸時代の富山県にさかのぼります。

前田正甫公という藩主が腹痛が出たということでこの反魂丹(はんごんたん)を使ったところから広がったと言われてます。

箱の中に普段からよく使う何種類かの薬を置いておいて、使った薬の代金を後で支払うという専業小売りのビジネスモデルです。

(上記のスライドの)の右下は「懸場帳」というもので、各家庭でどのような薬を使ったかの記録が残っております。

今でいう「ビッグデータ」のようなものですね。

この置き薬のビジネスモデルが、当時の日本で発展した理由として3つ挙げられます。

昔の日本と現在のアフリカ農村部はそっくり

インフラが未整備、大家族が多い、皆保険制度がないという点です。インフラの整備が不十分ですと病院までの移動が非常に時間がかかるという問題があります。

さらに、大家族が多いという特徴は、薬箱の中で祖父母、親、子供など家族に見合った薬を使えるということで、より家族にあったものを提供でき、お薬の回転率も向上します。

更に当時は国民皆保険制度がありませんでした。

今ではみなさん医療費は3割負担で済みますが、当時の医療費は非常に高かったため、この置き薬が重宝されたと言われています。

実はこの3つの要素、あれから300年経った現在のアフリカの農村部にそっくりなんです。

現代版「置き薬」をアフリカに展開

私たちは、日本の置き薬の仕組みをそのまま輸出するのではなく、「アフリカ版」「現代版」の置き薬システムに変える取り組みをしています。

「アフリカ版」という点では、現地の懐事情に合致した薬剤や価格にする必要がありますし、あと後払いのモデルになりますので誰を管理者に置くかということを考える必要がありあます。

現在は医療従事者と組みながら村長さんや企業の社長、学校の校長先生のような方々と相談しつつ誰が管理者としてふさわしいかについて検証を重ねています。

実はアフリカと言えども、貧しくても一家に1台の携帯電話を持っています。

プリペイド式なのですが、アフリカの携帯電話は電話から簡単に直接送金することができます。

代金回収の簡便性/安全性から考えると、このようなITのテクノロジーも積極的に活用するべきだと考えています。これが「現代版」といえる所以です。

アフリカの地域共同体

アフリカ大陸には54の国があり、地域ごとに共同体を形成しています。

私が住んでいたのは左上にあるニジェール共和国でした。かなり治安が悪く現在はボランティアも撤退しています。

やはり、治安がよいいう特徴は事業を進めるうえで非常に重要になってきます。

現在我々が活動しているのは、比較的経済が発展しているEAC、(東アフリカ共同体)にあるタンザニアで、ここから「”現代””アフリカ版”置き薬」をスタートしております。

EACの国間では関税がかからず物流がスムーズなため、将来の置き薬事業の横展開も比較的可能と考えています。

タンザニアの人口増加

タンザニアは現在その人口が非常に増加しています。

左端は2013年のデータで、日本は世界10位です。タンザニアが約5,000万人で27位なのですが、2050年では日本はランキング外になる一方、タンザニアは1億2,000万人で13位に入ると予測されています。

アフリカ全体で見ても人口爆発が起きており、成長性が大きい市場と考えています。

AfirMeicoの事業展開

私たちの「アフリカ版置き薬」のビジネスモデルは医療に関連する内容のため、簡単に展開できるものではありません。現在、現地で検証を開始した「置き薬」事業は、全て現地の薬で運用しており、置き薬の「仕組み」についての検証にフォーカスしています。

どういった薬が良いのか、どういったニーズがあるかということを検証しておりますが、現地の方からは「日本の薬は信頼性が高い」「中国の薬は結構偽薬が多い」というような声があり、日本の薬を導入したいというニーズもあります。

私たちもデータを集めながら日本の製薬企業との連携も進めています。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/築家 まき

続きは 海外ボランティアで得た ”創業の原体験” - 注目の社会起業家特集「AfriMedico」(2) をご覧ください。

【編集部コメント】

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