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体外受精用エクソソーム技術で、不妊治療の課題に挑む「EXORPHIA」(ICC FUKUOKA 2025)

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ICC FUKUOKA 2025 リアルテック・カタパルトに登壇いただき2位に入賞した、EXORPHIA 口石 幸治さんのプレゼンテーション動画【体外受精用エクソソーム技術で、不妊治療の課題に挑む「EXORPHIA」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターは 慶應イノベーション・イニシアティブ です。

【速報】がん治療に新たな未来!超音波治療装置で低負担の治療を可能にする「ソニア・セラピューティクス」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2025)


【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by 慶應イノベーション・イニシアティブ

口石 幸治
EXORPHIA
代表取締役CEO
公式HP | 公式X① | 公式X②

慶應義塾大学理工学部を卒業後、パナソニックでモバイル機器の開発、特許事務所での特許出願業務、マッキンゼーでの製造業の戦略策定・オペレーション改革に従事。その後、2010年にバイオテクノロジー分野で起業し、3社の経営に携わる。2019年、エクソソームを活用した新しい医薬品の開発を目指し、株式会社EXORPHIA(エクソーフィア)を創業。CEOとして事業をリードし、未解決の医療課題に挑戦中。これまでに、3D細胞積層技術を手掛けるサイフューズ(東証4892)を創業、リプロセル(東証4978)ではメディカル事業担当取締役兼執行役員を歴任するなど、バイオ領域での経験が豊富。「バイオテクノロジーで社会を変える」をミッションに、最先端技術を活用した創薬・医療の可能性を追求している。1971年長崎県佐世保市生まれ。


口石 幸治さん EXORPHIA(エクソーフィア)代表の口石です。

よろしくお願いします。 

日本は世界トップクラスの体外受精大国

皆さん今、日本の赤ちゃんの10人に1人は、体外受精で誕生していることをご存知でしょうか?

体外受精は、ホルモン刺激で卵巣から複数の卵子を採取し、体外で受精させ、数日間培養して子宮に移植する不妊治療法です。

実は、日本は世界トップクラスの体外受精大国です。

治療数は年間54万周期で世界第2位、人口あたりでは世界トップです。 

晩婚化により不妊治療の成功率が低下

しかしその裏には、晩婚化による治療成功率の低下という深刻な課題があります。

こちらのグラフは、年代別の治療周期と生産率を示しています。

生産率とは、治療あたりの出産率を意味します。 

ご覧のように、治療数がピークの40歳前後で生産率は急落します。

30代前半までは22〜23%ですが、40歳で11%と半減し、42歳ではわずか5%です。

6割の患者が2年以上治療を継続

その結果、6割の患者さんは2年以上、2割の患者さんは5年以上も治療を続け、終わりの見えない戦いを強いられています。 

実際、患者さんからは仕事と治療の両立が難しい、心身ともに疲弊する、経済負担が大きいといった悲痛な声が上がっています。

生産率低下の主な要因は、高齢化により移植に適した胚盤胞の確保が困難になることにあります。

30歳前後では採取した卵子の約40%が胚盤胞に成長しますが、40歳以上では10%以下、さらに卵子の数も40歳前後で急減します。 

こうして卵子の数と質がともに低下することによって、移植の可能性が著しく下がり、採卵を繰り返すことになってしまうのです。

最先端のエクソソーム技術を開発

私たちはこの問題解決のため、「エクソソーム」に着目しました。

エクソソームについて(EXORPHIA)

エクソソームは細胞間でタンパク質やRNAをやり取りする天然の機能性カプセルであり、創薬への応用が可能です。 

当社ではこれまで5年間で10億円を投資して、幹細胞由来の治療成分を強化した「天然型エクソソーム」と、外来のタンパク質やRNAを搭載できる「改変型エクソソーム」という2つの基盤技術の開発に成功し、多様なアプリケーション開発が可能になりました。

具体的には現在、肺障害治療薬、不妊治療、およびワクチンの3領域でパイプライン開発を進めており、このうち肺障害治療薬では、アメリカでの治験に向けてFDA(アメリカ食品医薬品局)相談をクリアしました。 

米国での臨床試験に向けてアメリカFDAからポジティブな返答を受領(EXORPHIA)

プロセス開発においては、医療用としての高い品質を担保するために、さまざまな原材料と製造条件で500ロットもの試作を行い、動物実験を含む評価、解析を繰り返すことで、膨大なデータとノウハウを蓄積してきました。

体外受精用エクソソーム開発に成功

その結果、卵子と精子に重要な成分を豊富に含む体外受精用エクソソームの開発に成功しました。

使い方はいたってシンプルです。

これまで使用している培地に、当社のエクソソームをごく微量加えるだけで、受精卵が重要成分を取り込み、発育が促進され、胚盤胞率が向上します。 

特別な装置や技術は不要なので、クリニックでの導入は簡単です。 

日本とアジアでは試薬(非医薬品)として販売できるため、スピーディな市場投入が可能です。

マウスの実験では胚盤胞率が3倍向上しました。

これがヒトに当てはまれば、1度の採卵で移植できる可能性が3倍増えることになります。 

何度も採卵しなければならない、移植すらできないまま時間が過ぎるといった苦しみを軽減できるメリットは、患者さんにとって非常に大きいと言えます。

2024年8月には、この成果で世界体外受精会議記念賞にノミネートされ、専門医の注目を集めました。 

さらに年末には、NEDO「ディープテック・スタートアップ支援事業」に採択されました。

株式会社EXORPHIA、NEDO「ディープテック・スタートアップ支援事業」に採択(PR TIMES)

VCおよび事業会社からの出資を合わせると、累計資金調達額は18億円に達しています。

世界で6,000億円超の市場となる可能性

さて、体外受精用エクソソームの市場規模を試算するために、国内の患者さん932名にアンケートを行いました。 

「治療成績を向上する技術があれば、自己負担が1回20万円増えても希望しますか?」と質問したところ、50%以上が「希望する」と回答しました。 

晩婚化による不妊症の増加は日本だけでなく世界共通の課題であり、その需要は日本国内に留まりません。 

したがって、このプロダクトによって新たに日本で500億円、世界で6,000億円以上の市場が創出される可能性があります。

今年はまず非臨床で安全性と性能を検証します。 

そして2026年の国内テスト販売の後に、2027年から日本とアジアで世界初の体外受精用エクソソームとして発売します。 

欧米では医療機器扱いになるため、日本での臨床実績に基づいて当局に販売申請を行います。

多様な専門性を持ったチームで実行力を強化

私は2010年から複数のバイオベンチャー経営に携わる中で、エクソソームの可能性を確信し、6年前からこの起業に挑戦しています。 

そして、製薬会社で多様な専門性を身につけたコアメンバーを中心に、イノベーションを実現できる体制を整えました。 

アカデミア、クリニックおよび学会等の専門家のサポートも頂けるようになり、この技術を市場に届けるための実行力を強化しています。

不妊治療を社会全体の課題として解決

日本の出生数は、昨年(2024年)とうとう70万人を割ってしまいました。 

年間37万人以上が不妊治療を受けたにもかかわらず、生まれた子どもは7.7万人に留まります。 

このギャップを埋めていくことが、ディープテックだからこそ実現できるソーシャルインパクトです。 

私たちは不妊治療を個人の問題ではなく、社会全体の課題として解決します。

すべての願いを、可能性に。

EXORPHIAがその未来を創ります。 

応援をよろしくお願いします。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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