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「ソーシャルビジネスが世界を変える!」全14回シリーズの(その7)は、子どもの人身売買問題の解決に挑む、かものはしプロジェクトのプレゼンテーションです。共同創業者の村田さんは、大学の授業で知った、ある少女の物語が創業のきっかけになったと語ります。ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2019年9月3〜5日
ICCサミット KYOTO 2019
Session 12F
ソーシャルビジネスが世界を変える!(レクチャー編)
(スピーカー)
今井 紀明
認定NPO法人D×P
理事長
高田 修太
一般社団法人HLAB / 株式会社エイチラボ 共同創設者・理事
プロマジシャン
田口 一成
株式会社ボーダレス・ジャパン
代表取締役社長
村田 早耶香
特定非営利活動法人かものはしプロジェクト
共同創業者
(スピーカー&モデレーター)
三輪 開人
特例認定NPO法人 e-Education
代表理事
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最初の記事
1. 孤立する10代の若者にセーフティーネットを(認定NPO法人D×P 今井 紀明さん)
1つ前の記事
6.「多様性」と「寝食」を共にする、HLABの2つの居住型教育
本編
三輪 次は、かものはしプロジェクトの村田さんです。
会場の皆さんの中で、前回のICCサミット FUKUOKA 2019にいらしていた方はどれくらいいらっしゃいますか。
村田さんは、前回のスタートアップ:ダイジェストで見事に優勝されました。
▶「だまされて売られる子どもを守りたい」アジアの児童買春問題に挑む、かものはしプロジェクト(ICC FUKUOKA 2019)【文字起こし版】
私にこの業界を志すきっかけをくださった方のお一人でもあり、一緒に登壇できてうれしく思います。
前回は村田さんのお話を隣の席でお聞きしましたが、今日は会場の皆さんと一緒にじっくりと聞きたいと思います。
それでは村田さん、よろしくお願いします。
「子どもが売られる問題をなくす」かものはしプロジェクト
村田 早耶香さん(以下、村田) 皆さま、こんにちは。かものはしプロジェクト共同創業者の村田早耶香と申します。
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村田 早耶香
特定非営利活動法人かものはしプロジェクト
共同創業者
大学在学中の2001年、東南アジア訪問時に子どもが売られる問題の深刻さを知り、2002年20歳の時に仲間とかものはしプロジェクトを創業。10歳未満の子どもまでもが被害にあっていたカンボジアで、子どもが売られる問題を防止する為、職業訓練と雇用により家庭の収入を向上させる雑貨工房を運営。また加害者を取り締まる為の警察訓練支援も行う。現在はインドに活動を広げている。2006年日経WOMAN主催「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2006」リーダーシップ部門を史上最年少で受賞。2011年、社団法人日本看護協会とジョンソン・エンド・ジョンソン グループ日本法人各社主催、ヘルシー・ソサエティー賞を受賞し、天皇陛下(当時は皇太子殿下)と謁見。2012年、全国日本商工会議所女性会連合会主催 第11回女性起業家大賞優秀賞受賞。2018年日経WOMAN主催「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」世界の子供を守る賞を受賞。ウーマン・オブ・ザ・イヤーの2回目の受賞となった。
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かものはしプロジェクトは、「子どもが売られる問題」をなくす活動をしています。
「子どもが売られる問題」とは、18歳未満の子どもたちが、自分の意志に反して、騙されたり、誘拐されたりして、強制的に売春宿で働かされる問題のことをいいます。
被害者数は世界中に約100万人ほどいると言われています。
この被害者を減らすための活動が、私たちの活動です。
私が20歳のときにこの団体を立ち上げて、17年以上活動してきています。
団体を立ち上げた直接のきっかけは、大学で取っていた国際問題の授業で、実際に売られた女の子の話を教授から聞いたことでした。
12歳で騙され、1万円で売られたミャンマーの少女
村田 私は大学で海外支援の勉強をしていて「子どもが売られる問題」の授業を受けました。
そのとき、紹介されたのは、この写真のミーチャという女の子です。
実際に被害を受けた女の子です。
彼女はミャンマーに住む山岳少数民族で、国籍を持たないため、非常に貧しい暮らしをしていました。
ミーチャが12歳のとき、母親はすでに病死していて、父親は障がいがあり働けない状態でした。
弟や妹は学校にも行かずにお腹をすかせており、長女で12歳だった彼女は、働き手として期待されていました。
そんな中、タイのバンコクで子守りの仕事をしたら、弟たちはお腹いっぱい食べることができ、学校にも行けるかもしれないと聞いて、出稼ぎに行くことを決めました。
ところがミーチャが連れていかれた先は、バンコクの売春宿でした。
鍵を掛けられ、閉じ込められて、そこで暴行を加えられながら、1日に10人近い客をとらされる過酷な生活が始まりました。
感染症予防をする客は半分もいなかったので、HIVに感染し、エイズを発症しました。
ミーチャが逃げ出しNGO団体に保護されたときにはすでに末期症状になっていて、医療的なケアを受けてももう助からない状態でした。
そのとき彼女は20歳で、亡くなる3カ月前に、偶然日本の新聞記者が彼女を取材していました。
彼女は自分が余命半年もないことを知っていて、新聞記者にありったけの思いを伝えてくれました。
時折思い出して泣き、言葉を詰まらせたりしながらも、自分がなぜ売られたのか話をしてくれたそうです。
新聞記者が、「思い出すのがつらいだろうから、もう大丈夫だよ」と声をかけたところ、「私の話を聞いた日本の誰かが、こんなひどいことは無くさなきゃと思って、きっと動いてくれると思うから、私の話を、ぜひ多くの日本人に伝えてください」と言ったといいます。
その後、彼女はポロっと、こう言っていたそうです。
「私には本当は夢があって、学校というところに行って、勉強というものをしてみたかった」
「勉強して警察官になって、そうすれば私のように売られる子どもたちを守ることができるから」
彼女はこの写真を撮られた3カ月後に、たった20歳という年齢でこの世を去りました。
12歳から虐待を受け続けて20歳で亡くなったミーチャは、私と1歳違いでした。
当時19歳だった私は、関東で最も学費が高い大学の一つで、お嬢様大学といわれている大学に通っていました。
同じ時代に生きている人間が、生まれた場所が違うだけで、片や大学教育を受けて湯水のように学費を使い、一方、ミーチャは12歳から虐待を受け、売春をさせられて、亡くなっているのです。
彼女が売られた金額は、日本円でたった1万円でした。
その日私がお気に入りで着ていた、買ったばかりのドット柄のワンピースと、ちょうど同じ値段でした。
ワンピース1枚の値段が、彼女の命の値段と同じでした。
こういった被害にあっている子どもたちは、世界中に18歳未満だけで100万人います。
彼女のような女の子たち、男の子たちも含めて、子どもが100万人もいるのであれば、何か行動しないといけないと思い、私は実際に現場に行ってきました。
5歳の子どもが働かされていたカンボジアの売春宿
村田 当時最も被害者が出ているといわれていたのが、カンボジアです。
これは売春宿の中の映像ですが、聞いていたより実際はもっとひどいものでした。
(当日のプレゼンテーションより抜粋してしてお届けします)
隠しカメラで客のふりをして撮影した映像の一部ですが、出てきたのは5歳と9歳の女の子でした。
低年齢の子どもも大人相手に売春をさせられていて、自分の意志で売春をするのには幼すぎるので、自分のやっていることの意味も分からない状態でした。
5歳や9歳ぐらいの年齢の子どもにしか性的な欲求を持たない先進国の人たちが、お金さえ出せば子どもが買えると発展途上国に来て、子どもを虐待して、ひどい児童ポルノを撮影し、帰国後にそれを売っている状態でした。
これは全世界にこの問題を告発するために撮影したものですが、動画のように低年齢の子どもがカンボジアでは売られていて、当時被害者の数は増えていました。
この子たちが日々、大人の性的なおもちゃにされている状況を変えたいと思い、私は団体をつくっています。
あのような状況から保護された後の6歳の子どもたちと、私は実際に会いました。
その子たちは非常に優しい子たちでした。
何の罪もないのに売春宿で働かされた子どもたちがどうなるかというと、途中で病気にかかり亡くなったり、自殺で亡くなったり、虐待を受けすぎて亡くなっていく子どももいます。
これは児童労働の中でも最悪の形態の、子どもの心と体を最も傷つけるものだといわれています。
私はこうした児童労働の被害者の数をどうにかして減らしたいと思い、大学を卒業した後にカンボジアに行き、ゼロから事業を立ち上げてやってきました。
具体的には、「売らせない」ための活動と「買わせない」ための活動をしています。
(続)
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続きは 8.「子どもが売られない世界はつくれる」カンボジアでの“売らせない・買わせない”ための活動を通じて(かものはしプロジェクト村田さん) をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/小林 弘美/戸田 秀成
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