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ICCサミット FUKUOKA 2019 スタートアップ・ダイジェスト(後半)3位入賞に輝いた KANDO 田崎佑樹さんのプレゼンテーション動画【KANDOは“ENVISION Design”でリアルテックの社会実装・文化育成に挑む】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 プラチナ・スポンサーの日本マイクロソフト様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 12B
スタートアップ・ダイジェスト – 注目スタートアップを一挙紹介!(後半)
Supported by 日本マイクロソフト
(プレゼンター)
田崎 佑樹
株式会社KANDO
Founder & CEO
公式HP|STARTUP DB|LinkedInページ
KANDO|Founder & CEO、MELTIN|CCO、REAL TECH FUND|Envision Manager、WOW|コンセプター。クリエイション×リアルテック×ファイナンスを三位一体にする「Envision Design」を提唱し、リアルテックベンチャーのクリエイティブな社会実装とアート、デザイン、哲学を融合させた次世代文化創造を推進する。Envision Design実践例として、REAL TECH FUND投資先であるサイボーグベンチャー「MELTIN」を担当し、国内外でのモメンタム作りに貢献。2018年同社CCO就任。同年シリーズBにおいて20.2億円調達完了。アートプロジェクトとして、彫刻家|名和晃平氏との共同作品「洸庭」、HYUNDAIアートコミッションワーク「UNITY of MOTION」、東京工業大学ELSIリサーチワーク「Enceladus」、荒木飛呂彦原画展「AURA」。建築プロジェクトとしては函館市次世代交流センター「はこだてみらい館」を地域再生も含めてコンセプトからコンテンツ制作、運営計画までプロデュースする。2018年9月に開業した「渋谷ストリーム」の100mペデストリアンデッキの環境演出を総合的に担当する。
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▶「ICC FUKUOKA 2019 スタートアップ・ダイジェスト」の配信済み記事一覧
田崎 佑樹氏 KANDO(カンド)の田崎 佑樹です。
KANDOは、本日登壇されている皆さんの素晴らしいビジネスプランとは少し色合いが違い「クリエイティブ」を主に行っています。
日本の社会課題としての「創造力の欠如」
まずは僕のバックグラウンドから説明させてください。
僕はもともと考古学者になりたかった人間ですが、実際には建築のデザインを学びました。
そして今は、アートとサイエンスを組み合わせた作品や、アート単体の作品をつくっています。
僕は基本的に「創造力」を信じていて、それをプッシュしたいと考えています。
一方で、創造力と経済合理性を噛み合わせることが難しいという課題意識がずっとありました。
次のスライドは、2017年にAdobeが世界中のジェネレーションZ(※)を対象に行ったある調査結果を示したものです。
出典:アドビ、日本のZ世代に関する意識調査結果を発表(Adobe ニュースルーム)
調査によると、日本の子どものうち「自分は創造的である」と答えた割合は8%に過ぎず、欧米の諸外国に比べると圧倒的に低い数字でした。
これから知性社会が来るとなった時、日本の次のジェネレーションが本当に創造的であるかどうかは、かなり大きな課題だと思っています。
▶編集注:ジェネレーションZ(Z世代)とは、一般的には1990年代中盤(または2000年代序盤)以降に生まれた世代。上記の調査では日本の12〜18歳、他国では11〜17歳をZ世代と定義している。
KANDOは、ビジョンの力で世界を変えるクリエイティブファーム
KANDOは“Vision Driven Creative firm”、すなわちビジョンの力で世界を変えるクリエイティブファームです。
KANDOが何をやっているかについては、次の動画を見ていただければと思います。
KANDOは、いわゆる“ディープテック”領域の投資会社であるリアルテックファンドとパートナーシップを組んでいます。
同ファンドの投資先と一緒になり、投資先企業が掲げるビジョンの社会実装をクリエイティングを含めて押し進めることを、大きなミッションの1つとして考えています。
もう1つは、新文化社会の実装です。
こちらは、HYUNDAIにアーティストとして呼んでもらい製作した『UNITY OF MOTION』という作品です。
また、サイエンティストによる研究のビジュアライゼーションの取り組みも行っています。
こちらは、東京工業大学ELSI(地球生命研究所)特任准教授の宇宙生物学者・藤島皓介さんの研究をCGでビジュアライズして、彼の研究を後押しするために製作した『ENCELADUS』という作品です。
また、広島には『洸庭(KOHTEI)』と呼ばれる建築型の作品もつくっています。
ここ福岡からも比較的近いので、機会があればぜひご覧になってください(※)。
▶︎編集注:『洸庭(KOHTEI)』は、広島県福山市にある「神勝寺 禅と庭のミュージアム」に展示されています。
ビジョンを形にするメソッド「ENVISION Design」とは?
KANDOは、“ENVISION”すなわちビジョンを形にするための「ENVISION Design」というメソッドをもっています。
ENVISION Designでは、「クリエイティビティ/リベラルアーツ」と「ファイナンス/ビジネス」そして「サイエンス/テック」の3つを組み合わせます。
これらにより、まずは左向きの矢印になりますが、スタートアップと一緒にビジョンの社会実装および社会変革を起こしていきます。
こうした話はよく叫ばれると思うのですが、KANDOは同時に、右向きの矢印で描いたような新文化育成を行っていきます。
例えばAIやサイボーグは、新しい相棒や生命体としても考えることができます。
次の文化を考えた時、それらがどのような存在になるのかを必ず模索していかなければなりません。
カルチャー側の人間として、社会実装と文化育成を同時に進めたいというのが僕の考えです。
リアルテックの方々は、非常に大きなビジョンをもっています。
ではその長期的視野を、どのように構築すればよいのでしょうか?
ここでビジョンというものを今一度考えてみると、SF映画などへの憧れ、創造性に対する憧れが、長期的なビジョンの構築をドライブさせてきたという背景があると気づきました。
そのビジョンもふわっとした話ではなく、事実に基づいた「リアリティ」と「クリエイティビティ」がちょうどよい割合で混ざった魅力的な状態のビジョンを意味します。
思考実験から事業計画を行うKANDO独自のプログラム
次にサービス&プロセスについてご説明します。
KANDOはクリエイションの伴わない思考実験のメソッドももっています。
思考実験では、哲学者など人文知に関わる人のほか、サイエンティストやファイナンサーにも同時に集まってもらい、皆でビジョンを妄想していきます。
そこからバックキャスト的に事業計画を組み立てていく、というプログラムになっています。
人文知、ここではリベラル・アーツと表現していますが、それがなぜ必要かというと、深いテクノロジーをメタ的にとらえて解釈するために非常に優れた学問だからです。
これがあることによって初めて、クリエイティブ・ディレクションに落としていくことができると考えています。
サイボーグ・スタートアップ「MELTIN」の事例
最初の事例として、MELTINというサイボーグ・スタートアップの例を紹介します。
我々はまず、思考実験の役割と目的を以下のように定めました。
彼らのビジョンは「人と機械を融合し、人類の創造性を解放する」ことです。
そしてこれが、実際の思考実験の風景です。
この思考実験から、以下に示すようなサイボーグの進化系譜や、MELTINにとって大切な3つの柱(精神・身体・環境)からの創造性の誕生、そしてこれらの考えを落とし込んだロゴが生まれました。
また、プロダクトは有機・無機を超えた存在になるべきだということで、HYPER ORGANISMという設定が生まれました。
これらの思考実験をもと、2018年の3月あたりにローンチしたところ、CNNに取材していただいたり(※)、2018年10月には無事20.2億円の資金調達を完了することができました。
▶︎参照:This robot can mimic human hand movements in real time(CNN BUSINESS)
▶︎参照:遠隔操作ロボ開発のメルティンMMI、20億円調達 (日本経済新聞)
数字化はまだできていないですが、クリエーションの側面から資金調達を加速させたり、彼らのビジョンを大きく具体化していくことを証明できたかなと思っています。
「社会実装」と「新文化育成」の同時実現を目指す
また、ここまでは社会実装の話ですが、先ほど申し上げたとおり、我々はビジョンの社会実装と同時に新文化育成にも取り組んでいます。
MELTINの事例では、我々の主導で「国際サイボーグ推進委員会」を発足し、同時に「国際サイボーグ倫理委員会」というサイボーグの倫理を規定していく新しい文化創造のプログラムを始めています。
さらに、前回のICCサミット KYOTO 2018「リアルテック・カタパルト」(編集注:文字起こし記事はこちらからご覧いただけます)からのアップデートでいうと、WHILL(ウィル)というパーソナル・モビリティの会社の思考実験のプログラムを行いました。
今年その成果をCESで発表し、無事に完了しました。
同社のCFOやCEOからも「事業促進に役立った」と評価をいただいています。
最後に、繰り返しとなりますが、KANDOはクリエイションと以下の3つを組み合わせて「社会実装」と「新文化育成」の両方を行う会社です
特に「文化」について困っている方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報ください。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/花本 夏貴/尾形 佳靖/戸田 秀成/小林 弘美
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