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3. 地域全体が会場「ひつじサミット」を開催する毛織物の産地「尾州」

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ICC公式ツアー開催をかけ4地域からスピーカーが集結したICC KYOTO 2024のセッション「新企画「コネクテッド」 – ICC地域コミュニティを盛り上げよう!」、全8回の③は、愛知から岐阜にまたがる毛織物の産地「尾州」。三星グループ岩田 真吾さんは、工場見学を中心に地域をまるごと楽しむイベント「ひつじサミット尾州」を紹介します。ひつじサミットに参加して、あなたも“ゆるふわ”なつながりを作ってみませんか?ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。


【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 6E
新企画「コネクテッド」 – ICC地域コミュニティを盛り上げよう!
Sponsored by EVeM

① 北海道

小林 兼
株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント
執行役員 事業統轄本部 企画統括部長

富山 浩樹
サツドラホールディングス株式会社
代表取締役社長CEO

② 尾州(愛知県・岐阜県)

岩田 真吾
三星グループ
代表

③ 八尾(大阪府)

太田 泰造
錦城護謨株式会社
代表取締役社長

木村 祥一郎
木村石鹸工業株式会社
代表取締役社長

友安 啓則
株式会社 友安製作所
代表取締役社長

④ 五島列島(長崎県)

中村 直史
株式会社五島列島なかむらただし社
代表 / クリエーティブディレクター

(リングサイド席)

東野 唯史
株式会社ReBuilding Center JAPAN
代表取締役

飯尾 彰浩
株式会社飯尾醸造
五代目当主 江戸前シャリ研究所 所長

石川 勤
石川樹脂工業株式会社
専務取締役

上町 達也
secca inc. (株式会社雪花)
代表取締役

内田 徹
株式会社漆琳堂  代表取締役社長  
 一般社団法人SOE   代表理事

岡住 修兵
稲とアガベ株式会社
代表取締役

斎藤 潤一
AGRIST株式会社
代表取締役CEO

高本 泰朗
株式会社リゲッタ
代表取締役

丸谷 篤史
株式会社LOOOF
取締役副社長

村岡 浩司
株式会社一平ホールディングス
代表取締役社長

(モデレーター)

荒木 珠里亜

▶︎「新企画「コネクテッド」 – ICC地域コミュニティを盛り上げよう!」の配信済み記事一覧


世界のトップブランドから選ばれる毛織物の産地「尾州」

岩田 真吾さん(以下、岩田) 尾州のプレゼンの前に…僕は北海道に北海道SDGsツアーで3回行っています。


岩田 真吾
三星グループ
代表

1887年創業の素材メーカー「三星グループ」の五代目アトツギ。慶應大学を卒業後、三菱商事、BCGを経て2010年より現職。欧州展開や自社ブランド立ち上げ、ウール再生循環プロジェクトReBirth WOOL、産業観光イベント「ひつじサミット尾州」、アトツギ×スタートアップ共創基地TAKIBI & Co. (タキビコ)等を進める。  2019年ジャパン・テキスタイル・コンテスト経済産業大臣賞(グランプリ)、2022年Forbes JAPAN起業家ランキング特別賞を受賞。  個人として株式会社AB&Company(東証GRT9251)社外取締役、認定NPO法人Homedoor理事、神山まるごと高専起業家講師、フィンランド政府公認サウナ・アンバサダー等も務める。

最高のツアーだと思います。

皆さん、今日は色々なエリアから来られていると思いますが、北海道以外で、北海道の真似はできません。

僕が今から話すのは、自分の地域に持って帰ってもらえると役に立つ内容です。

北海道とは前提が違うということを、先にお伝えしておきます(笑)。

三星毛糸ひつじサミット尾州(以下、ひつじサミット)の岩田 真吾です。

今日はウェルカムガイドブックとして、ひつじサミットのご紹介をしたいと思います。

まず、尾州産地について聞いたことがない人がほとんどだと思いますが、「尾州」とは尾張地方の古い呼び名で、愛知県から岐阜県にまたがる地方を中心にした毛織物の産地です。

東京から2時間、大阪から1時間でアクセスが良く、飛行機でも簡単に行けます。

では、尾州産地の何がすごいのか。

世界三大毛織物産地(※他の産地はイギリスのハダースフィールド、イタリアのビエラ)の一つで、国内外のトップブランドから選ばれています。

▶️世界のハイブランドが採用する、テキスタイル産地、尾州。(尾州産地総合情報ポータルサイト)

こちらの写真を見て、かっこいいと思っていただけたと思います。

実際、三星毛糸も、Hがついたり、LとVが散りばめらたりするような世界のトップブランドと直接取引をしています。

地域をまるごと楽しめる「ひつじサミット尾州」

岩田 そんな尾州産地で開催している「ひつじサミット尾州」は、平たく言えば、工場見学を中心に尾州地域を丸ごと楽しむオープンファクトリーです。

ひつじサミット尾州とは?(ひつじサミット尾州)

糸を作る工場、布を織ったり編んだりする工場、染める工場、縫製工場は、それぞれ別々の会社で分業制で、助け合ってものづくりをしています。

このスタイルは、他の産地でもそうだと思います。

同じ日に工場開きをしますが、サミットのウェブサイトで情報は一元管理されているので、そこでどこで何ができるかが分かり、予約もできます(※) 。

▶編集注:2024年に実施したイベントはこちらです。

工場見学のためだけに、どこかに旅行に行くということは皆さんしないと思いますので(笑)、ウールのもとになる羊の牧場と連携して羊に来てもらったり、羊飼いと話す機会を作ったりしています。

さらに、地域の文化を支える喫茶店や料亭と一緒にグルメ開発も行っています。

喫茶店のモーニングについて聞いたことがある人は、手を挙げてください。

知っていますよね、その発祥がこの尾州産地です。

布を織る機械がうるさいので、そこではミーティングなどができないため、今で言うシェアオフィスのような形で喫茶店に入り浸っている中で、コーヒーを頼むとゆで卵とトーストが出てくるようになったようです。

モーニングの謎 老舗喫茶のマスターに聞いた! マチコエ(NHK名古屋放送局)

オフィスでお菓子が出てくるのと同じような形ですね。

こういう話から、文化と産業が結びついていることが実感できると思います。

それが楽しめるのも、ひつじサミットです。

イベントをすると言うと、会場はどこなの? 会場は1カ所でしょ?と聞かれます。

しかし文字通り、まち全体が会場になっています。

40カ所以上の工場、喫茶店、飲食店、セレクトショップが同日にイベントをしており、自由に周遊できる設計にしています。

車ならここ、電車ならここが行きやすい、などが分かるように案内しています。

ゆるくふわっとしたつながりを意識

岩田 目標を5つ設定しています。

「産業観光」、「地域共創」、「持続可能性」、少しビジネス寄りの「事業承継」をかっこよくする、「担い手育成」です。

これら5つの目標すべてに共感しなければいけない、とは全く思っていません。

1つでもいいなと思ったあなたは、もう仲間です。

ゆるくてふわっとしたつながりを、すごく大事にしています。

ひつじサミットの「ひつじ」も漢字にしていませんが、ウールのもとになる羊と、ゆるふわの象徴である羊という意味を持たせています。

ひつじサミットは、11人の跡継ぎが、コロナ禍で何か前向きなことをしようと10万円ずつ持ち寄り、110万円で始まりました。

今は 20人を超える老若男女が実行委員会を構成していますが、行政との連携ということで、愛知県や岐阜県からの後援ももらっています。

さらに、全国的に見ても良い取り組みということで、経済産業省も後援してくださっています。

あと、ゆるふわなので、繊維産業だけではなく、工場を持たない商社や、ほぼすべての地方銀行や信用金庫が参加しています。

中部電力や名古屋トヨペットなども、移動面で協力してくださり、実施することができました。

のべ5万人以上の参加者が楽しむイベントに

岩田 言葉による説明だけではイメージがわきづらいかもしれないので、ここでショートムービーをご覧ください。

子どもも楽しめるようにしています。

「ひつじエール」という、オリジナルのビールも作っています。

緯糸(よこいと)を選んで、自分の好みの生地を実際に織らせてくれる工場もあります。

学生は無料にし、若い人たちに体験を提供しています。

ひつじから毛織物まで一貫して見られる機会は、ほぼないのです。

ナイトミュージアムのように、ナイトファクトリーとして、夜の工場の様子を見学してもらうこともできます。

地元のレストランと組んで、工場の庭でディナーもしています。

ICCサミットの若手の方も何人か、来てくれました。

地元出身のラッパーSEAMOに『紡ぐ』という曲を作ってもらいました。

今年のひつじサミットでライブを行う予定です(※2024年10月26日にライブを開催)。

ということで、コロナ禍に負けず、2021年から3年連続で開催し、のべ5万人以上の方が楽しんでくれるイベントになりました。

これまでの歩み(ひつじサミット尾州)

もともと、ほとんどの会社がB2Bでアパレル企業に生地を売っていましたが、自らファクトリーブランドを立ち上げる動きも出てきています。

こうして、1,000万円以上を売り上げるイベントに成長してきています。

ひつじサミットをきっかけに生まれた企画

岩田 さらに、 一過性のイベントではなく、そこから商品開発につながった例として、某人気ブランド(笑)ヘラルボニーの松田くんたちが来てくれて、ぜひ尾州の生地を使いたいと開発したシャツがあります。

この写真の池田 エライザさんが着ているもので、三星の生地を使っており、Forbes JAPANでも紹介してくれています。

LVMHも指名する「日本の技術」をリレーで繋げ!2022年の「奇跡のウールシャツ」(Forbes JAPAN)

私も撮影に立ち会いました。

先ほど北海道の移動の話が出ましたが、移動を面白くするためJR東海とコラボし、東京駅から岐阜羽島駅まで、ひかりの1車両をジャックし、セッションを行いました。

【10/25 東京→尾州】移動型イベント「POTLUCK CARAVAN」東京から一緒に大移動(POTLUCK YAESU)

リングサイド席の斎藤 潤一さん(AGRIST株式会社 代表取締役CEO)もいらっしゃいますね。

このような新しい取り組みも行っています。

これは余談ですが、岐阜羽島駅は東海道新幹線の路線の中で、乗降客数が長らくワースト1だったのですが、昨年、三河安城駅を倒して下から2番目になりました(笑)。

(会場笑)

これに、ひつじサミットも少しは貢献しているのではないかと思っています。

次に、これは少しビジネス寄りですが、お互いの工場を見せ合う中で、作り手同士の信頼が生まれ、経営課題に一緒に取り組むことになりました。

特にDXは単体では難しいということで、コミュニティとしてDXを推進する、通称「ひつじDX」というプロジェクトが進んでいます。

オープンファクトリーから生まれたプロジェクトで、今度、石巻市にも講演に行く予定です。

多くのメディアに取り上げていただいたので尾州地域の認知が上がり、Forbes JAPANから「業界の常識を打ち破り、不可能を可能にした」と、起業家ランキングだったのに、会社の跡継ぎだった僕が特別賞をいただきました。

このスライドの写真は、かめはめ波(※『ドラゴンボール』の架空の技)のポーズではなく、純度の高いクリスタルのトロフィーを受け取っているところです(笑)。

もちろん、この時に着たタキシードには三星の生地を使っています。

ですので、授賞式には名だたる人たちが参加していましたが、僕が一番良い服を着ていたと思います。

ともにイベントを盛り上げる「ひつじ団」を募集

岩田 ゲストや参加事業者の声を受け、2024年は10月25から27日の3日間開催します。

1泊2日でも2泊3日でも、ぜひ来ていただければと思います(※今年度のイベントは終了)。

スライドには、ゲストと職人の声を集めました。

左側がゲストの声、右側が職人の声です。

ゲストが喜んでくれるのは嬉しいですが、想定内ではありました。

何より嬉しかったのは、職人たちの声です。

僕たちが勝手に、寡黙で口下手で人見知りだと思い込んでいた職人たちが、ゲストから「すごいですね」「どうやるのですか」と聞かれて嬉しそうに語りだす、そういうシーンが尾州中で見られて、彼らが「またやりましょう」と言ってくれたのです。

このイベントは一切代理店を使わず、ボランティアベースで開催しており、正直辛いので、いつやめるか分からない状態です(笑)。

でも、またやるかということで続けており、4年目の今年は開催しますので、ぜひ、来てください。

2024年のイベントテーマは「ひらく」です。

イベント当日だけではなく、そのプロセスもゲストと一緒に共有しようということで、今、マクアケでクラウドファンディングを行っています(※目標金額を達成し終了)。

「ひつじ団」募集!工場見学・ものづくり・グルメなど特別な体験で一緒に盛り上がろう(Makuake)

「ひつじ団」という応援団を募集しています。

オープンチャットでは質問を受けていますし、ひつじ団に入れば、予算表を含めた我々の秘密がすべて見られ、実行委員会にオブザーバーとして参加してもらえます。

イベント中に工場間を移動する際は車があった方が便利なので、費用が発生しない前提で、民間で相乗りができればいいと思っています。

ひつじ団では、当日の楽しみ方をもっと提案できればと思います。

550円から参加可能で、残り5日で200人を超えたいと考えております。

この会場の皆さんが入ってくれれば超えるので、ぜひお願いします。

ロゴに込めた思い、回り道をしてもつながろう

岩田 最後に、これは、ひつじサミットのロゴです。

ウールのくるくるした感じを表していますが、もう一つ、人と人のつながり、コネクテッドも示しています。

点と点がつながればいいというのは、ここにいる皆さん全員が思っていることだと思いますが、やはり人間同士なので、簡単に一直線ではつながらないですよね。

つながらなかった時、回り道をしてでも最終的にはつながろうという思いを込めて、このロゴを作りました。

回り道をしてでも、ぜひ、色々な地域の方とつながれたら嬉しいと思っています。

尾州産地、岩田真吾でした。

ありがとうございます。

荒木 ありがとうございます。

終了時間もぴったりですね、10分間のプレゼンをしっかりと準備されていたのでしょうか。

岩田 プレゼンのクオリティは、北海道に勝っているのではないでしょうか(笑)。

(会場笑)

荒木 (笑)めちゃくちゃ素晴らしいプレゼンでした、ありがとうございます。

具体的な、参考になる話が多かったと思います。皆さん、いかがでしょうか。

岩田 ぜひ、サウナのことも質問していただけると(※) 。

▶編集注:岩田さんは、フィンランド政府公認サウナ・アンバサダーでもあります。

(続)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成

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