「テラスマイル」はIT活用とデータ分析で農家を支援し、農業経営を変える(ICC FUKUOKA 2018)【文字起こし版】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

「テラスマイル」はIT活用とデータ分析で農家を支援し、農業経営を変える(ICC FUKUOKA 2018)【文字起こし版】

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ICCサミット FUKUOKA 2018 スタートアップ・カタパルトに登壇した、テラスマイル生駒さんによる「「テラスマイル」はIT活用とデータ分析で農家を支援し、農業経営を変える」プレゼンテーションの文字起こし記事を是非ご覧ください。

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

スタートアップビジネスの「エコシステム」を構築し、日本の起業家を支援するプログラム「IBM BlueHub」は「STARTUP CATAPULT」のオフィシャル・サポーターです。


【登壇者情報】
2018年2月20日・21日・22日開催
ICCサミット FUKUOKA 2018
Session 1B
STARTUP CATAPULT
-スタートアップの登竜門-
Supported by IBM BlueHub

(プレゼンター)

生駒 祐一
テラスマイル株式会社
代表取締役

1977年生まれ。2010年グロービス経営大学院卒業。ソフトバンクアカデミア外部生。(株)シーイーシーにてSI・医療・FAの新規事業を担当後、関連会社であった農業生産法人(宮崎市)の立上げに携わる。2014年「楽しく働く街づくり」をビジョンに掲げテラスマイル(株)を創業。農業コンサルティングを経て、現在は農業経営の翻訳(見える化・管理会計)と、機械学習を活用した出荷予測が行えるクラウドシステム「RightARM」を九州を中心に展開している。農林水産省 人工知能未来農業創造事業(2017)、経済産業省 九州IoT活用事例(2017)、総務省 戦略的情報通信研究開発推進事業(2018)などに採択。資金調達はベンチャーキャピタル・日本政策公庫資本性ローン・個人投資家など。G1地域会議 九州地区メンバー、2018年5月より山口フィナンシャルグループが運営するアクセラレータプログラム YMFG Unicorn Program(山口県)に参加中。

「ICC FUKUOKA 2018 STARTUP CATAPULT」の配信済み記事一覧


生駒 祐一氏(以下、生駒) テラスマイルの生駒と申します。

今日は宮崎県からやってきました。

この中で、宮崎に行ったことのある方は、どれくらいいらっしゃいますでしょうか?

(会場、多数挙手)

たくさんいらっしゃいますね、どうもありがとうございます。

私たちは、「分からないをカタチに」をモットーに、農業に関する優れた勘と経験を持っている経営者のノウハウを、データや数字に変え、評価や予測といった経営管理を行うクラウドサービスを展開しております。

なぜそれができるのか、まずは私たちのバックグラウンドについてお話しします。

2010年、単身で宮崎に渡り農業法人を設立

2001年、私は某ITベンダーで企画営業をやっていました。

まだ髪の毛もフッサフサでした(笑)

(会場笑)

それが10年後、だんだん薄毛になっていきまして…

「もう、いいや」とバリカンでバッサリ切り、心機一転、単身で宮崎へ迎い農業法人を立ち上げました。

そこでは総面積3.8ヘクタール、(上空から見て)これぐらいの広さの農園の立ち上げを行いました。

比較のために、東京ドームと隣りの小石川後楽園を置いてみるとその広さが分かると思います。

農園には約110棟のビニールハウスがあり、そこで年間250トンのミニトマトを作っていました。

私は宮崎に行く際に、ある仮説を持って宮崎に飛びました。

それは、星野リゾートを再生に導いた星野佳路社長の奮闘を描いたノンフィクション「星野リゾートの事件簿」(中沢 康彦/著)に書かれていた「当たり前の経営」です。

“当たり前のことを、当たり前のように実行することで、経営は成り立つ。”

これを自分自身の手で、農業で実践しようと思ったのです。

「データ農業」を自ら実践して2年間で黒字化

私たちは、農業法人の運営における全てを、データによって見える化し、当たり前の経営をすることで、自らが運営を実践してきました。

農業に参入した多くの企業が挫折し、撤退する中で、私たちは2年間で販売単価売上を2倍に、そして営業黒字を達成することができました。

残念ながら、情報企業から出向していた僕の分の給料までは出なかったのですが、農業経営の達人が育つ場を創ることができました。

そして2014年、テラスマイル株式会社を創業し、トマト以外の農作物も実践してまいりました。

(可視化+予測+評価) × 行動 = 農業経営の達人

3年間、地域に移住し、地域で起業するという初めてのことばかりの中、本当に骨身に染みる体験を数多く肌身で感じ、経験してきました。

そして、ありがたいことに2年間で、この分野での国内有数のスペシャリストとなりました。

経済産業省に(データ農業の)先行事例としてレポートいただいたり、自民党農林部会や、農林水産省のフォーラムへの登壇機会をいただいたりすることができました。

▶編集注:
「九州IoT 活用事例集 2017」(経済産業省九州経済産業局)(PDF)

「データを活用した後継者育成・営農支援サービス」(農林水産省「スマート農業推進フォーラム」より)(PDF)

これらの活動を通して、私たちはデータ経営に関してのある法則・方程式をつくりました。

それは「(可視化+予測+評価 )× 行動 = 農業経営の達人」というものです。

可視化、予測、評価の3つが触媒となることで、行動に繋がり、結果として農業経営の達人になることができるのです。

その触媒を詰め込んだサービスが、農業の経営管理クラウドシステム「RightARM」です。

RightARMは農業の経営管理クラウドシステム

RightARMは、ピーター・ドラッカー氏の「正しい答えではなく、正しい問いを!」という至言への共感を元にした、“問い”を立てることに特化したクラウドシステムです。

ここでまず、なぜクラウドでの展開を考えたのかをご説明したいと思います。

私たちには、日本の農業に対する危機意識がありました。

我が国における農業のサプライチェーン(生産、流通から消費者に渡るまでの一連のプロセス)は、様々で複雑な課題を抱えています。

例えば、異業種からの新規参入や生産コストの増加により、コストが販売利益を上回ってしまう「逆サヤ」の構造が生まれてしまっています。

それが生む農業者の低所得が、これからも大きな圧力となり農業に負の影響を与えると予想されます。

しかしながら、農業界にはそれらの外圧に耐えられる共通基盤というものがありません。

なぜなら、調達情報や出荷情報、土壌情報、栽培管理などの農業経営に関わるほとんどの情報が、アナログで出来上がってしまっているからです。

一方、視点を変えてアメリカやオランダの農業をみてみると、これら全てがデジタル化され、最先端のテクノロジーで日々目覚ましい進化を遂げています。

このままでは、日本の地域経営というものは、世界標準、アジア標準から取り残されてしまうかもしれません。

そうならないために、自分たちの手で農業法人運営のデータプラットフォームを作ろうと考えたのが、「RightARM」の構想の原点です。

RightARMでは、問いを立てることで、(クラウドサービスでありながら)このような「議論をする場」を作ってきたいと考えています。

そして誰もが短期間で、農業経営の達人になれる世界をつくっていきたいと思っています。

「農業の達人」を生み出す3つの特徴

ここで、RightARMの3つの特徴をお話ししたいと思います。

それは「可視化」「(出荷)予測」「マルチセンシング」です。

その前に簡単に、RightARMの大まかな使用スキームを説明したいと思います。

RightAMRに必要な情報をアップロードすると、RightARM上で経営が数字で可視化されます。

それを見て経営者は経営判断を行ったり、改善箇所の発見を行ったりすることができます。

それでは、それぞれの特徴を見て行きたいと思います。

まずは1つ目の可視化ですが、計画や業績評価などが瞬時に自動的に可視化される仕組みとなっています。

100パターンある指標の中から、重要な15パターンをRightARMに詰め込みました。

さらに、経営のノウハウがない場合でも、私たちのデータベースとテンプレートを活用して、ご自身にあったモデルを作ることも可能です。

ユーザーインターフェースには、BI(ビジネス・インテリジェンス)に特化した、インタラクティブなデータの視覚化ツール「Tableau」を採用し、画面を作り込ました。

2つ目は出荷予測です。

「日付」「サイズ」「場所(区画)」「収穫量」の4つの情報を日々入力することで、今後どれくらいの生産量になるのか、どれくらいの売り上げになるのかが分かり、出荷予測を立てることができます。

3つ目はマルチセンシングです。

ここに、1枚の農園を写した写真があります。

こういった農園の圃場には、温度・湿度、照度・日射、CO2、飽差・露点、DIF(昼夜温差)、EC(電気伝導率)、地温…といった様々なデータが“格納”されています。

こちらは出荷場の写真になります。

出荷場にも、サイズ、糖度、大きさ、出荷日、採れたハウス、出荷する規格、販売先…といったデータが“格納”されています。

しかし、それぞれに規格が違っているため、それらのデータを共通のプラットフォームで見ることはできません。

ですが私たちのRightARMの誕生により、最初にそれらのcsvデータをアップロードするだけで、共通の画面で見える化し、評価することが可能になります。

RightARMは農業経営にまつわるデータの利活用に特化したクラウドシステムなのです。

さらにサービスメニューとして、月次レポートを使った勉強会から、クラウド上でのデータ分析サービス、チャットによる遠隔サポートなどのサービスも整えました。

農業経営のノウハウを共有し、地域を創生したい

私たちは、物流や金融等に関わる地域企業とも提携して取り組みを進めています。

私たちは、農業界の「PDCAが年に一度しか回せない」という厳しい特徴を知っているからです。

そこで、地域に住む方々に私たちの分析手法とデータベースを提供し、「一緒に産業をつくっていこう」という発想のもとで協業での取り組みを始めています。

現在は、(株)クロスエイジさん、(株)エムスクエア・ラボさん、(株)マイファームさん、ホットファーム(株)さんといった地域商社や、筑邦銀行さん、山口銀行さん、浜松信用金庫さん、磐田信用金庫さんといった地域金融機関との連携をスタートさせています。

また、農業経営者が持つノウハウをRightARM上にアップロードして、それを他の方にもシェアしていただく、そういった取り組みもスタートいたしました。

さらに宮崎県では地域商社、生産者グループに行政も加わり、農業経営者を支える地方創生のエコシステムがスタートしています。

2,500億円の国内市場規模、そして世界を目指して

RightARMを導入していただいているお客様からは、次のような評価をいただいています。

「社員に1作ごとの売上やコストの意識が出来た」

「(生産量、出荷量などの)傾向がわかるので、現場が慌てなくなった」

「出荷予測ができるので、販売の交渉力が上がった」

こういった声をいただいており、現時点で500近くのハウス・区画で、15万件近くのデータが、RightARMには集まっています。

今年は、九州に特化して、事業をスケールさせていきます。

そしてこれから2年間でシステム開発への投資を行い、「九州」「野菜」の枠を超えてさらに10倍の規模に育て上げたいと考えています。

RightARMがカバーする市場規模としては、流通に伴う手数料として(年間)約2,500億円程度になると想定しています。

そして私たちには、5年後に達成したい目的があります。

それは、世界のどの地域でも、一次・二次・三次産業の農業経営の右腕としてRightARMが活用されている世の中をつくることです。

地域経営にミラクルはない、だからRightARMでデータ経営。

最後に宣言をさせてください。

私を創業時に支えて、伴走してくれた恩人がいました。

本当なら、この場で近況を報告し、いつものように切れ味の鋭い問いを頂けると期待していましたが、残念ながら会うことが叶いませんでした。

彼がいたから、今のテラスマイルという会社があります。

その友人が言った、「最後まで戦い切れ。グッとくるサービスを育てよう」という言葉。

私は、決して彼のことを忘れずにこれからも生きていきます。

そして、最後まで戦い切り、RightARMを地域に根ざした、グッとくるサービスに育てていきたいと思います。

ご清聴どうもありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/戸田 秀成/浅郷 浩子/尾形 佳靖/平井 裕

【編集部コメント】

農業業界へのRightARMへの導入のように、ベテランの経営者や職人さんの「勘」や「経験」で支えられてきた分野へのIT導入は、今後の地域創生の鍵になりそうですね。生駒さんの最後の力強い言葉に、グッと来ました。(尾形)

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