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190年前から続く仏具を「LinNe」でアップデート。心を整える唯一無二の音色を作る「南條工房」(ICC KYOTO 2022)

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ICC KYOTO 2022 CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けてに登壇いただいた、南條工房 南條 和哉さんのプレゼンテーション動画【190年前から続く仏具を「LinNe」でアップデート。心を整える唯一無二の音色を作る「南條工房」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはMakuakeです。

【速報】うにの再生養殖で水産資源の未来を創る「北三陸ファクトリー」がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2022)


【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Makuake

南條 和哉
有限会社 南條工房
取締役

1979年、京都市生まれ。高校卒業後、好きだった料理の道を目指すが23歳で転職。2003年、妻の家業である鳴物神仏具製造とおりんの音色に衝撃を受け、南條工房に就職。鳴物鋳物師としての伝統の鋳造・加工技術の習得に努め、現在20年目。2011年「京もの認定工芸士」認定。2018年から新しいおりんのプロダクト開発とブランディングを開始。2019年、もっと身近におりんの音色を楽しんでほしいという思いから佐波理製鳴物のブランド「LinNe(リンネ)」を立ち上げる。自由な用途で使えるおりんのプロダクトから、日々の暮らしの中で楽しむ音色の用途や魅力を提案。その他、アーティストとのサウンドインスタレーションの制作や作曲家・音楽家へのおりんの提供、瞑想やヨガイベントでのコラボレーション、Apple京都でのワークショップの開催など工房が生み出す音色を発信。2021年には「京ものユースコンペディション2021」グランプリを受賞。


南條 和哉さん よろしくお願いします。

皆さん、まず初めに、今から1つ音を鳴らします。

ぜひ、軽く目を閉じて、音に耳を傾けてください。

では、行きます。

(おりんの音)

はい。心が少し整ったでしょうか。

京都宇治の工房で作り続ける音色

私は、京都の宇治にある小さな工房で、20年間、音の鳴る製品を専門に作ってきた鋳物職人です。

工房では、190年前から、先ほど聴いていただいた、仏壇の前でチーンと鳴らして使う仏具のおりんや、お祭りや神社で用いられる鉦(かね)といったもの、京都の祇園祭で鳴らす「コンチキチン」と言われる囃子鉦(はやしがね)などを専門に作ってきました。

おりん
鉦(かね)
祇園祭の様子

音色のために生み出した工房独自の配合率で銅とスズを溶かして、「佐波理(さはり)」という青銅を作り、伝統の鋳造技術と加工技術によって、ひとつひとつ手作りで、唯一無二の音色を作っています。

▶編集注:製法については、火と型 、 銅とスズ(LinNe)に詳しい。

おりんの音色をもっと身近に

ただ、現代のライフスタイルや住宅環境の変化、そして、宗教や祈りに対する心の変化などにより、おりんの音色を聴く機会が少なくなってきました。

また、おりんは、仏壇の付属品ということもあり、現在の流通の中で、その音色の良さを伝えづらいということもありました。

そこで、2019年に、「おりんの音色をもっと身近に楽しんでほしい、知ってほしい」という想いを形にするため、「LinNe」というブランドを立ち上げました。

何度も試作を繰り返して、音色を試しながら生まれたのが、こちらの写真の「Chibi」という商品です。

優しく振ると、澄んだ音と美しい余韻が響きます。

(Chibiを鳴らす音)

初めは、この音色を、どのように、どういった用途で使っていただけるのか、そのような不安がありました。

身近な人にサンプルを使ってもらったり、テストマーケティングをしたりしながら、ヒアリングを重ねて販売することで、仏具というジャンルにとらわれない、自由な用途や楽しみ方が生まれてきました。

例えば、気持ちの切り替えや、始まりや終わりの合図、そして、瞑想やヨガなどリラクゼーションの音色として、祈りの新しい形として、使用される方に合わせた、音色の楽しみ方が生まれてきました。

様々なジャンルで開くおりんの可能性

そして、音色の魅力が広がることで、興味を持ってくださるアーティストやミュージシャン、デザイナーなど、様々なジャンルの方とつながることができました。

そして、音色の新しい可能性が見えてきます。

こちらの動画は、フランス人のサウンドアーティストのサミュエル・アンドレさんと一緒に行った、おりん演奏会の様子です。

LinNe LIVEイベント in 梅田阪急(Instagram)

演奏会にいらした皆さんは、音に耳を傾けて、気持ち良さそうに瞑想にふけっていました。

また、こちらの動画は、電子音楽のアーティスト江島和臣さん、武田真彦さんと一緒に作った、サウンドインスタレーション「CYCLEE」(サイクリー)です。

ランダムに鳴る音色と一定の周波数で鳴る音色、反響音と混じり合って、空間に自然と溶け込むように音が響き渡ります。

「LinNe」という新しい道を作ったことで、おりんから響く一音の可能性が生まれました。

工房独自の素材、その素材を使うための伝統技術、人と交わることで感じた、音色に対する思いと気づき、そして、新しい挑戦、すべては音色のために、音色は人と共に、これが私たちのクラフテッドです。

おりんは、禅の精神から生まれ、古くより日本人の心に寄り添い、心と共にありました。

今は人との繋がりが難しかったり、パンデミックや戦争などがあったりと、便利でありながらも、不安や孤独、ストレスを感じやすい時代です。

だからこそ、心に安定や豊かさをもたらす、おりんの音が必要だと考えています。

音楽、瞑想やヨガ、リラクゼーション、そして医療の分野で、音の可能性を探っていくことで、新しい可能性を世界の人に届けたいと思っています。

心に響き、寄り添える音色をもっと届けたい

最後に、皆さんにお願いがあります。

心に響き、寄り添えるおりんの音を、多くの人に届けるために力を貸してください。

一緒に、可能性を探り、挑戦できる仲間になってください。

どうぞよろしくお願いします。

音色を楽しみ自分を見つめ、心と整える時間をLinNeと共に。

南條工房の南條 和哉でした。

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/中村 瑠李子

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