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ICCサミット FUKUOKA 2019 スタートアップ・ダイジェスト(後半)に登壇いただいた、ニューロープ 酒井聡さんのプレゼンテーション【アパレルをもっと楽しく!ファッション特化型AIで業界の新たな可能性を切り拓く「ニューロープ」】の文字起こし記事をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 プラチナ・スポンサーの日本マイクロソフト様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 12B
スタートアップ・ダイジェスト – 注目スタートアップを一挙紹介!(後半)
Supported by 日本マイクロソフト
(プレゼンター)
酒井 聡
株式会社ニューロープ
代表取締役
公式HP|STARTUP DB|LinkedInページ
九州大学芸術工学部にて、アートとエンジニアリングを学ぶ。在学中に㈱メディアプラネットにてポスターなど多数のデザインを手がける。2009年、㈱マイナビに入社し、プロモーション、情報誌の編集、市場調査等を担当。マイナビ進学リニューアル、情報誌「進路のミカタ」の創刊の編集デスクとしてプロジェクトを統括。並行して中小企業診断士を取得し、製造業、出版社、商社等、複数社の経営コンサルを経験。2012年よりウェブインテグレーションを事業とする㈱ランチェスターで企画、情報設計、デザイン、プロジェクト管理に従事し、複数のサービス立ち上げを経験する。また、同時期にスクールでプログラミングを学ぶ。2014年に㈱ニューロープを設立し、ファッションメディアを展開。2017年よりファッション特化のAIをリリースし、アパレルECやアパレルメーカー、アパレルテック企業の支援にフォーカスする。
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▶「ICC FUKUOKA 2019 スタートアップ・ダイジェスト」の配信済み記事一覧
酒井 聡氏 株式会社ニューロープの酒井です。
我々は、アパレル専門家やモデルさんのセンスを、人力でデータ化・AIに学習させ、ファッションを扱う企業に提供する、という取り組みを行っているベンチャーです。
東洋経済「すごいベンチャー100」にも選出して頂きました。
2014年に「#CBK(カブキ)」というレディースファッションのメディアを始めました。
モデルさんのスナップをぱらぱらと見ることができ、気に入ったスナップがあれば詳細ページから類似アイテムをそのまま購入できるというサービスです。
この「スナップに類似アイテムを紐付ける」という作業を、我々は泥臭く、人力による情報入力で行ってきました。
そして、人力で細かく作成し蓄積したデータをAIに学習させることで開発を進め、解析に2年ほど時間をかけたのち、ついにファッションAI「#CBK scnnr(カブキスキャナー)」をリリースしました。
類似アイテム検索、着合わせ提案が可能なファッションAI
2017年春にリリース後、いろいろなアパレル企業さんからお問合せをいただきました。
具体例をご紹介します。
レディースファッション通販のMAGASEEK(マガシーク)さんには、画像検索の機能を提供いたしました。
ユーザーが自分の好きなインスタグラマーのスナップなどを保存しアップロードすると、MAGASEEKの10万点のアイテムの中から、類似アイテムを一瞬で検索することができます。
さらこちらは、人工知能のスタイリストです。
スナップをアップロードすると「この帽子には、こういうパンプスやボトムスが合いますよ」というように、スタイリングを提案してくれるAIです。
従来のリコメンドは、購入履歴から「これを買った人は、これを買っています」のようなものがほとんどでした。
しかし我々のリコメンドは、類似性であったり「これとこれが合いますよ」といった着合わせに基づいたものになっていて、今までと異なった切り口となっております。
導入費用は月額2万円から、導入数は右肩上がり
実際にいろいろな企業にご導入いただいています。
導入費用もライトで、月額2万円から簡単にトライヤルしていただき、そのまま継続するということが可能です。
昨年のICCサミット KYOTO 2018以降も順調に導入数が伸びています。
▶参照:ニューロープは、ファッション特化型AIでアパレル業界に新たなインフラを創り出す(ICC KYOTO 2018)【文字起こし版】
活用範囲はECを越え、ファッション業界のインフラに
さらに現在は、ECに限らず展開を始めています。
itSnapさんというファッションメディアの例をご紹介します。
ファッション記事中のスナップを解析し、AIで自動的に類似アイテムを検索し表示するという取り組みをしています。
そこから商品が売れたらitSnapさんにフィーが入るという仕組みです。
itSnapさんはいつも通りに記事を書くだけで、マネタイズ手法を増やすことができます。
集英社さんのECサイトであるFLAG SHOPでは、「このトップスには、こういうボトムスや靴が合いますよ。一緒にどうですか」という提案をAIが行い、コーデ買いを促すという取り組みをしています。
ディノスさんでは、ユーザーの購入履歴などに基づいて紙のカタログをパーソナライズし、お客様ごとにお送りするという取り組みを行っています。
その他、監視カメラの映像を解析し、来店客がどういったファッションなのかを分析し、定量的に提供するということも行っています。
このように、ECに限らずメーカーやテック、店舗など、色々な領域で“ファッション業界のインフラ”としてご利用いただいています。
さらに私たちは、このファッションAIを通じてその商品データや何がどれくらい売れたかといったデータもいただいています。
それらのデータをAIに学習させ、さらにAIのバリューを伸ばしていくという取り組みも行っています。
仮にこの領域にAmazonやGoogleなどが参入してきても、我々は十分に戦えるのではないかと考えています。
アパレルECは、年率10%以上で拡大する成長市場
次に市場性についてです。
アパレル業界はあまりポジティブなニュースがないかと思いますが、EC市場に限ってみると、毎年10~13%伸びている成長市場となっています。
ちなみにアパレル全体では、この約10倍の市場規模となります。
一方、ECには不便な点もあります。
基本的にロングテールのサービスですので、「アイテム数が膨大すぎて探す側が疲れる」という課題があります。
また、これがいいなと思っても店員さんにどう着たらいいか聞くことができないので、「着こなし方がわからない、意思決定ができない」といったことが起きています。
一方のEC企業の担当者も、やはりロングテールでコンテンツが多いため、「コンテンツをつくるのが大変」「在庫の適正化が大変」という悩みがあります。
さらに「今はインバウンド需要でなんとか持ち堪えているけれども、2020年以降の需要落ち込みが怖い、今のうちに何かできないか」というお問合せをいただき、そこからプロジェクトが始まるといったことが増えています。
ファッション企業側に、大きな危機感あるという状態です。
当社は、外国人も含めエンジニア中心のテックに強い会社です。
現在グローバル展開を進めており、ベトナムの企業にトライアルでご利用いただいています。
環境負荷・企業の収益性に直結する「過剰在庫問題」
そして、もう1つ大きな課題に取り組んでいます。
昨年話題になりましたが、大量のアパレル在庫が焼却処分されているという問題があります。
実際に、国内市場はどちらかというと縮小しているにも関わらず生産量は増えている、という事態が起きています。
これは環境負荷にもなりますし、企業の収益性にも直結します。
ひいてはエンドユーザーのコスト負担にもなります。
我々はこれを解決したいと思っています。
そのための具体的な取り組みを2つご紹介します。
解決策① SNSからのトレンド分析
1つ目は、SNSからのトレンド分析です。
Twitterで「#コーディネート」で検索すると、いろいろなスナップが出てきます。
これを一つひとつ、AIで解析します。
「こんな色・柄・形・素材やシルエットのアイテムが、いくつ登場しました」と定量的に分析し、ファッション企業に提供するという取り組みを行っています。
解決策② 在庫の適正化 (過去データからの需要予測)
2つ目は、在庫の適正化です。
ファッション企業から過去の売上げデータをご提供いただき、それを画像解析にかけ、商品を一つひとつ分析し、商品に600種類くらいの特徴をつけるということをAIで行います。
それをもとに分析し、ディシジョンツリー(決定木)と呼ばれる統計的手法により、「4,930円以上だったらどうか」「カットソーかどうか」といった分岐を繰り返していくモデルをつくっています。
「新しくこういう商品を売ろうとしているが、どうなのか」ということをディシジョンツリーに読み込ませると、「どれくらい売れるか」という推定や、「Uネックは売れないけれど、Vネックにしたら売れますよ」などのアドバイスができるものです。
ファッション領域から、AIを牽引する企業に!
我々はファッション領域にどんどんAIをリリースしています。
ファッションは医療や自動車など人の命が関わる領域とは違い、80%くらいの精度でもどんどん実用化・導入が可能な領域です。
我々はファッション領域からAIを牽引していきたいと思っています。
以上です。ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/三木 茉莉子/尾形 佳靖/戸田 秀成/小林 弘美
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