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「愛され続けるブランドを創る」5回シリーズ(その3)は、強いブランドに共通するある特徴について。1971年から消費者に愛される日清カップヌードル、全世界で700店舗を超える無印良品のブランド戦略に迫ります。“モテクリエイター”ゆうこすがCMオファーを断る理由にもぜひご注目ください!
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ICCサミット KYOTO 2018 第二回プレイベント・スポンサーとして、株式会社ガイアックス様に本セッションをサポート頂きました。
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18-21日 福岡市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2018年8月22日開催
ICCサミット KYOTO 2018
第2回プレイベント
愛され続けるブランドを創る
Supported by 株式会社ガイアックス
(スピーカー)
青木 耕平
株式会社クラシコム
代表取締役
井手 直行
株式会社ヤッホーブルーイング
代表取締役社長
山口 義宏
インサイトフォース株式会社
代表取締役
(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役
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最初の記事
1. ブランド戦略コンサルタント・山口義宏氏が解説「ブランディングの定義とは?」
1つ前の記事
2. 愛され続けるブランドになるためには、狂い続けなければいけない?
本編
山口 青木さんも井手さんも、コアファンを意識し、大事にされているステージですね。
実は今日、ある方から聞いた間接的な話なので、その真贋はわからないのですが……ゆうこす(@yukos_kawaii)こと菅本裕子さんのお話で非常に興味深いことを聞きました。
ゆうこすは今あれほど有名になって、100万人のフォロワーがいますから、CMのオファーがよく来ると。
しかし、断ることが多いのだそうです。
モテクリエイター・ゆうこすがCMオファーを断る理由
山口 なぜなら、ゆうこすは自分のポジションを、「SNSのインフルエンサー以上、テレビに出るタレント未満」だと見定めているから、という。
もしCMに出てタレントの枠の中に入ってしまうと、自分は単にその中の一人になってしまう、結果、支援してくれた人たちも離れていってしまうと分かっているからの判断だ、と。
それを聞いて、彼女はマーケッターとして天才だなと思いました(笑)。
青木 天才ですね。
山口 今日のお題目「愛され続ける」ともつながりますが、青木さんと井手さんのケースは、「コアファンを大事にし、驚かし続ける」ですよね。
また、ゆうこすの例のように、「適切な規模を保つ」という経営方針を取る場合もあります。
一方、アップルのように「巨大になりながらも愛され続ける」ケースもあり、これらは別の要件だと感じます。
青木 規模はあまり問題にはならず、規模に合った革新性とそのバランスが大事なのかなと思います。
革新性よりも規模が勝ってしまうと、うまくいかなくなってしまう。
アップルや日清食品の場合、規模に見合う革新性を示せているのだと思いますね。
「日清カップヌードル」や「無印良品」にはブランド定義が不在?
井手 僕はカップヌードルなど、強いブランドをベンチマークして研究する習慣がついているのですが、7、8年前に、「なぜ40年間にわたってカップヌードルが愛され続けているのか?」と研究していました。
ちょうどその際、日清食品のグローバルのデザイン責任者の方と知り合いました。
その方によると、「カップヌードルのブランドの定義はない」というのです。
「しかしあえて言うなら、世の中に対するカウンターパンチ、風穴を開ける役割だ」ということでした。
株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役社長 井手 直行 氏
ですから、例えば昔の例で言えば「Hungry?」や「NO BORDER」など、世の中に対して、物議を醸すようなメッセージを発信していますよね。
大きな意志はあるけれど、明確な定義はないということです。
こちらが、よなよなエールのブランド定義を話したら、逆に色々とメモをされていました(笑)。
定義はないけれどブランディングが実行されているという点はヒントになりましたし、40年も続くブランドの凄さを感じましたね。
青木 「無印良品」も似たケースだと思います。
例えば無印良品でも、社内で企画を上げた際、上司に「無印っぽくない」と言われて、「無印っぽさって何ですか?」と聞いても、「それは言えない」と言われることもあるとか(笑)。
(会場笑)
もしかしたら明確な答えではなく、お客様も含めて常に「無印っぽさって何だろう」と考えていることがその強みになっているのかもしれないですよね。
日清食品もそれに近いのではと思います。
パリの街からラグジュアリーブランドを考える
小林 僕は先週までパリに行っていました。
このイベントを予定していたので、「ブランドとは何か?」を考えながらパリの街を歩いていたのですが、パリには、ラグジュアリーブランドがたくさんあります。
特にルイ・ヴィトンはすごいですね。
皆さん、パリにある、ルイ・ヴィトンの美術館に行ったことありますか?
フランク・ゲーリーによる、先鋭的な巨大な美術館が公園の中にあるのですが、「これを造るのにいくらかかったんだろう」と思うくらい狂ったものです。
▶ フランク・ゲーリー設計による「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」- 現代アートの新たな発信地としてパリ・ブローニュの森に誕生
シャンゼリゼ通りにあるルイ・ヴィトンの本店にも行ってきました。
日本においてもルイ・ヴィトンの店舗デザインは先鋭的ですが、本店も同様でした。
ブランドの世界観を全身で感じさせるには、ここまでしなければいけないのか!と感じました。
逆に、エルメスは対極です。
もともと馬具から始まったブランドですから、本店の至るところに馬の絵が飾ってありました。
誰が買うんだろうという商品もあり、コアなファンに支えられているのではないかと思います。
そして、ラグジュアリーブランドは1社のみでは成り立たず、複数のラグジュアリーブランドがあるからこそ成り立っているのだと感じながら、パリの街を歩いていました。
美しいものは、滅びそうになった時に誰かが助ける
青木 狂っているという点のみを強調すると、誤解につながるのではないかと思います。
つまり、もう一つの観点として、「美しい」ことが大事だと思うのです。
勿論、美しさには色々ありますが、僕は、美しさの構成要因として二つあると思っています。
一つは、矛盾がないこと。
行っていることは全て、辻褄が合っている必要があります。
もう一つは、難しいことを実行していることですね。
例えばバレエは、難しいポーズを取っているがゆえに美しいのだと思うのです。
これは、アスリートにも同じことが言えると思います。
「矛盾がなく、かつ難易度の高いこと」を行い、魅せていることがブランドを創っているのだと考えています。
僕らのビジネスは、Eコマースが主軸のウェブメディア事業です。
外界との全ての接点にプラットフォームを介しています。
つまり、お客様が来る際も、決済する際も、受注商品を出荷する際もプラットフォームが必要なわけです。
この構造でビジネスを続けていくしかない場合、全てを自分たちでコントロールするのは不可能ですよね。
逆に、自分たちでコントロールできる部分は、「徹底的に、美しいものとして認識されなくてはならならない」と考えています。
経営陣とは、よく「美しいものは、滅びそうになった時に誰かが助ける」という話をします。
ですから、この「美しいものである」という在り方を突き詰めていきたいと思います。
イタリアに、サンマリノ共和国という人口3万人ほどの国があります。
小さいけれど、約1600年間、独立を保っています。
サンマリノ共和国は共和政ローマの体制をとっていましたから、ローマをリスペクトしているナポレオンは占領するのを断念したのです。
その理由は、平和を愛し自由と中立を貫く姿が「美しいから」でした。
占領されるどころか、逆にナポレオンがアドリア海に面した土地の割譲を申し出たくらいです。
彼らは武力も持たない小さな国でしたが、徹底的な美しさを持っていたがゆえに独立を保てたわけです。
ブランディングは、経営上、攻めのための武器としても使えますが、経営を守っていくためにも重要な要素ではないかと思います。
事業上のリスクを皆無にするのは絶対できないので、他者の力を借りるために美しさを磨いていくということですね。
繰り返しになりますが、「一貫性を持って、矛盾なく、難易度の高いこと」をやりきることに尽きるのかなと思います。
小林 ありがとうございます。
(続)
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続きは 4. ファンイベントで大赤字? 大手にはできない、短期的な経済合理性を越えた「弱者のブランド戦略」 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/上原 伊織/尾形 佳靖/戸田 秀成/大塚 幸
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