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「ユニークなゲームコンテンツ企業のマネジメント手法」【K16-4C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その3)は、アカツキ塩田さんに3ヶ月に1度という高頻度の全社合宿についてお話し頂きました。「らしさ」を考え続けるアカツキらしいエピソードが満載です。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016
Session 4C
「ユニークなゲーム/コンテンツ企業のマネジメント手法」
(スピーカー)
小渕 宏二
クルーズ株式会社
代表取締役社長
椎木 隆太
株式会社ディー・エル・イー
代表取締役
塩田 元規
株式会社アカツキ
共同創業者 代表取締役CEO
柳澤 大輔
面白法人カヤック
代表取締役CEO
(モデレーター)
琴坂 将広
慶應義塾大学
准教授
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▶「ユニークなゲームコンテンツ企業のマネジメント手法」の配信済み記事一覧
【前の記事】
【本編】
琴坂 では、次に塩田さんお願いします。
塩田 アカツキの塩田です。
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塩田 元規
株式会社アカツキ
共同創業者 代表取締役CEO
1983年 島根県出雲市生まれ。
横浜国立大学電子情報工学科を経て、一橋大学大学院MBAコース卒業。在学時に「ハッピーカンパニープロジェクト」という学生団体を作り、“幸せ”と“長期成長”を実現している経営者に経営哲学をインタビュー。そのプロセスで、自分も世界を変える偉大な“幸せ企業”を作ると決心。2008年 株式会社ディー・エヌ・エー新卒入社。アフィリエイト営業マネージャー、 広告事業本部ディレクターを経て、退職後に、アカツキを創業。
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アカツキは、世界をワクワクでカラフルな場所に変えていく会社です。
元々モバイルゲーム事業をやっていて、デジタルな世界でワクワクする体験を届けてきました。最近、レジャー・アクティビティの会社である「そとあそび」を買収しました。それとあわせて、ライブエクスペリエンスという事業をスタートしました。
出所:2016年11月14日「2017年3月期 第2四半期 決算説明会資料」P3
ワクワク・感動するリアルな体験を人々に提供するプラットフォームを創る事業です。世界中にワクワクできる最高の体験を届けられる偉大な会社を目指しています。
出所:2016年11月14日「2017年3月期 第2四半期 決算説明会資料」P7
この写真は、アカツキらしい一コマということでこちらを用意しました。
3ヶ月に1回の全社合宿
塩田 実は、弊社にはカメラ部隊が存在していて、ありとあらゆる写真を撮っています。
これは、3か月に1回、全社で行う合宿の時の写真です。
アカツキでは、目に見えない、不合理で、最もROI(Return on Investment、投資収益率 or 投資収益率)が評価しづらいものへの投資を先に決めるという文化があります。
写真は、コミュニケーションや、アカツキらしさとは何なのかや、自分たちの強みが何なのかについて、皆でひたすら話している場面です。
少しエンターテイメント的な要素を入れて、例えば、次の新卒に向けて、アカツキというのはこんな会社、というのを各チームが思い思いにムービーや、デザインにしてプレゼンテーションするというような作業も行ったりしました。
琴坂 所謂、開発合宿や経営合宿のようなものではないのですね。
塩田 そのような感じではないですね。
目に見えないけれども、自分たちが一番大切にしている、例えば理念やカルチャーのようなものは、本来ブレてはいけない一番大切なものです。
でも、一方で、そこが普段の仕事で忘れがちになる可能性が高い部分なので、原点に戻るための場なのです。
琴坂 全社員、3か月に1回参加するのですか?
塩田 もちろんです。僕達、役員も一緒に話します。
琴坂 例えばどこに行かれるのですか?
塩田 前回は大磯ロングビーチでした。(笑)
昔は箱根などに行っていたのですが、最近は結婚されたりお子さんのいらっしゃる方も増え、近場が良いということで1時間以内の場所にしました。
昼間は真面目なところでクリエイティブなことをするのですけれども、夜は右側にあるように飲み会も行います。
今年は新卒を26人採用したので、「アタック26」という、「アタック25」をもじった企画を行いました(笑)
ちなみに、毎年「周年パーティ」も6月にやっているのですが、6周年パーティは新卒の皆が約2~3か月かけて企画をしていました。
経営陣がアカツキらしさを語ることもありますが、アカツキらしいかどうかというのは、その人達が感じることでしかないので、このようにして自分達で考える場を設けています。
飲み会でも、この「アタック26」を通して新卒一人一人にスポットを当てることが、アカツキのらしいのではないか、などと彼らが自分達で考えて行動してましたよ。
昼間に少し真面目な感じで目に見えない大切なものを語り、一方で右側にあるようにリラックスして楽しんでいる。これが、弊社のテーマである「二律背反の統合」を象徴していてアカツキらしいかなと思い、この写真を持ってきました。
緊急ではないけれども重要なことに目を向ける
琴坂 皆さんはいかがですか。これを導入したいと思われますか?
柳澤 こういう「アタック26」をやろうということなどは、社長が考えるのですか?
塩田 いえ、僕は一切知らなかったですね。
現場のメンバーが、自分達で手を挙げます。合宿の企画も、有志を募ってスタートしますね。
柳澤 3か月に1回全社員で参加するというのは、結構頻度が高いですよね。
塩田 はい。高いと思います。
しかもこれとは別に、3か月に1回は、2日間かけて会社の中で事業の振り返りをやっているのです。
先ほども(ICCカンファレンスの)特別対談でお話したのですが、本当にこの会社、所謂無駄だと言われることに一番投資をしています。
▶特別対談の記事は「“らしさ”を考え続ける」アカツキ塩田氏が意識する社内の「口癖と雑談」です。ぜひご覧ください。
だからWill(意思)ですね、これは。
琴坂 今は150人くらいおられるのですか?
塩田 そうですね。
合宿に行くメンバーは150人くらいですね。
正社員だけで行っています。
琴坂 これが1,000人になったらどうされますか?
塩田 形を変えてやるかなと思います。
全員集まるというのもそうなのですけれども、大事なことは、緊急ではないけれども重要なことに目を向けるということだと思います。
しかも、誰かに教えてもらうのではなく、自分の頭で考えてアウトプットすることが重要です。
そのプロセス自体は数限らず作れるのではないかなと思っています。
琴坂 次に(スライドが)もう一枚ありましたか?
塩田 成功した制度を何個か書いたのですが。
琴坂 小渕さん、この中で何かお聞きになられたいものはありますか?
小渕 「a-jump」とは?
塩田 これは一番面白くない話なのですけれども(笑)。
小渕 ちょっと良くないものを引いてしまいました? (笑)
塩田 「a-jump」というのは、「週刊少年ジャンプ」のアカツキ版ということで、シンプルに言うと社内報のことです。
我々の会社が他と違うのは、正社員の比率に対して、契約社員やアルバイト・フリーランスの方の比率が結構多いところなのです。
彼らに全社のことを理解してもらうための情報ということで、ヒーローインタビュー等も盛り込んでいます。
皆さんも同様のことをされているのではないでしょうか。
琴坂 先ほどの椎木さんの質問に近い質問なのですが、これもやはり、ビジョンの共有というのが背景にあるのでしょうか?
信頼関係のある会社が勝つ
塩田 そうですね。
我々は何者なのかという問いからスタートするべきだとと思いますし、率直に言えば、僕たちは信頼関係のある会社が勝つと思っています。
信頼関係を作るためには、理解し合うことが大切です。
毎週月曜日の朝一番には、最近入ったメンバーが、アカツキがどう見えているのかについてプレゼンテーションをします。
普段あまり見えていない自分たちの特徴や、他社との違いを客観的な視点で認識します。
逆に、「最近、ちょっとおとなしくないですか?」なんて課題を言われることもあるんですよ。
それから、僕は新しく入ったメンバーにアカツキ社史等を3時間くらい話すのですが、それは会社のここまでの物語を理解して欲しいと思っているからです。
信頼関係ができれば、メンバーは自分たちの頭で考えて自ら行動するようになってくれますし、コミュニケーションコストも減るんで結果としては効率的でもあります。
琴坂 どんどんそのコンセプトを伝えていって、表現してもらって、分かってもらって。
とはいえ上場企業なので、数値目標、経営計画、競合分析など、そういうものはないのですか?
塩田 もちろん、ありますし、数字への意識が低いわけでないです。
上場してから、自分の中で一番大きなテーマが、こういう不合理を守るということです。上場後、最初に経営陣のルールとして不合理を大切にしようと決めました。
不合理を大切にする
琴坂 不合理を守るというのはどういうことでしょうか?
塩田 こういう目に見えないことは、例えば株主の方に説明できないじゃないですか。
どうして合宿に行っているのかとか、ROIがよく分からない、説明が難しいものな訳です。
でも、こういうのがコア・コンピタンス(企業の中核となる強み)で、他の会社に真似されない強みだと経営陣の中で考えたので、一見不合理でも、投資すると決めました。
琴坂 皆さん、そういうところに共感されますか?
小渕 伸びて欲しいですね、塩田くんには。
良い取り組みだと思うし、僕達も行っていたんですよ。
行っていた時にいた社員は、今も残っていて、やはり強いです。
実は、面倒で途中でやめてしまった時もあるのです。
当時は事業が忙しくて、ソーシャルゲームだ、モバゲーのブラウザーだと売上がうなぎ上りに増えていって、誰でもいいから欲しいという時でした。
柳澤さんも、そのような時期があったのではないでしょうか。
柳澤 そんなことはなかったですけれども。
小渕 なかったのですね(笑)。
僕達の場合は、本当に人が必要だった時があって、僕も忙しくなってこのような取り組みをやめてしまったこともありました。
また、本当に意味があるのかという議論も、やはりあるんですよ。
正直なところ、10個あったら、3個、4個くらいは無駄なものもありますよね。
塩田 あるかもしれないですね。
10個のうち3個やめると残り7個も風化する
小渕 ですよね。
その3個、4個が無駄だからやめようということになり、捨てることも大事なので、やめていくじゃないですか。
でも、僕が3個やめていいよと言うと、メンバーが残りの7個への情熱を無くしてしまうんですよ。
運営しているメンバーが、「あ、社長は3個やめていいと言っていたし、きっと面倒だと思っているんだろうな、あの顔は。」という風に感じると、7個に100パーセントの熱が入らなくなって、7個が風化して偽装になってしまうのです。
ですから、無駄だと思っても、社長が「絶対やるんだ」と言い切って全てを行うことで、これを体感したメンバーが強くなっていくのではないかなと思います。
塩田 恐らく、やめた時と、大量に採用したフェーズとが重なっているのではないですか?
小渕 そうですね。
塩田 そこはどういう認識をされているんですか?
小渕 売り上げが伸びていって、人も必要で、人が入ってくると辞めていく人も増えますよね。
でも上場企業の定めとして、利益を出さなければなりません。
ただ、今は売上があるからいいけれども、今の売上は、去年の実績なんですよね。
去年やっていたことが、今売上として出ているだけなのです。
つまり、今ここで頭を悩ませている時点で、来年売り上げが落ちる可能性も否めない訳で、恐怖感に駆られるじゃないですか。
そうすると、こんなことをしている場合ではないのにといった、いけない考えが頭をよぎるのです。
僕が「くそっ!」と思うことが幾つか出て来ると、人が辞めていくし、こんな取り組みをして素晴らしい会社だと自分では自信を持っているのに、文句を言って辞めていく社員だってゼロではないわけですよ。
そうすると、「俺がやっていることって、本当に意味があるのかな」と疑心暗鬼になってしまいます。
でもダメな人は辞めていくので、それはもう別にいいんですよ。
これを体感して残ってくれている社員はすごく強いので、本当に塩田くんには続けて欲しいなと思います。
塩田 ちなみに、キープしたり、またそれをやり直したりすることはあるのですか?
小渕 捨てたけれどもまた戻すといったことも、ありますよ。
ステージにもよります。今は必要だと思ってやったのだけれども、3か月後くらいには必要なくなってやめてしまったのだけれども、1年後には必要になるといったことは、やはりあるんですよね。会社って生き物ですから。
塩田 何をやっているかということも大事なのですが、先ほどの、7個にしたら熱量が下がるというお話がすごく面白かったです。
お聞きしていて、継続することや社長の熱量が、やっていること以上に大事なのだと改めて思いましたね。
すごく面白かったです。
(続)
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/Froese 祥子
続きは「ブレスト脳をつくる」面白法人カヤックの徹底的なブレインストーミング文化 をご覧ください。
https://industry-co-creation.com/management/8269
【編集部コメント】
続編(その4)では、面白法人カヤック柳澤さんに、カヤックで実践する独自のブレインストーミング文化についてお話し頂きました。是非ご期待ください。感想はぜひNewsPicksでコメントを頂けると大変うれしいです。
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