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ICC FUKUOKA 2022 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただき、見事6位に入賞した、Medii 山田 裕揮さんのプレゼンテーション動画【「Medii」は医師偏在問題を「E-コンサル®」で解決し、難病患者に専門医療を届ける】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022 ゴールド・スポンサーのSIIF(一般財団法人 社会変革推進財団)にサポートいただきました。
▶【速報】未来を奪われた難民の、日本での活躍を支援する「WELgee」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2022)
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【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICC FUKUOKA 2022
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト
– 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by SIIF(一般財団法人 社会変革推進財団)
山田 裕揮
株式会社Medii
代表取締役医師
和歌山県出身. 自身が厚労省特定難病疾患を持つ患者であり, リウマチ膠原病専門医. 地元に専門医が不在だったために患者としても地域医療の課題を痛感する. 離島医療を含め臨床経験を積み, 聖路加国際病院, 慶應義塾大学病院を経て医学博士取得. 自分一人だけでは地元を含めて全ての地域の患者さんを救えないため, 仕組みから地域医療現場を変えることを志し株式会社Mediiを創業. 不足する専門医知見を届けることで専門医偏在問題を解決し, どこにいてもより良い医療を受けることができる世界を目指している。ICCスタートアップカタパルトKYOTO2020優勝、経済産業省JHeC2021優秀賞/住友生命特別賞受賞。
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山田 裕揮さん よろしくお願いします。
ここにいる皆様の中で、病気になったことがない、もしくは病院に行ったことがない方は、どのくらいいらっしゃいますか?
おそらくいないと思います。
地域医療の現場では専門医が不足している
あなたにとって、一番失いたくないものは、おそらく命や健康ではないでしょうか。
同時に、地元や地方に、大切な親、家族、友人がいるという方も多いと思います。
コロナ禍によって明るみになっているように、今、地域医療は、専門医が足りないという危機を迎えています。
それを専門医シェアリングで解決する、Mediiの取り組みをご紹介します。
皆様の中で、なかなか診断のつかない体調不良のせいで、色々な病院を転々とした経験のある方、そういう話を周りから聞いたという方はいらっしゃいませんか?
私はそのような難病を専門にしている内科医で、これを背景に起業をしています。
自身の難病で、地域医療の限界に直面
これは、実際に私が難病の患者さんに処方している免疫抑制剤です。
重症化したコロナウイルス患者にも使うことがありますが、感染症から身を守ってくれるはずの免疫細胞が、間違って正常な自分の体を攻撃してしまう、そしてそれが一生治らないという恐ろしい難病に対する薬です。
もしあなたが、このような薬を一生飲み続けなければいけないと言われたら、どう思いますか?
そしてまさか自分が、そんな病気になるなんて、夢にも思っていなかったです。
私自身が医学生の時に、自己免疫の難病を患っていることが分かりました。
先ほどの薬は私が実際に、毎日飲んでいるものです。
これは、体の中で悪さをしている白血球だけを専用の機械で濾し取って、必要な成分だけを体に戻すという特殊な治療をしている時の写真です。
このような高い専門性を持つ専門医が、私の地元の和歌山にはほとんどいませんでした。
そのため、診断がされるまでに9年かかり、治療も大阪まで通う必要があったのです。
地域医療の限界を、身をもって知りました。
ここで、私のように難病を患う人はどれくらいいると思いますか?
実は、意外と多いのです。
100人に5人という割合で発症するので、今日も、日本や世界のどこかで難病になる人がいるのです。
難病を扱う専門医の数は都市部に偏っている
このような専門性の高い病気を扱う専門医が、あなたの地元にはどれだけいるかご存知でしょうか。
こちらは、人口10万人あたりの医師数のグラフです。
私の地元の和歌山では、他の市の2倍以上の数の医師が和歌山市に集中しており、既に格差が生まれています。
これが東京や大阪などの都市部との比較になると、その格差はさらに広がります。
これだけ、医師数が偏ってしまっているのです。
そして、この図で見て頂きたいのは日本地図の青い部分で、これが専門医の数の比較となると格差はさらに拡大し、約50倍になります。
あなたの家族や友人がいる都道府県の状況は、いかがでしょうか?
場所を問わず知見をシェアできる「E-コンサル®︎」を構築
つまり、私たちが解決したい社会課題は、地域医療の医師不足、医師偏在問題です。
その解決のために行っているのは、専門医シェアリング事業であるE-コンサル®で、専門医の知見や経験を専門医が不在とするドクターへシェアし、クラウド上でいつでも相談可能にするサービスです。
イメージとしては、左側写真のように現場で悩む主治医が、右側の写真のような遠方の専門医にオンライン上で相談し、患者さんへ適切な診断治療をするというものです。
その病気の診断、治療に詳しい先生をシステムで自動選定し、マッチングさせた後、知見を共有するビザスクさんの専門医版という感じです。
普段、専門医が院内にいればすぐに質問ができますが、いないから困るわけです。
しかし、専門医が院外にいてもオンライン上でできるようにしている、とシンプルにそれだけで、使いやすいUI/UXになっています。
スピードと質が担保された専門医をマッチング
どの先生がどの相談に適切かはシステムが選定し、メールやアプリでお知らせを通知するので、時間があって相談内容が分かる先生とのマッチングされ、その先生とのやりとりが開始されます。
回答までの時間は約40分で、特に詳しい専門医からの返答が迅速にもらえるサービスを実現しています。
質問者の課題が解決されると、専門医の評価と共にコンサルティングは完了して専門医の専門性の評価が質問医師によりされていく仕組みを設けています。
なぜそのようなスピードと回答の質が担保されたサービスができるのかというと、私たちの強みである難病領域の現役専門医チームを中心に、一人一人の先生に協力のお願いをすることで、専門医の質の担保とエンゲージメントの高さを実現できているからです。
あらゆる領域の500人以上の専門医が対応
地域医療の課題を一緒に解決して良い世界を目指すビジョンに共感いただき、難病領域を専門とする先生を中心に、500人以上の先生方にご協力頂いています。
そして、日本でも直近の法改定によって遠隔連携診療が保険認定され、社会もこの遠隔で専門医の知見を届ける仕組みが必要だと後押ししてくれている状況になっています。
企業協賛モデルで地域に良い医療が届く
しかし、保険でカバーされる範囲は限定的でそれだけでも持続可能な仕組みを維持することは難しいことも事業を進める中でわかってきました。
そのために、次のステップとして私たちが取り組んでいるのは、自治体や製薬企業を中心とした、皆様のような企業と組むスポンサーシップモデルです。
イメージとしてはある地元企業の協賛の上で、例えば北海道や宮崎県の、ある病気を患う患者さんが専門医シェアを活用して助かる、つまりその地域に良い医療が届くというモデルです。
まさにICCサミットのスポンサーシップと同じような形で、地域の企業や製薬企業と協力しながら、ありとあらゆる難病解決に取り組んでいきたいと思っています。
分かりやすい例として、現在実績のある製薬企業のビジネスモデルを紹介します。
良い医療が届き、診断されて治療されれば、患者にとって良いことですよね。
その結果、製薬企業が作った最新の良い治療薬が、患者にきちんと届くわけです。
その売上の一部を疾患啓発費用としての予算から創出いただき、、製薬企業との大きな契約に結びついています。
国の制度が追いつかず、患者に必要な医療を届ける社会構造がなかったからこそ、それを創りたい。そして、長期的には日本のみならず世界に展開することで、社会にインパクトのあるビジネスにしていけると私たちは信じています。
すべての患者が地元で専門医療を受けられる世界へ
「地域医療の限界によって、私が体験したのと同じ苦しみを味わう人をもうこれ以上増やしたくない」、という思いで、この事業を始めました。
今日、今も、全国各地で、あなたの知っているあの人が、難病を含めた病気で苦しんでいます。
そのような人たちにとって、専門医への相談ができることで早期診断につながったり、新しい治療薬が適切なタイミングで使用されたりといった世界へと変化していきます。
感謝のお言葉をいただく「E-コンサル®」の活用実例が現場からどんどん出てきているのが、大きな前進の一歩だと思っています。
私たちの目指す世界が実現できれば、現場の医師数や医師の専門領域に限界があっても、その医療機関を中心に、クラウドホスピタルとしてすべての病気、難病への対応が可能な社会へと繋げていきます。
これを聞いてくれている皆様一人一人の力を合わせることで、一緒にこの世界を作っていけることを信じています。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸
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