Hondaの数々のイノベーションを生んできた“ワイガヤ”を体験!「モビリティ/ロボティックス/オープンイノベーションの今後を徹底深掘り」ワークショップに密着【ICC FUKUOKA 2019レポート#5】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

Hondaの数々のイノベーションを生んできた“ワイガヤ”を体験!「モビリティ/ロボティックス/オープンイノベーションの今後を徹底深掘り」ワークショップに密着【ICC FUKUOKA 2019レポート#5】

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2月18日~21日の4日間にわたって開催されたICCサミット FUKUOKA 2019。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回は、WORKSHOPシリーズ「Honda流ワイガヤを体験! モビリティ/ロボティックス/オープンイノベーションの今後を徹底深掘り」の模様をレポート。カリスマ社長 本田宗一郎のもと、経営陣が作り出した成長を支える集合知”ワイガヤ”とは? そこでイノベーターたちが出したキーワードとは? ぜひご覧ください。

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをご覧ください。

Honda流ワイガヤを体験!

ICCサミットFUKUOKA 2019の直前、2月6日に東京で開催した「Deep Tech Meetup powered by Honda Xcelerator」は、このセッションの前哨戦ともいえるものだった。

ICCサミットのワークショップでHondaとDeep Techの未来を語ろう! 【Deep Tech Meetup powered by Honda Xceleratorレポート】

これは過去ICCサミットに登壇、参加いただいた企業の方々にお声がけして、ディープテックの未来を語ろうという企画だったのだが、時間が短かったことや”ワイガヤ”が壇上のパネル・ディスカッションを聴講する形だったため、深い問いかけは出たものの、論客の方々も本格的にエンジンがかかるころに終了となった。

今回はその本番ともいえるセッション。密室度の高いE会場で、Deep Techにコミットしている方々にお集まりいただき、前半45分はHonda Innovationsの活動紹介とCES 2019 展示企業などのデモンストレーション、後半75分は4つのテーマ、4つのテーブルに分かれてHonda流ワイガヤという流れでワークショップが行われた。

Honda R&D Innovations, Inc.の森本 作也さんが司会を務め、まずはじめにHonda R&D Innovations, Inc.CEOの杉本 直樹さんが壇上に上がり、Hondaの歴史とHonda Xceleratorについて紹介した。

Hondaのオープンイノベーションプログラム「Honda Xcelerator」とは?

「発表していないものを含め、すでにベンチャー企業とは相当な数のコラボレーションをしています。

Hondaはすべてイコールパートナーシップ、出来上がった成果はお互い自由に使うというのを前提条件で行っています。今後も一緒に未来を変えようというベンチャー企業さんと、コラボレーションさせていただきたいと思います!」

続いて実際のコラボレーション事例として、Honda Xcelerator のパートナーであるPerceptive Automataリアルタイム認識のデモや、また、Tactual Lab運転中の危険な動作を軽減するデモを披露し、本ICCサミットのためにアメリカから送られたビデオメッセージが紹介された。同じく、サウンドハウンド代表取締役 中島 寛子 さんによる音声検索のデモが紹介され、前半を締めくくった。

Tactual Labのデモを紹介するHonda Xcelerator Japan Leadの羽根田 里志さん

サウンドハウンド代表取締役 中島 寛子 さん

伝説のスポーツカーをデザインした澤井さんが“ワイガヤ”を解説

本田技術研究所 四輪R&Dセンター デザイン室FPC(Future Product Creation) マネージャー 主任研究員 澤井 大輔さん

はじめに本田技術研究所のデザイナー、澤井 大輔さんによる”ワイガヤ”の紹介が行われた。このプレゼンは非常に興味深く、かつ感動的なものだった。オフレコの内容もあるため詳細は割愛するが、かいつまんでそのエッセンスをお伝えしたい。

澤井さんは、惜しまれながら2009年に生産が終了したHonda伝説のスポーツカー、S2000などを手掛けてきたデザイナーで、現在は”リードコンセプター”として新価値の企画創出を担っている。今まで様々な企画コンセプトを生み出す際に”ワイガヤ”を活用してきたという、説明していただくにはこれ以上にはないという人物である。

”ワイガヤ”は、本田宗一郎という一人の天才のトップダウン・アイデアではなく、100人の凡人の集合知を使って創り上げようというボトムアップ開発の手法で、成長を続けるために創業時の経営陣が作り上げた手法だ。

創業から10年そこそこでスーパーカブという画期的な製品で大成功し、世界最高峰の二輪レースで優勝、その後の10年で海外進出と四輪市場に参入を果たしたHondaだが、一人の天才に頼り続ける限界に到達。”ワイガヤ”は、第二の成長期を目指し、生き残りをかけて選択したサバイバルの方法でもある。

その手順は極めてシンプル。三日三晩、「アイデア尊重」「技術の前では平等」を前提に、山ごもり状態でその本質を議論し続ける。「原因」「本質」「手段」「目的」などを話し合い、自分はどう思うのかひたすら本音をぶつけ合う。その結果、無自覚な欲望があぶり出される。

そこあぶり出されたものを、プロダクトのコンセプトとしてものづくりを進めていく。

約50年前、第一回目に行った”ワイガヤ”では、ベテランと若手が異質平行で開発を進めていたプロダクトで、最終的に採用されたのは若手チームのアイデアだという。

初代Civicの誕生の背景には、Honda1300の失敗、そして”ワイガヤ”があった

「ここにお集まりの皆さんは、本田宗一郎と同じ」

澤井さん「今日、ここにお集まりの皆さんは、本田宗一郎と同じで、おそらく1st Boost をかけている最中だと思います。

みなさんも5年後、10年後、2nd Boostをかけなければいけない時期が必ず来ます。Hondaは”ワイガヤ”を経て2nd Boostに入って再び成長し、今は安定期を進んでいますが、この先間違いなく世界は変わっていく。我々も3rd Boostのために”ワイガヤ”を復活させないといけません」

ここで、プレゼンに耳を傾けていた参加者たちが、ぐっと前のめりになって引き込まれるのが目に見えてわかった。

投影されていたHondaの70年の歴史のスライドに、成長のグラフが重ねられ、どの時期にも開発、実績ともに十分な成果があるにも関わらず、成長期と横ばいの時期が交互に現れていた。グラフは左から、「革新・創業期」=天才によるドライブ、「改革・成長期」=100人の凡人による改革、「改善・安定期」の3期に分けられている。

その一番左側、「革新・創業期」の天才(創業者)による成長の真ん中あたりに、参加者たちの現在地である「You are Here.」という文字が示されていた。そしてまもなく訪れる横ばいの時期に、何らかの手を打たなければ下降していくことが、破線で示されていた。

一方、「We are Here.」と示されたHondaの現在地はグラフの右側にあり、3rd BoostのXデーが近いことを示していた。

「Hondaと自分たちが同じ道をたどるなら、2nd Boostに向けてすぐに手を打たなければいけない」

言葉にせずとも、参加者たちの”ワイガヤ”へのギアが入った瞬間だった。

今回の”ワイガヤ”では、4つのテーマを4つのテーブルに分かれて議論する。60分という制限があるため、今回はテーマの「本質」を求める討論を始めることになった。

テーマ①「大企業とスタートアップでイノベーションを起こすための理想的な関係とは?」

Drone Fund 大前 創希さん、ソニー 北川 純さん、ソラコム 玉川 憲さん、パナソニック 深田 昌則さんに、Honda杉本さんが参加。

オープンイノベーションのときに生じる、大企業とスタートアップのギャップについて、ソラコム玉川さんの発言に皆聞き入っている。

玉川さん「スタートアップと大企業を対立軸で語られるけど、OSが違うだけのことだと思います。たとえるならば、EメールかSlackかの違い。お互い相手を壊したいというのではなく、やり方が違うだけです。

大企業が苦労するのは、OSの入れ替え。それをいきなりポーンと持ってくると、アレルギー反応が起こる。それが起きないように、アクセラレーターやカタパルトを使いながら、翻訳者という形で、ワクチンのように入れていく。それでもOSの入れ替えにすごく苦労しますよね」

言葉に実感がこもり、北川さん、深田さん、杉本さんが大きく頷く。一方、大前さんは一歩引いた視点で両者が迎える変化を指摘する。

大前さん「ドローンの会社でもオープンイノベーションをしています。そこでチャレンジするベンチャーをサポートする大企業はすごく重要です。

一方で大企業は何を考えているかというと、エアモビリティの世界に、自分たちも入ってコントロールしようとしています。大企業が自分たちでイノベーションを起こせそうにないと思ったときに、保険として使っている傾向も。でも、コントロールしようとするのは、ほとんど機能しないと思います。

なぜなら、車はそのうちシェアリングになります。toCではなくtoBに売るか、サービスを売るようになります。モデルが違うし、コントロールが無理になります。

特に僕らのエアモビリティだと個人が所有しなくなる。これからのものづくりの基準は『持たない』ことが基準のワードになってきます。これからは小型、デマンドサイドの細かいニーズに合わせて、ものを創っていかなければいけません」

テーマ②「サイボーグ/ロボティクス技術で、人の暮らしをよりよくするにはどうすればよいか?」

メルティンMMI 粕谷 昌宏さん、サウンドハウンド 中島 寛子さん、SEQSENSE 中村 壮一郎さん、オリィ研究所 吉藤 健太朗さんに、澤井さんが参加。

ここでは多彩なバックグラウンドを持つサイボーグ/ロボティクス技術を持つ論客が集まり、発散を繰り返していた。澤井さんがボードに手早くメモをまとめている。ICCでもおなじみの粕谷さん、吉藤さんが、単刀直入に本題に切り込んでいる。

粕谷さん「僕は、前からこういうサイボーグ技術や、テクノロジーが世界をどう変えるか、どう幸せにするかという話をしたかったのです。パネルだと時間が限られるし、ピッチだとまた違う。こういう深い議論が、ざっくばらんにブレスト的にできるのがうれしかったでですね。

このワンテーマだけで、3日間の合宿ができるくらいだと思いました。いいテーマを見出したと思います」

ディスカッションが終わったあとの粕谷さんの感想だ。国際サイボーグ倫理委員会をリアルテックファンドらと立ち上げた粕谷さんにとっては、まさに自分の課題をディスカッションできる場であったようだ。

テーマ③「新しいモビリティサービスで、人の暮らしをよりよくするにはどうすればよいか?」

JapanTaxi 岩田 和宏さん、ナビタイムジャパン 菊池 新さん、エアロネクスト 田路 圭輔さん、オプティマインド 松下 健さん、otta 山本 文和さんに、本田技研工業の伊藤 潔さんが参加。

最初に各自のビジネス紹介から始まったときは、はじめましてのムードだった5人の参加者だが、いつのまにか”ワイガヤ”感がもっとも強くなっている。

伊藤さん「そもそも人間の移動の本質とは何なのでしょう?」

問いかけは真剣だが、次々にアイデアを言い合っては、どっと笑いが起こる。どんな結論が出たのかは、最後の発表を待つことにしよう。

テーマ④「Deep Techで、人の暮らしをよりよくするにはどうすればよいか?」

ABBALab 小笠原 治さん、小橋工業 小橋 正次郎さん、ユーグレナ/リアルテックファンド 永田 暁彦さん、農業情報設計社 濱田 安之さん、ソニー 藤田 修二さんにHonda森本さんが参加。

リアルテック・カタパルトのナビゲーターである永田さんは、このテーマについて常に考えているそうだ。

永田さん「リアルテックファンドでは、毎年合宿していて、延々この話をしています。一応結論は出ていて、二元論にしてはいけないという話になりました。人間の幸せは、生物的制限や欲求がだんだん開放されてきていると思います。

ルネッサンス期に芸術が爆発したのは、経済が爆発して、アーティストがパトロンを得て、食べることに困らなくなったからではないかと思います。つまり生命的制限からの開放によるものではないかと僕たちは考えています。

僕らの方針としては、生物的制限を剥ぎ取るか、人間の根源的な欲求である好奇心、フロンティアを見る、というもののいずれかに投資することにしています」

濱田さん「現代のパトロンみたいですね?」

永田さん「パトロンは、お金でなくても、人でなくてもいいのです。エネルギーであってもいい」

未知の領域に踏み込むDeep Techがかなえる人間の幸せとは、その本質とは何か。現代でのDeep Techは、ルネッサンス期の芸術にあたり、その発展こそが人間のさまざまな制約を外して自由にする。自由になると、どんなことが可能になるのか、議論は人間という種の生存にまで及んでいた。

各テーマが導き出したキーワードは?

”ワイガヤ”は予定の時間を少し延長して続行。途中軽食としてサンドイッチが提供されたが、それよりも会話に夢中といった様子だ。

しかし制限時間がやってきた。最後に、各テーブルのモデレーターが、どんなキーワードが出てディスカッションになったのかを発表することになった。

テーブル①「大企業とスタートアップでイノベーションを起こすための理想的な関係とは?」

杉本さん「大企業とベンチャーはどうしたらイノベーションを起こせるのかという話で、結論として、”オープンイノベーション”とは、大企業が作った言葉ではないかということになりました(笑)。

ベンチャーからしてみると、すでに世の中を変えるために新しいお客さんや市場に向かって頑張っているので、関係ありません。そうではあるのですが、お互い組んでやってみるとお互いにいいこともあるのではないかと思います。

どうしたら新しい価値が出せるかということで、大企業のやりたいこととしては、OSの入れ替えです。大企業は古いOSが動いていることが多いので、ベンチャーのような、よりフレキシブルな(事業開発や推進ができる)OSにどうやったら入れ替えられるかという議論にもなりました。

実はそれをできる人は、大企業にすでにたくさんいます。そういう人たちがどんどん属人的に、勝手にコミットしてやっていけばいいのではと思います。

大企業ではよく『あいつが勝手にやった』と言いますが(笑)、それでもいい。ベンチャーと一緒にやってもいい。勝手バンザイ、OS入れ替え、属人的OK、勝手コミットバンザイ、という3つのキーワードになりました」

テーブル②「サイボーグ/ロボティクス技術で、人の暮らしをよりよくするにはどうすればよいか?」

澤井さん「1時間あっという間でした。ロボティクス、ロボット関係の話ですが、世界を変えていきたいという話と、世界を変えないんだという正反対の意見が出ました。

この議論、どうなっちゃうんだろうと思ったのですが、ロボットを作る前に、何を人が幸せと思うのかというところがないと、テクノロジーがあっても意味がないという話になりました。

結論としては、リプレイスとエンパワー、個の話と社会の話などいろいろあったなかで、コネクテッドというのもあるのですが、我々としては、”次の世代につなげる”というのが1つのいいキーワードになるかなと思いました。

人と人をつなぐ、世代をつなぐ、将来へつむいでいくことが大事なことで、それは、インターネットでつなぐことではないということを、ロボティクスも含めコネクテッドの目標にしたいとなりました」

テーブル③「新しいモビリティサービスで、人の暮らしをよりよくするにはどうすればよいか?」

伊藤さん「メンバーがすごくよくて、非常に盛り上がりました。JapanTaxi岩田さん、見守りサービスottaの山本さん、物流の最適化のオプティマインド、ドローンのエアロネクスト田路さん、情報のナビタイムの菊池さんです。

最初の議論では地上を這っていましたが、そこに田路さんが3次元的な視野を入れて、情報も混じって、”ワイガヤ”は三日三晩ですが、イノベーターだと1時間で、世界がひっくり返りそうだということがわかりました。

あと10分あれば、みなさんがひっくり返るような新事業が生まれそうになりました。

コンセンサスは得ていないのですが、キーワードは『今度は本田抜きで話そうぜ』ということになりました(笑)。

たとえばドローンが離発着する場所を見つけるのが大変だという話で、JapanTaxiさんが『屋根がある』と。また、運ぶ物体を安全に落とす技術をエアロネクストさんは持っていますが、ジャパンタクシーさんが拾ってくれるそうです。

3次元から子どもを見守ることができたら、すばらしい監視網になります。行方不明になる子どものニュースがなくなる世の中が来ます。

さまざまなアイデアやCo-Creation案がびっしり書き込まれている

たった60分にも満たない”ワイガヤ”で、このようなアイデアがどんどん出てきて、ソリューションを一生懸命考えるのではなくて、集まって話すだけでもいいのではないかと思いました」

テーブル④「Deep Techで、人の暮らしをよりよくするにはどうすればよいか?」

森本さん「前の週に『Deep Techは人間の未来をどう変えるのか』という同じテーマで話したときに、リバネスの丸さんが、『そもそももう人間は十分に幸せだからこれ以上幸せにはならない』という話をして、そこから始まりましたが、それは悪いことじゃないという話になりました。

人間が技術を追い求めることが、希望や活力の源泉であって、幸せのためではないというものであって、話は多岐にわたりましたが、技術の方向性としてキーワードとして出たのは「開放」でした。

技術は好奇心によって引っ張られるけれども、結果としていろいろな開放につながっていく。

生物学的な制限の開放、体の弱さ、欠点、疲労、骨折、戸籍、結婚、アイデンティティからの開放になるのではないか。今までどおりの組織などの所属などがなくなり、技術があって誰でも農業ができるようになれば、農地という資産や資源からの開放になる。

いろんな開放につながっていくのではないかという話になりました。非常に面白かったです」

“ワイガヤ”@ICCサミットを終えて

ワークショップ終了後、参加した方々に感想をうかがった。まずはプレゼンとモデレーターを務めた澤井さんから。

澤井さん「僕もこのイベント自体、Honda Xceleratorのメンバーから伝え聞いていただけなので、現場の雰囲気を知らないまま参加してしまったのですが、うちに秘めたエネルギーがところどころ噴出しているイメージを感じました。

ちょっとしたきっかけだけで、こんなに場が盛り上がるとは予想外でした。今日は1時間だけでしたが、思ったよりいろんなことが話せましたし、もっと話したいと思いました。僕ら自身もこれをきっかけに変わっていきたいなと思いました。

まだ今日のところは表層的かもしれません。みんなしっかり自分を持っている人たちだから、もっと議論してちょっとぶつかるくらいのことがあって、そうすると本当に面白いことが出てくると思います」

参加者を引き付けていたプレゼンは、どのように準備をされたのだろうか。

澤井さん「プレゼンを頼まれた当初、ベンチャーの方々から見たら、自分は大企業であぐらをかいているように見えるだろうなと思って、最初は嫌だと断ったのです。でもそれを変えるにはどうしたらいいだろうかと考えました。

Hondaも同じところにいる、というのを出したかったのです。そして我々も、みなさんも変わり続けないといけない。そのメッセージが伝わったなら良かったなと思います」

ワークショップ全体と、テーブル④のモデレーターを務めた森本さん。

森本さん「テクノロジー自身がなすべき、進化したあとに人間の社会はどうなるかということについて、みなさん深い示唆を持っていました。ビジョンはまったく違うのですが、今とは違う世界になるだろうというところは共通していました。

技術が世の中のために何かするというのは、もはや問いとして成り立たないと思いました。

今回ワークショップを開催してよかったです。Honda Xceleratorは別として、Honda本社の人が、オープンに外の人とガッチリ話すこという機会が持ててとても良かったと思うし、集まってくださった方々にも、Hondaのことをある程度わかってもらえたと思います。僕も澤井のプレゼンテーションを聞いて非常に感動しました。

Hondaに限らず、長く続いている企業には培ったものがあります。日本の成功した大企業にある、そういうものを少しずつ続く企業に伝えていくべきだと思っています。そういう意味で今日はよかったです」

Deep Techが目指す未来とは

ワークショップが終わり、ランチ会場に向かう人、次のセッションに向かう人など、人が減っていくなか、会場に残り、動画用のコメント取材を受けていた吉藤さんを見つけた。

吉藤さん「発散で終わってしまった気がして、まとまらなかったですけど面白かったです。もっと話したかったな。種はいくつか出たから、それをHondaさん的に落とし込みたかったし、育てるところまでいきたかったです。うまく継続できれば、もっと面白そうな話になると思いました」

どんな話になったのだろうか?

吉藤さん「たとえば車というのは、今までなら物欲的な部分だけど、これが音声認識や人工知能が入ってくると、それが自分のパートナー化してきます。

自分が車を乗り換えるときに、自分のDNA的なものが車に引き継がれていくとする。

そしてたとえ車を換えたとしても、自分が変えていった、歴代で使ってきた、なんなら祖父がずっと使っていた車部品ないしソフトウェア的なものがそこにあり、車から自分の血筋を感じられるような、ある意味”家”のようなものになる。

そういうものが、次の豊かさと呼べるものではないだろうかという話になりました。すごく面白い議論でした」

人と人だけでなく、テクノロジーと人が一体化する、深いメッセージ性があるアイデアだ。レポートなどに書いてしまって、先に海外の企業がアイデア実装化に乗り出すのではないかと、心配になる。

最先端のDeep Tech、テクノロジーでフロンティアを極めようとするイノベーターたちが、Hondaが世界での地位を揺るぎないものにした”ワイガヤ”で語り合った結果、各テーブルが出したキーワードは、きわめて人間的なものに帰結した。

約50年前に作りだされた手法がいまだ有効で、普遍的なものであること、今回参加した企業が、株主や投資家の支持を集め、世間から注目され成長している理由が理解できるような気がしたワークショップであった。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/井上真吾/戸田 秀成

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ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンファレンス「Industry Co-Creation サミット/ICCサミット」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。