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ICC FUKUOKA 2021 CRAFTEDカタパルトに登壇いただいた、ワシオ 鷲尾 岳さんのプレゼンテーション動画【「ワシオ」は独自の起毛技術×コラボで、防寒衣類の新しい可能性を追求する】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションは、ICC FUKUOKA 2021 オフィシャル・パートナーのMakuake様にサポート頂きました。
▶【速報】「軽い、薄い、暖かい」植物素材で、サステナブルな衣類をつくるKAPOK JAPANが CRAFTED カタパルト優勝!(ICCサミット FUKUOKA 2021)
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【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICC FUKUOKA 2021
Session 10A
CRAFTEDカタパルト
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Makuake
鷲尾 岳
ワシオ株式会社
統括本部長
兵庫県加古川市出身。1991年生まれ。 京都外国語大学で中国語を専攻。
2013年、大学を卒業し就職後すぐ中国に駐在、日本酒等の輸入販売を行う事業の立上げに参画。
現地で約3年が経過したころ、家業の業績悪化を知り、2016年2月に帰国し入社、直後の決算で過去最大級の赤字を計上した。
入社直後より、抜本的な経営改革を行い、翌事業年度には単年度黒字を実現。
以後、新たな販売チャネルを求め新規事業を拡大、広報やマーケの一環としてMakuakeでのプロジェクトを5回実施、計3600万円以上を集める。
2019年にはBusiness Insider Japanによるアワード「Beyond Millennials」にて「Game changer 2019」に選出された。
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鷲尾 岳さん こんにちは。世界から「寒い」をなくす仕事をしています、ワシオ株式会社の鷲尾 岳です。
本日、私がお伝えしたいことは、こちらの6点です。
日本有数の靴下の産地、加古川市
ワシオ株式会社がある兵庫県加古川市は、その名の通り加古川という川を中心に発展した土地で、大阪から約1時間ほどの場所にあります。
このように街の中心に大きな川があります。
日本有数の靴下の産地として知られ、かつては日本で一番靴下を作っている街でした。
暖かいものを作ることを追求
そんな加古川市にあるワシオ株式会社は、1955年に私の祖父が始めた不良品の靴下の回収をルーツにしています。
当時は今のように暖房設備が充実していたわけではないので、冬は本当に寒かったそうです。
人を幸せにしようと、暖かいものばかり作ることを追求していたので、結果的にワシオ株式会社は「夏を忘れてしまう」という状況に陥りました。
夏、工場で30度を超える日でも、祖父はひたすら暖かい服をどうやったら作れるのかと、とにかく暖かく、暖かくと試行錯誤を繰り返していました。
今でも靴下をベースにしていますが、防寒に特化したアイテムのバリエーションがどんどん増えてきて、今ではアパレルを作るに至っています。
ただお察しのとおり、このように夏の売上が極端に少ない状態になっております。
残された私たちはどうしたらいいのかと(笑)。
暖冬が来ると本当に怖いという状態になっています。
編みながら起毛をする独自の技術
ただ同時に祖父が残してくれた独自の技術があります。
裏側が特殊なふわふわとした生地が、弊社の独自の技術です。
この生地をふわふわにする技術を「起毛」といいます。
一般的な起毛は生地を起毛機にかけて作ります。
真ん中で回転しているものが金属のブラシで、ここで生地を毛羽立たせていきます。
一方、ワシオの起毛は編みながら起毛をします。
靴下の機械をベースにして、自分たちが独自で改造して機械を作りました。
編まれた生地は初めから起毛されている状態です。
ワシオの起毛が一般的な起毛より温かい理由
一般的な起毛とワシオの起毛の作り方には、違いがあります。
簡単に言うと、糸を切る起毛が一般的な起毛で、糸を切らない起毛が弊社の起毛です。
糸を切らずに起毛しているので、空気をため込む力がとてもあります。
ダウン並み、ひいてはもしかしたらカポック(※) 並みにあるのではないかと思っています。
▶編集注:鷲尾さんのプレゼンの前に、植物のカポックを素材としてファッションブランドを展開するKAPOK JAPANの深井 喜翔さんが同CRAFTED カタパルトでプレゼンを行いました。
あえて言うことではないかもしれませんが、弊社が作る起毛の肌着は1枚で、暖かさで有名な某社の起毛肌着のだいたい2枚分ぐらいの保温力があります。
独自起毛を生み出す手作りの機械
この機械が、市場に流通していない自分たちの手作りの機械です。
どうやって機械を作っているのか、動画をご覧ください。
金属の部品を一つひとつ磨き、切り出し、溶接し、部品一つひとつから作っています。
我々が1970年から50年かけて積み上げてきた手作りが支えるものづくりが、ワシオ株式会社のCRAFTEDです。
技術だけではうまくいかない壁とは?
オリジナルな技術があったとしても、それだけでうまくいくとは限りません。
私は2016年に入社し、そこから色々と考えてやってみましたが、田舎では新しいものに触れる機会があまりありません。
ということは、なかなか面白いものが生まれてきません。
その打開策として、コラボが生まれました。
「ヒント」は、夏を忘れた私のじいちゃんにありました。
1982年、今から40年ほど前に冒険家の植村直己さんが南極で実際に履いていた靴下はワシオが作ったものでした。
ワシオの技術は外部の何かと掛け算することで価値が高まるということが分かりました。
打開策①:「人」とコラボ
打開策の1つ目は、「人とのコラボ」です。
他の人とは違う人生、真っ直ぐにこだわりを持って生きるアウトドアマンと一緒に、私が今着ているパーカーのブランド、「YETINA(イエティナ)」を新しく立ち上げました。
自分らしさを追求して自然体で生きる外部ディレクターの女性と、足首を温めるだけのブランド「awaia(アワイア)」を誕生させました。
これらは何度も雑誌に取り上げられ、シーズンに入ると在庫が無く、手に入りにくいと言われるほどになっています。
打開策②:「悩み」とコラボ
続いては「悩みとのコラボ」です。
冬が寒いということが原因で起こる悩みは、いくつかあると思います。
色々な人に話を聞いて、悩みを整理していきました。
「足が冷たくて熟睡できない」という悩みに対しては、植村直己さんが南極で履かれた靴下をアップデートしました。
「冬の朝、布団から出られない」という悩みに対しては、熱を逃がさないパジャマを作りました。
「着ぶくれが嫌だ」という方に対しては、薄着でも外で遊べるパーカーを作りました。
打開策③:「Makuake」とコラボ
そして3つ目は「新しい売り方とのコラボ」です。
問屋さんに任せきりだった、従来の流通を改革しました。
Makuakeさんを活用させていただき、直接消費者に届け、コミュニケーションを取る新しい商流を発生させました。
その結果、より具体的なニーズを拾えるようになったことで、寒さというところにかなりとがった製品を次々と生み出していくことができました。
このように、「ワシオ株式会社×新しい何か」を繰り返すことで、私たちはメーカーとして成長してきました。
そして、今日せっかくご縁があってこんなにも多くの方々にお話をする機会をいただけたので、ぜひ新しい出会いで新しいコラボを見つけ、さらに成長していきたいと思っています。
冬が苦手な方はお声がけください!
この会場で「冬が嫌いでたまらない」「寒いのはもう嫌だ、なんとかしてほしい」という方、もしくは話を聞いて「うちの会社に興味がある」という方がいらっしゃいましたら、ぜひこの後、お声がけいただけるとうれしいです。
最後にもう一度宣言しておきます。
私たちは、世界から「寒い」をなくします。
ご清聴ありがとうございました。
▶CRAFTED TOUR レポート「もちはだ®︎」で、世界から「寒い」を無くしたい! ワシオ3代目が提案する、豊かな暮らしへの選択肢【ICC 大阪CRAFTED TOUR レポート#4】もぜひご覧ください。
(終)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美
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