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ICC KYOTO 2025のセッション「徹底解説 – 生成AIの最新動向」、全7回の②は、NSV Wolf Capital柴田さんが、個人投資先の生成AIを活用した業界特化型アプリ開発6社を紹介。服のデザインと縫製データを同時生成するアプリ、山火事の発生率をAI分析する保険販売ビジネスなど要注目の内容です。柴田さんのAIスタートアップへの投資判断基準は、“営業”にあるといいます。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜 3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはリブ・コンサルティングとノバセルです
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【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 3A
徹底解説 – 生成AIの最新動向
Supported by リブ・コンサルティング
Co-Supported by ノバセル
(スピーカー)
砂金 信一郎
Gen-AX
代表取締役社長 CEO
柴田 尚樹
NSV Wolf Capital
Partner
西脇 資哲
日本マイクロソフト
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト
(モデレーター)
尾原 和啓
IT批評家
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柴田さんが推す業界特化型アプリの会社を紹介
柴田 生成AIを業界特化型で作ると、どういうプロダクトがあるのか分からないという方が多いです。
いくつか例をお見せすると、少しは分かりやすいと思いますので、ご紹介します。

尾原 個人投資先ですか?
柴田 はい、私が自分のお金で投資している会社を、いくつかご紹介したいと思います。
尾原 (笑)
電子カルテ、ゴミの分別…人力でやっていた仕事を省力化する4社
柴田 1つ目がSully.aiという会社で、AIクリニックの会社です。

これだけ見ると何だか分からないかもしれませんが、基本的に病院のオペレーションをAIで可能な限り省力化するというものです。
最初はお医者さんと患者さんが会話している内容を、電子カルテに自動で記入するサービスから始まりました。
そこからどんどん広がり、病院の受付業務や予約、あとはアメリカでは加入している健康保険がみんな違うので保険の確認など、バックオフィス領域も全部やっている会社で、非常に伸びています。
Y Combinatorが投資しました。
次はGlacierという会社で、ごみ処理場で動くロボットです。

この会場でもペットボトルを減らす取り組みをしていましたが、ペットボトルを分別して捨てても、何かが必ず混じってしまいます。
ゴミ処理場では、ペットボトルをベルトコンベアの上に1回出して、流れていく過程で、人間がペットボトル以外のものを手で取り除いているのです。
手で取り除く作業を、人間に代わってロボットがやります。
上からカメラでリアルタイムにベルトコンベアの映像を見て、当然マルチモーダルで何があるか正確に分かるので、ペットボトル以外の物をつまむロボットがあるだけですが、非常に労働環境が良くない状態なので、重宝されているプロダクトです。
次はSpot AIという会社で、セキュリティカメラです。

今までのセキュリティカメラは、カメラを入れてもガードマンがリアルタイムで監視していなければいけなくて大変でしたし、あまりみんながやりたがる仕事でもなく、人材募集も大変でした。
リアルタイムで、マルチモーダルで、生成AIがどんなものが映っているかを見ますが、ある程度事前に条件を設定しておくと、そのタイミングでアラートを上げてくれるようになります。
ガードマンがゼロになるわけではありませんが、これまで専属だったガードマンが、例えば、1人のガードマン同時に見ることができるカメラの台数が大きく増えるので、かなり省力化します。
次は、Zaniaという会社です。

ソフトウェアを作ったことがある方は知っているのですが、ソフトウェアはセキュリティの監査を必ず受けます。
僕の場合、いつも怒られて問題ばかり挙げられて、監査が大嫌いだったのですが、実は会社は監査にすごいお金を払っているわけです。
でも、今まではセキュリティのプロのコンサルタントを雇って、人力でやっていたセキュリティの監査を、AIがしてくれます。
競合がいない火災保険会社
柴田 Delosは火災保険の会社で、私の好きな例です。

アメリカ、特にカリフォルニアでは、山火事が非常に多いです。
この季節から山火事が発生するのですが、山火事があまりにも大量に発生した結果、保険会社がとんでもなく大きな損失を被り、山火事が発生しそうなエリアで保険を販売するのをやめています。
つまり、燃えそうな場所の近くに住んでいる人は、火災保険が買えない状態です。
ただ、危ないと言われているエリアでも、きちんとデータを集めてAIで分析すると、7割か8割は保険を販売しても大丈夫で、保険会社から見ても燃える可能性が非常に少ないことが分かっているので、そういうエリアに住む人たちに保険を販売するビジネスをしています。
ポイントは、そのエリアに住んでいる人たちは、この会社からしか保険を買えないので、高くても買うのですよね。
他の会社は保険を売ってくれないからです。
このように新しいビジネスが生まれています。
服のデザインと縫製可能なデータを同時に生成
柴田 最後にRaspberry AIです。
ファッションデザイナー向けのFigma、デザインソフトウェアだと思ってください。

プロンプトで指示をして、このように綺麗なデザインをすることもできますし、画像を与えてこれと似たような感じでうちのブランドのガイドラインに沿った服のデザインをしてくださいみたいなこともできます。
すごいのは、こういう画像を作ってくれるだけではなくて、裏側が全部ベクターデータになっていることです。
ワンクリックで、裁縫工場までいけます。
尾原 CADにそのまま送って、工場でこのまま縫製できるみたいな、行動直結するパターンが増えていますよね。
柴田 おっしゃる通りですね。
僕が投資できたのは、Khosla Venturesと同じラウンドですが、その後にGreycroftが投資し、最近、Andreessen HorowitzがシリーズAをリードしました。
非常にバリュエーションも高くなって、私はマークアップ(評価益)が大きく出て非常にハッピーです。
LLMを開発しない会社がすべきことをおさらい
柴田 繰り返しになりますが、社内は地道にコーディングと特に営業の2つに、生成AIをどんどん導入していただくのがいいと思います。

先ほどGAFAMの決算を見ましたよね。
従業員が増えないのに売上が増える状態を作っていくというのが、社内の話です。
社外については、今、事例をお見せしたように、それぞれの業界とそれぞれの職種に特化したAIのアプリケーションを作っていただくのがいいのではないかと思います。
日本では、最近生成AIが祭りになっていると聞きましたので、私も祭りに参戦したいと思って、今日はアメリカから来ました。
皆さん、どうぞよろしくお願いします。
尾原 8分ぐらいディスカッションして、次に渡していきますが、砂金さん、例えば、孫さんから、「アメリカでこんなことが起きてるぞ!」と言われたら、どうされるのですか?
柴田さんの投資先選びのポイントは?
砂金 信一郎さん(以下、砂金) 日々そういうクラスター爆弾みたいな宿題しか降ってこないので、柴田さんのnote「生成AI事例集」は大変参考にさせていただいております。

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砂金 信一郎
Gen-AX
代表取締役社長 CEO
生成AIに特化したB2B SaaSと業務変革コンサルティングを提供するソフトバンクの100%子会社Gen-AX株式会社の代表を務める。業務知識や接遇の高度なチューニングが必要なカスタマーサポートや照会応答業務の効率化・自動化を、AIエージェントやLLM Opsなどの技術で実現する。東京工業大学卒業後、日本オラクル、ローランド・ベルガー、マイクロソフトでのテクニカルエバンジェリスト、LINE(現・LINEヤフー株式会社)でのプラットフォーム推進やAIカンパニーCEOを経て現職。2019年度より政府CIO補佐官、その後発足時よりデジタル庁での職務を兼任し行政のDX化を支援。
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尾原 (笑)
砂金 それはそれでリサーチをするのですが、柴田さんにお伺いしたいのは、結構初期の段階で、「この会社はいいぞ」みたいに出資されていますよね。
一方で、AIプロダクトは差別化がすごく難しいです。
ユースケースの発見力、目の付け所が良いというのはいいのだけれど、別にその会社でなくて他の会社でも、コモディティの部品を組み上げればできるじゃないかというのはありますよね。
尾原 意外とコピーして追いつくことも、楽になっていますよね。
砂金 はい。という状況がある中で、何を見て出資されているのですか?
柴田 まさにおっしゃる通りで、基本的にスタートアップもLLMのモデルを自分たちで作っているわけではありません。
既存のLLMを持ってきて、ファインチューニングして、プロダクトに仕上げています。
そうすると、差別化になるのはファインチューニングするデータ、追加学習するデータの部分になるので、私が見ているのは、ちゃんと営業ができるかどうかです。
売上を取るだけでなく、売上にプラスしてデータを出してもらわないといけないので、大企業に行ってそういう営業ができそうかどうかで基本的には決めています。
尾原 最近の2回ぐらいで、Y Combinatorは世界最大のAIアクセラレーターに実質なっていますが、明らかにProduct-Led Growthのフェーズから、セールスが勝つ、Sales-Led Growthになっていますよね。
柴田 そうですね。
ほぼ100%、B2Bの、しかも大企業向けのゴリゴリの営業のパターンが多いです。

皆さんがニュースで見るのは、Cursorですね。
日本では「カーソル」と言うのですかね、すごく伸びているとニュースで聞くので、ああいうものを想像されがちですが、あれは本当に例外です。
例外はいくつかありますが、基本的にはゴリゴリの大企業の営業だと思っていただいていいかなと思います。
AIスタートアップが本当に必要とする人材は?
砂金 西海岸側で起こっていることについて話がありましたが、GAFAMを辞めているのか、レイオフになっているのか、ポジションクローズになっているのか分かりませんが、行く先が生成AI系のスタートアップという構図にはまだなっていないですか?
柴田 なっているとは思いますが、生成AIのスタートアップも、今までのスタートアップと比べると、人数をそれほど必要としないのです。
もちろんゼロではないですよ。
営業が全くいないとか、マーケティングが全くいないとか、そういうことでは決してないですが、例えば、今まで3人いたところが2人で済んでしまっているような感じなので、全体的に少ない人数で仕事をしている感じはすごくありますね。
尾原 あとはAIモデルを新しく作る人材とファインチューニングして現実に落とすエンジニア人材は違いますよね。
柴田 そうですね。
でも前者の人材は、世界中探してもそんなにいないじゃないですか、本当にちゃんとできる人は。
尾原 ハイパースケーラーとかね。
まぁ、そこに1人いますけれど、砂金さんという人が。
砂金 SB Intuitionsはやっていますけれど、でも日本の中で意外と議題に上らないのがファインチューニングです。

結構みんな無視するというか、OpenAIやGoogleとかが提供しているAPIをそのまま使って、精度が出ないなみたいな感じになっています。
柴田さんの出資先の方たちは、元のモデルはあるのですが、それを使いながらオープンウェイトモデルを組み合わせて、業界特化チューニングをちゃんとやれる人がいるから成立しているのだと思います。
柴田 それはおっしゃる通りだと思いますね。
西脇さんから2つの質問
西脇 構造上の違いを教えていただきたいのですが、生成AIで頑張ろうというスタートアップは、日本にも多少ありますが、明らかにアメリカが多いですよね。
今、事例で紹介いただいた中に、監視サービスがあり、ファッションのサービスもありました。
これは事業会社がやっても、別によさそうですよね。
例えば、監視サービスならセコムがやってもいいし、それ以外の警備会社がやってもいいし、ファッションも、どこかのファッションブランドがやっても良さそうなのに、そうではなくてスタートアップがやるわけですよね。
この構造の違いを教えていただきたいのがひとつと、もうひとつは、スタートアップをやろうと思ったら、それなりに知識とノウハウが必要じゃないですか。
例えば、警備会社からしたら、「自分たちのほうが警備データを持っているし、警備経験があるし、どこが危ないポイントか知っている。そんなのスタートアップに(分からないよね)」という声は起こらないですか?

柴田 後者の質問から先に回答すると、ほとんど業務経験がない人だけでAIのスタートアップをやるのはかなり難しくなっています。
創業者が2人いるとしたら、その業界で何に困っているのか、どこにデータがあるのか、どういう風にデータが保管されているのかをよく分かっている人が、ビジネスサイドで1人いるパターンがかなり多いです。
西脇 そういう意味では、生成AIとビジネスサイドのプロのタッグが重要だということですね。
柴田 はい、それは間違いないですね。
なかなか20歳で在学中で、B2Bの特定のゴリゴリの業界の、というのは難しいですね。
尾原 一方でMicrosoftも、日本で最初にユースケースを立ち上げる時は、RAG的なチューニングが多かったですが、お手伝いみたいな部隊もあったりしたじゃないですか。
西脇 そうですね。今もありますね。
尾原 そこはどんどんニーズが強くて、大手のそういう拡張とかを?
西脇 そうですね。今の話で言うと、前者の話なのですよね。
スタートアップの支援ももちろんするのですが、業務ノウハウはあります、経験もあります、人もいます、でもAIのノウハウがないですという大手企業にMicrosoftが行って、一緒に作り上げましょうというビジネスのやり方が非常に多いです。
3段階のフレームワークを意識して!
尾原 一方、皆さんには、3段階のフレームワークで考えていただくとよいです。
自分のやっているサービスを一度写真でアップして、「あなたは警備員です。この写真の中で怪しいところを10個挙げてください」と、何もファインチューニングしていないClaude、特にGPTで、1回やってみてください。

一番分かりやすいのが、車で運転している時の風景をアップして、「あなたはドライバーです。次に事故が起こるとしたらどんな可能性がありますか? 20個挙げてください」というもので、本当に挙げてくれます。
さらにもうひとつ大事なのは、入力を認識してアクチュエーションという出力につなげるので、「あなたはドライバーです。ドライバーはどういうブレーキを踏みますか?」とアクションを言ってみると、それも結構やってくれるのです。
だから汎用として、結構なところまで来ているよというのが、1段階目です。
けれども、2段階目として、それを業務に入れるとなると、クローズな専門知識が大事です。
そこをブリッジするところを、スタートアップ視点でやるところ、大企業の視点でやるところがありますよね。
柴田 IQで測るのがいいのかは別として、最新のリーズ二ングモデル(推論モデル)は、IQが110を超えているらしいです。
そのうち、僕も抜かれるのだろうなと(笑)。
もう抜かれているかもしれないですが、そんな感じですね。
(続)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/原口 史帆/浅郷 浩子/戸田 秀成



