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ICC KYOTO 2021 REALTECH CATAPULTに登壇いただいた、マイクロバイオファクトリー 清水 雅士さんのプレゼンテーション動画【微生物発酵によるバイオインディゴで、石油由来の染料脱却を目指す「マイクロバイオファクトリー」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 ゴールド・スポンサーのKOBASHI HOLDINGS様にサポート頂きました。
▶【速報】均一構造の高分子ゲルで効果的な再生医療の実現を目指す「Gellycle(ジェリクル)」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2021)
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【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICC KYOTO 2021
Session 7A
REALTECH CATAPULT
リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Supported by KOBASHI HOLDINGS
清水 雅士
マイクロバイオファクトリー株式会社
代表取締役社長
2013年東京理科大学大学院 基礎工学研究科 生物専攻修了(工学修士)。
2014年Green Earth Institute株式会社入社。研究員、事業企画を担当。同社ではコリネ型細菌を利用したアミノ酸やアルコール発酵に関する研究開発及びスケールアップに従事。
2018年マイクロバイオファクトリー株式会社を設立、代表取締役に就任。創業時より地方独立行政法人大阪産業技術研究所と共同研究を行いながら、微生物発酵による化学品生産の研究開発を実施。デニム染料として利用される”インジゴ”、抗菌・抗酸化作用を有する”ヒドロキシチロソール”の発酵生産の商用化に向けた開発に取り組む。
2021年、マイクロバイオファクトリー株式会社で開発したインジゴの発酵生産技術の商用化を目指すため、さとうきび未利用資源を活用したアパレル製品を開発する株式会社Rinnovationの山本社長と共同でCurelabo株式会社を設立し、取締役CTOに就任。
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清水 雅士さん マイクロバイオファクトリーの清水と申します。
当社は、「合成バイオ技術による化学品の生産」という事業を行っています。
皆様にご質問です。
「本日ジーンズを履いている方は、いらっしゃいますでしょうか?」
多くの方がジーンズを履かれているかと思います。
環境汚染問題を抱えるアパレル産業
ジーンズは、「環境汚染産業」といわれています。
海外では劣悪な環境で作られていたり、また大手ブランドさんは、「デニムは汚いビジネス」、このような広告を打っていらっしゃいます。
▶デニムは汚いビジネス!?パタゴニア・デニムは業界を変えるキッカケになれる?(ethical.jp)
これはジーンズ、デニム産業だけの問題ではありません。
アパレル産業に共通するような課題になっています。
アパレル産業では、大量生産、大量廃棄、CO2の排出、廃水問題、さまざまな環境問題を抱えています。
非石油由来の素材開発が進む繊維
これらの原因の多くは、石油からものが作られていることによります。
石油から、例えばポリエステルのような合成繊維、または染料、そういったものが作られています。
近年ではアパレル産業もいろいろな解決策を求めていらっしゃって、例えばバイオベースの素材やペットボトルなどを再利用した繊維、または衣類を再利用する繊維が開発されています。
しかし染料の部分に目を向けますと、画期的な解決策は現在のところありません。
石油由来の染料に代わるバイオインディゴ®を開発
アパレル産業の中で最も使用されているのが、ジーンズに使われるインディゴ染料です。
この染料は石油由来で、発がん性のある物質を原料にして化学合成で作られています。
この製造プロセスは、100年以上変わっていません。
当社はこのような危険なプロセスから安全なインディゴを作るプロセスへ変換するような技術開発を行っています。
その解決する手法は「バイオ」です。
当社はインディゴ染料を作る微生物を開発しています。
この原料となるバイオマス資源は、例えばさとうきびのような糖資源を原料として、ビールなどを作る工程と同じように、発酵でインディゴを作っていきます。
この動画では、実際にインディゴ染料を作っています。
最初は黄色かった微生物ですけれども、徐々にインディゴ染料を作り出すと青くなっていきます。
このように最終的にはインディゴができていきます。
先ほどの動画はちょっと失敗してしまった実験の例なのですが、実際はこのような青い染料、染液ができていきます。
さとうきびの廃棄部分から作るジーンズ
私の手元にありますのが、実際にバイオインディゴ®で染めたジーンズで、現在開発を進めています。
当社はインディゴ染料を作るだけではなく、適するパートナーと一緒にジーンズまで作ることを今考えています。
こちらはRinnovationという会社と一緒に取り組んでいる事例です。
▶さとうきびを活用した6次産業化プロジェクト(Rinnovation)
さとうきびは、メインは砂糖を作るための作物ですが、製糖時に「糖蜜」といわれるものと「バガス(搾りかす)」と呼ばれる副産物が発生します。
これらは有効な活用方法は見い出されず、廃棄されているようなものになっています。
こういった廃棄するものを、糖蜜はインディゴ染料の原料とし、バガスは和紙に練りこんで「和紙糸」を作って、そこから繊維を作って、最終的には染料も繊維もさとうきびから作る取り組みを現在行っています。
さとうきびは国内では沖縄県が最大の生産地ですが、世界に目を向けますと東南アジアやアフリカなど、多くの国々で生産されています。
当社は日本でこの技術とビジネスモデルを開発して、将来的には製糖産業が盛んな国々に技術とビジネスを輸出していこうと考えています。
バイオエコノミーの工業分野に着目
当社はインディゴ染料だけをやっているわけではありません。
「バイオエコノミー」という言葉を、皆さんご存知でしょうか?
バイオエコノミーとは、バイオテクノロジーを活用して、さまざまな産業に応用していこうという考え方です。
2030年には世界のバイオ市場は180兆円以上になると試算されています。
その中で現在当社は、「工業分野」に着目しています。
当社は、さまざまな化学品を作る微生物のプラットフォーム化を目指しています。
さとうきびのような植物から得られる糖を原料として微生物発酵することによって、有用な化学品を作る取り組みを行っています。
こちらに関しては、大阪にある研究機関と共同研究を行っています。
オリーブに含まれるヒドロキシチロソールの利用
現在の当社の開発パイプラインですが、インディゴ染料と「ヒドロキシチロソール」という化合物の取り組みを行っています。
ヒドロキシチロソールの用途は、化粧品や健康食品の原料に利用することを今考えています。
ヒドロキシチロソールは天然にはオリーブに含まれていますが、抗酸化と抗菌性の成分、機能がありまして、これらを化粧品や健康食品の素材として使えないかと今考えています。
2つ目が接着剤への利用です。
皆さん、ムール貝をご存知だと思いますが、ムール貝は岩場にくっつくときに、非常に強力な接着物質を分泌しています。
その接着物質を科学的に解明すると、カテコールという構造を持って含まれていることが分かっています。
▶先端技術も母なる海に。貝から生み出された史上最強の「水中用接着剤」(GIZMOD)
このカテコールを使った、いわゆる生物模倣の接着剤にヒドロキシチロソールが使えるのではないかと今考えています。
用途としては、医療系や、あとは異種材料の接着が得意な接着剤になりますので、自動車や航空機分野などの分野に展開できないかと考えています。
競合は世界でたくさんいまして、バイオインディゴ®だけでも3社、ヒドロキシチロソールに関しましても2社以上あります。
また合成バイオという括りですと、おそらく100社以上世界に競合がいて、当社はこれらの企業とも戦っていこうと考えています。
チームに関しましては、私と技術員、研究者の方と取り組んでいます。
合成バイオ技術で第5次産業革命を!
最後に、合成バイオは今後世界を引っ張っていくような産業になっていきます。
合成バイオ技術で第5次産業革命を目指していきます。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸
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