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ICC FUKUOKA 2022 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただき、見事4位に入賞した、ジャパン・ファームプロダクツ 阿古 哲史さんのプレゼンテーション動画【「ジャパン・ファームプロダクツ」は、途上国に産直モデルを作り、食品ロス削減や雇用創出に貢献する】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022 ゴールド・スポンサーのSIIF(一般財団法人 社会変革推進財団)にサポートいただきました。
▶【速報】未来を奪われた難民の、日本での活躍を支援する「WELgee」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2022)
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【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICC FUKUOKA 2022
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト
– 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by SIIF(一般財団法人 社会変革推進財団)
阿古 哲史
農業法人 株式会社ジャパン・ファームプロダクツ
代表取締役社長
1984年生まれ。大学卒業後に人材業界を経て農業界へ転身。2011年に同社を創業。新たな農業の海外事業モデル構築を目指して、翌年に東南アジアのカンボジアで農業生産法人を設立。日本から同国へ初の農産輸出を実現。現地の日系農業生産・流通企業として成長し、2018年に農産加工事業に進出。現在、無添加ドライフルーツ・無塩カシューナッツを中心に交易を拡大している。「この国の一次産業を アジアにおける一大産業に」を理念に、海外で持続可能な日本のアグリビジネスモデルの創出を担う。『日経スペシャル 未来世紀ジパング』『NHK ルソンの壷』等出演。第10回ニッポン新規事業創出大賞 グローバル部門 特別賞受賞。
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阿古 哲史さん 株式会社ジャパン・ファームプロダクツの阿古と申します。
日本発アジアの一大農業企業を目指す
私たちは、「この国の一次産業を、アジアにおける一大産業に」というビジョンを掲げた、途上国で農業に関するものづくりと貿易をしている会社です。
私は6年間カンボジアという国で生活をし、3年前に日本に戻ってきました。
カンボジアで何をしていたかというと、もちろん、農業です。
まだまだ世界には、1日1ドル以下で暮らす方がたくさんいます。
そんな人たちの生活を、日本の農業で何とかするんだとカンボジアに行きましたが、事業資金が底をつき、私自身も1日1ドル以下で暮らしたこともありました。
本日、ここで皆さんにお伝えしたいのは、日本の農業は、途上国と連携することで無限の可能性を持つようになるということです。
「いやいや、1日1ドル以下で暮らしていたというのに、どんな可能性だよ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
今から数分だけ、私にお時間をください。
なぜ、途上国で「農業」なのか
まず、なぜ途上国で農業なのかという理由についてお伝えします。
農業に親しんでいたのは、私の実家が地方の農業資材屋だったからです。
そして、途上国に興味を持ったのは、母の一言がきっかけでした。
私の母はちょっと変わっていて、10歳の時にこう言われたのです。
「いい? 神様は、この世の中にいる1人1人に使命を与えた上で、この世に送り出してくれたんだよ。じゃあ、あなたは何のためにこの世に生まれてきたの?」
大人になってからこの問いかけをもらっていたら、「いやーおかん、何か新しい宗教でも始めたの?」と思ってしまったかもしれません。
子どもの自分にとっては、とても貴重な問いかけでした。
そしてUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の緒方貞子さんや、UNTAC(国連カンボジア暫定機構)の明石康さんの活躍を知り、私の夢は、途上国の開発支援になっていきました。
この写真は、私が初めてカンボジアを訪れた時のものです。
私は、途上国の問題は教育にあると思っていました。
しかし、実際に教育支援を行っている現場を訪れた際、現地の方から聞いた話は意外なものでした。
「私たちの国では、たとえ学校があっても教えることができる教師がいない、教師がいても子どもたちの家の農業が成り立っていないと貧困から抜け出せない」と言っていたのです。
カンボジアの開発の問題は、教育と地方産業である農業が絡み合って、貧困と教育格差を生み出していることです。
そこに、日本の農業と途上国が連携できる意義を見出したのです。
1年半の研究を経て、産直モデルをカンボジアに構築
実家で学んだ農業の視点と、メンバーの持つ知識を活かし、1年半、カンボジアの農村で、現地の人々と一緒に鍬を持って研究しました。
研究したのは、どんな野菜が収穫できるのか、どんな病害虫が発生するのか、それを、現地で調達可能な資材でどうコントロールするか、などです。
その研究成果をもとに、カンボジアの地方で約80名の出荷組合を作り、出荷場兼農業試験場を持つ産直モデルで、カンボジア各地に安全な野菜を販売しました。
嬉しいことに、4年後にはカンボジアの フン・セン首相から、優秀農協として表彰していただける生産地となりました。
流通について言えば、青果は生ものなので賞味期限が短く、アプローチできる距離には限界があります。
よって、農業を大きな産業にするためには、農産加工を行って販売する二次産業の発展の必要性を感じました。
先進国にも通じる無添加ドライフルーツを開発
「よし、ここで、先進国にも通じる加工品を作ろう」と決意し、私たちのものづくりがまたスタートしました。
加工場を立ち上げ、そこから1年半かけてようやくできあがったのが、ナチュラルドライフルーツです。
今日は、来月から販売する、希少なクイーン種というパイナップルで作ったドライフルーツをお持ちしました。
是非、ご賞味ください。
(編集注:審査員席にサンプルとして、個包装のドライフルーツが配布されました)
日本のドライフルーツはまだまだ、シロップや添加物に漬けられたものばかりです。
私たちのドライフルーツは、限定品種、熟度選定、加工、物流管理の4つの工夫で、砂糖や添加物を一切使わずに味と色合いの両方を表現し、果物の持つ本来の栄養素をぎゅっと凝縮させているのが特徴です。
食べて頂いた方の声に支えられて、メディアにもいくつか取り上げられ、日本国内でも一歩ずつ広がっています。
▶地方の農業ベンチャー企業 途上国と日本の果物を加工して無添加ドライフルーツシリーズを開発販売 | RKBオンライン
大手企業のプライベートブランドとして日本で販売開始
2021年、奇跡が起こりました。
私たちのドライフルーツが、日本最大手の企業にプライベートブランドとして採用して頂き、日本全国での販売がスタートしました。
また、日本のJAからも連携のお誘いをいただきました。
日本産みかんの無添加ドライフルーツは、実はカンボジアで加工しています。
日本では、少しの傷やサイズ違いによって、毎年多くの規格外品が発生しており、食品ロス問題になっているのはご存知だと思います。
このみかんの産地では、毎年約3,000トンもの産地ロス品が発生しています。
私たちは、その約1%にあたる30トンのみかんを産地から直接カンボジアに輸出し、現地で製品化することができました。
産地ロスが輸出実績に変わり、カンボジアでは約60人に対し、3カ月の仕事を創ることができました。(2020年度実績)
この新たな取り組みのドライフルーツは、JAや専門店、無添加スナックのサブスクリプションを通じて販売されています。
日本の農業技術には無限の可能性がある
最後になりますが、農業は、本当にコツコツと地道なものづくりをする産業です。
でも日本の農業技術には、このように、途上国との連携によって新たな商品と貢献を生み出すことができる、無限の可能性があると私は信じています。
「この国の一次産業を、アジアにおける一大産業へ」、そんな思いを日本と途上国の生産者と共に抱いて、これからも進んでいきます。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸
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