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ICCサミットプレ企画、OYO LIFEとリブ・コンサルティングが「圧倒的スピードの『アカウント開拓』」の秘訣を明かす!【ICCアカデミーレポート】

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2019年12月13日に開催されたICCアカデミーは、圧倒的なスピードでアカウントを開拓し、本国インドにない賃貸住宅事業を開始したOYO LIFEと当初営業部隊をもっていなかった彼らをサポートしたリブ・コンサルティングが登場。躍進をサポートしたその舞台裏が赤裸々に語られました。その模様をぜひご覧ください。

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。


ICCサミット FUKUOKA 2020のDAY1、2月18日のセッション5Cで開催される「【ラウンドテーブル】“死の谷“を乗り越える!メガベンチャー流!圧倒的スピードの『アカウント開拓』」。その事前イベントとして、2019年12月13日、ICCパートナーズオフィスにてICCアカデミーが行われました。

2019年2月に賃貸住宅事業への本格参入を宣言するやいなや、2ヵ月で破格数のアカウント(物件)を開拓して存在感を高めているOYO LIFE。本国インドのOYOのホテル事業が、世界各国で知られるために、新展開とスピード感に驚かれた方も多いのではないでしょうか。

当時営業部隊を持たないOYO LIFEとタッグを組み、それをサポートしたのが、今回のセッションをスポンサーするリブ・コンサルティング。その存在と手法の注目度の高さを表すように、年末の朝9時30分からのスタートにも関わらず、40人にお集まりいただきました。

OYO LIFEの事業開発責任者の菊川 航希さんとICC代表小林 雅は、スピーカーとイベント主催者という立場ですが、以前はお向かいに住んでいたというご近所さんで旧知の仲。学生時代の菊川兄弟のキャリア相談にも乗っていたといいます。

「インド発ユニコーン」「インドからの黒船」と称されるOYO。その躍進の舞台裏を、菊川さん、リブ・コンサルティング常務取締役の権田 和士さん、「生々しい話をしたい」と意気込む司会のリブ・コンサルティング町田 凌輔さんから明かしていただきましょう。

OYOとOYO LIFEの違いとは

はじめに、OYO LIFEのアカウント開拓を率先して実施した町田さんからは、リブ・コンサルティングについての紹介がありました。

「”100年後の世界を良くする会社”を増やす」を経営理念とし、総合経営のコンサルティングを行うリブ・コンサルティングが近年注力しているのは、中堅企業やベンチャー企業。トップラインを向上させるコンサルティングを強みとしています。

約160名(2020年1月現在)の組織は、「働きがいのある会社ランキング」に5年連続で選出されたり、2019年の「ベストモチベーションカンパニーアワード」では、約1,200社中 2位に入賞したりと結束力も抜群です。

続いて登壇したのは菊川さん。

菊川さん「小林さんとの出会いは高校生のとき。親から、近所にベンチャーキャピタリストのすごい人がいると聞いて、ググったら本当に小林さんが出てきました(笑)。

兄も自分もキャリア相談をしたので、こんなイベントをさせていただく日が来るとは、思いもしなかったです」

そう前置きしてから、本題のOYO LIFEについて紹介が始まりました。

創業者のCEOリテシュ・アガルワルさんが、インドのホテルの質のばらつきが課題だと感じて、現在のホテルのオペレーション事業を始めたこと、日本ではホテルよりも課題感が強いと感じた、賃貸住宅業であるOYO LIFEを始めたことなど。(追ってOYOは日本でもホテル事業も開始)

菊川さん「ホテルは需要過多ですが、賃貸住宅は供給過多。物件の2〜3割が法人所有で、あとは個人所有です。手続きが煩雑、初期費用がかかるなど、ユーザー課題がたくさんあります。

そんな背景から、ホテルよりも賃貸のほうがオポチュニティがたくさんあったのです」

OYO LIFEは不動産のAmazonを標榜し、在庫を持つことからスマホですべての賃貸契約が終わるところまでのバリューチェーンをすべて保有しているのが、従来の不動産仲介や賃貸サービスと異なるところです。

大家から物件を借り上げ、物件の多くは家具・家電・食器や清掃用具、タオルまで付いており、敷金・礼金・仲介手数料無料に加え、電気・ガス、WiFiの手続きなども不要。「住む」「引っ越す」の課題を解決し、旅をするように気軽に住み替えができるライフスタイルを提案しています。

日本でのローンチ当時、本体OYOは、賃貸住宅サービスを持っていませんでしたが「Quality(便利なロケーション) Living(快適な住体験) Space(リーズナブルな価格)」を世界中の人に届けることを目的としていることは同じ。その表現方法が違うだけとして、新サービスの提案も好意的に受け入れられたそうです。

倒的なスピードで物件数を増やすと同時に、組織の規模も拡大。2018年8月に一人目の社員として入社した菊川さんですが、2019年12月にはすでに社員は数百人越えだとか。その成長をブーストしたリブ・コンサルティングの権田さんのお話となりました。

人を張り、数日でベターショットを定めていく(リブ権田さん)

続いて権田さんが登壇。「OYO LIFE」アカウント開拓2ヵ月でありえない数値目標の秘話、「麻痺するような目標設定から逆算する」「前向きな朝令暮改」など、気になるフレーズが続出する実行プランは、非常に興味深いものでした。

権田さん「ベストショットを求めず、トーナメント形式でさまざまなアプローチオプションのベターショットを決め、その上位の組み合わせをどんどん進めていくというもので、一番最後に残ってくるものは何か?とわれわれも予測することが難しいくらいのスピード感で動いていました」

ここでの最大の衝撃は、1月27日に菊川さんから依頼されて、プロジェクトのスタートが2月1日だったこと。その3日後の2月4日には、営業代行を大量に確保した形でアカウント開拓を開始したそうです。

サービスの詳細やプロフィールは漠然とした状態で、それを決める時間も惜しいため、営業チームを分割して、エリアも不明だったために、23区を手分けしてまず数日走って歩留まりがよかった対象に集中投下など、実際に動きながら絞り込んでいったのだとか。

そのミッションを遂行したのが町田さん。いかに目標に向けてアクションしたかを具体的に解説しました。ロジェクト着手前にOYO LIFEが予め行ったのサブリースのテスト営業では、契約実績が1%だったといいますから、難易度の高さは計り知れません。

町田さん「OYO LIFEが借り上げた物件を貸し出すというサブリースのイメージが、オーナーにとってよいものではなかったため、最初は苦労した面もあります」

そこで営業組織は外注にして入れ替えながら強い営業を揃えるようにし、PDCAをひたすら回して成果が上がる方法を探したそうです。CRO(チーフ・レベニュー・オフィサー)として菊川さんが横串で営業とマーケティングの両方を見たため、収益という共通の目標を常に意識できたのが、功を奏したと町田さんは語ります。

町田さん「セールスが地上戦、マーケティングは空中戦とするならば、この2つは分断されがちです。でも、われわれのレコメンドも伝えながら菊川さんに集約して、よりベターショットを目指しました。

セールスもマーケティングも、デイリーで検証するなど、PDCAの回数と速度がポイントだったかと思います」

その結果、最初の1ヵ月でアカウント1,000件を達成したそうです。これ以外にもさまざまな施策やマネジメントの秘訣が明かされ、参加者のみなさんはひたすらメモや写メを撮るのに夢中でした。

とにかくホワイトに、全方よしを目指す(OYO LIFE菊川さん)

最後は菊川さんと権田さんによるパネルディスカッションです。前方にはディスカッションテーマがいくつか挙げられていますが、自然と会話が始まりました。密に連携をとっていたためか、語ることは尽きないようです。

菊川さん「振り返るとどうやったんだろう?と思うこともあります。『どうやって採用したんですか?』とよく聞かれます。とりあえずデイリーで数字を追っていったら気づいたら今がある、みたいな感じです」

難しい課題に対して立てた目標の10倍で達成することを考え、結果的に課題を大きくクリアするというケースを見聞きしたことから、その思考法が身についたと菊川さんは言います。

この目標を達成するなら、今はゼロだが営業がこの人数必要で、それは外注で獲得することでクリア、グロースについては努力をして達成、期日までに無理でも日にちをもう少しかけたらできた、ということを繰り返していくうちに、気づいたら社員数、物件数ともに飛躍的に増えていたといいます。

菊川さん「極端すぎるから再現性はないかもしれませんが、この話をすると、これだけは達成したいという目標を持たれている方は、よし!そうしよう!とおっしゃいますね」

権田さん「当初、OYO LIFEはサプライ(供給)とデマンド(需要)でいうと、デマンドの話は一切出ませんでしたよね。サプライさえあれば大丈夫というスタンスでひたすら走っていたので、ユーザーがついてくるのか心配でした」

菊川さん「でもまず第一に、明らかにユーザーの課題があって、このサービスは絶対刺さるという確信がわれわれにありました。第二は1回獲ってしまえば、入居すると毎月家賃が入るからレベニューが立ちます。

だから面(物件数)を取らないといけない。SaaSなども同じだと思います。

サイトを作っても、競合の賃貸サイトに本当に勝てるのか?というのがありました。するとやはり面がないといけない。東京の主要駅はたくさんありますが、1駅に10物件あっても、半分埋まっているかもしれない。恵比寿を選んだとき5件しかなく、それが気に入らなかったらユーザーは逃げてしまう。

それを積み上げるのは絶対重要だと思いました。だから最初に物件を一定数確保しようという意思決定をしたのです」

権田さん「あのときはデマンド0で、1,000室集めて、サービスのリリースは3月28日で、そこまでに一体何室集まるかはわからずにプロジェクトを走らせていました。そしてリリースを出したときに、デマンドが114%ついた。そのときに初めて、われわれもほっとしましたね(笑)」

権田さん「われわれは市場規模の大きい成熟産業テクノロジーを入れるというアプローチが多いのですが、成熟産業に破壊的イノベーションを起こしながら一気に進めるとなると、やはり色々なところから睨まれるかなと思うのですが、そこらへんはどのように工夫されていますか?」

菊川さん「僕らが意識したのは、グレーゾーンを行くよりも、とにかくホワイトに行き、また業界を破壊するのではなく一緒に進むというのを目指しました。

グレーゾーンをひた走ろうとすると、国が動くし、敵対関係を作ってしまいます。

オンラインの契約も、リスクがあったり、変化に対する抵抗感がある方が多いのですが、法律的にはできる形もある。

敵対関係も作らないために、仲介会社様と協力をして客付け業務をしたり、管理会社様から仕入れたり、と協業をしています

参加者からの質問タイム

最後は集まった参加者からの質問タイムとなりました。質問ジャンルのアンケートをしたところ、営業について聞きたいというのが25%、組織が20%、戦略が20%、その開拓方法と急速な成長について、いろいろ聞きたいことがあるようです。

ICCサミット本番のセッションでも、おそらく活発な質疑応答がされると思いますが、この日出た質問をご紹介します。

「スケール、スピード、プロフィットの順というが、スケールとスピードは同時ではないのか?」
「マーケティングとセールスの最重要KPIはどう設定したか?」

「未来に考えず1つのKPIを追って今に集中というが、ビッグピクチャーを見ているがゆえに頑張れる人もいる。採用、教育、コミュニケーションなどはどうしているのか?」
「10倍の目標をメンバーに下ろすときに、どう納得してもらい、当事者意識をもってもらうのか」

「今日お話をうかがう前は、きっとインドの本体から勝ち方をもらってアカウントを開拓したのだろうと思っていた。本体からのものはないのですか?」

参加者たちの感想は

本国からは、「インドのことは気にせず、OYOという名前のついた新しいサービスを作ればよい。エンジニアなど使えるものは使って、とにかくローカライズして、日本のスタートアップを作る、創業者気分でやればいい」と言われたという菊川さん。

まだまだ質問の挙手が多いなか予定時間は終了し、引き続いて参加者との懇親会となりました。早速参加者に感想を聞いてみましょう。

ビビッドガーデン 代表取締役社長 秋元里奈さん

農家からの産地直送野菜を販売するオンラインマルシェ「食べチョク」を運営するビビッドガーデン 秋元里奈さんは、菊川さんと以前からの知り合いだそう。

秋元さん「面白かったです! 結構泥臭い感じなんだなと思いましたね。

私たちも営業は最初、飲食店をターゲットにしていたのですが、なかなか難しかったので縮小して、いまはtoCにしています。

でももう1回、toBも注力したいと思い、今日はヒントを得に来ました。

たしかに固定費がかかってくるモデルなら、短期勝負だと思いましたね。OYO LIFEのことはよくニュースで見ていたのですが、こうなっているのかと知ることができました。

面を獲ったあとの部分が、一瞬回らなくなるというのもリアルでした。うちも農家さんがちょうどそんな感じで、お客さんを獲得したあとが回らなくなるのです」

権田さんと談笑するMellow 取締役 前村 秀之さん(写真右)

フードトラックなど、日本最大級のモビリティビジネス・プラットフォームを展開するMellowの前村 秀之さんは、まさに営業としてビルなどの空きスペースを獲りに行っていた当事者。

前村さん「むちゃくちゃ楽しかったです!

取り切りビジネスなので、Mellowも最初は全部、営業代行を使っていたのです。ある程度型が決まってきたので、最近は不動産の経験のある人をプロパーで入れています。

営業といっても、プロパーでマネジメントまで固められるような組織体までもっていきたくて、まさにいまその段階です。僕以外全員代行で、一緒に構築をしてもらっています。

全員代行の事例をあまり聞いたことがなかったので。ちょっと自信というか、合っていたのかなと感じましたね。Mellow全体は、縦割りよりシナジー型ですが、営業だけ僕が縦にしました。営業としては縦が三方良しだと思います。

話を聞きながら、頭の中で掲げた目標の10倍を立ててみると、発想が変わって、全然違うことを思いつきました。とにかく学びが多かったです」

登壇した、菊川さんと権田さんにも感想をうかがいましょう。

菊川さん「あっという間の3時間でした。アカウント開拓でビジネスを広げようという方は多いものの、やり方は全然違うと思います。

それができる資金力があったということで、ずるいとも言われるのですが(笑)、試験的に社内数人でやってみるとか、営業に人を張るということを、もしかしたらやってみてもいいんじゃないかなと思います。

今は持続可能なビジネスや、成長に伴う成長痛を根本解決するには何ができるかと考えています。入社して1年3ヵ月にして、そんな感じです」

権田さん「むちゃくちゃなスピード感を要求してくる(笑)OYO LIFEを引き受けた理由は、ユニコーンや、グローバルで何兆円という規模でガンガン伸ばしているところをお手伝いしたいと思っていたからです。

メンバーも一緒に、まずはやってみよう、うまくいかなかったらしょうがない、とりあえず合わせてみようということになり、万全のチームを作りました。最終的に目標通りに着地をして、ホッとしたのを覚えています。

今までの発想なら、すべてクライアント社員ありきでの仕組みづくり人財育成ですが、ベンチャーだと組織の流動性も高く、リソースも限られた中で、仕組みづくりをし、成果を出す必要があります。
すると「中」で作った勝ちパターンを外側に広げていくようなインサイドアウトの発想から、「外」で検証しながら仕組みを作り、うまくいったものを「中」に導入するというアウトサイドインが求められます。

調達前にバリエーションを上げたい。求められるタイミングでアカウントを伸ばし、結果を残したい。が、優秀なセールスの採用はなかなか進まない。そのせいで、いいプロダクトを作っているけど広まらないということがあります。

そこで僕らがブースターのように動いて、一気に検証しながらアカウントを伸ばす。PMFが実現されて、それなりに結果を出して、調達も期待通りに進む。そこでようやく通常運転となり、採用活動をし、事業マネジメントが回っていく。事業を安定成長ステージへと移行させるためのステージチェンジャーの役割を担っているのだと思います。」

◆ ◆ ◆

このイベントの数日後に、「OYO LIFE」とヤフーとの提携解消が発表されましたが、それもおそらく、菊川さんの描く戦略があるに違いありません。

インド「OYO」の賃貸事業、ヤフーが合弁解消(日本経済新聞)

こちらのレポート、内容をかなり書いてあるように見えるかもしれませんが、ご紹介したのは内容の3分の1程度。具体的かつ刺激的な話は、ICCサミットのセッションを楽しみにされている方のために割愛させていただきました。どうぞ2月18日セッション5Cをお楽しみに。以上、浅郷がお送りしました!

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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