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ICCサミット FUKUOKA 2019 スタートアップ・ダイジェスト(前半)に登壇し、3位(同率)入賞に輝いた e-Education 三輪開人さんのプレゼンテーション動画【アジア最貧国の“希望”を世界に!教育の力で社会を変える「e-Education」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 ゴールド・スポンサーの電通様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2019年2月19日〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 11B
スタートアップ・ダイジェスト – 注目スタートアップを一挙紹介!(前半)
Supported by 電通
(プレゼンター)
三輪 開人
特定非営利活動法人 e-Education
代表理事
公式HP|LinkedIn
1986年生まれ。早稲田大学在学中に友人と共にNPO、e-Educationの前身を設立。バングラデシュの貧しい高校生に映像教育を提供し、大学受験を支援した。1年目から合格者を輩出し「途上国版ドラゴン桜」と呼ばれる。大学卒業後はJICA(国際協力機構)で東南アジア・大洋州の教育案件を担当しながら、NGOの海外事業総括を担当。入職3年半後の2013年10月にJICAを退職してe-Educationの活動に専念。2014年7月に同団体の代表理事へ就任。これまでにアフリカや南米を含む途上国14カ国、20,000名以上の中高生に映像授業を届けてきた。2016年、アメリカの経済誌「Forbes」が選ぶアジアを牽引する若手リーダー「Forbes 30 under 30 in Asia」に選出。2018年、人間力大賞にて外務大臣奨励賞および参議院議長奨励賞を受賞。NHKドキュメンタリー番組『明日世界が終わるとしても』などメディア出演多数。
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▶「ICC FUKUOKA 2019 スタートアップ・ダイジェスト」の配信済み記事一覧
三輪 開人氏 NPO法人e-Education代表の三輪です。
私たちは「最高の授業を世界の果てまで届けよう」をミッションに、教育支援の活動を行っております。
本日は皆さんへたった1つのお願いがあり、こちらにやって参りました。
それは、皆さんに「仲間になってほしい」ということです。
7分間、思いを込めてお話しさせていただきます。
アジア最貧国バングラディシュの若者たちとの出会い
2010年、私たちe-Educationは、アジア最貧国であるバングラデシュで活動を始めました。
きっかけは、貧しい農村で出会った高校生たちです。
街灯の下で勉強している高校生たちをご覧いただけますでしょうか。
彼らは口をそろえてこう言います。
「大学に行きたい」と。
大学に行き、良い仕事を得て、家族のみんなを幸せにしたい。
彼らは夜11時、12時になっても猛暑の中、勉強をしていました。
“バングラディシュ版”林修先生で最高の授業を!
「彼らの挑戦を応援したい」
そう思った私たちは、「先生のいない村へ、最高の授業を届ける方法」を思いつきました。
それは、林修先生で皆さんもご存じの「DVD授業」という東進ハイスクールモデルです。
以前、カタパルト・グランプリ(※)に登壇した際にもお話しましたが、この方は私の恩師でもあります。
▶︎参照:大絶賛された感動のプレゼンテーション「e-Education」 (ICC FUKUOKA 2017 カタパルト・グランプリ)(YouTube) ※6月16日現在で再生回数が約50万回となっています。
私たちはバングラデシュ版「林修先生」を探して、予備校を駆け巡りました。
首都ダッカには、100個以上の予備校が集中している場所があります。
そして、その中からバングラデシュ版「林修先生」を見つけました。
クドビ・ザハン先生です。
私たちは、このザハン先生の授業を2ヵ月かけて撮影しました。
わずか半年間で、現地No.1国立大学への合格者を輩出
そしてついに、バングラデシュ初のDVD予備校が誕生しました。
私たちはそれを、先ほどの子たちがいた貧しい村に届けました。
彼らは、その授業で毎日必死に勉強しました。
その結果、たった半年の受験勉強で、貧しい農村の学生が1人、現地でNo.1国立大学であるダッカ大学に進学しました。
そして2015年までに、100人以上の高校生たちが、現地のトップ大学に進学しました。
実績を評価され、公教育デジタル改革事業へも参画
同年、私たちはバングラデシュの教育大臣からの表彰を受けました。
さらに、同国の産官学連携の教育プラットフォームに、日本の団体として唯一、教育省、中央銀行、ダッカ大学と共に参画させていただくことになりました。
現在バングラデシュでは、私たちの授業を活用したデジタル公教育改革が始まっております。
2016年7月1日、優秀な若者たちが起こした最悪の事件
ここまでは順調なお話でしたが、そんな中、最悪の事件が起こりました。
2016年7月1日です。忘れてしまった方も多いのではないでしょうか。
その日、日本人8人が死傷するテロ事件が起こりました。
そのうちの1人は、私の知り合いでした。
私もすぐ近くのホテルにおりましたが、日本政府からは「72時間(3日間)は外に出ないように」と言われました。
その間、苦しい思いをしながら暗闇の中で過ごしました。
苦しかったのは、暗闇で過ごしたからではなく、犯人が優秀な若者たちだったからです。
このテロ事件は、私たちが応援していたはずの若者が起こしてしまったものでした。
彼らの一番近くにいたはずの私たちが、なぜ、彼らの悩みを受け止めることができなかったのか。
何度も何度も大学生の子たちからも相談をされており、兆候はありました。
しかし、私たちの想いは届きませんでした。
私たちの力不足のせいではないか、と何度も悔やみました。
そして、これがきっかけで私は働けなくなり、2ヵ月間会社をお休みしました。
現地の仲間の支えを胸に、移住を決意
しかし、その間にも毎日のように応援メッセージや励ましのメッセージをくれた人たちがいました。
それは、他でもないバングラデシュの現地の仲間たちです。
「カイトさんが帰ってくる日を、いつまでも待っている」
そう私にメッセージをくれる彼らは、本当にテロリスト予備軍なのでしょうか?
そんなことはないですよね。
「これをチャンスに変えよう」と思い、私は、彼らの可能性を信じることにしました。
2017年2月、ICCサミットのカタパルト・グランプリの登壇後にバングラデシュへ移住を決意し、その年の5月から移住しました。
それから1年半が経ち、私は今まで、この格好で2,000名を超える大学生たちにプレゼンをしてきました。
「目立つ格好は危険だから避けろ」と言われたこともありますが、私は今どこかケガをしているように見えますか?
そのようなことはないですよね。一度も危ない目にあったことはありません。
彼らは希望の塊でした。
バングラディシュの「希望」を伝える仲間の存在
ここで、シャフィという1人の生徒を紹介させてください。
彼と再会したのは2017年8月、ロヒンギャ難民事件が起こった時です。
70万人の人々が、隣国ミャンマーからバングラデシュに逃れてきました。
シャフィは高校生の時に父親を亡くした貧しい学生でしたが、そんな状況の中でも街頭でお金を集め、小さいお金で多くの支援をしようと頑張っていました。
このような学生が現地にはたくさんいました。
だからこそ、「彼らを応援したい」と私も協力して、彼らと一緒に20万食の食事を難民キャンプに届けました。
このICCサミットで出会った企業の皆さんにも、ご協力をいただきました。
ユーグレナの出雲社長には、ちょうど1年前に、一緒に難民キャンプに行っていただきました。
その中で、嬉しいニュースが2つあります。
1つ目は、ユーグレナさんが国連世界食糧計画(WFP)と民間企業がコラボレーションするプログラムに、世界で初めて選ばれたことです。
▶︎参照:ユーグレナ社、国連世界食糧計画(WFP)と事業連携に関する覚書を締結(PR TIMES)
これから日本政府から5.5億円の支援金が出ます。
そしてもう1つ、それ以上に嬉しかったのは、出雲社長が「彼らはまごうことなき希望だ」と言ってくれたことです。
私も心からそう思います。
「シャフィという『希望』を、もっと多くの方に届けたい」。
このように考えるからこそ、皆さんに仲間になって頂きたくて、こちらの壇上に立っております。
実は「英語・IT人材の宝庫」のバングラデシュ
ですが、やはりこちらの会場にくると少しだけ欲がでてしまいます。
残りの時間で「協力していただきたい」というお話もさせてください。
現在、バングラデシュは本当に勢いのある国です。
2013年、TOEICのスコアが世界1位だったことをご存じない方も多いのではないでしょうか。
▶︎参照:2013 Report on Test Takers Worldwide: The TOEIC® Listening and Reading Test(ETS)
バングラデシュはインドに次ぐ、IT人材の国だと言われており、人材の宝庫なのです。
私も、IT人材育成をするJICAのプロジェクトに協力させていただき、私の培ってきた全ての知識を使ってカリキュラムを組み立てました。
▶参照:日本市場向けバングラデシュITエンジニア育成プログラム「B-JET」
今では定員20名の応募に対して2,000人、40名の応募に対して4,000人がこのプロジェクトに集まっています。
このプロジェクトで1年間で100名の生徒を教えて、80名の生徒が現在、日本企業に就職しています。
実はICCサミットに参加している企業や、ここ福岡でもバングラデシュの若者が既に働いています。
共に産業を創り、社会を創るための「協力」を
だからこそ、皆さまにお願いがあります。
それは「協力していただきたい」ということです。
共に産業を創り、共に社会を創る。
そのための教育を私は命を懸けて続けていきます。
本日ご登壇される皆さまや、会場の皆さんにもぜひ、ご協力いただけたらと思っております。
どうもありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/花本 夏貴/尾形 佳靖/戸田 秀成
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