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2018年10月24日、LEXUSの新型ESのプレス発表会と、ICCサミットでもおなじみのパネリストが集結したパネル・ディスカッションが行われました。緊張感あふれる発表会の模様と、名言続出の討論の模様をお伝えします。ぜひご覧ください。
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18日〜21日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
みなさんこんにちは、ICCの活動をつぶさにレポートする浅郷です。2018年10月24日、LEXUSの新型ESが発表され、そのプレス発表会が行われましたが、この夜のニュースはそれ一色でしたよね。その場になんとICCパートナーズも参加して、お手伝いしてきました。今回はそのときの模様をお伝えします。
新型“ES”のプレス発表会を見学
ICC サミット KYOTO 2018では、会場でLEXUSと華道とのコラボ、パーティー会場での展示、Lexus International Jマーケティング室 室長の沖野和雄さんには鼎談企画にご参加いただき、セッションにご登壇いただくなど、さまざまな形でタッグを組ませていただきました。ご一緒するなかで”CRAFTED”という理念に深く共感し、先日、福岡の下見で訪れた工場見学は、まさに”EXPERIENCE AMAZING”でした。
▶LEXUSと華道の“CRAFTED”な出会い。美が生み出す奇跡と、美を生む遊び心とは【ICCサミットKYOTO 2018レポート#4 特別鼎談】
LEXUSにとっては、新型ES発表のこちらが本番のメインイベントです。東京ミッドタウン日比谷の1階にあるLEXUSブランド体験型施設「LEXUS MEETS…」の会場では、準備の段階からその場にいる私たちにも緊張感が伝わってきました。
普段はブティック、カフェ、車両展示、試乗のブランド体験型施設の「LEXUS MEETS…」
プレス発表会は当然ながらLEXUSが運営されており、我々がお手伝いしたのは、発表会が終わったあとに行われたパネル・ディスカッション。とはいえ、なかなか見られるチャンスのないものなので、私たちはイベント運営を学ぶことも兼ねて、発表会の準備から会場に入り、見学をすることにしました。
会場には、在京キー局はすべて来場、私たちも写真右側のひな壇のムービー用プレス席に、小さなビデオカメラを設置しました。そして13時30分すぎに、プレス発表会が始まりました。
まず、壇上でLEXUSの世界観と実績を紹介したのがLexus International Presidentの澤 良宏さん。澤さんには、このあとパネル・ディスカッションにも登壇いただきました。
2018年1〜9月のグローバル販売実績は前年比106%、50.8万台とのこと
続いて登壇したのが、新型ESチーフエンジニアの榊原 康裕さん。日常にときめきを感じてもらいたいというのが、ES開発の理由だそうです。
新型ESでは、ドライバーの意図通りにクルマが反応するGA-Kプラットフォームを新たに開発。高い運動性能に反比例して車内に伝わるノイズを極力低減するという静粛性も実現したといいます。
新型ESのなかでも最も注目されていた機能が最上位機種にオプション設定の「デジタルアウターミラー」。標準仕様ではドアミラーが設置されている場所にカメラがあり、車内の左右前部に設置されたモニターにバックミラーより広く見やすい視界が映るという仕組みで、運転手の目の動きを軽減、快適なドライブをサポートするというもの。量産車に世界初採用ということで、メディアでも大きく報じられていました。
プレス発表会のあとは会場からの質疑応答、写真撮影、囲み取材となりました。想定を超えるメディアが詰めかけたため、場内は騒然としています。この後、私たちはいつものようにパネル・ディスカッション会場を設営できるのか? 果たしてそれは盛り上がるのか? 心配になってきました。
新型ESに試乗
会場転換がようやく始まった14時すぎ、早くもヤッホーブルーイングの井手さんが到着。16時15分開始にも関わらず、招待客の方々が続々と集まりはじめ、前方に展示されているESを興味津津で見に来ました。車内に乗ってもOKとのことで、早速お試しが始まりました。
「右上のハンドルの素材の一部を、うちが作っています」と三星グループの岩田さん
この日は招待客として来場したコミックスマートの福西さん。「松山(英樹)ファンなので」(※)
▶編集部注:プロゴルファーの松山英樹はレクサス所属
ラクサスの児玉さんは「ビデオで確認していて、デジタルアウターミラーの実物を見たかった!」
リアルテックカタパルトで優勝したエアロネクストの田路さんは「ICCのおかげでコンテスト連戦連勝です!」と言いつつ、車内モニターにびっくり
「美しいですね、アメージングですよ!」とONE MEDIAの明石さん
「国産車ではLEXUS、好きなんです」とグロービス・キャピタル・パートナーズのエムレさん
だんだん客席が埋まってきました。この日招待されたのはICCサミットでも登壇されている方ばかり。パネリストを含め、濃縮版ICCサミットの様相です。定刻になり、パネル・ディスカッションが始まりました。
「挑戦し続けること」をテーマにディスカッション
登壇したのは、井手さんのほかにユーグレナ/リアルテックファンドの永田 暁彦さん、ラクスルの松本 恭攝さんに澤さん、モデレーターに慶應義塾大学の琴坂 将広さん。ディスカッションテーマはLEXUSの”GAME CHANGER”にちなんで「挑戦し続けること」です。
▶NewsPicksの同イベントレポートはこちら 【澤×永田×松本×井手】チャレンジしていない状態が一番ストレスフル
司会のICC小林 雅が”GAME CHANGER”であるパネラーを紹介したあと、澤さんから今回のディスカッションの意義を説明いただきました。
「LEXUSは1989年にアメリカで誕生したブランドで、日本では2005年から展開しています。自動車のラグジュアリーブランドは欧州が主流で、お客様と共にブランドを育てています。そこへ我々が30年程度の歴史で参入していくことは大きなチャレンジだと思っています。
この『LEXUS MEETS…』という場所は、販売ディーラーではありませんがLEXUSに触れられる場所として設けています。従来のブランドと違う試みをする理由は、”チャレンジを止めるとブランドは年老いる”という経験があるからです。
Lexus International Presidentの澤さん
今回LEXUSとしては異例な、こういったディスカッションの場を設けさせていただいたのは理由が2つあります。
みなさんのような、”GAME CHANGER”である若い起業家のみなさんのパッションに学び、時代感を吸収して、我々のものづくりやマーケティングに反映していきたい。こういうキャッチボールが根底の欲求としてあります。
もうひとつは下心があって、ここにある新型ES、若いLEXUSは色がついていないブランドなので、そういうブランドをお探しの方々に、ぜひ認めていただきたいなという思いもあります」
これを受けた琴坂さんが「では登壇者のお三方、ぜひ”GAME CHANGER”としての自分は何をやっているか、という自己紹介をしていただけますか?」と振りました。
”GAME CHANGER”として、何をしているのか
井手さん「大手ビール4社が99%を占めるなか、よなよなエールで大手にはできないこと、違うことをやって暴れているうちに手応えが出てきました。LEXUSさんとは規模感が違いますが、僕らは”CHANGE”できると思っています。
始めた21年前には夢物語のように思われましたが、今までにない価値を支持してくれる人が増えてきている、”GAME CHANGE”が始まっている実感があります」
松本さん「このセッションの前にメールでやりとりをしていて、『LEXUS主催だからと遠慮せず、忖度なしの話をしましょう』というオーダーがきていたので、我々の”GAME CHANGE”の話をさせていただきたいと思います」
永田さん「LEXUSを前に忖度なし!?」
(一同笑)
松本さん「忖度なしです(笑)。我々は”仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる”というビジョンを掲げています。20世紀は大企業の時代ですが、その時代は終わりを迎えています」
琴坂さん「と、大企業を前に言う!?」
松本さん「はい、大企業の方々がたくさんいらっしゃいますが(微笑)。21世紀はプラットフォームの時代になっていくと思っています。これが私の考える”GAME CHANGE”です。
ここでいう大企業は、製造からサプライまですべて持っているような業態のことです。産業の半分くらいを占めていて、アウトソーシングもかなりしており、1兆円規模の下請けができている。これが従来の産業構造だと思います。たとえば物流ひとつとっても幾層にもレイヤーがあり、中間の人たちはあまり付加価値を出しておらず、需要と共有がマッチングしていません。
プラットフォームの時代になると、売りたい人と買いたい人が小さな会社でも直接つながり、需共のマッチングがより滑らかになる。中抜きがなくなるので無駄なコストが減り、お金の回りがより円滑になる。アマゾンやアリババもすでにそういうプラットフォーム化をやっています。
その中で日本の企業が日本の産業をプラットフォーム化することが重要だと思っています。BtoBとなる産業の構造変革を起こしていこうとしているのが、我々の”GAME CHANGE”でチャレンジです。
未来がこうなっていくというのが、見えるじゃないですか。我々がやらなくても誰かがやる。見えているなかで一番を取れるチャンスがあるなら走りたいのです。それは印刷に限らず何であってもよくて、僕は100年前なら鉄道を引いていたと思うのです」
”CHANGE”への情熱は、どこからきているのか
永田さん「ユーグレナとしては、日本歴史上初の国産バイオジェット燃料プラントが完成します! トヨタさんが戦後トラックを作った話とかぶるのですが、ジェット燃料マーケットは10兆円規模です。僕はそれを変えたいのです。
ソフトバンクが参入して日本電電公社の携帯電話市場を変えたように、バイオという社会的に正しいもので変えたい。日本に最後に精油場ができたのは1980年代です。大学生で始めてたかだか15年の僕たちが変えます。
リアルテックファンドでは、世界を変える正しいことをやっている人が、誰も損しない世界を作ります。お金も人も物も、正しいことをやっている人に集まる世界を作る」
琴坂さん「それはどこまでが最初から持っていたもので、どこからが後付けですか?」
忖度ない質問に、会場が一瞬ひるみます。
永田さん「(琴坂さんとは)とても仲がいいです(笑)。2つ目はずっと持っているものですね。生い立ちとか環境などによって、その人たちが本質的に持っている価値が報われない、認められない、社会に出てこない、そういうことはぶっ壊したい。それは個人のパッションの源泉です。
1つ目については、世の中に悪いと思いながら、解決法がなくて使い続けているものはたくさんあると思います。自動車も非常な努力をされていると思いますが、走れば走るほど環境的に悪いことはわかっている。そこをゼロにしたい。
ベンチャー投資もそうで、社会的にこちらが重要だけど、早く儲かるほうに投資したりする。でも、本当はどういう社会でないといけないかみんなわかっているはずです。これは結構後で気づいたことかもしれないですね」
「LEXUSは一度大きな挫折をしています」
澤さんは、LEXUSが挑戦し続ける理由を次のように説明しました。赤裸々な告白に、”GAME CHANGER”仲間としてすかさず合いの手を入れたのは井手さんです。
澤さん「LEXUSは一度大きな挫折をしています。最初にマーケットに出たときは、確かに”GAME CHANGER”であり、ディーラーのおもてなしも異次元だと言われた。そうして商売を広げていったのですが、2011年に社長の豊田章男自ら行った新型GSのプレゼンで、とあるジャーナリストに『いいクルマだけど最近LEXUSはboring(つまらない)だ』と言われて、非常に悔しい想いをしたのです。
そこからLEXUS立て直しの挑戦が始まっています。ドイツのブランドと同じことをしても歴史に勝てるわけがない。そこで消費・所有したいという訴求より、豊かな時間、空間、経験に響くことをしていけば、欧州のブランドと違うことができるだろうと、再びブランディングを始めました」
井手さん「うちは挫折どころか、創業から8年間赤字ですよ!その後13年連続増収ですが、それでも13勝8敗。ずっと死んでいた感じです。ちなみに澤さん、さきほどよなよなエールをよく飲んでいると言ってくださったので、僕、マブダチ気分で言っています!」
澤さん「失礼しました(笑)! でも旅行や出張で本当によく飲んでいます」
井手さん「うれしい(喜)。あっ、こんな話に持っていこうとしたわけではないですからね(笑)!」
”GAME CHANGER”名言集
この日のディスカッションは、”GAME CHANGER”名言のオンパレードでした。とくに松本さんと永田さんがいつにも増してキレッキレです。その一部をご紹介しましょう。
永田さん「人間に最後に残るものは、好奇心、フロンティア精神ではないかと思うのです。達成されればされるほど、新しい領域しかやることがなくなる」
松本さん「一番つらいのが事業計画通りにいくことで、ストレスが高いです。そんなとき、もう(事業)やめようかなと思います。逆に計画を大きく下回ると、アドレナリンが出る」(一同ざわめく)
永田さん「不安は心理でしかない。警戒するとかリスクを読むということと、不安は分離しなければいけない。心理としての不安をどう捨て去るか。以前は不安がたくさんありましたが、それが心にはまった瞬間に、僕は経営者になったと思いました。
僕は個人ではなくなったのです。人間として生きていると不安だけれども、僕はユーグレナだし、リアルテックファンドであり、それが社会に浸透していく。もしも僕が不安になったら、それは社会の不安になるのです」
松本さん「30歳のころ、会社で毎月3億円赤字出していたのですが、このリスクは自分が取ったのではなく、投資家が取ったと思っていたので、まったくストレスはありませんでした」(一同ざわめく)
永田さん「うまくいっていないときは、逆転ホームランを狙いたくなるものですが、そういうときのチャレンジは僕は要らないと思う。そしてうまくいっているときこそ挑戦が必要です。撤退戦とか、負けているときは基本に帰る」(松本さん、澤さん大きくうなずく)
澤さん「調子いいなと喜んでいると、あぐらをかいてしまう。かつての私たちもそうでした。あぐらをかくとチャレンジできなくなるサイクルに陥ってしまう。いいときに変えるのはすごくエネルギーが要るのですが、だからチャレンジを続けないといけなくて、やらないと怖い」
松本さん「逆境のときにするべきなのは向き合うこと。現場に入って、何が起こっているのかという解像度を上げ、本質的な課題は何なのか、壮大なチャレンジプランを立てるより、課題の解を見つけることが重要です。大きなチャレンジは雑になりがちです」
永田さん「ゼロから1,10から100になるタイミングで、チャレンジや意思決定の質が変わってくる。ゼロイチは、世の中の人が反対することでいい」
松本さん「あまり多くの人が理解できないほうがチャンスがある。そこには競争がないというか、自分にしか見えていないということです」
澤さん「一度落ちた時にまず始めたことは、スピンドルグリルです。商品とマーケティングを両輪で始めて、そのふたつがリンクすると、ブランドとしての手応えが見えてきた。どちらかが止まったら終わりです。常に挑戦していないと、LEXUSというクルマは前に進まないのです」
LEXUSの特徴的なデザインといえばこれ。フロントのスピンドルグリル
会場にいる人たち皆が”GAME CHANGER”であり、自分たちの事業に真剣に向き合う人たちだったため、パネラーたちの言葉に呼応して、会場はICCサミットさながらの熱気に包まれた雰囲気になりました。
パネル・ディスカッション後の懇親会では、榊原さんからの特別解説もありました
会場奥に展示されていたLEXUS 新型ESは従来の日本車にはない色で、水の底から空を見上げたときに見える色を表現したものだそうです。パネル・ディスカッションが終了し、懇親会が始まってからも、ESを囲む輪は途切れませんでした。
アクセンチュア加治さんと琴坂さんは大のクルマ好き。エンジンを見たり、パンフレットを手に語り合っていました
for Startupsの志水さんとこの日は客席にいたプロノバの岡島さん
「おみやげに一台」と言い合っていたVOYAGE GROUPの皆さん
”GAME CHANGER”であるLEXUSの、貴重な新型モデルの発表会の機会に立ち会わせていただき、ご一緒できたことを心から光栄に思います。2019年2月のICC サミット FUKUOKA 2019では、生産工場の見学をはじめ、新たな取り組みをさせていただくべく、準備を進めていますので、お楽しみに!以上、現場から浅郷がお送りしました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成
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