「人生をかけた7分間」第10回目のスタートアップ・カタパルト、プレゼン直前の登壇者たちに密着【ICC FUKUOKA 2021レポート】 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

「人生をかけた7分間」第10回目のスタートアップ・カタパルト、プレゼン直前の登壇者たちに密着【ICC FUKUOKA 2021レポート】

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2月15日〜2月18日の4日間にわたって開催されたICCサミット FUKUOKA 2021。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回は、ICCサミット中でも注目度No.1のプログラム「スタートアップ・カタパルト」の登壇者たちを追いました。今回優勝を勝ち取ったのは、サバ養殖でさまざまな食料課題の解決を試みる「フィッシュ・バイオテック」です。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。


プレゼン直前の登壇者たちの表情は…

2月15日、早朝7時。登壇者たちの集合は7時15分で、スタッフの数も広い会場にはまばら。すると、1つの扉からA会場のスタッフがどっと出てきた。すでに打ち合わせを終えて、これから持ち場に着くようだ。

ICCサミットの開幕を告げるスタートアップ・カタパルトの開始は2月16日9時。今回は15名の登壇者たちが、7分間で自分の事業をプレゼンする。毎回多数の応募をいただくのだが、今回は前回のサミットが終了した2ヵ月後、前年の11月16日から審査が始まっていた。

おそらく一番最初に到着したのは、登壇順では一番最後のORANGE kitchen若子 みな美さん。登壇者席ではなく、観客席の1番後ろに座り、ステージを眺めている。

若子さんは、今や日本人の8人に1人がかかるといわれる慢性腎臓病による人工透析患者を減らすべく、自治体と協力をして、ITを活用した食生活改善サービス「しおみる」を提供している。透析の治療費は高額で、社会保障費や税金を大きく圧迫しているため、国は2028年までに患者を10%削減する目標を掲げており、若子さんは喫緊の課題に自治体とともに取り組んでいる。

若子さん「医療現場に携わる身だからこそ、強い課題意識を持っています。腎臓病を人工透析まで悪化させないためには日々の食生活の管理が重要なのですが、それを患者任せにせず、プロが並走することで、実現できるということを伝えたいです」

東京のオフィスにプレゼン練習で来ていた物腰柔らかな雰囲気とは打って変わって、使命感にあふれた表情。医師と違い、管理栄養士だからこそできることと胸を張っている。

7時過ぎ。登壇者リハーサルが始まる

やがて集まった登壇者から、本番のリハーサルが始まった。ここでは用意してきたスライドが正しく表示されるかどうか、動画が動いて音が出るかどうかなどの最終確認を行なう。最後の最後まで、スライドに手を入れている登壇者もいる。

リハーサルが終わったばかりのコラーニング津下本 耕太郎さんに話を聞く。シンクロ西井 敏恭さんや、Strategy Partners 西口 一希さんといったマーケティングのプロが教材に参画し、アプリでマーケティングを基礎から幅広く学べるサービスを提供している。

津下本さん「今はマーケティングが細分化していて、ビギナーが活躍人材になるのが難しい時代です。

本来マーケティングは、ビジネス作りも内包していて社会人が持っていていい素養です。最初のターゲットはマーケティングをする人に特化しますが、ゆくゆくは基本的なビジネススキルとして広げていきたい。

DXといわれるようになり、その中でもいろいろありますが、マーケティングは大きな柱のひとつで、顧客体験をアップデートするもの。最終顧客のことを考えるのがマーケティングで、どの役割をやっている人も顧客について考えるはずです。

株主でもあるインサイトフォース山口 義宏さんも言っていますけれども、マーケティングは手段でも、アプリ的スキルでもなくて、OSスキル。そうでないと小手先になってしまって、いいマーケティングにならない。だから長く働いていくにあたって、キャリアの基盤をここから作りたいという想いがあります」

リハーサル中の小助川さん

リハーサルを終えたGo Visions の小助川さんは、子どもの可能性を広げる学習機会を提供する。自身の家族から着想した事業で、小助川さんの息子さんは現在11歳だが、学校や塾では体験できなかったことを学び、ロボット世界大会WROに2年連続入賞、孫正義育英財団の3期生に選出され、5,000人の会場でプレゼンを行うようになった。

「それはあなたの家族だからでしょ?と思われるのですが、今年の1月にサービスを立ち上げて、1ヵ月で100名弱のお子さんがすでに参加してくださって、驚くような作品を作っています。子どもに好奇心を解放していいよというと、すごい可能性が出てくるのです。

テストの点数や偏差値を上げるような、今までのマーケットサイズが大きい領域の教育よりも、やりたいことや好奇心を応援するほうが、人生で幸せになる確率が高いという研究結果が出てきています。そういった学びの選択肢を増やしていきたいんです」

スタートアップ・カタパルトの登壇者たちは特に顕著なのだが、舞台の上も下も語るテンションが変わらない。ひとことコメントを聞くつもりが、プレゼンさながらの熱量で話していただける。自分たちの事業、アイデアを、一人でも多く伝えたいという熱が起業につながり、彼らをこの場まで運んできている。

YOJO Technologies 辻 裕介さんは、前回優勝したMediiの山田 裕揮さんの紹介でエントリーした。

会場スタッフと打ち合わせを行う辻さん

辻さん「ICCは以前から知っていましたが、縁の遠いものかなと思っていました。でも、学生時代にVCでインターンをしていたこともあり、実際来てみると知り合いが以外と多くて、親近感を持ちました。

前職が大学病院で医師として勤務していたのですが、病気になって初めて医者にかかるし、数分の診療でアフターフォローもない。医療者と患者の関係ってちょっと遠くて、点と点の関係です。そこをもっとシームレスな医療体験にしたいというのが現体験です。

そこで、LINE経由で、お客様の一生涯の健康をサポートし、必要に応じて医薬品をお届けできるプラットフォームを創りたいと思ったんです。一番の特徴がアフターフォロー。副作用とか効果実感の有無、適切な医薬品の変更・追加もご提案できます」

先日、東京のICCオフィスで開催した「三輪開人の『共感プレゼン』ワークショップ」に出席していたガレージバンク山本 義仁さんがリハーサルを終えて席に戻ってきた。山本さんは、持ち物を所有したまま現金化できるというサービス「 CASHARi(カシャリ)」を提供する。

「とにかく緊張しています! 昨日は眠れませんでした」と山本さん

山本さん「ワークショップで学んだように、スライドの文字は大きくということ、最初の接点として、何だこれ?と思うようなトリッキーな質問をして、ご覧いただく方にコミュニケーションを取れるようなスライドを加えました。まだふわふわしているので、自分のものにできているかは不安ですが、全力を尽くします!」

代理店営業情報をクラウドで可視化して、管理業務を大幅に削減するサービスを提供するのは、パートナーサクセス永田 雅裕さん。販売チャネルが複雑化している今、メーカーも代理店も知り尽くしたうえで構築したサービスは、繁雑な事務作業を大幅に自動化する。

永田さん「すべての企業のお役に立てると思います。こういう大きいピッチに立つのはほぼ初めてなので、昨日はひたすら練習していました。伝えたいことが多いので、いかに削るかが勝負でした」

今までになかった新しいアイデアの提案と、オーソドックスで王道ながら必ず役に立つサービス。バリエーションに富んだ企業が15社勢揃い。審査員は、こんなにも方向性が異なるものを、どういう視点で選ぶのだろうか?

「逆境だからこそ、次のステップに進める」

ステージ上では、前日にモニター表示でトラブルのあったRadiotalk井上さんが登壇前の確認をしている。井上さんは誰もが音声コンテンツの語り手となって配信でき、それをマネタイズできるサービスを運営している。本番ではその様子をリアルタイムでミラーリング表示する予定だが、今日は問題なさそうで笑顔が見える。

その隣では、クイッキン山田 真由美さんがリハーサル。雑然とした雰囲気に、緊張感が高まってくる。紙ベースが根強い宿泊施設のオペレーションにDXをもたらす山田さんに、登壇前の心境を聞いた。

写真左側、演台に立っているクイッキン山田さん、右側がRadiotalk井上さん

山田さん「ピッチコンテストは最近ほとんどオンラインだったので、こういったリアルな場で、皆さんのお顔を見ながらサービスを伝えられるのを楽しみにしてきました。

旅行業界は逆風だといわれますが、今までのやり方を見直す変革のタイミングが来ていると私たちはとらえています。逆境だからこそ次のステップに進める。お客様が少ないタイミングだから、OSを入れ替えるタイミングでもあり、いろいろな事業者様からお問い合わせをいただいています。

私はもともと宿泊施設に勤務していて、旅行者の方々はスマホを使いこなしているのに、宿泊施設側は電話、FAXなど非常にアナログで、お客様とのギャップが大きく開いているのを実感していました。業界が紙中心だからといって、新規開業するホテルにそれを当てはめていくのも違います。

日本、地方にとっては宿泊・観光は大きな産業です。既存のホテルさんが一番苦しんでいる状況にあって、それを負荷なく変えていくことができれば、少ない人間でも運営できるようになり、産業自体の生産性の向上につながります。そうして業界を盛り上げ、力強さを取り戻していきたいです」

活況を見せている音声コンテンツによる個人のエンパワメントと、今のタイミングだからこそ試みる古い業界OSの刷新。いずれも必然性を持って事業を立ち上げているのが力強い。

PCを覗き込んだかと思うと、時折天を仰ぎ見ているのは、マウスピースで歯列矯正を行うサービスを展開するOh my teethの西野 誠さん。矯正というと女性が多いイメージだが、健康意識の高い男性がメインユーザーだという。

西野さん「とにかく(ICC小林)まささん、メンバーのフィードバックを吸収して、取捨選択して、自分の中で咀嚼できたもので作り込みました。夜中の3時ぐらいまでアップデートしたりしていました。

最近関西でも提携医院ができたのですが、めちゃくちゃ需要があります。あまりアピールすると既存の治療のお客様の予約に影響が出てしまいまうので、あまり表には出せないほどです。

今のマスク時代にぴったりで、速い人では3ヵ月で効果が出ます。続けることが矯正のポイントなのですが、大抵の人は引っ越したり通院が辛くて辞めてしまいます。すると戻ってしまうので、せっかくいいお医者さんに通っても意味がないですよね。

弊社は必要な場合は複数のドクターが総合的に見て判断しますし、矯正中に必要なものはアマゾンでショッピングするような感覚でオンラインで注文できます。次の京都までに治せる方が増えるといいなと思っています!」

西野さんの隣に座っているのはChillStackの谷 洋樹さん。法政大学出身の技術ベンチャーで、オンラインゲームでのユーザーの不正の動きを、前後の行動から見抜くという技術を応用して、企業内の経費不正申請を見抜く。

谷さん「不正も決まったパターンがあるので、それを学習して検知します。人間が見つけられなかったものも検知できます。小さいものの積み重ねが多いのですが、少額が重なって大きな額になるので、それをご理解いただければいいなと思っています。

一緒に起業したメンバー4人、手伝ってくれている人が10人超いて、みんなを代表して想いを伝えられるようなプレゼンテーションにしたいです」

サバ博士がカタパルトに登場

サバ色の上着を着ているのがフィッシュ・バイオテック右田さん

この人を忘れてはならなかった。プレゼン練習でオフィスに来社するときの検温で、真面目に平熱の数値を伝えようものなら

「38度ですかっ!」

と被せてくるサバ博士、フィッシュ・バイオテックの右田 孝宣さんだ。サバの養殖および販売事業に携わる右田さんは、サバ命。経営するサバ料理店「SABAR」の席数は38だし、開店・閉店時間は11時38分。あらゆることをサバと「38」にかけてくる。その応用範囲は「お疲れサバです」などダジャレにも及ぶ。今日は少々緊張が見えるものの、満面の笑顔だ。

右田さん「今の心境……。昨日博多に泊まったんです。会場までむちゃ近いなと思っていたんですが勘違いでした。タクシーでここまで25分もかかりました。自分の下準備のなさにほとほと嫌気がさしてる感じです。安いホテルに泊まって、タクシー代かかったら意味ないやん、なんでいつもこうなんやろと。

でも、プレゼンは、たぶんバッチリやと思います。十分練習してきました。今回カタパルトに登壇するにあたって、(ICC)小林さんに練習させていただいて、プレゼンがすごくシンプルになりました。

結果が出るのはこれからですけれども、今のこの段階でも、それがすごく良かったと思います。本番には強いほうなんで、頑張りたいと思います」

会場で検温を受けた印の、紙バンドを手首に巻いている。「もちろん38度でした!」とこれまた満面の笑顔で答えた。

ステージ上では、ミラーフィットの黄 皓さんがリハーサル中

「スタートアップが世の中の課題を解決して、みんなを元気に!」

登壇者のリハーサルが一通り終わると、優勝商品を提供する企業の方々が次々と集ってきた。商品の紹介や挨拶など、一通りの流れを確認している。その中でもヤッホーブルーイングの”てんちょ”井手 直行さんは、前回は商品提供をいただきつつ欠席だったため、1年ぶりのリアルイベント復帰。登壇するチャレンジャーたちにメッセージをいただいた。

表彰式のリハーサル中の井手さん(写真中央)

井手さん「こんなコロナで混乱して大変な時期だからこそ、スタートアップのみなさんが世の中の課題を解決して、みんなを元気にしてほしいと思います。今日は期待しています。優勝した人にはよなよなエールをプレゼントして、幸せになってもらうべく、エールを送ります!」

第10回スタートアップ・カタパルト、開幕!

「緊急事態宣言発令のなか、お越しいただきましてありがとうございます」

今回10回目となるスタートアップ・カタパルトが始まった。会場内は2席に1人が座る形とはいえほぼ満席。ナビゲーターを務めるICC小林が、前回優勝者の2人、Leaner Technologiesの大平 裕介さんとMediiの山田 裕揮さんを呼び込んだ。

大平さん「優勝したことで、非常に事業が変わりました。プレゼンを見ていた方々からご成約もいただいたりして、事業の桁が一つ成長しました」

コストを見える化し、企業の利益率1%改善をめざす「Leaner」(ICC KYOTO 2020)【文字起こし版】

山田さんは、優勝賞品のFABRIC TOKYOの3つ揃いスーツを着て登場した。

山田さん「医療という領域で挑戦していますが、いかに信頼、安心を見せていけるのかが大切です。優勝したことで社会的なインパクトを見せられたと思います」

専門医シェアリングで、どこにいてもより良い医療が受けられる世界を作る「Medii」(ICC KYOTO 2020)【文字起こし版】

続いて優勝者総取りの商品が一挙に紹介され、登壇者たちにエールを送る恒例の拍手セレモニーが終わると、いよいよ15組のチャレンジャーたちの「7分間の、人生をかけた戦い」が始まった。

プレゼンは、追って書き起こし記事としてご紹介する予定だが、緊張感が伝わるプレゼンの模様から結果発表まで、ぜひ審査員になった気持ちで当日のライブ中継映像や写真をご覧いただきたい。

審査員の感想は

15組のプレゼンが終わると、審査員席の投票用紙が回収された。集計を待つ間は審査員からのプレゼンを聞いた感想を聞いていく。

プロノバの岡島 悦子さん

岡島さん「カタパルトで女性3人上がってくるのは素晴らしいなと思って拝見していました。皆さんプレゼンのレベル感が上がっていて、優勝する方も、されない方も、みんな応援していきたいと思いました」

ユーグレナ / リアルテックファンド永田さん「普段は社会を変える事業にとか、抽象的なことを言うのですが、今までのカタパルトで一番感動しました。

SOZOWさん(Go Visions)、ホームページを見たらCFOがいないので……何か手伝えることがあればと思いました。YOJO Technologiesさん、『しおみる』さんも僕らの事業に関係あるので、お声がけしたいなと思いました」

サツドラ富山 浩樹さん

富山さん「バラエティ感があってワクワクしました。個人的にはクイッキン、サバのフィッシュ・バイオテックさんなどリアルな事業に魅力を感じました」

レノボジャパン リュウ シーチャウさん

シーチャウさん「自分もこれを使ってみたいな、会社でも導入したいなと思うものがたくさんありました」

セプテーニ佐藤 光紀さん「創業の志、純粋な思いの強さが感じられてよかったなと思います。『しおみる』さんは本当に社会課題で、解決が必要だと強く感じて共感できました。そういう起業は強いし、その想いを持ったまま、事業を大きくしていただければと思います」

プレイド倉橋 健太さん

倉橋さん「素晴らしい事業ばかりでした。恵比寿にオフィスがあった時代に、『SABAR』に本当にお世話になりまして、飲食店からこういうビジネスモデルに転換しているのかと驚き、感動的でした」

「サバに代わって、みなサバに感謝を申し上げます」

結果は既報の通り、優勝がフィッシュ・バイオテック、第2位がクイッキン、同率第3位でGo Visions(SOZOW)とYOJO Technologies、第5位はOh my teeth、第6位がORANGE kitchen(しおみる)となった。

優勝が発表されると、右田さんは深く頭を下げた。

右田さん「サバに代わって、みなサバに感謝を申し上げます。ありがとうございました。

いつも思うのですが、こういう機会で評価してもらうと、サバもきっと喜んでいると思います。

本当にこの14年間、サバとともに歩んできまして、コロナで厳しくなったのですが、去年ぐらいからサバの評価が高くなってきて、諦めず、やり続けてよかったなと思いました。お疲れサバです。ありがとうございます」

商品贈呈は「よなよなエール賞」ヤッホーブルーイングの井手さんから。「ついにスタートアップ・カタパルトで、サバが選ばれるようになりましたか! ビジネスモデルがすごいですね。サバと、よなよなエールは絶対合うと思うので、一緒に何かやりましょう!」

メリノTシャツが社員分贈られる「”23時間を快適に”賞」を贈呈した三星グループの岩田さんも学生時代の「SABAR」行きを告白。ちゃっかり便乗プレゼントもリクエストした。「社員数6名ですか? 投資家の前澤 友作さんにもプレゼントしますね(笑)」

続いて「こころに贅沢させよう賞」として、ホテルやレストランで使える一休ポイントを10万ポイント分を、ICCの小林が代理で贈呈、「FABRIC TOKYO賞」として何でもお仕立て券を進呈した森さんは、毎日サバを食べていることを明かし、「応援しています!」と、右田さんのサバを食べることを宣言した。

「おめでとうごサバいます」と「住友生命Vitality賞」を渡した藤本さんは「ファクトリエとのコラボ企画、次回のコットン種まきツアーにぜひご参加ください」と声をかけた。種から育てて収穫した綿花から作ったTシャツが贈呈される。

もはや優勝者を祝福する出来レースじゃんけんととなりつつある「SmartHR賞」。「パーを出します」と言う宮田さんに、右田さんはチョキを出して、難なくSmartHRプロフェッショナルプラン100年分を勝ち取った。

ノバセルの田部さんは、「サバのバッテリーとか作れますよ!」と提案をし、カスタマイズできるノベルティ一式をプレゼント。最後に前回覇者の大平さんと山田さんに挟まれてウィナーボードを持って記念撮影した右田さんは、まだどこか驚いたような表情だった。

カタパルトを見ると、一つ先の未来が読める(ユーグレナ永田さん)

審査員コメントを求められたときに言及したスタートアップに、カタパルトが終了して真っ先に話しかけに行った永田さんに、今回のカタパルトの感想を聞いた。

永田さん「直近2年前ぐらいから、ソーシャルインパクトや目的が、しっかり社会性というものに根ざしたベンチャーの数が圧倒的に増えてきました。

オンラインだけではないリアルというものもどんどん掛け算されていて、岡島さんもおっしゃっていましたが、インクルージョン、ダイバーシティがどんどん広がっていっている。重要なキーテーマで、ずっと掛け算が繰り返されている印象があります。

次は何のキーワードが掛け算されるか、カタパルトを見て因数分解したら、『2022年はこのキーワードだ』ってもう分かりますよ。

それがカタパルトの良さなんです。たぶん1年先に、この社会に必要なキーワードが出てくるのです。登壇企業を選んでいる(小林)雅さんもすごいなと思いますが、一つ先の未来を読むことに本当に役立つ場でもあるなと思いました。

なぜ今回サバが優勝したのか考えてみると、まず投資って、自分事ができるサービスかどうかは、結構重要な観点だと思います。おそらく、体験と想像ができるというところが非常に大きかったんじゃないかなとは思います。『SABAR』に行ったことがある人もたくさんいらっしゃいましたよね。

僕は今回は「SOZOW」(Go Visions)に超感動してしまいました。そのほか、YOJO TechnologiesさんとORANGE kitchen(「しおみる」)に入れました。

僕がどういう視点で考えたかというと、そのサービスが大きくなってそこの関係人口も大きくなった時の社会インパクトで考えています。

教育はその観点が強いと思いますが、人が健康になることのほうがレバレッジが掛かると思っているので、一番最終的なソーシャルインパクトが大きそうなものというのを、自分なりには選んでいるつもりです」

カタパルトでは、永田さんのような今の産業を牽引する若きリーダーたち、事業を作ってきた経営者たちが、後輩経営者のプレゼンを見て、ともに産業を創り、応援したい企業に票を投じる。プレゼンを見ながら涙ぐんだり、終わってからも口々に感想を語っている審査員たちを見ると、彼らもまた、人生をかけた7分間に真剣に向かい合っていることがわかる。

「CFOがまだいないですよね?とSOZOWさんに言ったら、ユーグレナのCHROの岡島さんが『コラッ』みたいに振り返ったんですよね(笑)。でも、自分のいいなと思うものが成功することを手伝えるのは素敵なことで、いいことだなと思います」と、興奮さめやらぬ口調で永田さんは言った。

「人生の中で一番、380回練習しました」(右田さん)

右田さん「いや、サバの力ってすごいなと、改めてサバに感動しました。

もともとICCに登壇されていた、ラクサスの児玉(昇司)社長から『ベンチャーをやっていく上で、ICCは絶対登竜門だから』と言われて、今回エントリーさせていただきました。

それから小林さんをご紹介いただいて、プレゼン資料を送り、プレゼンをZoomでやらせてもらいました。小林さんにすごく感動していただいて、そこから”サバ語”がメールで来るようになって(笑)、そこから2~3回修正をかけていただいて、今日に臨みました。

僕は結構ピッチも登壇もさせてもらうのですが、今日の登壇は、人生の中で一番練習したと思います。

完全に7分びっちり終わるように、たぶん380回ぐらいは練習したと思います。一応サバなので、380は、3・8なので…いちいち説明するなって(笑)。めちゃくちゃ練習しました。なので本当にうれしいです。

いつも思うんですけれども、このようなステージに立てることに本当に感謝ですし、登壇している時も、『今日はすごく気持ち良くしゃべれているな』と思ったんです。

なので自分の中ですごく手応えはありました。ほぼ完璧にしゃべれたなと。かむのも完璧なんですよ。人間味があっていいじゃないですか?(笑) かむのも含めて今日はすごく満足度が高かったです。

今、世界でサバを生食するという食文化は全くありません。なので、来年またここに来させてもらうときには、当たり前のようにサバを生で食べている食文化を作っていくというところが、私の当面のチャレンジかなと思っています」

コメント映像用のカメラが止まると右田さんは、「いや〜〜サバを信じていなかった僕が馬鹿だった! サバも喜んでいると思います!」と、体を折り曲げて喜んだ。

3位入賞のYOJO Technologies辻さんは「今日のプレゼンで初めてお会いしたのですが、ユーグレナの永田さんとお話ができました! いろいろな方から協業したいというお話をいただいて、ICCが終わった次の週から、早速ご相談させていただく予定です」と声を弾ませている。

堂々としたプレゼンを披露して5位に入賞したOh my teeth西野さんは、「滑舌が悪いのはマウスピースのせいではなく、生まれつきです」と笑いすらとっていた。

西野さん「昨日、ICC小林さんとの3回分のメンタリングを見返していたんです。プレゼン中にあれがフラッシュバックしてきました。そこで振り返ったのが、今活きているとプレゼンしながら思いました。使った動画も、元は女性モデルだったたのですが、男性ユーザーが多いならば男性のほうがいいというアドバイスで、男性の映像に変えたんです。

終わってみたら、矯正をやってみますという声が早速聞こえてきて、よかったです!」

◆ ◆ ◆

午後、外から帰ってきた様子の右田さんを会場ホワイエで見かけた。近くのショッピングセンターでかんたんに食事をしてきたのだという。「あ〜お弁当あったんですか! 知らなかった!」と右田さんはバツが悪そうに笑った。

「これから何かセッションを見ますか?」と聞くと、右田さんは残念そうに首を振った。多忙の様子である。

“サバ博士”右田さんの描くビジョンは、サバの完全AI養殖による、生食できるサバの普及、エコ餌によるフードロスの解決、貧困国へのタンパク源の供給・食料不足の解決と壮大だ。そのビジョンに少しでも到達するため、優勝の余韻に浸る間もなく、右田さんはこの日早々に会場を後にしていった。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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