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ICCサミット KYOTO 2018 リアルテック・カタパルトに登壇し、 同率優勝に輝いた スペースリンク 阿部 晃城さんの【スペースリンクは、ナノカーボン制御技術でロボット・ウェアラブル時代の次世代蓄電池を開発する】プレゼンテーションの文字起こし記事をぜひご覧ください。
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18日〜21日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
ICCサミット KYOTO 2018のゴールド・スポンサーとして、電通様に本セッションをサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2018年9月4日・5日・6日開催
ICCサミット KYOTO 2018
Session 3A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Supported by 電通
(プレゼンター)
阿部 晃城
スペースリンク株式会社
専務取締役COO
2004年建築・不動産・賃貸管理企業に⼊社。同年スペースリンク⾮常勤取締役に就任。2010年同社常勤取締役に就任し、事業推進・渉外・資⾦調達・IR・労務・⼈事・管理業務に従事。現在専務取締役COOとして「宇宙(Space)と地上を技術でつなぎ(Link)サスティナブルな世界を実現する」ため事業開発・事業戦略⽴案・事業推進を担当している。SEMICON Japan 2017「INNOVATION VILLAGE ピッチコンテスト」グランプリ受賞。未来2018(ロボット・AI・IoT部門)最優秀賞受賞。2018年J-Startup企業選定。
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▶「ICC KYOTO 2018 リアルテック・カタパルト」の配信済み記事一覧
スペースリンクCOOの阿部と申します。
当社は、「宇宙 (SPACE) と地上を、技術でつなぐ (LINK) 」という経営方針の下、これまで行ってきた宇宙技術開発で蓄積した技術とノウハウの地上での利活用を推進している会社です。
また、地上で活用されることによってブラッシュアップされた技術は、宇宙でも使うことができます。
このように、宇宙と地上との超マクロな技術サイクルをミッションとしている設立15年の老舗宇宙ベンチャーです。
これまで様々なことに取り組んで参りましたが、現在は2つの事業を展開しています。
1つはカーボンナノチューブという炭素材料を使った、エネルギーデバイスの開発を行っている次世代蓄電デバイス事業です。
もう一方は、H-IIロケットや人工衛星用の宇宙用GPS受信機を、地上で活用できるように改良している高精度測位システム事業です。
両者とも直近で同時にNEDO事業に採択され、パラレルに開発を進めて参りました。
劣化のない電池をカーボンナノチューブで作る!
本日は、左側のカーボンナノチューブ・キャパシタ(CNTキャパシタ)についてご説明させていただきます。
当社が扱っているカーボンナノチューブは、ご覧のように非常に高い物性を持つ夢の素材と言われています。
創業者である私の父、阿部俊雄がこの夢の素材に出会ったのが、スペースリンク誕生のきっかけでした。
父は前職の三菱電機で30年間宇宙開発を手掛けていましたが、「電池が原因となる人工衛星の短い寿命の問題」に取り組んでいました。
その時、カーボンナノチューブに出会い、この材料をベースにした劣化のない新しい電池を作ることによってこの課題を根本的に解決できないだろうかと考えていました。
ところが、社内でプロジェクトを始められませんでした。
そこで会社を辞め、自分1人でもいいから挑戦しようと決意し、スペースリンクを立ち上げました。
それが2004年の出来事になります。
その6年後の2010年に私も父の事業を正式に手伝うようになり、更にそこから7年が経ち、ようやくカーボンナノチューブ・キャパシタの実用化に成功しました。
そこからICCのようなイベントに参加させていただくようになり、この1年間、PR活動を積極的にしています。
これまでの13年間に費やした研究開発の成果が、技術やノウハウの蓄積につながっていまして、今では当社のコア技術となっています。
高度なナノカーボン制御技術による高容量化の実現
このカーボンナノチューブ・キャパシタを構築するための技術的なプロセスは、大きく2つに分けられます。
それは、 炭素の粉であるカーボンナノチューブをいったん液体の状態にする高度分散技術と、この液体にしたものをまた固形物である電極シートに再構築する技術です。
これらのナノカーボンを制御する技術によって、この革新的なエネルギーデバイスを実現しています。
そのようにして開発されたのが、このカーボンナノチューブ・キャパシタです。
これまでのキャパシタという蓄電デバイスに比べ、3倍以上の高容量化を達成したのが2017年です。
そしてこの1年で、リチウムイオン電池に匹敵する高容量化に成功しています。
CNTキャパシタの3つの強み
現在市場には様々な蓄電デバイスが存在していますが、それらに触れながらCNTキャパシタが具体的にどういうものかご説明します。
まず、この図をご覧ください。
縦軸は、1kg当たりのエネルギー量、つまり「どれぐらい電気を蓄えることができるのか」を示しています。
横軸は、充電、放電の最大のスピードを表しています。
右上に行くほど、理想的な蓄電デバイスであると言われます。
皆さんに最も身近なリチウムイオン電池は、エネルギーの面ではメリットがあるのですが、入出力スピードにはデメリットを抱えています。
一方で、キャパシタと言われる蓄電デバイスは特性がその真逆です。
ところがこのカーボンナノチューブ・キャパシタは、エネルギーとスピードの双方ともにメリットがある、理想的な蓄電デバイスとなっています。
これは言い換えますと、「超高速に充電ができる、リチウムイオン電池に置き換わる新しい蓄電デバイスが誕生した」ということになります。
そして充放電回数に関しても圧倒的な優位性を持っており、長期利用ができることでランニングコストの低減にもつながります。
更に最近、発熱、発火、爆発などが問題になっていますが、この課題解決に取り組むことも私たちは非常に重要なことだと思っています。
これについても、原理原則「燃えない電池」を作ることによって、安心で安全なエネルギーデバイスを提供していきます。
CNTキャパシタの活用で実現する未来とは?
では、この新しい蓄電デバイスの活用で具体的にどういうことが可能となるのでしょうか。
例えば、スマートフォンの充電に要する時間を1分以内に短縮するというような、超短時間充電が実現できます。
更に、ロボットやドローンに適用することで、今まで無駄だった充電時間をカットすることができ、稼働率と利便性を向上させることができます。
また、ウェアラブル端末のような、極めて身近にバッテリーが活用される時代が到来しています。
これを踏まえると、やはり、身につけても曲げても安全で安心であるデバイスの提供は、非常に重要性を増していくだろうということを、改めて申し上げておきます。
そしてEV・電動バイクへの活用も見込めます。
例えばガソリンスタンドでガソリンを給油するかのような短時間での充電も可能になるでしょうし、あるいはワイヤレス給電などとも高い親和性を持つ蓄電デバイスなので、もはやケーブルすら要らなくなるかもしれません。
電池は年間3,000億円伸びている成長市場
電池の重要性は年々拡大しておりまして、私たちはいち早く、持続可能な社会を実現する蓄電デバイスをスピーディに投入しないといけないと考えています。
そのためにも、単独での開発は非常に難しく非効率なため、材料メーカーさんからキャパシタメーカーさんに至るまでご協力をいただきながら、ユーザーに適切な蓄電デバイスを提供していきたいと考えています。
私たちは、「100年先の未来を作るために、何ができるのか」ということを日ごろから考えております。
その実現には、皆さんの応援が不可欠です。
たとえば出資や業務提携、更にはユーザーとして、もしくはスペースリンクで働いてみたいという方も、お声掛けをお待ちしています。
皆さんどうぞご支援のほどよろしくお願いします。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/戸田 秀成/尾形 佳靖/本田 隼輝/鈴木ファストアーベント 理恵
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