1793年創業「漆琳堂」は、漆器をアップデートして、伝統工芸の力で地域を元気にする(ICC FUKUOKA 2022) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

1793年創業「漆琳堂」は、漆器をアップデートして、伝統工芸の力で地域を元気にする(ICC FUKUOKA 2022)

Pocket

新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

ICC FUKUOKA 2022 CRAFTED CATAPULTに登壇いただき、見事2位に入賞した、漆琳堂 内田 徹さんのプレゼンテーション動画【1793年創業「漆琳堂」は、漆器をアップデートして、伝統工芸の力で地域を元気にする】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022プラチナ・スポンサーのMakuakeにサポートいただきました。

【速報】竹のお箸を、もういちど日本の食卓へ。伝統と竹林を守り続ける「ヤマチク」がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2022)


【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICC FUKUOKA 2022
Session 8A
CRAFTED CATAPULT
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Makuake

内田 徹
株式会社漆琳堂
代表取締役

229年の歴史を持つ漆琳堂の現代表8代目、最年少で越前漆器の伝統工芸士となる。漆塗りの技術を継承しながら、若手職人の育成や地域の産業観光にも取り組んでいる。

1976年 福井県鯖江市出身。大学卒業後、六代続く塗師屋家業に就き、祖父、父に漆器づくりの下地と塗りを習う。2012年産地最年少で伝統工芸士となる。若い世代に向けた自社ブランドを発表。2019年漆琳堂8代目代表就任。漆塗りの技術を継承しながら、若手職人の育成や地域の産業観光にも取り組んでいる。


国内最古の漆器の産地、越前

内田 家電量販店の販売員のような格好をしていますが(笑)、その理由はのちほどご説明します。

さあ、皆さん、こちらは伝統的な越前漆器です。

本日は、漆器の新しい可能性と越前ものづくりの魅力について、お話しします。

どうぞよろしくお願いします。

越前は、日本海に面した福井県上部に位置し、この地で1500年にわたり、漆器が作られています。

国内最古の漆器の産地です。

越前漆器、その誕生と1500年の伝統(越前漆器共同組合)

産地の風土は、山と田んぼに囲まれ、曇天が多く、雨や雪も多く降ります。

漆は湿度が高いほどよく固まるため、越前漆器は、まさしく風土とともにある産業なのです。

産地の高台には、全国的にも珍しい、漆器神社があります。

僕たちを見守ってくれています。

創業1793年、産地で最も古い塗師屋の8代目

自己紹介をします。

私は、塗師職人で、経営者です。

塗師とは、漆塗りの細工、漆器の製造に従事する職人。塗師屋。

現在45歳、22歳で家業を継ぎました。

祖父と父から漆器製造の基礎を学び、産地最年少で伝統工芸士に認定され、2019年に8代目の漆琳堂代表取締役に就任しました。

次に、漆琳堂の紹介です。

創業は1793年で、産地で最も古い塗師屋として、社員12名で頑張って漆器を作っています。

家族4名と、漆が大好きなスタッフの8名です。

越前漆器の特長

越前漆器の特長を説明します。

越前漆器は、業務用漆器の製造で全国の80%を超えるシェアを占めています。

非常に大きなシェアです。

美しく、かつ、丈夫に作ることができます。

細かな分業制で生産するという特長もあり、木地(※)・下地(※)・塗り・蒔絵(※)の4分業で、そして丸いものと四角いものとでさらに分業することにより、安定した生産が可能となります。

▶編集注:木地とは、漆などの塗料を塗る前の、白木のままの木材・指物・器物のこと。

▶編集注:下地とは、漆器の塗りの最初の工程で、刻苧(こくそ・木の粉などを漆に混ぜたもの)・錆漆(水で練った砥粉に生漆を混ぜたもの)などで下地を整えること。

▶編集注:蒔絵とは、漆工芸の加飾の一技法。漆で文様を描き、乾かないうちに金属粉(金、銀、錫など)や顔料の粉を蒔き、固着させて造形する技法、および作品のこと。

出荷額、従業員数も80年代の1/3に減少

しかし、産地の現状は、大変なことになっています。

出荷額と従業員数ともに、1980年代の約3分の1以下となっています。

まさしく衰退の危機にあります。

「塗師職人では食べていけない」――正直、そのような声も聞こえてきます。

漆器の弱点を課題と捉え直す

僕は、漆器には弱点があると思っています。

しかし、弱点を“課題”と捉え直しました。

「デザインが黒と赤しかない」「敷居が高く、高級で扱いにくい」「和食にしか使えない」という3つの課題です。

「さあ、どうしたらよいだろうか」――僕は、これらの課題を解決したいと考えていました。

そして福井県産学官連携プラットフォームの存在を知り、福井大学に2年間通いました。

福井県産学官連携プラットフォームとは、高等教育機関・地方自治体・産業界の連携を通じて、特色ある教育研究の推進や資源の集中化・共有等の大学改革を促進し、福井県の高等教育および地域の活性化を図ることを目的としている。

大学の研究室で、漆硬化のメカニズムを学び、硬化パターンを徹底的に分析しました。

食洗機に使える漆器が誕生

その結果、2011年に「越前硬漆」の開発に成功しました。

その翌年の2012年に「越前硬漆」を用いて完成させたのが、こちらの「食洗機で洗える漆椀」です。

食洗機で1,000回洗浄しても、変色や剥離はありません。

これまでタブーであった食洗機が使えるのです。

共働きやお子さんのいるご家庭への訴求が、非常に高いです。

カラフルな漆の調合に成功し、自社ブランド立ち上げ

2020年には、カラフルな漆の調合に成功し、自社ブランド「RIN&CO.」を立ち上げました。

漆とは思えないスタイリッシュな北欧デザインをイメージしました。

古びた印象の黒と赤ではありません。

そのため、和食以外の料理にも使えます。

もちろん、食洗機対応です。

60年間、職人をしている父には、「RIN&CO.」立ち上げ当初、「こんなもんは売れん(売れない)!」と言われました。

しかしながら、今、その心配をよそに、売れています。

今では、父も一緒になって作ってくれています。

「食洗機で洗える漆椀」は「漆琳堂」でも展開し、原点回帰でこれまでの漆器をアップデートしました。

僕は、これらの商品を新しい時代のスタンダード漆器にしたいのです。

ぜひ、皆さんにも僕たちの商品を知っていただきたいと思っています。

1,000種類の器や工房の見学、職人と話せる直営店

次に、直営店と産業観光について、お話しさせてください。

2016年、漆琳堂は直営店をオープンしました。

直営店では、漆琳堂の商品すべてを見ることができます。

1,000種類の器や工房の見学、職人と話せる空間を作りたかったのです。

製造背景がわかる・学べる参加型イベントを開催

2017年には、「RENEW(リニュー)」を大規模開催しました。

「RENEW」とは、「来たれ若人、ものづくりのまちへ」をコンセプトに、越前・鯖江市を中心に開催される、産業観光イベントです。

僕は産地リーダーでした。

冒頭で触れた僕の格好の正体は、「RENEW(リニュー)」の法被なのです。

「RENEW」のひとコマである、こちらの写真が、僕は大好きです。

手前の木地師と若手女性の真剣な表情、大勢のお客さんが食い入るように見る表情……まさに製造背景がわかる・学べる参加型イベントです。

木地師(きじし)とは、分業制で生産される漆器の工程の内、初期段階である木の加工を担う職人のこと。

初年度の参加は19社、今年は驚くことに92社も参加します。

「RENEW」では、ワークショップも楽しむことができます。

こちらのスライドをご覧ください。

若手職人が先生です。

漆体験は、毎回満席で、とても人気があります。

産地47カ所の様々な工房で開催されます。

2017年、僕にとって悲願であった、株式会社中川政七商店さんとの共同イベントを開催し、知名度をグンと上げました。

体感型マーケット「RENEW」と中川政七商店「大日本市博覧会」がタッグ、「RENEW×大日本市鯖江博覧会」が鯖江市で10月開催(JDN)

こちらのグラフが、その数字です。

2017年に、来場者数と売上が一気に伸びました。

中川政七商店さんの力を知りました。

台風の影響によって少なかった年もありましたが、2020年は来場者数32,000人、2,300万円もの売上を記録し、ものづくりが観光産業となってきました。

町への道は渋滞するほどで、このようなことは、バブルの頃に演歌歌手の鳥羽一郎が訪れたとき以来です。

工芸の力で地域を元気に

「RENEW」は、こういったイベント以外でも、工芸の力で地域を元気にします。

地元にある鯖江市河和田小学校の社会科見学を受け入れています。

地域の職人との対談によって、地場産業における職人同士のレベルアップを目指します。

「RENEW」を通して、産地への移住や雇用も増えています。

「RENEW」は行政主導ではなく、民間主体で、運営も自分たちで行っています。

「RENEW」を立ち上げてから7年が経ち、産地の回復とはまだ決して言えませんが、それでも毎年3万人を感動させている産業観光に、僕たちは工芸の未来を感じています。

そして、自信をなくしていた職人は、少しずつ誇りを取り戻しています。

お手元の資料にありますように、2022年の「RENEW」は3月11日(金)~3月13日(日)に開催されます。(編集注:カタパルト登壇は2022年2月15日)

ICCサミット KYOTO 2022には、越前・鯖江が含まれるかもしれないと伺っております。

ぜひ皆さん、越前・鯖江にお越しください。

通年型観光、いつでもウェルカムです。ぜひとも、越前・鯖江にお越しください。

僕が、お待ちしております。

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/中村 瑠李子

更新情報はFacebookページのフォローをお願い致します。

Pocket

ICCパートナーズ

ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンファレンス「Industry Co-Creation サミット/ICCサミット」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。