【NEW】ICC サミット FUKUOKA 2024 開催情報詳しくはこちら

競走馬の状態をデータで可視化! より長く健康に活躍する馬のトレーニングを可能にする「EQUTUM(エクタム)」(ICC KYOTO 2022)

新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

ICC KYOTO 2022 STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門に登壇いただいた、ABEL 大島 秀顕さんのプレゼンテーション動画【競走馬の状態をデータで可視化! より長く健康に活躍する馬のトレーニングを可能にする「EQUTUM(エクタム)」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターはノバセルです。

【速報】サステナブルビジネスが隆盛!寝具の回収と再生で循環型社会を創る yuni の「susteb(サステブ)」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2022)


【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門
Supported by ノバセル

大島 秀顕
株式会社ABEL
代表取締役CEO

2019年に株式会社サイバーエージェントにエンジニアとして新卒入社。AI事業本部Air Trackに配属。広告配信サービスの開発や新規事業の開発責任者などを経験。技術だけでなく、マネジメントも経験し、認定スクラムマスターを取得。開発だけでなく、新卒採用や社内の勉強会組織の立ち上げなどを行う。2020年に株式会社ログラスに転職し、SaaSの開発を経験。CREとして、顧客に近いエンジニアとしてカスタマーサクセスチームと連携しながら、顧客中心の開発を推進。エンジニアにもお客様への理解を上げてもらう施策を実施。その後、かねてから好きだった動物の事業を考え、犬のIoTデバイスの開発などに挑戦し、ピボットを経て競走馬のIoTデバイスの開発を開始。2022年に株式会社ABELを創業。


大島 秀顕さん こんにちは、株式会社ABELの大島 秀顕です。

今日は、初めに皆さんに伝えておくことがあります。

社名のロゴが犬ですが、僕は今日、一切、犬の話はしません。

熱く馬の話をするので、皆さん、僕のことは“馬の人”だと思って聞いてください。

今日ご紹介するのは、僕らの作る、”競走馬版のApple Watch”である、EQUTUM(エクタム)というプロダクトです。

突然ですが、「馬が好き」「競馬が好き」という方は、この会場にどのくらいいらっしゃいますか?

手を挙げてください。

審査員の皆さん、結構挙げていらっしゃいますね。

朝倉(祐介さん、シニフィアン共同代表)さん、両手を挙げてくれていますね。

宮宗(孝光さん、DIMENSION代表取締役社長)さんも、ありがとうございます。

めちゃくちゃ安心しました。今日は気持ち良くプレゼンをします。

1着と2着の差

では早速、映像を見て頂きます。

こちらは、2008年秋の天皇賞で、歴史に残る大接戦と言われるレースです。

最後の最後まで、その決着がもつれました。

実際、勝敗が分かれたその差は、わずか2cmでした。

第138回 天皇賞(秋)レコード&写真判定の激戦! ウオッカが競馬史に残る名勝負を制す(JRA)

2cmで決着が決まる、この競馬というスポーツ。

めちゃくちゃしびれますよね、僕もめちゃくちゃ好きなポイントです。

ただ、驚くべきは、その賞金です。

2着が5,000万円に対し、1着は1億3,200万円です。

全然違いますよね。

この競馬というスポーツは、1着になることがとても重要なスポーツなのです。

日々の過酷なトレーニングがもたらすもの

だからこそ、競走馬はもはやアスリートです。

アスリートと同じように日々、1着になるために、勝つために、過酷なトレーニングを重ねています。

それゆえに出てくる問題が、やはり怪我です。

人間であれば、多少の違和感に気づいて自分で調整ができますが、馬はそんなことはできません。

それゆえに、オーバートレーニングをしてしまい、最終的には怪我で死亡、最悪の場合には安楽死という悲劇が起きてしまうのです。

サイレンススズカはなぜ天皇賞・秋で骨折し“安楽死”したのか? 「殺さないで」ファンの声で手術をしたテンポイントは42日後に…(NumberWeb)

では、なぜこのようなことが起きてしまうのか。

「トレーニング」と「治療」、この2つを正しく理解すると、よく分かってきます。

トレーニングをモニターで確認して、直感で仕上がり具合を判断

まずはトレーニングです。

これは、僕らが北海道でPoC(実証実験)をしていた時の一場面です。

何をしているかと言うと、カメラで馬を正面から撮影し、「仕上がりが良い、コンディションが良い、良い感じのタイム」などと、直感で判断をしているのです。

ですので、この点は、直感に依るのです。

獣医師は視診と触診によって診断・治療

獣医師は、治療をするために、基本的に見て触ります。

また、馬を歩かせてみて、「調子が良さそう、ここは痛そう」などと、こちらも直感で判断しているのです。

馬は「ここの調子が悪いんだよね」とは言ってくれないので、最終的に予防や早期発見をして事前に防ぐのは、とても難しいという課題があります。

定量的データによる客観的評価が難しい業界

ここまで見て頂いて分かる通り、この業界で大切なのは「直感」です。

そこに定量的なデータがあるわけではないので、「なぜ怪我をしてしまったのか、こういうトレーニングをすると、なぜこういう成果が生まれるのか」について言語化し、再現性のある方法を生み出すのが、非常に難しい業界なのです。

競走馬の脚に巻く軽量デバイスからデータを取得

それを解決するのが、弊社のEQUTUMです。

私たちは、現場で使って頂くことを第一に、これまで開発を続けてきました。

デモ動画をご覧ください。

取り付けはとても簡単で、プロテクターにデバイスを入れて、馬の脚に巻きつけるだけです。

あとは、いつも通りトレーニングを行うことができます。

デバイスへの操作は、スマートフォンで完結します。

トレーニングの分析は、いつでもどこでも、タブレットで可能です。

デバイスは、非常に小型で軽量です。

「馬につけても問題ない」という評価を、現場から頂いています。

トレーニング方針、仕上がり評価をデータドリブンに

では、タブレットで、どのような分析をするのでしょうか。

まず、トレーニングサイドです。

トレーニングが良かったか悪かったかだけではなく、その馬に適正なのは短距離、中距離、長距離なのか、トレーニングで馬に適切な負荷がかかったか、などについて可視化をします。

出走距離と馬体重の関係について(サラブレッドのスポーツ科学)

そうすることで、次に行うトレーニングやレースへの出走についての意思決定にご活用頂けます。

脚ごとの動きを数値化し正確な診断につなぐ

次に、獣医師サイドです。

獣医師側では、今まで知りたくても知れなかった情報、例えば、どうやって脚を動かしているのか、どの脚を強くついているのか、かばっているのかなどの情報を、数値として知ることができます。

そうすることで、データに基づいたより正確な診断を、より早くして頂けるようになります。

より長く健康に活躍する競走馬トレーニングの実現へ

これらを実現することで、僕らは勝てるトレーニングをサポートしますが、それだけではありません。

より長く、より健康な状態で活躍できる競走馬トレーニングを、僕らは実現するのです。

その結果、競走馬を育てる上で、なくてはならない存在、「EQUTUMがないとダメなんだ」という存在になっていきたいと思っています。

それを実現するために、馬を専門とする獣医師2名と共同開発を行い、専門的知見をもとにもらったアドバイスを、プロダクトにしっかり反映しています。

そして、それだけではなく、あのディープインパクトを作ったNorthern FarmとPoCを重ね、現在、β版で導入を進めて頂いています。

あれから2年…。日本競馬界に多大な影響を与えたディープインパクトの功績を振り返る 2021年07月30日(netkeiba.com)

それ以外にも、東京にある大井競馬場でもβ版の導入をして頂いており、徐々にトラクションが出てきている段階です。

月額20万円のサブスクリプションモデル

ビジネスモデルです。

僕らはハードウェアのスタートアップです。

基本的にはサブスクリプションモデルで、月額20万円でデバイスを1セットお貸しし、4~6頭の馬をカバーするモデルです。

国内競馬市場が第一のターゲット

競馬のマーケットについてです。

コロナ禍ですが、競馬マーケットはV字回復し、3兆円の大台を突破しました。

それに伴って、全国で競走馬の数も増えています。

僕らはまず、日本の競馬マーケットにチャレンジします。

ニッチな市場からスタートし、デバイス応用も視野に

しかし、競馬はグローバルスポーツです。

ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアなど、様々なところで開催されています。

だからこそ僕らは、日本から始まり世界に挑戦する、グローバルなスタートアップなのです。

そして、馬というニッチなところからスタートしていますが、僕らはここでは終わりません。

EQUTUMで培ったハードウェア、ソフトウェア、データ分析、それぞれの技術を用いて、例えばペット、人間のウェアラブル端末の開発や、アスリートの運動解析、それ以外にも医療現場へのデバイス応用などを行い、様々な事業を展開し、最終的に全ての動物へ価値を提供したいと思っています。

EQUTUMを使った日本馬で「凱旋門賞」に勝利したい

最後に、僕たちが実現したいことについて、皆さん、聞いてください。

こちらの映像は、フランスで行われる凱旋門賞という、世界最高峰のレースです。

これはオルフェーヴルが、2年連続で、2位で敗れた時の映像です。

実は日本の馬は、まだ一回も勝っていないのです。

ただの一度も勝っていないのです。

だからこそ、EQUTUMを使った日本の馬で、凱旋門賞で勝ちたい。

これが、僕がやりたいことです。

競走馬トレーニングのニューノーマルに

ただ、勝つだけでは面白くない。

もし世界一の馬が、世界一健康だったら、めちゃくちゃ良くないですか?

超かっこいいですよね。

僕は、その世界は最高だと思うのです。

僕は、これを作りたい。

そして、育成システムNo.1であることを僕らが証明し、世界中にEQUTUMを使った競走馬トレーニングをインストールしたいのです。

ぜひ、僕らと一緒に凱旋門賞で勝ちましょう!

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/大塚 幸

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!