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「今さら聞けないベンチャーファイナンスの基本(ICCレクチャー)」10回シリーズ(その6)は、西村あさひ法律事務所の水島さんと木村・多久島・山口法律事務所 山口さんに「投資契約/優先株式の基本」について解説いただきました。起業家必見の内容です。ぜひ御覧ください。
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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2017年9月5-7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 8C
今さら聞けないベンチャーファイナンスの基本(レクチャー形式)
(スピーカー)
今野 穣
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ
パートナー COO
高宮 慎一
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ
パートナー/Chief Strategy Officer
水島 淳
西村あさひ法律事務所
パートナー
山口 孝太
木村・多久島・山口法律事務所
パートナー弁護士
(モデレーター)
琴坂 将広
慶應義塾大学
准教授
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▶「今さら聞けないベンチャーファイナンスの基本」の配信済み記事一覧
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最初の記事
【新】今さら聞けない!ベンチャーファイナンスの基本(ICCレクチャー)【K17-8C #1】
1つ前の記事
ベンチャーファイナンスの基本④:ランウェイを何ヶ月で設定するか?等【K17-8C #5】
本編
琴坂 ここまでは、高宮さん・今野さんによる「ベンチャーファイナンスの基本」についてレクチャー頂きました。
ここで、講師役を、山口さんと水島さんにバトンタッチして、「今さら聞けない投資契約/優先株式」についてレクチャーいただきたいと思います。
水島 こんにちは、水島です。
どうぞよろしくお願いします。
講義というほど大層なことができる訳ではありませんが、基本的なところからお話を、ということでしたので、ベンチャーファイナンスの投資契約と優先株の大きなところについて、短時間でお話をさせて頂きたいと思います。
むしろここでディスカッションする方が、色々と面白いと思うので、まずはさらっとお話できればと思います。
ベンチャーファイナンスは「つぎ足されるタレ」
水島 私がスタンフォード大学のビジネススクールにいた時に、サンドヒル(Sand Hill Road:シリコンバレーの著名ベンチャーキャピタルが集まる通りの名前)の某トップベンチャーキャピタルの人が来て、「ベンチャーファイナンス入門」のようなレクチャーをされたことがあります。
最初におっしゃっていたのが、事業がどれだけすごいのかというところを検討する前に、まずきちんとしたローファーム(法律事務所)がついているかどうかを見るということでした。
これは別に弁護士の営業ではなくて(笑)、ここに結構なエッセンスが詰まっているのです。
ベンチャーファイナンスって、「巻き戻し不可能」なんですよね。
先ほど今野さんからも少しお話があったと思うのですが、普通の取引とはちょっと違って、一度株を出してしまうと、なかなかそれを消すことができない。
それから、過去ラウンドという過去の取引があった上で、それにつぎ足しつぎ足しされて重なっていく、伝統店の秘伝のタレみたいなものですよね。
前のラウンドで失敗してしまったから、次のラウンドではそれを忘れて1からやりましょうとはいかないところがあります。
アーリーステージだと、色々な理由で妥協してやってしまうところがありがちだと思うのですが、これは資本政策の部分もそうだし、ガバナンス的なところもそうですし、入口から十分に戦略を練っていかなければなりません。
投資契約の一般的な流れ
水島 一般的な取引の流れですが、グラフ右上の「クロージング」から逆算していきます。
まず、クロージングするためには「最終契約締結」が要りますよねということです。
次に、最終契約を交渉するためには、まず重要論点を落としましょうということで「タームシート(※)」の締結が行われます。
▶編集注:タームシートとは、契約対象、契約方式、契約期間などのライセンス契約の内容を項目別にまとめた表のこと。
そして、タームシート確定のためには、先ほどのお話にもありましたが、基本的にはリードインベスターさんと起業家さんが決めるというのが色々な意味でスムーズなんですよね。これは後で少しお話しますが。
ということで、タームシート確定の前に「リードインベスターの確定」があります。
最後に、リード投資家さんについてもらうためには、事業ピッチ、資本政策の協議、先ほど今野さんのお話にもあったユニットエコノミクスなどの「協議」が必要ですよね。
これをまとめると、スライドのような流れで取引されます。
投資形態には色々ありますが、アメリカではずっと「種類株式」で、日本でも最近は種類株式の方が主流になってきていると思います。
「コンバーティブルノート(convertible notes:転換社債)」、「コンバーティブルエクイティ(convertible equity)」という、少しハイブリッドな金融商品があって、これは主にアーリーステージで使われるものなのですが、日本ではそこまで有用性はないかなというところもあります。
ディール次第ですね。
日本にもコンバーティブルエクイティの事例あり
琴坂 日本で、これを使っているところはあるのですか?
水島 ありますよ。
山口孝太 氏(以下、山口) 最近、500 Starups Japanの方達が、「J-KISS」という名前でコンバーティブルエクイティを頑張ってやっていて、私は同社の顧問なので、よくアドバイスをしています。
同社以外にも、500 Starupsと関係ないところでメディアの記事などを見て、この形で資金調達をしたいと相談に来る人達もいて、普及し始めているかなという印象はあります。
水島 これは少し違った商品なので、今日は説明を割愛させて頂きますが、「J-KISS」ってウェブサイトでダウンロード可能で、誰でも見ることができるんですよね。
ですから、交渉コストなどの取引費用を下げるという意味ではすごく意味があるのではないかというところですね。
ただ、起業家さんの側からすると、ボンドの場合転換の時にきちんと源泉徴収を取っておかなければならないなど、色々と細かい実務的な落とし穴があるので、使用する時は十分に注意して下さい。
では、本題に戻り、どのような契約を結ぶのかというところについてお話していきたいと思います。
ここで「①投資契約」、「②種類株式要項」、「③株式間契約」と大きく書きました。
二番目は契約ではないのですが、大体この三つを軸に、投資契約が進んでいきます。
一つ目は「投資契約」ですね。
アメリカでの、“Share Purchase Agreement”にあたります。
そこから分岐する二つ目の「種類株式要項」で、種類株式の内容や権利について決められます。
これはアメリカでは“COI(Certificate of Incorporation)”、つまり定款のことですね。
日本でもこれが定款に入ってきますけれども、それを決めますよということです。
三つ目が「株主間契約」。
これはランニングの契約ですね。
一番目の「投資契約」が株を売ります・買いますというトランザクションの契約で、二番目の「株主間契約」で、投資をした後にそれぞれの株主がどういう権利を持っているかということを決めます。
アメリカの場合は“Voting Agreement“、“Co-Sale Agreement“、“Investors’ Rights Agreement“と3つに分かれるのですが、誤解を恐れずに言うと、あまり分かれている意味を気にする必要はないです。
内容的には株主間契約と同じですね。
あとは状況に応じて色々な契約や合意がされることがありますねというところです。
(続)
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続きは 起業家がおさえるべき投資契約の実務②:「表明保証」と「優先株式」設計のコツ をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/本田 隼輝/Froese 祥子
【編集部コメント】
水島先生・山口先生がこのテーマで講演したら、いくらお支払して参加しなければいけないだろうと考えたら記事編集にも熱が入りました(榎戸)
続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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