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ファームシップ安田瑞希さんのプレゼンテーションを2回シリーズでお届けします。(その1)は、なぜ植物工場なのか?や、植物工場のメリット、ファームシップのビジネスモデルについてお話し頂きました。
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017「カタパルト・グランプリ」プレゼンテーションの書き起こし記事です。ぜひ御覧ください。
スタートアップビジネスの「エコシステム」を構築し、日本の起業家を支援するプログラム「IBM BlueHub」は「カタパルト(CATAPULT)」のオフィシャル・サポーターです。
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【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンスFUKUOKA 2017
カタパルト・グランプリ
Supported by IBM BlueHub
(プレゼンター)
安田 瑞希
株式会社ファームシップ
代表取締役
1981年3月福岡県生まれ。花卉専業農家の長男。明治大学農学部卒業。公認会計士。大学にて施設園芸を専攻し、卒業後渡米。米国オレゴン州のOregon Roses, Inc.にてバラの生産管理及び販売業務に従事する。帰国後、2007年新日本有限責任監査法人に入社。国際部にて監査業務及び内部統制(JSOX)のアドバイザリー業務を通じて、大手総合商社のグローバル監査を担当。退職後、ウォール・ストリート・ジャーナル・ジャパン社の経営企画、事業開発マネージャーとして事業推進を行う。その後、大規模植物工場事業運営会社の、事業企画責任者として、国内外の事業開発及び経営管理を担当。2014年3月ファームシップを設立し、同社代表取締役就任。農家の長男としてのバックグラウンド、監査法人での経験や外資系事業会社での経験を活かし、事業戦略、資本政策及び渉外活動を担当している。
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▶植物工場で農と食の未来を創造する「ファームシップ」の配信済み記事一覧
安田 瑞希 氏(以下、安田) ”農と食の時代を創造する”ファームシップの安田です。
よろしくお願い致します。
前回のICCカンファレンス KYOTO 2016のスタートアップ・コンテスト「カタパルト」で優勝させていただいてから約半年が経ちます。
前回のプレゼンテーションのアップデート版という形で、今日も皆さんに植物工場の可能性を語らせていただきます。
よろしくお願いします。
私は35年前、福岡で専業農家の長男として生まれました。
農業はご存知の通り多くの課題を抱えています。
これらの課題は基本的に35年前から全く変わっていないのです。
そこで私は農家として生まれたからにはこれらの課題を解決していこうということで、ファームシップを立ち上げました。
どのように解決するのか。どういったソリューションを農業界に提示しようか。
私たちがまず着目したのは、植物工場という最先端の農業テクノロジーです。
植物工場について説明させていただきます。
私たちがやっている植物工場というのは、完全人工光型、完全閉鎖型といわれる大きな閉鎖環境の中で水耕栽培を活用し、LEDを使用して完全に環境を制御する方法です。
こちらが植物工場のシステム概要図です。多段にすることで土地の生産性を高めています。
すべての機器がIoTでクラウドにつながっていて、遠隔で環境制御もできるシステムです。
なぜ植物工場なのか?
ではなぜ私たちが植物工場を選んだのかについて、いくつかポイントをまとめて説明させていただきます。
1つ目は、安全な食料の安定供給力です。
先ほどの図でご理解いただいた通り、植物工場では栽培環境を完全にコントロールできるため、虫が入ってきたり邪魔な菌が大量に入ってくることもない。
そのため、農薬を全く使わない環境で食料生産が可能となるわけです。
たとえば有機野菜も無農薬の栽培ですが、安定生産というのは非常に難しい。
食料を安定的に生産する技術として、完全閉鎖型の植物工場は非常に有効だと思っております。
時折、「完全閉鎖型の植物工場、人工光を使った野菜は本当に大丈夫なの?」という質問を受けますが、外で栽培している野菜を室内で栽培しているだけなので、全く問題はなく、危険なものではありません。
2つ目は、生産性です。
植物工場の野菜の魅力は理解頂いたと思います。そうすると、その先には、「本当にそのやり方は儲かるの?」「生産性って本当に高いの?」という疑問が出てくると思います。
結論として、私たちが展開している大規模な植物工場は非常に生産性が高いです。
たとえば土地の生産性について、とある大学の先生によれば、露地農業の60倍から70倍と言われていたり、ものによっては100倍と言われるような研究論文もございます。
多段式かつ促成栽培であるため、非常に土地生産性が高いのです。
では、「土地生産性以外はどうなのか?」「そもそも儲かるのか?」という問いに対する答えなのですが、ポイントは、「規模の経済」が働くビジネスだという点です。
規模を拡大すればするほど、一定の生産量で必ずブレイクイーブン(損益分岐点)を超え、単位あたり原価も低減し、利益率も上がっていくというビジネスロジックです。
たとえば20億円で植物工場を建設するとします。
1株100円のレタスを毎日3万株生産することができる規模です。概ね20億円かけるとこれぐらいの規模とスペックにはなると思います。
簡単な概算ですが、1日300万円、年間売上10億円、年間営業利益2.5億円のようなビジネスになります。このように、20億円の投資を行うと植物工場は魅力的なビジネスになるわけです。
さらに今回は、こういう説明もしてみようと思います。
植物工場と露地農業の比較を原価という切り口で図に起こしました。
農業は人件費と設備償却費と光熱費が三大コストと言われています。
そうした中で、今後技術はどんどん進化していくという前提に立った際、どちらのビジネスが技術進化のメリットを受けられるのか。
格段に植物工場なんですね。
光熱費は、省エネ技術がどんどん進化しているため、どんどん下がってくるでしょう。
償却費は、自動化等が他の産業で汎用化されてくると植物工場の自動化もますます進み、償却費負担も減っていくでしょう。
他方、人件費ですが、ここ30年ぐらい見た時に、日本だけでなく世界どの地域を見ても人件費の単価が下がる国はないのではないかなと思っています。
そうすると、現時点でも植物工場のコスト感はかなり良いところまできてるのに加え、今後、技術進化の恩恵をどちらの方が受けられるかは、間違いなく植物工場なんですね。
こうしたこともあり、植物工場というのは1つの生産としての役割を担っていけると私たちは考えています。
ファームシップのビジネスモデル
では、ここからファームシップのビジネスの話をします。ファームシップはどういうメンバーが何をやっているのか。
私たちは植物工場の技術者集団、そして農業、青果物の流通や生産のプロ集団が集まってできあがったチームです。
まずどのように植物工場を展開していったのか。
植物工場はお伝えした通り、非常に初期投資がかかります。
私たちが3年前に立ち上げた時に、10億、20億というお金を持っていたかというと、持っていません。
無い袖は振れないので、色々なビジネスモデルを考えて、お金はないけれど、オペーレーションのノウハウ、セールスマーケティングの力は持っている。
世の中には、植物工場に興味はあるけどノウハウがない、売り方もわからない企業が多く存在する。
そうであれば私たちと一緒に植物工場はをやりましょうという形で、案件ごとにプロジェクトファイナンスを繰り返して、私たちがオペレーションを受託するという形で植物工場を事業化するというモデルを選択しました。
その第一号案件が、静岡県富士市にある「富士ファーム」(株式会社イノベタスが経営)です。
ここはレタス日産12,000株、完全LEDの植物工場としては世界最大級の規模です。
ここで私たちは生産ノウハウを改めて積み上げ、ブランドも作り、私たちのビジネスモデルの基礎を固めていきました。
その後、さらに案件を積み重ねました。2015年の富士ファームを皮切りに、2016年の冬は自社工場としてアイキューブ、こちらは事業譲渡という形で譲りうけた工場です。
今年の秋と今年の冬には富士ファーム以上の規模の植物工場を2基稼働させます。
そして昨年の9月にはインドネシアのジャカルタでもビジネスを開始しています。
このように私たちは超大規模型の植物工場にフォーカスしているので、私たちが持っている植物工場4つのうち3つは、世界の植物工場事業規模ランキングでトップレイヤーに位置しています。
出口となる販路も、首都圏に潤沢に揃えているのでどんどん植物工場を作り続ける動きは進めていきたいと思っております。
▶ファームシップ安田瑞希さんのプレゼンテーション動画をぜひご覧ください。
(続)
続きは 【ファームシップの挑戦 後編】植物工場はフード&バイオ・ファーマのイノベーション発信地となる をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸
【編集部コメント】
植物工場産の野菜、食べてみたいです!(立花)
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