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「人生は旅である。旅についてアツく語ろう」全5回シリーズの(その3)は、勝手のわからぬ外国で、はからずも警察にお世話になってしまったエピソードを開陳。シンクロ西井さんは、ピンチとは思えない現場写真を共有くださいました。そんな数々の体験を経て、今なお「旅」を愛する理由は、普段の仕事に役立つことがあるからだそうです。ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2019年9月3〜5日
ICCサミット KYOTO 2019
Session 10D
大人の教養シリーズ
人生は旅である。旅についてアツく語ろう(90分拡大版)
(スピーカー)
大前 創希
DRONE FUND
共同代表パートナー
小田 健児
株式会社 電通
クリエーティブプランナー
西井 敏恭
株式会社シンクロ 代表取締役 /
オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員CMT
宝槻 泰伸
探究学舎
代表
山下 貴嗣
Minimal -Bean to Bar Chocolate- 代表
(株式会社Bace 代表取締役)
(モデレーター)
宮宗 孝光
株式会社ドリームインキュベータ
執行役員
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「大人の教養シリーズ 人生は旅である。旅についてアツく語ろう」の配信済み記事一覧
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最初の記事
1. 旅を愛する5人が語る、思い出の旅、笑撃の旅(写真付き)
1つ前の記事
2. 父と旅して学んだこと。人生は旅であり、サバイバルである
本編
「英語ができないふりをしたのに…」(大前さん)
写真左から、DRONE FUND大前さん、電通 小田さん、シンクロ西井さん
大前 海外で警察のご厄介になった人、西井さんの他にもいらっしゃいますか?
(大前さん含め4人が挙手に会場どよめく)
アメリカでフリーウェイを運転していた時のことです。
卒業旅行として、ロスからカナダまで行って戻ってくるという1ヵ月ぐらいの旅をしていました。大学の先輩と行ったのですが、I5という大きな通りを走っている時、後ろから警察に追いかけられました。
その時は先輩が運転していて、僕は寝ていたのですが、いきなり起こされて「大前くん、後ろからキラキラしたパトカーが追いかけてくるんだけど、どうしたらいいの?」と言われて。
日本だとパトカーが前に出てきて、止まりなさいと言うじゃないですか。アメリカでは、そうやって追いかけられたらすぐに止まらなければいけないのですが、その先輩はそのルールを知らなかったわけです。
すぐに車を止めさせたのですが、警察に「お前はもう、6マイルも俺とチェイスしている」と言われました。
(会場笑)
「もうまもなく無線で仲間を呼んだところだぞ」と言われて、これはさすがにやばいと思いました。そこで考えて、英語ができない旅行者のふりをして、I can’t speak Englishではなくて、あえてI don’t speak Englishとか言ってみたり、日本のパスポートを見せたりしたのです。
でも警察には「お前は絶対、英語話せるだろう!!」と断定されて(笑)、友達に正しく伝えなかったらお前の友達は刑務所行きだと脅されました。
(会場笑)
それで仕方なく、泣く泣く対応しました。
賄賂を渡さない罪で、仲間が投獄寸前に
写真左から、探究学舎 宝槻さん、Minimal山下さん、ドリームインキュベータ宮宗さん
西井 山下さんの話も聞かせてください。
山下 僕の話はシビアになってしまうのですが……アフリカは、警察に連れて行かれたら、二度と帰ってこられないですね。
西井 分かる!
山下 コートジボワールは世界で一番カカオが獲れる産地として有名ですが、500mおきに警察官が立っていて、賄賂を渡さないと通してくれないのです。
宮宗 へぇ〜! いくらくらいですか?
山下 500円くらいですね。
ホテルを出てから、500mおきに機関銃を持った人に止められて、お金を払って通ります。
スラム街があるのですが、ある時、僕らのグループのアメリカ人の1人が、ちょっと横着して警察に連れて行かれそうになったのです。
現地のコーディネーターの人がすごく焦って、一度牢獄に入ると二度と出られない、だから絶対に連れて行かれてはならないということで、彼がめちゃくちゃ交渉して、めちゃくちゃお金も払って、その場をなんとかしてくれました。アフリカはやばいです。
西井 アフリカはやばいですね。
僕もブルキナファソで密輸団だと間違われて、捕まったことがあります。
(会場笑)
密輸団と間違われて、ブルキナファソで逮捕
西井 多分ベナンだったと思うのですが、そこから国境を越えてブルキナファソに入る時に、普通のバスがなかったので、ヒッチハイクをしました。
国境は無事、越えられたのですが、ヒッチハイクした車がしばらく待ってくれと言って、お昼に着いたにもかかわらず、夕方まで全く動きませんでした。
そこまではワンボックスのワゴンがガラガラだったのに、夕方にはバスの屋根にバイクがたくさん積まれていて、高さが2倍くらいになっていました(笑)。
後から聞くと、お昼の間にバイクの密輸をしていたようです。国境の裏側からバイクを運んで、載せていたのです。
そしてブルキナファソの首都まで3時間ぐらい走り、着いた瞬間『西部警察』(※)の逮捕シーンのように、パトカーで両サイドを囲まれました。
▶編集部注:1979年10月から1984年10月にかけてテレビ朝日系列で放映された刑事ドラマシリーズ。銃撃戦や派手なカーチェイス、爆破シーンが人気を集めた。
そうしたら、一緒にいたみんなが逃げてしまったのです。
だけど、僕の唯一の荷物であるバックパックが、バイクの一番上に乗っていたのですよ……。
(会場笑)
僕は逃げられなかったのです(笑)。
それで捕まったわけですが、なぜ捕まったのか全く理解できませんでした。
警察も、捕まえたはいいけれど明らかに僕は犯人じゃないわけです(笑)。でも3、4時間は拘留されましたね。
山下 ラッキーでしたね、それは紙一重だったのではと思います。
ナイジェリアのスラム街では、興味本位で来る外国人がめちゃくちゃ多いらしいですが、捕まって二度と出られない人がいるようです。
▶丸山ゴンザレスが踏み込む未知の空間「ナイジェリア・水上スラム」(現代ビジネス)
西井 ナイジェリアは行かない方がいいですね。
山下 ナイジェリア人の友人がいますが、「あの国だけは帰りたくない」と言っていました、ありえないですよね(笑)。
カカオを買いに行っていると言うと、「よくあんなところに行くね、怖くて行けないよ」という感じでした。
旅と旅行、何が違うのか?
宝槻 僕、質問してみたいことがあります。
山下さんや西井さんは、旅人だと自覚していますよね。旅行者ではないわけです。
旅行と旅の何が違うのか、という視点に立つと、旅という言葉の持つ意味が見えてくる気がします。
そしてこの「旅」が持つ意味は、ビジネスにもインスピレーションになるのではないかと思います。
旅行とは、サイエンスに近くて、計画性があって、安心安全な、コントロールができるイメージがあります。
一方、旅とは、リスクで自由で直感的、つまりアートに近いです。
そしてさっきからこの旅人たちは、自分がいかに危ない目にあったかを自慢しています。
(一同笑)
旅人のアイデンティティと旅行者のアイデンティティとは、違うはずです。
ですから皆さん、なぜ旅にロマンや自分の時間を投じる価値を感じていて、旅行に対してなぜ違和感や退屈さを感じているかを話してもらえますか?
「旅行」は計画、「旅」は余白で生まれた結果
写真左から、DRONE FUND大前さん、電通 小田さん、シンクロ西井さん
小田 すごくいい質問ですね。そこには1つの本質があると思います。
僕が行っているのも「旅」ですが、基本的にノープランです。事前に決めて辿るのではなく、行った先で決めるのです。
ガイドブックを見て辿っていくのは面白くないです。
あと、僕は道草が大好きです。
たまった有給40日を使って、北海道から沖縄まで有給バックパッカーをしたわけですが、1つだけルールを決めました。
それは、1日1都道府県 1喫茶店1温泉1絶景風景プラス人との出会い。これを、47都道府県56日行いました。
56日は、有給40日と土日を合わせた日数です。
このルールを守るため、その土地その土地の喫茶店に行って、温泉と地元自慢を3つしてくださいと話しかけることをしました。
海外も行っていますが、日本こそ行ってほしいと思っています。意外と、47都道府県全部訪れた人って少ないのです。
宮宗 確かに。このセッションの打ち合わせでも、国内で未踏の地がある人がいましたね。
小田 全部の都道府県を訪れたので、日本の国土の形とリアルな大きさが、自分の中に入り込んでいます。西井さんは世界が入り込んでいるかもしれませんね(笑)。
この実感は、「旅行」ではなく「旅」だからこそ生まれたのだと思っています。
総移動距離は14,000km以上で、9台以上のレンタカーを乗り継ぎ、2歳から83歳のおばあちゃんまで500人くらいと話しました。写真や動画も38,000点、撮りまくっていました。温泉も63源泉です。1日2温泉入っていたりしました。
これらの数字は、「旅行」だと出てこない「結果」ではないかと思います。「旅行」だったら、47温泉になっていたと思います。
「旅」はノープランで、事前に描かず、行った先で選択肢を選びながらやっていたので、結果的にこうなるのではないでしょうか。
写真左から、電通 小田さん、シンクロ西井さん、探究学舎 宝槻さん
西井 良いこと言っていますね。
旅と旅行については、あまり考えたこともなかったので、まあどっちでもいいかなと思っています。
ただ、あえて言うなら「旅行」は計画的です。
どこかに行って、何かを見て、泊まって…でもさっきから出ている色々なエピソードは、余白の部分に生まれたものだと思います。
その余白については、今、小田さんが話されていることだと思いますね。
小田 その状態自体も心地良いと感じています。
大前 私は、計画をするのも好きです。
さきほどGoogleマップやGoogle Earthで計画を立てるとお話ししたように、プレで旅行した気持ちになれるくらい、徹底的に上から見ます。
でも、感覚的に同意できる部分はあります。
一通り計画はするのですが、余白を必ず残しておいて、旅先に行ってから発見したり、僕は絶景が大好きなので見つけたりとか。西井さんと東北ドローン空撮ツアーに行ったときも、行って見つけた桜の風景で撮ったりしました。
ですから、余白を残しておくことで、旅行というセットアップされたものも、旅にできるのではないでしょうか。
宮宗 余白を残すことで、インスピレーションを得るということですね。
大前 今はインターネットがあるので、ツアーでなくても、滞在先だけを決めて、現地に行ってから調べたり聞いたりすることもできます。
この前、帯広に行った時、ジンギスカンが食べたくなって、地元の人に聞いたら「白樺」という店を紹介されました。
実際すごく美味しかったので、皆さん、帯広に行ったら「白樺」ですよ!
行ってから、その時に感じた気持ちをベースに行動するのも大事ですね。
旅に出ると意思決定の連続になる
宮宗 山下さんは、旅というより仕事で色々なところに行かれていますよね。宝槻さんの質問については、いかがですか?
山下 仕事で達成すべきミッションがあるので、計画を立ててから行きます。
でも分からないことが多すぎるので、結果的に余白部分がたくさん出てきて計画が崩れていきます。
(会場笑)
でも今までの話を聞いていて思うのは、その土地の人におすすめを聞くことですね。
良い情報をもらえるのもそうですが、僕の場合、全く違う文化の国に行くことが多いので、「そういうことを大事にしているのか」など、価値観に関する発見や学び、計画されたものでは見えない、ローカルの人たちからの気づき、学びをたくさん得られます。
そういう意味では、皆さんの言う「旅」に近いかもしれません。
西井 僕は「旅はマーケティングのためになる」とこじつけて言っています。
最近、マインドフルネスを勉強したのですが、無意識のうちに行っている行動を、意識するようにすることで違う感覚を得られるのです。
例えば、普段何気なく食べているものでも、意識して食べると、舌で感じる感覚が違います。そういうふうに、いろんなことをちゃんと意識したほうがいいよという話でした。
普段は、いろいろなことをルーティンで行ってしまいます。何も考えずに電車に乗り、会社の近くでご飯を食べますよね。
でも旅に行く時は、常に考えていて、めちゃくちゃ意思決定をしています。
先日もモンゴルに1週間行ってきたのですが、毎日意思決定だらけなのです。道も右へ行くか、左へ行くか、全然わからないからずっと考えている。
意識下でいろいろ動いていることが、購買行動や行動などを、いろいろなことを考えるときにも役に立つかなと思いますね。
まさにそれは、事前に計画を立てているとできないことじゃないですか。
今日の登壇者も、マーケティングが好きな人が多いと思いますが、だから旅が好きなのではないでしょうか。
小田 激しく同意します。
西井 アフリカに行くのは大変ですよね。
Minimal -Bean to Bar Chocolate- 代表 山下 貴嗣さん
山下 はい、本当に大変です。
運転手が5時くらいに外に来て、行くぞって言われるんですよ。前の日に7時に約束していたのに。
彼らからしたら、「日が昇ったら出発」という感覚なので、こちらは「あ……じゃあ、行くか」という意思決定を繰り返すわけです。
日々生きていると意思決定をすることが少ないですが、旅に出ると意思決定の場面は多くなりますよね。次の1時間何をするか、常に考えます。
西井 次に考えることをしているような気がします。だから僕は、旅は仕事だと言って、よく旅に出るようにしています。
宮宗 ここまでの話では、旅は計画とアートだとか、余白だとか、考えることという話がでました。次の質問は、それとつながっている内容です。
「旅で学んだこと or 世界観は?」
もっと補足したいことがあれば、ぜひお願いします。
大前 必ず、ちり紙は持って行った方がいいですね。
日本には、お尻を拭く文化がありますが、その文化がない国があります。
そうすると、手やロープ、水を使わなければいけません。
でもやっぱり抵抗があるので、ちり紙を持って行けば、日本人としての尊厳は守られると思います。
(会場笑)
西井 (笑)そ、それが、旅で学んだこと?
(続)
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続きは 4.不確実な時代を生き抜く力は、学校ではなく「旅」で学ぼう!
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/大塚 幸/戸田 秀成
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