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ICC KYOTO 2022 STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門に登壇いただいた、ABEL 大島 秀顕さんのプレゼンテーション動画【競走馬の状態をデータで可視化! より長く健康に活躍する馬のトレーニングを可能にする「EQUTUM(エクタム)」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはノバセルです。
▶【速報】サステナブルビジネスが隆盛!寝具の回収と再生で循環型社会を創る yuni の「susteb(サステブ)」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2022)
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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門
Supported by ノバセル
大島 秀顕
株式会社ABEL
代表取締役CEO
2019年に株式会社サイバーエージェントにエンジニアとして新卒入社。AI事業本部Air Trackに配属。広告配信サービスの開発や新規事業の開発責任者などを経験。技術だけでなく、マネジメントも経験し、認定スクラムマスターを取得。開発だけでなく、新卒採用や社内の勉強会組織の立ち上げなどを行う。2020年に株式会社ログラスに転職し、SaaSの開発を経験。CREとして、顧客に近いエンジニアとしてカスタマーサクセスチームと連携しながら、顧客中心の開発を推進。エンジニアにもお客様への理解を上げてもらう施策を実施。その後、かねてから好きだった動物の事業を考え、犬のIoTデバイスの開発などに挑戦し、ピボットを経て競走馬のIoTデバイスの開発を開始。2022年に株式会社ABELを創業。
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大島 秀顕さん こんにちは、株式会社ABELの大島 秀顕です。
今日は、初めに皆さんに伝えておくことがあります。
社名のロゴが犬ですが、僕は今日、一切、犬の話はしません。
熱く馬の話をするので、皆さん、僕のことは“馬の人”だと思って聞いてください。
今日ご紹介するのは、僕らの作る、”競走馬版のApple Watch”である、EQUTUM(エクタム)というプロダクトです。
突然ですが、「馬が好き」「競馬が好き」という方は、この会場にどのくらいいらっしゃいますか?
手を挙げてください。
審査員の皆さん、結構挙げていらっしゃいますね。
朝倉(祐介さん、シニフィアン共同代表)さん、両手を挙げてくれていますね。
宮宗(孝光さん、DIMENSION代表取締役社長)さんも、ありがとうございます。
めちゃくちゃ安心しました。今日は気持ち良くプレゼンをします。
1着と2着の差
では早速、映像を見て頂きます。
こちらは、2008年秋の天皇賞で、歴史に残る大接戦と言われるレースです。
最後の最後まで、その決着がもつれました。
実際、勝敗が分かれたその差は、わずか2cmでした。
▶第138回 天皇賞(秋)レコード&写真判定の激戦! ウオッカが競馬史に残る名勝負を制す(JRA)
2cmで決着が決まる、この競馬というスポーツ。
めちゃくちゃしびれますよね、僕もめちゃくちゃ好きなポイントです。
ただ、驚くべきは、その賞金です。
2着が5,000万円に対し、1着は1億3,200万円です。
全然違いますよね。
この競馬というスポーツは、1着になることがとても重要なスポーツなのです。
日々の過酷なトレーニングがもたらすもの
だからこそ、競走馬はもはやアスリートです。
アスリートと同じように日々、1着になるために、勝つために、過酷なトレーニングを重ねています。
それゆえに出てくる問題が、やはり怪我です。
人間であれば、多少の違和感に気づいて自分で調整ができますが、馬はそんなことはできません。
それゆえに、オーバートレーニングをしてしまい、最終的には怪我で死亡、最悪の場合には安楽死という悲劇が起きてしまうのです。
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では、なぜこのようなことが起きてしまうのか。
「トレーニング」と「治療」、この2つを正しく理解すると、よく分かってきます。
トレーニングをモニターで確認して、直感で仕上がり具合を判断
まずはトレーニングです。
これは、僕らが北海道でPoC(実証実験)をしていた時の一場面です。
何をしているかと言うと、カメラで馬を正面から撮影し、「仕上がりが良い、コンディションが良い、良い感じのタイム」などと、直感で判断をしているのです。
ですので、この点は、直感に依るのです。
獣医師は視診と触診によって診断・治療
獣医師は、治療をするために、基本的に見て触ります。
また、馬を歩かせてみて、「調子が良さそう、ここは痛そう」などと、こちらも直感で判断しているのです。
馬は「ここの調子が悪いんだよね」とは言ってくれないので、最終的に予防や早期発見をして事前に防ぐのは、とても難しいという課題があります。
定量的データによる客観的評価が難しい業界
ここまで見て頂いて分かる通り、この業界で大切なのは「直感」です。
そこに定量的なデータがあるわけではないので、「なぜ怪我をしてしまったのか、こういうトレーニングをすると、なぜこういう成果が生まれるのか」について言語化し、再現性のある方法を生み出すのが、非常に難しい業界なのです。
競走馬の脚に巻く軽量デバイスからデータを取得
それを解決するのが、弊社のEQUTUMです。
私たちは、現場で使って頂くことを第一に、これまで開発を続けてきました。
デモ動画をご覧ください。
取り付けはとても簡単で、プロテクターにデバイスを入れて、馬の脚に巻きつけるだけです。
あとは、いつも通りトレーニングを行うことができます。
デバイスへの操作は、スマートフォンで完結します。
トレーニングの分析は、いつでもどこでも、タブレットで可能です。
デバイスは、非常に小型で軽量です。
「馬につけても問題ない」という評価を、現場から頂いています。
トレーニング方針、仕上がり評価をデータドリブンに
では、タブレットで、どのような分析をするのでしょうか。
まず、トレーニングサイドです。
トレーニングが良かったか悪かったかだけではなく、その馬に適正なのは短距離、中距離、長距離なのか、トレーニングで馬に適切な負荷がかかったか、などについて可視化をします。
▶出走距離と馬体重の関係について(サラブレッドのスポーツ科学)
そうすることで、次に行うトレーニングやレースへの出走についての意思決定にご活用頂けます。
脚ごとの動きを数値化し正確な診断につなぐ
次に、獣医師サイドです。
獣医師側では、今まで知りたくても知れなかった情報、例えば、どうやって脚を動かしているのか、どの脚を強くついているのか、かばっているのかなどの情報を、数値として知ることができます。
そうすることで、データに基づいたより正確な診断を、より早くして頂けるようになります。
より長く健康に活躍する競走馬トレーニングの実現へ
これらを実現することで、僕らは勝てるトレーニングをサポートしますが、それだけではありません。
より長く、より健康な状態で活躍できる競走馬トレーニングを、僕らは実現するのです。
その結果、競走馬を育てる上で、なくてはならない存在、「EQUTUMがないとダメなんだ」という存在になっていきたいと思っています。
それを実現するために、馬を専門とする獣医師2名と共同開発を行い、専門的知見をもとにもらったアドバイスを、プロダクトにしっかり反映しています。
そして、それだけではなく、あのディープインパクトを作ったNorthern FarmとPoCを重ね、現在、β版で導入を進めて頂いています。
▶あれから2年…。日本競馬界に多大な影響を与えたディープインパクトの功績を振り返る 2021年07月30日(netkeiba.com)
それ以外にも、東京にある大井競馬場でもβ版の導入をして頂いており、徐々にトラクションが出てきている段階です。
月額20万円のサブスクリプションモデル
ビジネスモデルです。
僕らはハードウェアのスタートアップです。
基本的にはサブスクリプションモデルで、月額20万円でデバイスを1セットお貸しし、4~6頭の馬をカバーするモデルです。
国内競馬市場が第一のターゲット
競馬のマーケットについてです。
コロナ禍ですが、競馬マーケットはV字回復し、3兆円の大台を突破しました。
それに伴って、全国で競走馬の数も増えています。
僕らはまず、日本の競馬マーケットにチャレンジします。
ニッチな市場からスタートし、デバイス応用も視野に
しかし、競馬はグローバルスポーツです。
ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアなど、様々なところで開催されています。
だからこそ僕らは、日本から始まり世界に挑戦する、グローバルなスタートアップなのです。
そして、馬というニッチなところからスタートしていますが、僕らはここでは終わりません。
EQUTUMで培ったハードウェア、ソフトウェア、データ分析、それぞれの技術を用いて、例えばペット、人間のウェアラブル端末の開発や、アスリートの運動解析、それ以外にも医療現場へのデバイス応用などを行い、様々な事業を展開し、最終的に全ての動物へ価値を提供したいと思っています。
EQUTUMを使った日本馬で「凱旋門賞」に勝利したい
最後に、僕たちが実現したいことについて、皆さん、聞いてください。
こちらの映像は、フランスで行われる凱旋門賞という、世界最高峰のレースです。
これはオルフェーヴルが、2年連続で、2位で敗れた時の映像です。
実は日本の馬は、まだ一回も勝っていないのです。
ただの一度も勝っていないのです。
だからこそ、EQUTUMを使った日本の馬で、凱旋門賞で勝ちたい。
これが、僕がやりたいことです。
競走馬トレーニングのニューノーマルに
ただ、勝つだけでは面白くない。
もし世界一の馬が、世界一健康だったら、めちゃくちゃ良くないですか?
超かっこいいですよね。
僕は、その世界は最高だと思うのです。
僕は、これを作りたい。
そして、育成システムNo.1であることを僕らが証明し、世界中にEQUTUMを使った競走馬トレーニングをインストールしたいのです。
ぜひ、僕らと一緒に凱旋門賞で勝ちましょう!
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/大塚 幸